
遠視・近視

遠くのものがぼやけて見える、あるいは近くのものが見えにくいという近視や遠視。
これは目に入る光が異常な屈折を起こすことが原因です。
強い近視や遠視は、仕事や勉強に支障が出やすく、特に遠視の場合は小さいお子さまは症状に気がつかないことがあるので、周囲の人は斜視などに注意を払う必要があります。
テレビやパソコンなど、現代では自然と目に負担をかける環境に置かれています。
照明の明かるさや読書するときの姿勢、パソコン作業は適時目を休めるなど、普段から目の健康維持に気を遣うことが大切です。
光が網膜にちょうど焦点を結べない時で、近視は光が網膜より前に焦点を結んでしまうもの、遠視はその逆になります。詳しくはご相談ください。
乱視
乱視は水晶体や角膜の歪みによって引き起こされる屈折異常が原因です。
遠近にかかわらず、ものがぼやけたりかすんだりして見える症状があります。
無理にピントを合わせようとするために目に負担がかかり、眼精疲労や頭痛、肩こりなどに悩まされがちです。
文字が見えにくいため、集中力が低下することもあり、仕事や勉強にも影響がでることがあります。
また、周囲が暗いと見えにくい、電光掲示版の文字が読みづらいといった症状もあり、ひどくなると生活に支障をきたす場合もあります。
乱視はめがねやコンタクトレンズで矯正することが可能です。
「ものが見にくい」「ものが二重に見える」などの症状が気になったら、早めに眼科医に相談しましょう。

結膜炎

結膜炎とは、眼の結膜と呼ばれる部分に炎症が起こる状態を指します。結膜は、眼球の白い部分(強膜):眼球結膜と、まぶたの内側を覆っている部分:眼瞼結膜から構成される薄い透明な膜です。
結膜炎は非常に一般的な眼の疾患で、多くの場合、ウイルスまたは細菌による感染が原因となります。しかし、アレルギーや化学物質(塩素など)、コンタクトレンズなどの異物の刺激なども結膜炎を引き起こす可能性があります。
結膜炎の主な自覚症状は以下の通りです:
- 目の赤み
- 分泌物の増加(目やに)
- 目のかゆみ、刺激感、痛み
- 瞼の腫れ
- 光が眩しい(羞明)
結膜炎の治療は原因によります。ウイルス性の結膜炎の場合、多くが症状が激しいため、抗ウィルス剤、場合によっては、ステロイドの点眼が用いられ、細菌性の場合は抗生物質の目薬または軟膏が処方されることがあります。アレルギー性の結膜炎では、アレルギーを抑える薬が用いられます。
いずれの場合でも、症状が現れたら医療専門家に相談することが重要です。特に、重度の痛みや視力の変化などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
ウイルス性結膜炎
特にアデノウイルスにより引き起こされることが多いといえます。
流行性角結膜炎(はやり目)、咽頭結膜炎(プール熱)、急性出血性結膜炎、の3種類があります。
ウイルス性結膜炎の流行シーズンは夏で、特に咽頭結膜炎はプールで感染することも多くあり、発熱や喉の痛みを訴えます。
