眼瞼下垂の書籍(3)
専門家向け・患者さん向けを問わず、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」に関する情報が得られる書籍を3回にわたってご紹介する3回目。
入手が難しい書籍も含まれますが、今回は、医師向けの眼瞼下垂に関する古典ともいえる書籍と、一般向けの書籍の2冊を紹介します。
眼瞼下垂の情報収集の一助となればと思います。
眼瞼下垂の古典ともいえる書籍
「BEARD’S PTOSIS 眼瞼下垂」メディカル葵出版/井出 醇 訳
Michel Beard博士によって1969年に初版が著されたという、いわば眼瞼下垂の古典といってよい書籍です。
眼瞼下垂手術の原点がここにあり、当時は、わずか450例の経験から、この歴史的な取組みが行われました。
眼瞼下垂治療の歴史を感じることのできる内容になっていますので、興味のある方は手にとってみてください。
300ページに迫る大型本でメディカルイラストや白黒写真による術式の説明が満載です。
改定を担当した当時のCallahan博士の序文には次のように記されています。
「多くの眼形成手術の中で、眼瞼下垂は一定した結果を得るのが難しいという理由で、最も興味をそそられるものだった。」
このような時代を経て眼瞼下垂治療は現在も進歩し続けていますが、この書籍は初版から数えて第四版(1990年)にあたる内容を、現役の眼科医である井出醇さんが翻訳されたものです。
専門的な内容を含みますが、患者さんと医師の間の話し合いの必要性、つまりインフォームドコンセント(手術などに際し、医師が正しい病状や治療方針を分かりやすく十分に説明したうえで患者との合意を得る)についても語っている点は一般の方にも興味深いでしょう。
眼瞼下垂のセミナーをまとめた内容
著者が行った眼瞼下垂のセミナーの内容をまとめたもので、編集スタイルに新しい試みが行われているのが特長である書籍をご紹介します。
「眼瞼学 眼瞼下垂症手術」メディカル葵出版/栗橋 克昭 著
現役の眼科医である栗橋克昭さんが、学会で眼瞼下垂のセッションを開催し、発表した内容をまとめたのが本書です。
患者さんの生の声を通して手術の画像を把握できるという新しいスタイルをとっています。
一つひとつの症例のエビデンス集でもあり、うつ病が眼瞼下垂症手術後に改善し治療薬が不用になった症例や、自律神経症状が改善した症例などが紹介されています。
また、眼瞼下垂の検査に適した睫毛クリップ負荷テストについても説明されており、一般の方にも興味深い内容にふれることができます。