まぶたが下がる原因|危険なサインと受診の目安

まぶたが下がる原因は、大きく3つに分けられます。皮膚がたるんで被さっている場合、まぶたを上げる仕組みがゆるんだ「眼瞼下垂」の場合、そして神経や筋肉の病気が隠れている場合です。
眼瞼下垂は、決して珍しい病気ではありません。 多くは年齢とともにゆっくり進み、 まぶたを上げる腱膜がゆるむタイプが最も多くみられます[1][4]。
年齢とともに少しずつまぶたが下がってくる方は少なくありません[1]。
大人では、まぶたを上げる腱膜のゆるみや外れが原因となるタイプが中心です[4]。
神経や筋肉の病気が原因となることもあるため、 症状の出方によっては詳しい検査が必要です[4]。
ゆっくり進む眼瞼下垂が多い一方で、 急にまぶたが下がった場合には注意が必要です。 まずは危険なサインがないか確認してください。
急に下がった場合は、その日のうちに受診が必要なことがあります。
まず次の章を確認してください。
(監修者表記:髙田尚忠/高田眼科 院長・眼瞼下垂症を専門とする眼科医)
すぐに受診が必要なサイン
まぶたが急に下がった場合は注意してください
まぶたが急に下がり、次の症状のいずれかを伴う場合は、 救急外来を受診してください[2][3]。
物が二重に見える
目が動かしにくい
左右の瞳の大きさが違う
頭痛
首や顔の痛み
ろれつが回らない・飲み込みにくい
息苦しい・手足に力が入らない
急な眼瞼下垂の背景には、緊急の検査や治療が必要な病気が隠れていることがあります。
動眼神経麻痺・脳動脈瘤の可能性
動眼神経麻痺で瞳孔が開いている場合は、 検査で否定されるまで脳動脈瘤を疑います。 救急での画像検査が必要です[2]。
ホルネル症候群・頸動脈解離の可能性
ホルネル症候群に片側の頭痛や首の痛みを伴う場合は、 頸動脈解離を疑います。 頸動脈解離は脳梗塞につながることがあります[2][5]。
重症筋無力症の全身症状の可能性
眼瞼下垂に加えて、 飲み込みにくさ、ろれつの回りにくさ、息苦しさなどを伴う場合は、 重症筋無力症による全身症状の可能性があります[2]。
「急にまぶたが下がった」という経過は重要な情報です。 とくに複視・瞳孔の左右差・頭痛や首の痛み・嚥下障害・呼吸苦を伴う場合は、 通常の加齢性眼瞼下垂とは分けて考える必要があります。
急な発症のほとんどは片目です。詳しくは「片目だけまぶたが下がる原因」で解説しています。
数か月から数年かけて少しずつ下がってきた場合は、このまま、このページをを読み進めてください。

まぶたが下がる3つの原因
まぶたが下がって見える原因は、すべて同じではありません。
診察では、「皮膚がかぶさっているのか」「まぶたの縁そのものが下がっているのか」「神経や筋肉の病気が隠れていないか」を分けて考えることが重要です。
大きく分けると、次の3つのタイプがあります。
- 上まぶたの皮膚のたるみや眉の下がりによって、目が小さく見えるタイプ
- まぶたを持ち上げる腱膜がゆるむ、代表的な眼瞼下垂
- 神経・筋肉・神経と筋肉のつなぎ目の異常によって起こる眼瞼下垂
見た目だけでは区別しにくいことがありますが、まぶたの縁の位置、二重のライン、眉や額の使い方、眼球運動、瞳孔の左右差、症状が起こった経過などを確認すると、ある程度原因を絞ることができます。

特に重要なのは、「皮膚のたるみ」と「眼瞼下垂」は同じものではないという点です。
皮膚のたるみでは、余った皮膚が上からかぶさるため目が小さく見えますが、まぶたの縁そのものは正常な位置にあることがあります。
一方、腱膜性眼瞼下垂では、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋腱膜が伸びたり、付着部がゆるんだりすることで、まぶたの縁そのものが下がります。
また、この2つが同時に起こっている患者さんも少なくありません。
そのため、「皮膚を切ればよいのか」「まぶたを上げる仕組みを修復する必要があるのか」は、見た目だけではなく、まぶたの構造と機能を診察したうえで判断する必要があります。
さらに注意が必要なのが、病気によって起こる眼瞼下垂です。加齢性の変化とは異なり、重症筋無力症や動眼神経麻痺などでは、短期間で症状が変化することがあります。
皮膚のたるみ・眉の下がり
まぶたの縁そのものは正常な高さにあり、余った皮膚や下がった眉が上から被さっている状態です。眼瞼下垂のように見えても、まぶたを上げる筋肉や腱膜には異常がないため、「偽眼瞼下垂」と呼びます[1][2]。
眼瞼下垂と合併していることもあり、その場合は両方を考えて治療を計画します[2]。見分け方は「まぶたのたるみと眼瞼下垂の違い」をご覧ください。

