子どものまばたきが多いのはチック?|まばたきチックの特徴・目の病気との見分け方を眼科医が解説

髙田 尚忠

「子どものまばたきが急に増えた」「ぎゅっと目をつぶる癖がある」「目を細めているように見える」。こうした子どもの目の動きの原因として多いのが、まばたきの「チック」です。ただし、まばたきが増える原因はチックだけではありません。このページでは、まばたきチックの特徴、ほかの原因との見分け方、経過、受診の目安を、眼科医の立場から解説します。

  • 子どものチックは珍しくない:一時的なチックは、子どもの約3%にみられます1。まばたきは、最もよくみられるチックの一つです2。
  • まずは目の病気がないかを確かめる:まばたきが多い子ども99人の研究では、チックは23%で、目の表面やまぶたの病気(37%)、近視・遠視・乱視(14%)、斜視(11%)など、目の原因の方が多くみられました3。
  • 多くは成長とともに軽くなる:チックは10歳前後で最も強くなり、その後は軽くなることが多いと報告されています4。親の育て方が原因ではありません。

執筆:髙田 尚忠(高田眼科 院長/眼科医・眼形成外科・ボツリヌス療法認定医) 最終更新:2026年10月

チック(チック症)とは

チックは、本人の意思と関係なく、体の一部が素早く動いたり、声が出たりすることが、くり返し起こる状態です。多くは子どものころに始まります。

運動チック体が動くチック

まばたき、目をぎゅっとつぶる、顔をしかめる、首を振る、肩をすくめる、など。目のチックでは、まばたきが多い・強いまばたきが最もよくみられます2。

音声チック声や音が出るチック

咳払い、鼻をすする、短い声が出る、など。

続いている期間などによって、1年未満で治まる「暫定的チック症」、1年以上続く「持続性(慢性)チック症」、体のチックと声のチックの両方が1年以上続く「トゥレット症」に分けられます。子どもに最も多いのは、一時的なチックです1。

約3%一時的なチックがみられる子どもの割合(13の研究のまとめ)1
0.77%子どものトゥレット症の割合。男の子に多くみられます1

原因は、以前いわれていたような親子関係や育て方ではなく、脳の働きの特徴によるものと考えられています。

髙田尚忠医師
髙田尚忠医師

お母さん、お父さん、ご自分を責めないでください

チックのお子さんのご家族、特にお母さんが「自分の育て方のせいでは」とご自分を責めていることがあります。チックは、育て方が原因で起こるものではありません。

また、チックは外から見ると病気とわかりにくく、「わざとやっている」と誤解されがちです。叱ったり、無理にやめさせようとしたりせず、まずは目の病気が隠れていないかを確かめましょう。

子どものまばたきが多い原因は、チックだけではない

子どものまばたきが増えたとき、チックと決めつける前に、目の病気がないかを確かめることが大切です。米国の眼科で、まばたきの多さを主な訴えとして受診した子ども99人を調べた研究では、原因は次のとおりでした3。

まばたきが多くて受診した子どもの原因
目の表面・まぶた37%
くせ・チック23%
近視・遠視・乱視14%
間欠性外斜視11%
心因性10%

米国の眼科での、16歳未満の99人の前向きの研究3。「目の表面・まぶた」は、目の表面(結膜・角膜など)やまぶたの異常をまとめたものです。

多くは目の診察でわかる、心配の少ない原因でした。見え方に関わる病気は6%で、いずれも通常の眼科の検査で見つかりました3。

アレルギーアレルギー性結膜炎

かゆみや違和感でまばたきが増えます。チックと間違われやすい代表的な病気です2。

まつげさかさまつげ

まつげが目に当たる刺激で、まばたきや目をこする回数が増えます。→逆さまつげの治療

見え方近視・遠視・乱視

見えにくさを補おうとして、目を細めたり、まばたきが増えたりします。

斜視間欠性外斜視

明るい場所で片目をつぶる、まばたきが増えるといった形で気づかれることがあります。→まぶしいと片目をつぶる子ども(間欠性外斜視)

チックと目の病気は、一緒にあることが多い

43% まばたきの異常で受診した子ども・若者のうち、チックと診断された人の割合 中国の眼科病院での1,054人の研究。チックの人の74%に、アレルギー性結膜炎やドライアイなどの目の病気も一緒にみられました2