いずれのウイルスも伝染力が強く、ウイルスを効果的に排除できる薬がありません。
症状を和らげるために、ステロイドの点眼を行ったり、涙の代わりとなる人工涙液の点眼の使用やアイシングをすることが推奨されます。
加えて、アデノウィルスに感染してしまったら、目をこすったりタオルを共用したりせず、人に移さないよう注意することが大切です。
さらには、特定のウイルス(例えばヘルペスウィルスや帯状疱疹ウィルス)による結膜炎の場合、抗ウイルス薬が必要となることがあります。
アレルギー性結膜炎
花粉症やハウスダストによるアレルギーが原因となって引き起こされる結膜炎です。
目のかゆみ、充血、腫れ、涙目、目やになどの症状が表れます。
アレルギーは、アレルギー物質を異物と察知した体が、それを排除しようと必要以上に敏感に免疫機能を働かせるために起こります。
花粉、ダニ、カビ、ハウスダスト、動物の毛、食べ物など、人によってアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)はさまざまです。
したがって、アレルギーの原因となる物質であるアレルゲンを同定して、それを避けることが最善の治療法です。
それに加えて、抗ヒスタミン薬、ステロイドの点眼・内服、または、場合によっては、免疫抑制剤の点眼を使用して症状を管理することがあります。
角膜炎
角膜はいわゆる「黒目」と呼ばれる部分で、眼球の最前面に位置する透明なドーム状の膜です。
外からの光を導く入り口で、光を屈折させて網膜に焦点を合わせ、画像を映し出すレンズの役割を担っています。
この角膜が濁ったり変形したりすると、視力に多大な影響が出ます。
「角膜炎」とは、この角膜の部分に炎症が起きた状態を指します。
角膜炎は、この角膜が感染症や外傷などにより炎症を起こす状態を指します。
角膜炎の主な原因は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)、寄生虫などの感染症ですが、眼の外傷や乾燥、アレルギー、紫外線・放射線による刺激、異物、自己免疫疾患なども原因となることがあります。
角膜炎の症状は以下のようなものがあります:
- 目の赤み
- 眼の痛み
- 光を見ると痛む(光過敏症)
- 眼のかゆみ、刺激感
- 眼の分泌物の増加
- 視力の低下
- 瞼の腫れ
角膜炎は重篤な状態になると視力を永続的に損なう可能性がありますので、上記の症状が現れた場合は早急に眼科医に相談することが重要です。
治療は、原因によりますが、感染症が原因の場合は抗生物質や抗真菌薬、抗ウイルス薬などの目薬や内服薬を用いることが一般的です。また、角膜の損傷がひどい場合には、角膜移植の手術が必要になることもあります。
また、コンタクトレンズの不具合や誤った使用方法によっても起こります。
コンタクトレンズは医師の指導のもと、正しく装着、清潔に管理するように注意しましょう。

