乱視の症状と原因
乱視とは、目の角膜や水晶体が不規則な形状をしているために、光が不均一に屈折し、あらゆる距離で視界がぼやけたり歪んだりする、一般的な視力における屈折異常のことです。眼球において、最前面にある透明なドーム状の形をしている角膜や、角膜の更に奥にある水晶体レンズは、サッカーボール用のような完全な球形ではなくて、楕円形、言うなれば、アーモンド、ラグビーボールのような歪みを持った形状をしております(1)。
この状態は、生まれつきである場合もあれば、目の成長や傷のために時間の経過とともに発症、進行する場合もあります。
乱視のある人は、眼精疲労、頭痛、夜間の見えにくさなどの症状が出ることがあります。そして、乱視は、近視や遠視など、他の視力疾患と併発することがよくあります(2)。
無理にピントを合わせようとするために目に負担がかかり、眼精疲労や頭痛、肩こりなどに悩まされがちです。
文字が見えにくいため、集中力が低下することもあり、仕事や勉強にも影響がでることがあります。
また、周囲が暗いと見えにくい、電光掲示版の文字が読みづらいといった症状もあり、ひどくなると生活に支障をきたす場合もあります。
乱視の診断と矯正治療
乱視は、視力検査や角膜の曲率測定を含む眼科検査によって診断することができます。診断された場合には、さまざまな矯正方法があります。眼鏡やコンタクトレンズは、通常、矯正の第一選択となります。人によっては、角膜の不規則な湾曲のために通常のコンタクトレンズの装用が難しいため、トーリックレンズと呼ばれる特別なデザインのレンズが必要になることもあります(3)。
乱視に対する矯正方法の比較表は、矯正方法を選択する上で役に立ちます:
利便性 | 費用(コスト) | ||
---|---|---|---|
眼鏡(めがね) | 毎日の着用が必要 | 低額から中程度の負担 | 非常に効果的 |
コンタクトレンズ | 毎日の着用または長時間の着用 | 中程度の負担から高額 | 非常に効果的 |
LASIK手術(レーシック手術) | 1回限りの手術 | 通常、一回で済むが、高額 | 限定的 |
ICL手術 | 1回限りの手術 | 通常、一回で済むが、非常に高額 | 場合によっては効果的 |
乱視の矯正には、メガネやコンタクトレンズのほかに、レーシックやICLなどの屈折矯正手術も選択肢のひとつです。レーシックはレーザーで角膜を削り、ICLはレンズを眼球に埋め込む手術です。これらの手術の費用は高額ですが、メガネやコンタクトが不要になる可能性があるため、多くの患者さんがその価値を認めています(4)。
乱視の予防
乱視を完全に予防することはできませんが、目の健康を維持することは有効です。目の健康のためのヒントには、以下のようなものがあります:
- 定期的な眼科検診: 定期的な眼科検診は、乱視を早期に発見するのに役立ちます。
- 健康的なライフスタイル: 良い栄養と定期的な運動は、目の健康をサポートします。
- 目の保護: 目を痛める可能性のある活動では、保護メガネを着用する。
海外の研究では、乱視は世界中で一般的ですが、遺伝的または環境的な要因によって、特定の集団でより多く見られる可能性があることが示唆されています(5)。乱視に対する理解が深まるにつれ、乱視を矯正・管理するための方法も進歩しています。
「ものが見にくい」「ものが二重に見える」などの症状が気になったら、早めに眼科医に相談しましょう。
参考文献:
1)American Optometric Association. (2021). Astigmatism.
2)Mayo Clinic. (2020). Astigmatism.
3)Harvard Health Publishing. (2019). Astigmatism and its correction.
4)American Academy of Ophthalmology. (2021). LASIK – Laser Eye Surgery.5)Read, S.A., et al. (2020). The Prevalence of Astigmatism and its Determinants in a Rural Population of India: The Central India Eye and Medical Study.
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