眼瞼下垂の手術でまぶたの縁が上がると、それまで額の筋肉で眉を持ち上げていた代償が解け、眉とともに、その周辺の皮膚が下がります。
その結果、手術前よりも皮膚のたるみが目立つことがあります。
これを防ぐには手術の際に皮膚を多めに切除する必要がありますが、切除が多いと目が閉じにくくなる、兎眼のリスクがあり、そして、見た目の変化も強くなりすぎます。
そのため、眉下切開手術を併用して行うことが良い治療戦略だったりします。

眼瞼下垂(腱膜性)
腱膜性眼瞼下垂
大人の眼瞼下垂で最も多いタイプです[1][3][4]。
まぶたを上げる筋肉ではなく、 「力を伝える腱膜」に問題が起こります
まぶたを上げる筋肉である 眼瞼挙筋の力はほぼ保たれています。 しかし、その力をまぶたに伝える 眼瞼挙筋腱膜が薄くなったり、付着部から外れたりする ことで、まぶたが十分に上がらなくなります[1]。
加齢以外にも関係する要因があります
腱膜性眼瞼下垂には、加齢だけでなく、 コンタクトレンズの長期装用や眼科手術 も関係します。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズの長期装用は、 眼瞼下垂との関連が報告されています。 特にハードコンタクトレンズでは、 複数の研究で関連が示されています。
複数の研究をまとめた解析では、 ハードコンタクトレンズを使用している人では、 使用していない人と比べて 眼瞼下垂が約17倍多く みられました[11]。
ソフトコンタクトレンズでも、 使用していない人と比べて 眼瞼下垂が約8倍多く みられたという報告があります[11]。
ハード・ソフトのどちらでも眼瞼下垂との関連が報告されています。 ただし、現時点では ハードコンタクトレンズの方が、関連を支持する研究が多い と考えられます。
目の手術
白内障手術や緑内障手術などのあとに、 一時的または持続的にまぶたが下がる ことがあります[1]。
手術後にみられる眼瞼下垂には、 時間の経過とともに改善するものと、 症状が持続するものがあります。
腱膜性眼瞼下垂は、 眼瞼挙筋そのものの力が低下するというより、 筋肉の力をまぶたへ伝える腱膜がゆるんだり、 付着部から外れたりすることで起こる のが特徴です。
症状の詳細は「眼瞼下垂の症状と原因」、自分で確かめる方法は「眼瞼下垂のセルフチェック」にまとめています。


病気による眼瞼下垂
加齢や腱膜のゆるみによる眼瞼下垂が多い一方で、神経や筋肉の病気、まぶた・眼窩の病変が原因となることもあります。 頻度は高くありませんが、なかには早めの検査や治療が必要な病気も含まれます。
そのため診察では、まぶたの下がり方だけでなく、左右差、瞳孔の大きさ、目の動き、症状の変動、しこりや腫れの有無などを確認します。代表的な病気と、その手がかりを以下にまとめます。
病気による眼瞼下垂
頻度は低いものの、 見逃してはいけない眼瞼下垂のグループです[2][3]。
まぶたの下がり方だけでなく、 瞳孔・目の動き・症状の変動・しこりや腫れ などが診断の重要な手がかりになります。
動眼神経麻痺
脳動脈瘤、血管の障害など
片目が下がる
目の動きが制限され、 瞳孔が開くことがあります。
ホルネル症候群
頸動脈解離、肺の先端部の腫瘍、首や胸の手術後など
片目が軽く下がる
下がった側の瞳孔が小さくなり、 下まぶたがわずかに上がることがあります。
重症筋無力症
両目にみられることが多いものの、 片目だけ、左右差があることもあります。
眼瞼下垂の程度が変動します。 上を見続けるとまぶたが下がることがあり、 複視を伴うこともあります。 瞳孔は正常です。
筋肉の病気
慢性進行性外眼筋麻痺、筋強直性ジストロフィーなど
両目がゆっくり下がる
眼瞼下垂とともに、 目の動きが悪くなることがあります。
まぶた・眼窩の腫瘍
腫瘍などの重みによって下がる
まぶたや目の周囲の しこり・腫れが手がかりになります。
「夕方にまぶたが重くなる」だけでは、 重症筋無力症とはいえません
額の筋肉を使ってまぶたを持ち上げ続けると疲れるため、 多くの眼瞼下垂では夕方になると症状が悪化することがあります [2]。
額やまぶたを持ち上げる筋肉を使い続けることで、 疲労感が強くなることがあります。
日によって、あるいは診察で測るたびに、 まぶたの下がり方が変化することが特徴です。
重症筋無力症を疑うのは、 単に「夕方に重い」というだけではなく、 日によって、あるいは測るたびに眼瞼下垂の程度が変化する場合 です。