結膜下出血

結膜下出血(subconjunctival hemorrhage)は、眼球の白い部分(結膜)とその下の血管層の間に血液が溜まる状態を指します。これは通常、結膜の血管が何らかの理由で破裂したときに発生します。
結膜下出血の最も一般的な症状は、眼球の一部または全体が赤くなることです。
これはしばしば突然に現れ、目立つために直ぐに気付かれます。
しかし、この状態は通常、痛みを伴わないか、またはごく軽度の不快感しか引き起こしません。
結膜下出血の一般的な原因には次のようなものがあります:
- 強いくしゃみ、咳、または嘔吐
- 目への軽度の外傷
- 血管を弱める薬物の使用(例えばアスピリンや抗凝固薬)
- 高血圧
多くの場合、結膜下出血は特別な治療を必要とせず、1-2週間で自然に解消します。
ただし、頻繁に結膜下出血が起こる場合、またはそれが他の眼の症状(例えば視力低下)と一緒に現れる場合、それはより深刻な問題の兆候である可能性があります。
例えば、高血圧や糖尿病、白血病などの影響による場合、再発を繰り返すことが多く、しばしば結膜下だけでなく眼底にも出血があります。
早めに専門医に受診することで原因を特定し、治療することが大切です。
花粉症
花粉症は、特定の種類の花粉に対する体の過敏反応で、典型的なアレルギー症状を引き起こします。これは季節性アレルギーの一種で、一般的には春や夏、または秋に症状が現れます。その時期は、特定の植物が花粉を放出する時期と一致します。
花粉症の症状には以下のようなものがあります:
- 鼻症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみなど。
- 眼の症状:目のかゆみ、充血、涙、光への過敏反応など。
- その他の症状:喉のかゆみ、耳の圧迫感、咳、頭痛、疲労感など。
花粉症は、特定の種類の花粉に対する体の免疫応答に起因します。体が花粉を有害な物質と誤認し、それに対抗するためにヒスタミンという物質を放出します。ヒスタミンが引き起こす反応が、花粉症の症状を引き起こします。
花粉症の治療には、症状を和らげる薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド、抗アレルギー剤の点鼻薬、点眼薬など)や、体の反応を変えるための免疫療法(舌下免疫療法)、鼻粘膜をレーザーで焼く治療(レーザー治療)があります。
また、最近では、新しい治療薬として、生物製剤であるゾレア®皮下注が保険適応となり、注目されております。
また、可能な限り花粉に触れないようにすることも重要です。これには、花粉の多い時期に外出を控える、窓を閉めて家の中の空気を清潔に保つ、衣服や寝具を頻繁に洗うなどの対策が含まれます。

