子どものまばたきが多いのはチック?|まばたきチックの特徴・目の病気との見分け方を眼科医が解説

「子どものまばたきが急に増えた」「ぎゅっと目をつぶる癖がある」「目を細めているように見える」。こうした子どもの目の動きの原因として多いのが、まばたきの「チック」です。ただし、まばたきが増える原因はチックだけではありません。このページでは、まばたきチックの特徴、ほかの原因との見分け方、経過、受診の目安を、眼科医の立場から解説します。
執筆:髙田 尚忠(高田眼科 院長/眼科医・眼形成外科・ボツリヌス療法認定医) 最終更新:2026年10月
チック(チック症)とは
チックは、本人の意思と関係なく、体の一部が素早く動いたり、声が出たりすることが、くり返し起こる状態です。多くは子どものころに始まります。
咳払い、鼻をすする、短い声が出る、など。
続いている期間などによって、1年未満で治まる「暫定的チック症」、1年以上続く「持続性(慢性)チック症」、体のチックと声のチックの両方が1年以上続く「トゥレット症」に分けられます。子どもに最も多いのは、一時的なチックです1。
原因は、以前いわれていたような親子関係や育て方ではなく、脳の働きの特徴によるものと考えられています。

お母さん、お父さん、ご自分を責めないでください
チックのお子さんのご家族、特にお母さんが「自分の育て方のせいでは」とご自分を責めていることがあります。チックは、育て方が原因で起こるものではありません。
また、チックは外から見ると病気とわかりにくく、「わざとやっている」と誤解されがちです。叱ったり、無理にやめさせようとしたりせず、まずは目の病気が隠れていないかを確かめましょう。
子どものまばたきが多い原因は、チックだけではない
子どものまばたきが増えたとき、チックと決めつける前に、目の病気がないかを確かめることが大切です。米国の眼科で、まばたきの多さを主な訴えとして受診した子ども99人を調べた研究では、原因は次のとおりでした3。
米国の眼科での、16歳未満の99人の前向きの研究3。「目の表面・まぶた」は、目の表面(結膜・角膜など)やまぶたの異常をまとめたものです。
多くは目の診察でわかる、心配の少ない原因でした。見え方に関わる病気は6%で、いずれも通常の眼科の検査で見つかりました3。
見えにくさを補おうとして、目を細めたり、まばたきが増えたりします。
チックと目の病気は、一緒にあることが多い
この研究では、チックと診断された人の26.7%が、最初はほかの病気(主にアレルギー性結膜炎)と診断されていたり、チックが見逃されていたりしました。また、96.7%の人には、目以外のチック(首振りや咳払いなど)もみられました2。
つまり、「目の病気か、チックか」のどちらか一方ではなく、両方を確かめることが大切です。目の病気の不快感がきっかけでまばたきが増え、それがチックとして続いているように見えることもあります。
まばたきチックかもしれない、と考えるポイント
- 目の診察で、まばたきが増える原因になる病気が見つからない
- まばたきのほかに、首を振る、顔をしかめる、咳払いをするなどのくせがある2
- 緊張したとき、疲れたとき、リラックスしてテレビを見ているときなどに目立つ
- 症状の強さが、日によって、また時期によって波がある
受診の際は、ご家庭でまばたきが多いときの様子をスマートフォンの動画で撮っておくと、診察のとても大切な手がかりになります。診察室では、緊張してチックが出にくいことがあるためです。
チックで「まぶたが下がって見える」ことも(偽眼瞼下垂)
目を細めたり、ぎゅっとつぶったりするチックがあると、まぶたが下がっているように見えることがあります。このように、まぶたを上げる筋肉には問題がないのに、まぶたが下がって見える状態を「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」と呼びます。
チックによる見かけのまぶたの下がりは、眼瞼下垂の手術では治りません。本当の眼瞼下垂かどうかは、まぶたの高さ(瞳孔の中心からまぶたの縁までの距離)や、まぶたを上げる力を測って確かめます。まぶたが下がって見える原因の全体像は、偽眼瞼下垂とはにまとめています。
チックは治る?成長とともにどうなるか
子どものチックの多くは、一時的なもので、自然に治まります1。トゥレット症のような続くタイプでも、成長とともに軽くなることが多いと報告されています。
- 平均5〜6歳ごろに始まる
米国イェール大学の研究では、トゥレット症のチックが始まった年齢は平均5.6歳でした4。 - 10歳前後で最も強くなる
チックが最も強かった時期は、平均10歳でした4。 - その後は軽くなっていく
ほとんどの子どもで、その後チックはしだいに軽くなり、18歳までに約半数はチックがほとんどなくなっていました4。
実際に、トゥレット症の割合は、子ども(0.77%)に比べて大人(0.05%)ではずっと少なくなっています1。
まばたきチックへの対応と治療
チックは、注意されて止められるものではありません。指摘されることで緊張が高まり、かえって目立つこともあります。
チックが長く続く、学校生活に支障があるといった場合は、小児科や児童精神科などの専門医に相談します。