この研究では、チックと診断された人の26.7%が、最初はほかの病気(主にアレルギー性結膜炎)と診断されていたり、チックが見逃されていたりしました。また、96.7%の人には、目以外のチック(首振りや咳払いなど)もみられました2。

つまり、「目の病気か、チックか」のどちらか一方ではなく、両方を確かめることが大切です。目の病気の不快感がきっかけでまばたきが増え、それがチックとして続いているように見えることもあります。

まばたきチックかもしれない、と考えるポイント

  • 目の診察で、まばたきが増える原因になる病気が見つからない
  • まばたきのほかに、首を振る、顔をしかめる、咳払いをするなどのくせがある2
  • 緊張したとき、疲れたとき、リラックスしてテレビを見ているときなどに目立つ
  • 症状の強さが、日によって、また時期によって波がある

受診の際は、ご家庭でまばたきが多いときの様子をスマートフォンの動画で撮っておくと、診察のとても大切な手がかりになります。診察室では、緊張してチックが出にくいことがあるためです。

チックで「まぶたが下がって見える」ことも(偽眼瞼下垂)

目を細めたり、ぎゅっとつぶったりするチックがあると、まぶたが下がっているように見えることがあります。このように、まぶたを上げる筋肉には問題がないのに、まぶたが下がって見える状態を「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」と呼びます。

チックによる見かけのまぶたの下がりは、眼瞼下垂の手術では治りません。本当の眼瞼下垂かどうかは、まぶたの高さ(瞳孔の中心からまぶたの縁までの距離)や、まぶたを上げる力を測って確かめます。まぶたが下がって見える原因の全体像は、偽眼瞼下垂とはにまとめています。

チックは治る?成長とともにどうなるか

子どものチックの多くは、一時的なもので、自然に治まります1。トゥレット症のような続くタイプでも、成長とともに軽くなることが多いと報告されています。

  1. 平均5〜6歳ごろに始まる
    米国イェール大学の研究では、トゥレット症のチックが始まった年齢は平均5.6歳でした4。
  2. 10歳前後で最も強くなる
    チックが最も強かった時期は、平均10歳でした4。
  3. その後は軽くなっていく
    ほとんどの子どもで、その後チックはしだいに軽くなり、18歳までに約半数はチックがほとんどなくなっていました4。

実際に、トゥレット症の割合は、子ども(0.77%)に比べて大人(0.05%)ではずっと少なくなっています1。

まばたきチックへの対応と治療

まず眼科で目の病気を確かめ、治療する

アレルギー性結膜炎、ドライアイ、さかさまつげ、近視・遠視・乱視などがあれば、その治療を行います。目の不快感が減ると、まばたきが落ち着くことがあります3,2。

家庭で叱らず、注目しすぎない

チックは、注意されて止められるものではありません。指摘されることで緊張が高まり、かえって目立つこともあります。

生活に支障小児科・児童精神科での治療

チックが長く続く、学校生活に支障があるといった場合は、小児科や児童精神科などの専門医に相談します。

行動療法チックのための行動療法

米国の臨床試験では、チックの前ぶれに気づき、別の動きで置き換える練習をする行動療法で、52.5%の子どもが「とてもよくなった・よくなった」と評価されました(比較の治療では18.5%)5。

大人のまばたきの多さは、眼瞼けいれんのことも

大人になってから、まばたきが増えた、目が勝手に閉じるようになった場合は、チックよりも「眼瞼けいれん」を考えます。眼瞼けいれんとチックは見分けがむずかしく、国際的な診断基準の研究でも、チックの方が眼瞼けいれんと判断されてしまうことが多くありました6。

また、子どものころのまばたきのチックから、大人になって眼瞼けいれんに進んだ家族の報告もあり、両者には共通する仕組みがある可能性も指摘されています7。大人のまばたきや目の閉じにくさは、眼瞼けいれんとはをご覧ください。まぶたの一部がピクピクするだけの場合は、眼瞼ミオキミアのことが多いです。

まばたきチックのよくある質問

子どものまばたきが多いのは、ストレスのせいですか?