花粉症はスギなどの花粉が原因(アレルゲン)となり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、鼻づまりといった症状を引き起こすアレルギー性の病気です。風邪と似た症状ですが、風邪の症状との特徴的な違いは「目のかゆみ」です。
目のかゆみ(毎年きまった季節に起こる)、充血、サラサラした鼻水がでる、連続的なくしゃみ、涙、目やにがでる、頭痛、頭がボーッとするといった症状があります。
アレルギーを抑える目薬や内服薬を使用して、症状をおさえます。また、アレルゲンとなる花粉をよせつけないよう、目の清潔を心がけることが大切です。こまめに洗顔や目の洗浄をしたり、花粉症専用のメガネをかけて花粉をブロックするのもいいでしょう。コンタクトレンズは毎日洗浄、消毒をして、花粉や汚れを落とす必要があります。さらに、じゅうぶんな睡眠や良質な栄養、適度な運動などを心がけ、基礎体力や免疫力の向上を意識するようにしましょう。花粉が飛ぶ前の早いうちから予防策をとることで、症状を軽くおさえられる場合もあります。
霰粒腫

まぶたには、涙や油分を分泌するための複数の腺が存在します。結果として、目の表面はいつも涙で覆われています。涙が乾燥しないように、涙液の表面は油分で覆うわけです。
この油分はまぶたの上下にあるこの「マイボーム腺」から分泌され、涙の蒸発を防ぐだけでなく、眼球がスムーズに動くよう潤滑液としての役割も果たしています。
そして、これらのマイボーム腺の一つが詰まると、腺内に液体が溜まっていきます。これは比較的ゆっくりと成長し、まぶたの内側または外側に見えることがあります。に肉芽腫(しこり)ができるのが霰粒腫です。
つまり、霰粒腫は、まぶたの腺が閉塞し、その結果生じる小さな硬いしこりを指します。
霰粒腫の一般的な症状には、まぶたの腫れ、赤み、痛み、まぶたのしこりの感じなどがあります。
また、霰粒腫が特に大きい場合や位置が不適切な場合、それが視力に影響を及ぼすこともあります。
霰粒腫の治療は、その大きさ、位置、症状によって異なります。小さくて無症状の霰粒腫は、しばしば特別な治療を必要とせず、自然に消失することがあります。
しかし、大きな霰粒腫、または細菌に感染、化膿して症状を引き起こす霰粒腫は、温庵(瞼を温めること)、抗生剤の軟膏や点眼薬、または手術による摘出が必要となることがあります。
高齢の方の場合には、まぶたのゴロゴロやしこりが悪性腫瘍という場合もある上に、どのような治療法が最適かを判断するため、霰粒腫の疑いがある場合は眼科医に相談することが重要です。
麦粒腫(ものもらい)
麦粒腫は、まぶたの油腺が感染した結果、まぶたの縁に小さな腫れやしこりができる状態を指します。通常、麦粒腫は黄色か赤色をしており、しばしば痛みを伴います。麦粒腫は通常、比較的早く成長し、通常は数日でピークに達し、その後自然に治癒します。
麦粒腫は、まぶたの腺が詰まり、その結果バクテリア(通常は黄色ブドウ球菌)が蓄積し、増殖することにより発生します。これが炎症と腫れを引き起こし、麦粒腫が形成されます。
一般に「ものもらい」「めぼう」「めばちこ」と呼ばれ、まぶたの腫れや痛みを伴う急性化膿性の炎症です。
麦粒腫の主な症状には、まぶたの腫れ、赤み、痛み、まぶたの端に見えるしこりなどがあります。また、麦粒腫は涙の過剰な分泌や光過敏を引き起こすこともあります。
麦粒腫の治療は通常、自宅で行われます。
温罨法、つまり、暖かい蒸しタオルをまぶたに当てることで、詰まった腺が開き、腫れが引くのを助けることができます。
しかし、麦粒腫が大きくなったり、症状が悪化したり、または頻繁に再発する場合、医師による評価が必要となることがあります。
この場合、抗生剤の軟膏や点眼薬などの外用による治療を行いますが、腫れや症状がひどい場合は抗生剤や消炎・鎮痛剤を内服します。
場合によっては麻酔薬を点眼し、切開して膿を排出させます。
「たかがものもらい」と侮らず、早めの受診を心がけてください。