大切なのは、眼瞼下垂だけで病名を判断することはできないという点です。
例えば、片目の眼瞼下垂でも、瞳孔や眼球運動に異常があれば神経の病気を考えますし、日によってまぶたの下がり方が大きく変化する場合には、重症筋無力症なども鑑別に入ります。
また、ゆっくり進行する眼瞼下垂と、突然起こった眼瞼下垂では意味が異なります。
急にまぶたが下がり、複視、瞳孔の左右差、強い頭痛や首の痛み、飲み込みにくさや息苦しさなどを伴う場合は、通常の加齢性眼瞼下垂とは分けて考える必要があります。
生まれつきの眼瞼下垂
眼瞼挙筋が生まれつき十分に形成されず、筋肉が線維に置き換わっているために起こります[7]。
多くは家族歴のない発症で、片目に起こるほうが多いとされます[7]。
弱視を合併することがあるため[7]、「先天性眼瞼下垂」で詳しく解説しています。

眼瞼下垂ではないのに、下がって見える状態
まぶたが下がって見えても、原因がまぶたとは限りません
皮膚のたるみ以外にも、 まぶた自体の機能低下ではないのに、眼瞼下垂のように見える状態 があります[1][2]。
反対側のまぶたが上がりすぎている
甲状腺の病気などによって片方のまぶたが上がると、 反対側の正常なまぶたが相対的に下がって見える ことがあります。
眼球の位置・大きさの問題
眼球がくぼんでいる、小さい、下を向いているなどの場合、 まぶたそのものに異常がなくても、目が小さく見えることがあります。
眼瞼けいれん・片側顔面けいれん
目を閉じる筋肉である眼輪筋が不随意に収縮することで、 まぶたが下がったように見えたり、目が細くなったり します。
偽眼瞼下垂では、まぶたを持ち上げる機能そのものが低下しているとは限りません。 そのため、「なぜ下がって見えるのか」を見極めることが治療方針を決めるうえで重要です。
何科を受診すればよいか
まぶたが下がったとき、どこを受診すればよい?
眼瞼下垂は、症状の出方や原因によって 受診すべき診療科が異なります。 次を目安にしてください。
急にまぶたが下がった
急に眼瞼下垂が起こり、複視や瞳孔の左右差、頭痛・首の痛みなどを伴う場合は、 神経や血管の病気が隠れている可能性があります。
まぶたの下がり方が変わる
日によって、あるいは時間帯によって眼瞼下垂の程度が大きく変わる場合は、 重症筋無力症などの神経・筋肉の病気も鑑別に入ります。
まぶたが少しずつ下がってきた
加齢性・腱膜性眼瞼下垂などが多く、 まぶたの機能や視野への影響を眼科で評価します。
左右差や形を整えたい
見た目の改善を希望する場合でも、 まずは本当に眼瞼下垂なのか、偽眼瞼下垂ではないかを確認することが重要です。
まず眼科で構いません
眼科では、まぶただけでなく、 瞳孔・目の動き・眼球の位置も確認し、 重大な病気や偽眼瞼下垂を除外したうえで治療方針を考えます[2][3]。