米国の臨床試験では、チックの前ぶれに気づき、別の動きで置き換える練習をする行動療法で、52.5%の子どもが「とてもよくなった・よくなった」と評価されました(比較の治療では18.5%)5。
大人のまばたきの多さは、眼瞼けいれんのことも
大人になってから、まばたきが増えた、目が勝手に閉じるようになった場合は、チックよりも「眼瞼けいれん」を考えます。眼瞼けいれんとチックは見分けがむずかしく、国際的な診断基準の研究でも、チックの方が眼瞼けいれんと判断されてしまうことが多くありました6。
また、子どものころのまばたきのチックから、大人になって眼瞼けいれんに進んだ家族の報告もあり、両者には共通する仕組みがある可能性も指摘されています7。大人のまばたきや目の閉じにくさは、眼瞼けいれんとはをご覧ください。まぶたの一部がピクピクするだけの場合は、眼瞼ミオキミアのことが多いです。
まばたきチックのよくある質問
子どものまばたきが多いのは、ストレスのせいですか?
緊張や疲れで目立つことはありますが、ストレスだけが原因ではありません。まばたきが多い子どもの原因は、目の病気や近視・遠視・乱視の方が多いという報告もあります3。まずは眼科で目の状態を確かめましょう。
注意してやめさせた方がよいですか?
叱ったり、無理にやめさせたりする必要はありません。チックは、本人の意思で止められるものではありません。
目薬で治りますか?
チックそのものは目薬では治りません。ただし、アレルギー性結膜炎やドライアイが一緒にあることが多く2、その治療でまばたきが落ち着くことがあります。
何科を受診すればよいですか?
まずは眼科で、目の病気がないかを確かめることをおすすめします。目以外のチックが多い、長く続く、生活に支障がある場合は、小児科や児童精神科にもご相談ください。
お子さんのまばたきが気になる方へ
高田眼科では小児眼科も行っています。まばたきが増える原因になる目の病気がないかを確かめ、必要に応じて小児科などと連携します。
参考文献
PubMedに収載された論文をもとに作成しています。文献6は全文、それ以外は抄録を確認しています。
- Knight T, Steeves T, Day L, et al. Prevalence of tic disorders: a systematic review and meta-analysis. Pediatr Neurol. 2012;47(2):77-90. doi:10.1016/j.pediatrneurol.2012.05.002
- Tang N, Wang Y, Jiang X, et al. Clinical characteristics of tic disorders in children and adolescents with the chief complaint of abnormal blinking. Front Psychiatry. 2025;16:1553358. doi:10.3389/fpsyt.2025.1553358
- Coats DK, Paysse EA, Kim DS. Excessive blinking in childhood: a prospective evaluation of 99 children. Ophthalmology. 2001;108(9):1556-1561. doi:10.1016/s0161-6420(01)00644-3
- Leckman JF, Zhang H, Vitale A, et al. Course of tic severity in Tourette syndrome: the first two decades. Pediatrics. 1998;102(1 Pt 1):14-19. doi:10.1542/peds.102.1.14
- Piacentini J, Woods DW, Scahill L, et al. Behavior therapy for children with Tourette disorder: a randomized controlled trial. JAMA. 2010;303(19):1929-1937. doi:10.1001/jama.2010.607
- Defazio G, Jinnah HA, Berardelli A, et al. Diagnostic criteria for blepharospasm: a multicenter international study. Parkinsonism Relat Disord. 2021;91:109-114. doi:10.1016/j.parkreldis.2021.09.004
- Elston JS, Granje FC, Lees AJ. The relationship between eye-winking tics, frequent eye-blinking and blepharospasm. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1989;52(4):477-480. doi:10.1136/jnnp.52.4.477