一般に「ものもらい」と呼ばれ、まぶたの腫れや痛み、充血を伴う急性化膿性の炎症です。
主に黄色ブドウ球菌などの細菌の感染が原因です。汗腺やまつ毛の毛根などに感染し、赤く腫れて痛みを伴います。
目をこすったり掻いたりしてしまいがちですが、触らないように注意してください。治療は抗生剤の点眼薬だけで治ることもありますが、腫れや症状がひどい場合は抗生剤、消炎剤を内服します。場合によっては麻酔薬を点眼し、針でつついたり切開したりして膿を排出させることもあります。
糖尿病網膜症

血糖値が高くなり、さまざまな合併症を引き起こすのが糖尿病です。
そして、糖尿病の合併症のうち、もっとも深刻なものの一つが「糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)」です。
高血糖の状態が長期間続いたため、網膜の血管が弱くもろくなり、一部にこぶができて出血するのが糖尿病性網膜症です。
糖尿病網膜症は、糖尿病の長期的な合併症の一つで、網膜(眼の後部にある光を感知する組織)の血管に損傷を引き起こします。糖尿病患者が血糖値をうまくコントロールできていない場合、網膜の血管は時間とともに損傷を受け、視力に影響を及ぼしていきます。
糖尿病網膜症は2つの主要なステージに分けることができます。
- 非増殖性糖尿病網膜症(NPDR: Non-Proliferative Diabetic Retinopathy): これは糖尿病網膜症の初期段階で、網膜の微細な血管が弱くなり、拡張したり、漏れたり、閉塞したりします。この結果、網膜の一部が酸素不足になり、視力が低下する可能性があります。
- 増殖性糖尿病網膜症(PDR: Proliferative Diabetic Retinopathy): これは糖尿病網膜症の進行段階で、網膜の新しい血管が異常に成長します(新生血管)。新生血管は非常に脆弱で、破裂や出血を引き起こし、視力の大幅な低下や失明を引き起こす可能性があります。
糖尿病網膜症の症状は、初期段階ではほとんどないことがほとんどです。しかしながら、病状が進行すると、視力のぼやけ、視野の暗点、視覚異常、完全な失明などの症状が現れる可能性があります。
糖尿病網膜症の診断は、眼底検査や蛍光眼底血管造影(FFA)、光干渉断層撮影(OCT)などの特殊な眼科検査によって行われます。
当院では、広範囲の眼底を簡単に撮影できる眼底カメラ(超広角走査レーザー眼底カメラ)や、網膜3次元解析装置(OCT)などの新しい機器がありますので、簡単に検査できます。
治療は病状の進行具合によりますが、以下のような治療法が用いられます:
- レーザー光凝固療法(Photocoagulation): これは非増殖性糖尿病網膜症の治療に用いられます。レーザーは網膜の損傷部分に焦点を当て、漏出する血管を封じることで視力の損失を防ぎます。また、増殖性糖尿病網膜症の場合は、新生血管の成長を抑制するために、広範囲にわたる汎網膜光凝固が行われます。
- 抗VEGF療法: VEGF(血管内皮成長因子)は新生血管の成長を促進します。抗VEGF薬は、網膜内に直接注入され、新生血管の成長を抑制し、既存の異常血管からの漏出を減らします。これは、増殖性糖尿病網膜症や糖尿病性黄斑浮腫(網膜中心部の浮腫)の治療に有効です。
- 硝子体手術(Vitrectomy): これは主に、増殖性糖尿病網膜症で重度の出血や網膜剥離が発生した場合に用いられます。手術では、硝子体(眼の中を満たすゼリー状の物質)と出血した血液、異常な新生血管、増殖膜を除去し、視力を改善します。
最も重要なことは、糖尿病を管理し、血糖値を適切な範囲に保つことで、糖尿病網膜症の発症や進行を遅らせることが可能です。定期的な眼科検診も重要で、病状が進行する前に早期に治療を開始することが視力を保つ鍵となります。
高血糖の状態が長期間続く糖尿病のため、網膜の血管が弱くもろくなり、一部にこぶができて出血する病気です。糖尿病の合併症のうち、もっとも深刻なもののひとつです。網膜の出血が続き、これを放置しておくと失明に繋がります。症状が進むまで自覚症状はなかなかありませんが、視力が低下することで気づくことがあります。
糖尿病で血糖値の高い状態が続くと、体中の血管がもろく、ダメージを受けやすくなります。目の網膜の血管にも影響が出て、つまってこぶができたり、酸欠状態を補うために新しい血管ができたりします。この新生血管は急ごしらえにできた血管なので、もろく、出血しやすいためにこの病気が起こります。
糖尿病の方は適切な血糖コントロールと定期的な検査が欠かせません。適切な治療により進行は抑えられますので、定期的に眼底検査を受けるようにしましょう。進行してしまった場合、レーザーによる手術が行われます。
ドライアイ
ドライアイは、目の乾燥に伴って、痛みや眼精疲労などさまざまな目の不快感を引き起こす病気です。
日本のドライアイ患者は約1000万人と言われています。
ドライアイになると、涙液が正常に働かなくなるため、目の表面をじゅうぶんに保護することができません。
そのため、表面の細胞がはがれて角膜の表面が傷つきやすくなっています。
傷つきやすい状態のため、深刻な目の病気を招いてしまうこともあるので注意が必要です。
ドライアイになる原因はさまざまで、長時間のパソコン作業、エアコン、コンタクトレンズ、ストレス、また膠原病やシェーグレン症候群などの病気から症状がでる場合もあります。
目のかすみ、眼精疲労、急に涙がでるなど、ドライアイの症状が疑われる場合は、早めに眼科医に相談されることをおすすめします。
長時間の読書やパソコン作業時は、休憩を取り入れながら目への負担を軽減するよう心がけましょう。