眼瞼下垂の受診先は、まぶたの下がり方や、一緒に現れている症状によって異なります。
多くは眼科で診断できますが、突然発症した場合や、複視・瞳孔の左右差・頭痛などを伴う場合には、緊急の対応が必要になることがあります。
一方、徐々にまぶたが下がってきた場合や、視野が狭くなってきた場合は、眼瞼下垂の診療を行っている眼科が受診先の目安です。症状ごとの受診先を、以下にまとめます。
| 状況 | 受診先 |
|---|---|
| 緊急 急に下がった。複視、瞳孔の左右差、頭や首の痛みを伴う | 救急外来 |
| 程度が変動する。飲み込みにくさや全身の疲れやすさがある | 脳神経内科、または眼科 |
| 徐々に下がってきた。視野が狭い | 眼科 眼瞼下垂の手術を行っている施設 |
| 見た目の改善が主な目的 | 眼科・形成外科で診断を受けたうえで相談 |
当グループの診療体制
| クリニック | 所在地 | 保険診療 | 自由診療 |
|---|---|---|---|
| 高田眼科 | 浜松 | 対応 | 対応 |
| フラミンゴ眼瞼・美容クリニック | 名古屋 | 対応 | 対応 |
| Jクリニック | 東京・銀座 | 非対応 | 対応 |
| あさ美皮フ科亀戸駅前 | 東京・亀戸 | 対応 | 非対応 |
治療の考え方
眼瞼下垂の治療は、原因によって異なります
眼瞼下垂は、すべて同じ方法で治療するわけではありません。
何が原因でまぶたが下がっているのかを確認したうえで、
適切な治療を選ぶことが大事です[1][3]。
皮膚のたるみ
上まぶたの皮膚が余って視野を妨げている場合は、 余った皮膚を切除して、かぶさりを改善します。
腱膜性眼瞼下垂
標準的な治療は手術で、 原因や眼瞼下垂の程度に応じて術式を選択します。
上方の視野が欠けている患者さんでは、 手術によって視野や生活の質の改善が期待できます[1]。
まぶたを上げる補助的な筋肉である ミュラー筋に作用する点眼薬も、 選択肢のひとつです[1][3]。
病気による眼瞼下垂
神経や筋肉の病気などが原因の場合は、 まぶたの手術を先に行うのではなく、 原因となっている病気の診断と治療が優先されます。
眼瞼下垂では、 「まぶたが下がっている」という見た目だけで治療法を決めることはできません。 皮膚、腱膜、神経・筋肉など、原因を見極めることが治療の第一歩です。
術式は「眼瞼下垂の手術」、点眼治療は「眼瞼下垂の点眼薬」をご覧ください。


よくある質問
テープや器具で持ち上げれば治りますか?
テープや眼鏡に付ける支え(クラッチ)は、 一時的にまぶたを持ち上げる方法です。 眼瞼下垂そのものを治す治療ではなく、効果には限界があります[1]。
コンタクトレンズをやめれば戻りますか?
コンタクトレンズによる眼瞼下垂は、 加齢による眼瞼下垂と同じように、 眼瞼挙筋腱膜のゆるみや変化が関係しています[6]。
喫煙や飲酒は関係しますか?
双生児286組を対象とした研究では、 眼瞼下垂との関連が認められたのは コンタクトレンズの使用でした[1]。
これらについては、この研究では眼瞼下垂との明らかな関連は認められませんでした[1]。
片目だけ下がっています。原因は何ですか?
若くても眼瞼下垂は起こりますか?
はい。特に ハードコンタクトレンズを長期間使用している方では、 30〜40代でも眼瞼下垂が起こることがあります[6]。
参考文献
A review of acquired blepharoptosis: prevalence, diagnosis, and current treatment options.
Eye (Lond). 2021;35(9):2468-2481.
Clinical evaluation of blepharoptosis: distinguishing age-related ptosis from masquerade conditions.
Semin Plast Surg. 2017;31(1):5-16.
Topical review: an update of diagnostic and management algorithms for acquired blepharoptosis.
Optom Vis Sci. 2022;99(3):230-240.
Relative incidence of blepharoptosis subtypes in an oculoplastics practice at a tertiary care center.
Orbit. 2013;32(4):231-234.
Horner syndrome: clinical perspectives.
Eye Brain. 2015;7:35-46.
Hard contact lens wear and the risk of acquired blepharoptosis: a case-control study.
Eplasty. 2013;13:e30.
Advances in the genetics of congenital ptosis.
Ophthalmic Res. 2022;65(2):131-139.
目に関する悩みで困ったら、まずは専門医に相談してみてください。
「目が開けにくくなった」「まぶたが瞳にかかって視界が狭い」「眠そうと言われる」 そんなお悩み、放っておかずに一度ご相談ください。
当院への眼瞼下垂症手術のご相談は、LINEから簡単にご予約いただけます。
医師または専門スタッフが、あなたの症状に合わせてご案内いたします。