緊張や疲れで目立つことはありますが、ストレスだけが原因ではありません。まばたきが多い子どもの原因は、目の病気や近視・遠視・乱視の方が多いという報告もあります3。まずは眼科で目の状態を確かめましょう。

注意してやめさせた方がよいですか?

叱ったり、無理にやめさせたりする必要はありません。チックは、本人の意思で止められるものではありません。

まばたきチックは自然に治りますか?

多くは一時的で、自然に治まります。長く続くタイプでも、10歳前後をピークに軽くなることが多いと報告されています1,4。

目薬で治りますか?

チックそのものは目薬では治りません。ただし、アレルギー性結膜炎やドライアイが一緒にあることが多く2、その治療でまばたきが落ち着くことがあります。

何科を受診すればよいですか?

まずは眼科で、目の病気がないかを確かめることをおすすめします。目以外のチックが多い、長く続く、生活に支障がある場合は、小児科や児童精神科にもご相談ください。

大人でもまばたきチックになりますか?

大人のチックは子どもより少なくなります。大人になってからまばたきが増えた場合は、眼瞼けいれんやドライアイなどがないかを確かめます1,6。

お子さんのまばたきが気になる方へ

高田眼科では小児眼科も行っています。まばたきが増える原因になる目の病気がないかを確かめ、必要に応じて小児科などと連携します。

高田眼科(浜松)〒435-0052 静岡県浜松市中央区天王町字諏訪1981-3
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052-201-9222
執筆:髙田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長。岡山大学医学部卒業。ボツリヌス療法認定医。日本眼科学会・日本形成外科学会・日本眼形成再建外科学会 会員。眼科医・眼形成外科医として眼瞼下垂手術を専門とし、関連クリニックを含め年間2,000件以上の眼瞼手術に携わっています。高田眼科では、子どもから高齢の方まで、地域の眼科として診療しています。

参考文献

PubMedに収載された論文をもとに作成しています。文献6は全文、それ以外は抄録を確認しています。

  1. Knight T, Steeves T, Day L, et al. Prevalence of tic disorders: a systematic review and meta-analysis. Pediatr Neurol. 2012;47(2):77-90. doi:10.1016/j.pediatrneurol.2012.05.002
  2. Tang N, Wang Y, Jiang X, et al. Clinical characteristics of tic disorders in children and adolescents with the chief complaint of abnormal blinking. Front Psychiatry. 2025;16:1553358. doi:10.3389/fpsyt.2025.1553358
  3. Coats DK, Paysse EA, Kim DS. Excessive blinking in childhood: a prospective evaluation of 99 children. Ophthalmology. 2001;108(9):1556-1561. doi:10.1016/s0161-6420(01)00644-3
  4. Leckman JF, Zhang H, Vitale A, et al. Course of tic severity in Tourette syndrome: the first two decades. Pediatrics. 1998;102(1 Pt 1):14-19. doi:10.1542/peds.102.1.14
  5. Piacentini J, Woods DW, Scahill L, et al. Behavior therapy for children with Tourette disorder: a randomized controlled trial. JAMA. 2010;303(19):1929-1937. doi:10.1001/jama.2010.607
  6. Defazio G, Jinnah HA, Berardelli A, et al. Diagnostic criteria for blepharospasm: a multicenter international study. Parkinsonism Relat Disord. 2021;91:109-114. doi:10.1016/j.parkreldis.2021.09.004
  7. Elston JS, Granje FC, Lees AJ. The relationship between eye-winking tics, frequent eye-blinking and blepharospasm. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1989;52(4):477-480. doi:10.1136/jnnp.52.4.477
このブログの執筆者
髙田尚忠
髙田尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
岡山大学医学部卒業後、郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、現在は高田眼科の院長を務めつつ、関連クリニックの名古屋のフラミンゴ眼瞼・美容クリニック、銀座のJ clinic、亀戸のあさ美皮フ科においても、眼瞼下垂手術を中心に年間2,000件以上の眼瞼手術に携わっています 「見え方(視機能)」と「日常の快適さ」を回復することを第一に、診察では原因(加齢・コンタクト・体質・既往手術など)を丁寧に整理し、必要な治療を分かりやすく説明すること心がけています。 このブログでは、眼瞼下垂の症状、治療選択、術後経過で不安になりやすいポイントなどを、専門医の立場からできるだけ具体的に発信しています。
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