涙の量や質が変化することで、目の表面をカバーして潤す機能が低下した状態です。
長時間のパソコン作業、エアコン、加齢、コンタクトレンズ、ストレス、また膠原病やシェーグレン症候群などの病気から症状がでる場合もあります。また血圧降下剤や精神安定剤の副作用でドライアイになることもあります。
軽い症状なら点眼薬でおさまりますが、なかなか改善せず、悪化する場合は涙点プラグ挿入という治療を行うこともあります。これは「涙点」という涙の出口に栓をすることで目に涙がたまり、症状が緩和されるという治療です。目の疲れや乾き、異物感を感じたら、早めに受診するようにしましょう。
白内障

白内障とは
白内障とは、眼の水晶体が濁って視力が低下する病状を指します。水晶体は目の中で光を屈折させ、網膜に映像を送る役割を果たしています。
そして、その透明さが失われると、光が適切に通過できず、結果として視力が低下します。
白内障は個人差こそあるものの、加齢とともに誰にでも起こる自然な現象です。
一般に60代になると、多くの方の目に認められる症状ですが、他の要因、例えば眼の外傷、一部の疾患(例えば糖尿病、アトピー性皮膚炎)、特定の薬物(特にステロイド)の使用、または一部の遺伝的疾患(ダウン症など)も白内障のリスクを高めます。
白内障の初期症状には以下のようなものがあります:
- 視力の低下やぼんやりした視覚
- 光の感じ方の変化(例:ハロー現象、眩しさ)
- 色の見え方の変化
- 夜間視力の低下
- 遠くの物体が二重に見える
白内障を診断する検査項目
診断は下記の検査項目により、眼科医による眼の詳細な診察により確定します。
- 屈折検査
- 角膜形状解析検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査
- 眼底検査
- 眼圧検査
- 視野検査
- 光干渉断層計による眼底検査
- 超音波検査
白内障の治療について
白内障を予防するための確立した方法はありませんが、一部の生活習慣、例えば健康的な食事、禁煙、適度なアルコール摂取、日光からの保護(サングラスの使用など)は一般的な眼の健康に対して有益とされています。
初期の段階では進行を遅らせる目薬を点眼することになります。
症状が進行して、日常生活に支障をきたすような場合は、外科手術が必要になります。現在のところ、白内障の唯一の治療法は手術です。これは、濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入する手術で、通常は局所麻酔下で行われます。白内障手術は非常に一般的で、成功率も非常に高いです。手術後、多くの患者は視力が大幅に改善します。しかしながら、手術に適したタイミングがあり、これは早すぎても、遅すぎても難しい部分があります。
白内障の症状が気になりはじめたら、定期的な受診を心がけ、医師の適切な指導を受けるようにしましょう。
緑内障
緑内障は、視神経を傷ついてしまうことで視力を失う可能性がある眼疾患を指します。
視神経は、眼から脳への視覚情報を伝える役割を担っています。緑内障が進行すると視野が狭くなり、最終的には完全な視力喪失、いわゆる失明につながる可能性があります。
最も一般的な病態である開放隅角緑内障(POAG:Primary Open-Angle Glaucoma)では、眼内の液体の排出がうまくいかず、その結果眼圧が上昇します。
高い眼圧は視神経にダメージを与え、視力の低下を引き起こす可能性があります。
ただ、眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず視神経に損傷が見られる場合もあり、これを正常眼圧緑内障(NTG:Normal Tension Glaucoma)と呼んでおります。
正常眼圧緑内障の原因は完全には理解されていませんが、血流障害や神経組織の敏感さなどが関与していると考えられています。
治療は視神経を保護し、可能な限り眼圧を下げることを目的とします。
その他には、閉塞隅角緑内障(PACG:Primary Angle-Closure Glaucoma)があります。これは、前房角が突然または徐々に閉じて房水の排出が妨げられ、眼圧が急激に上昇する状態を指します。これは眼科的には緊急を要する状態で、即時の治療が必要です。強い眼の痛み、頭痛、視力の急激な低下、虹彩の周りのハローなどの症状を引き起こすことが多く、適切に治療を受けないと、短期間で悲惨な結果を招く恐れがあります。
さらには、続発緑内障(Secondary Glaucoma)があります。これは、他の眼疾患や全身疾患、または外傷・手術によって引き起こされる緑内障です。
続発緑内障は、開放隅角型や閉塞隅角型のいずれかの形態を取ることがあります。原因となる疾患には、糖尿病、炎症性眼疾患(虹彩炎など)、眼の損傷、ステロイド点眼薬の長期使用、血管新生などがあります。
続発緑内障の治療は、原因となる病気や状態を対処した上で、そのほかのタイプの緑内障と同様に眼圧を下げることに焦点を当てます。
緑内障はしばしば「盲目の忍び寄る泥棒」と呼ばれます。これは、閉塞隅角緑内障以外の開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障などのタイプの緑内障の症状が長い間現れず、視力の損失が進行してから初めて気づくことが多いからです。一般的な症状には、視野の狭窄(特に周辺視野)、視力の低下、視覚のぼやけ、頭痛などがあります。
緑内障のリスク要因には、高齢、家族歴、高眼圧、一部の医学的状態(例えば糖尿病、白内障など)、高度な近視などがあります。
緑内障の診断は眼科での検査を通じて確定します。これには、視力のテスト、眼圧の測定、視野の検査、網膜三次元解析(OCT)などによる視神経の検査などが含まれます。
現在、緑内障に対する治療は、視神経への損傷を防ぎ視力を保つことを目的としています。これは通常、眼圧を下げる薬物(点眼薬や経口薬)、レーザー治療、または手術を用いて行われます。しかし、既に失われた視力を回復することはできません。さらに、緑内障は、40歳以上では20人に1人の割合であり、中高年の方に非常に多く見られる病気です。それ故、定期的な眼科検診は緑内障の早期発見と治療にとって非常に重要です。

