基本の話

先天性眼瞼下垂とは

※2021.3.9 記事内容を修正・更新いたしました。

先天性眼瞼下垂って?

「先天性眼瞼下垂(せんてんせいがんけんかすい)」とは、 生まれた直後から、上まぶたが下がって開きにくくなっている状態を言います。

眼瞼下垂症の分類


その多くは、まぶたを引っ張り上げている「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」という筋肉の発育不全によるもので9割を占めるともいわれ、「単純性下垂」と呼ばれています。生まれつきまぶたを上げる筋肉が働かないことや、力が弱いために眼瞼下垂になってしまいます。

この筋肉は、自分の意思で動かすことのできる随意筋で、骨格を動かす骨格筋でもあります。また、表情筋ではなく眼球の周りにつく外眼筋に含まれます。

このほか、眼筋と呼ばれる筋群の大部分を支配し、眼球の運動に関わる「動眼神経(どうがんしんけい)」が麻痺した「先天性動眼神経麻痺(せんてんせいどうがんしんけいまひ)」、あくびや水を飲むなど、口を開くと共に上まぶたが上がる「マーカスガン現象」などの神経の異常があります。

また、全身の疲労感が伴う「重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)」、左と右の目の間隔が特に離れたように見える「眼瞼裂狭小症候群(がんけんれつきょうしょうしょうこうぐん)」などによっても生じます。

 

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先天性眼瞼下垂症の症状と治療について

 先天性眼瞼下垂の症状は、どちらか片側の目の方に出る「片眼性(へんがんせい)」をとることが多いようで、約8割を占めるという数字もありますが、両側に症状が現れる「両眼性(りょうがんせい)」の可能性もあります。

視力に障害を及ぼすケースは多くはないものの、「斜視(しゃし)」や「弱視(じゃくし)」を伴うこともあります。斜視は、片方の目が正しい方向を向いているのに、もう片方の目がズレて向いている状態。

弱視は、視覚情報が伝わる経路上に支障があることで視力が弱まった状態を指します。眼鏡やコンタクトレンズを使っても視力が十分に出ない場合に弱視と判断されます。

通常は、弱視の程度はそれほど重くはないのですが、眼瞼下垂の症状が重くなればなるほど、弱視になる可能性が高まるといわれます。

治療は、瞳孔が完全に隠れてしまっている場合は早めの治療が必要になりますが、一部のまぶたの被りに過ぎず、赤ちゃんが見ようとしているのであれば、あわてて手術をせず視力を観察しながら成長を見守り、3歳を過ぎてから行うのが一般的です。

審美的な観点からも、ある程度、体の成長が安定する時期まで待ってから、手術する方が望ましいとも言えます。

いずれにしても先天性眼瞼下垂は、視力とも関わりますので眼科受診を継続することが大切。

先天性眼瞼下垂症の発症には、さまざまな原因や症状が考えられるため、医師と相談しながら慎重にすすめてください。

子供の視力の発達と先天性眼瞼下垂

先天性眼瞼下垂、先天性白内障などの何かの理由で物が見にくい状態におかれてしまい、脳、つまり視覚伝導路に刺激が与えられないと、赤ちゃんの視力の発達はとまってしまい、目がよくみえなくなってしまいます。
目はデジタルカメラと同じで網膜で像を電気信号に変換するだけで、眼球だけでは物は見えません。その像の情報が視覚伝導路によって大脳に伝えられて、はじめて見ることができるのです。実は、視覚伝導路は生まれた時は、全くの未完成で、生まれてから、常時、物を見ることで視覚伝導路に刺激を与えることで発達します。
誕生直後から物を見つめる反応があるのですが、おおよそ2か月で、両眼で物を見つめられるようになり、おおよそ3か月くらいで動く物を目で追うようになります。 そして、半分以上の子どもが、3歳で1.0見えるようになり、6歳になると大部分の子どもが大人と変わらない視力をもつようになります。
逆に、子どもの目の機能は6歳くらいまでにほぼ完成してしまうわけで、それ以後では弱視治療の効果は上がりません。
したがって、瞳が完全に被ってしまうような先天性眼瞼下垂の場合には、時期を逸してしまい廃用性弱視となるのを防ぐためにも、早期の手術が求められるわけです。
審美的な観点から言うと、子供の眼瞼下垂症手術は非常に難しいため、事細かなデザインへの配慮が難しいため、大人になって再び手術を行わなければならないことが多いと言えます。再手術を行う際には、瘢痕組織などの問題もあったり、また、当時の手術記録もないため、困難をようすることが多いと言えるので、廃用性弱視の心配がない先天性眼瞼下垂の手術時期は、出来るだけ先延ばしをする方が良いと考えます。

執筆した医師

高田眼科 院長 |ひとみ眼科 眼瞼手術担当医師
高田 尚忠(たかだ なおただ)
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕 先生を師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、年間1000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。

執筆した医師
高田 尚忠

高田眼科 院長
ひとみ眼科 眼瞼手術顧問
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