飛蚊症

視界にゴミや糸くず、虫のようなものがちらつき、目を閉じたりこすったりしても消えない。
こんな目の症状を「飛蚊症」といいます。
明るい空や白い壁を見ると、糸くず状のものが視界にちらつくため、うっとうしく気になる症状です。
加齢により症状がでる場合もありますが、20代でも自覚症状がある人もいます。
飛蚊症の原因はいくつかあり、眼球内の硝子体にできた濁りが網膜に写ったもの、加齢のためにはがれた硝子体が黒い点のように見えるもの、網膜剥離、網膜穿孔によるものなどがあります。
濁りや加齢が原因の場合は生理的飛蚊症といい、特に心配はいりません。
ただし、黒い点が急に増えたり、急激な視力の低下、視野が欠けるなどの症状が出た場合は網膜剥離などの病気の疑いがありますので、早めの受診が必要です。
当院では、広範囲の眼底を簡単に撮影できる眼底カメラ(超広角走査レーザー眼底カメラ)や、網膜3次元解析装置(OCT)などの新しい機器がありますので、簡単に検査できます。
視界にゴミや糸くず、虫のようなものがちらつき、目を閉じたりこすったりしても消えない症状です。明るい空や白い壁を見ると、糸くず状のものが視界にちらつくため、うっとうしく気になります。加齢により症状がでる場合もありますが、20代でも自覚症状がある人もいます。
飛蚊症の原因はいくつかあり、眼球内の硝子体にできた濁りが網膜に写ったもの、加齢のためにはがれた硝子体が黒い点のように見えるもの、網膜剥離、網膜穿孔によるものなどがあります。
濁りや加齢が原因の場合は生理的飛蚊症といい、特に心配はいりません。ただし、黒い点が急に増えたり、急激な視力の低下、視野が欠けるなどの症状が出た場合は網膜剥離などの病気の疑いがありますので、早めの受診が必要です。
眼精疲労・VDT 症候群
長時間の読書、パソコン作業やゲーム、テレビなどは目を酷使させ、目の疲れや痛みなどを招きます。
また、目に合っていないめがねやコンタクトレンズの使用、ドライアイ、近視、乱視、老眼など、無理にピントを合わせようとすることで、目には多大な負担がかかります。
十分な睡眠をとっても、改善されないような頑固な目の疲れや頭痛、吐き気などの症状を「眼精疲労」といいます。
眼精疲労のうちでも、パソコンやゲームなどの画面を長時間眺めることで起こるものをVDT(Visual Display Terminal)症候群、テクノストレス眼症眼精と呼び、現代人の眼精疲労の特徴のひとつです。
疲労は習慣や環境を変えない限り、自然に治るものではありません。
一定時間が経過したら意識して休憩をとり、目を温めたりマッサージをするなど、大切な目をいたわるよう心がけましょう。
また、作業に適しためがねや環境を整えることも有効です。背後に他の病気が潜んでいる可能性もあるので、ただの目の疲れと侮らず、眼科医に相談することをおすすめします。

網膜剥離

網膜剥離は、加齢や外傷により眼球の内側にある網膜が剥がれて、どんどん視力が低下してく病気です。
目の中に入ってきた光は角膜と水晶体でピントを調節し、網膜に像として写ります。
この像が視神経を通して脳に伝達され、「見える」という認識に至ります。
40歳を過ぎると、加齢とともに眼球の組織が変化して硝子体が縮み、その際に網膜の一部が引きずられ、網膜に裂け目ができることがあります。
これが網膜剥離です。
加齢以外にも糖尿病網膜症などの病気や、事故やボクシングなど頭部や目に強い衝撃を受けることで起きることもあります。
放置すると次第に視力が低下し、失明に繋がりかねないため、迅速かつ適切な治療が大切です。
眼瞼下垂
まぶたが下がってものが見えにくくなる症状を眼瞼下垂(がんけんかすい)といいます。
症状が進むと偏頭痛や肩こり、眼精疲労などに繋がることもあります。
眼瞼下垂は大きく分けて先天性と後天性の2種類があります。
先天性眼瞼下垂は、眼球運動障害など眼瞼下垂以外の異常を伴わない単純眼瞼下垂が90%以上を占めています。
片眼性が多く、遺伝することもあります。
後天性眼瞼下垂は、動眼神経麻痺、重症筋無力症など加齢による眼瞼挙筋の筋力の低下によるものが多く、近年の高齢化社会に伴い、老人性眼瞼下垂の頻度が急増しています。
いわゆる「年をとって眼が細くなる、開きにくくなる」というもののひとつです。

眼瞼下垂の疑いがあります。眼科医に相談してみましょう。
眼瞼下垂とは、まぶたが垂れ下がってしまうことで視界がさえぎられ、ものが見えにくくなる疾病です。垂れ下がったまぶたのために見えづらいだけでなく、偏頭痛や肩こり、目の疲れなど様々な症状を引き起こす原因にもなります。
後天性の場合、主に加齢やコンタクトレンズの長期使用で筋肉や皮膚が弛緩し、まぶたが垂れ下がることが多いとされています。
先天性、後天性、習慣や癖など、原因によって治療法が異なります。重症の場合は視力に影響することもあるので、早めの受診が大切です。症状の程度により手術が必要になります。
眼瞼下垂についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。