外斜視による片目つぶりとは?原因・症状・治療を眼科医が解説

髙田 尚忠

「子どもが外に出ると片目をつぶる」「日差しが強いと、ウインクするような顔になる」「ときどき片方の黒目が外を向いている」。こうした様子があるときは、間欠性外斜視が関係しているかもしれません。片目をつぶるとまぶたが下がっているように見えますが、眼瞼下垂とは別の状態です。

  • 片目つぶりは病名ではなく、症状です:主に間欠性外斜視でみられ、明るい屋外で片目を閉じたり手で覆ったりします1,2。間欠性外斜視の方の半数前後にみられます3,4,5。
  • 理由は、完全にはわかっていません:まぶしいと両目の視線をそろえにくくなることが関係すると考えられていますが、詳しい仕組みは解明されていません2,6,7。
  • 眼瞼下垂とは仕組みが逆です:片目つぶりはまぶたを「閉じている」状態、眼瞼下垂はまぶたを上げる力が弱って「下がっている」状態です。片目つぶりに、まぶたの手術は必要ありません。

執筆:髙田 尚忠(高田眼科 院長/眼科医・眼形成外科) 最終更新:2026年10月

外斜視による片目つぶりとは?

外斜視による片目つぶりは、独立した病気の名前ではなく、主に間欠性外斜視でみられる症状のひとつです。日本弱視斜視学会は、間欠性外斜視では「特にまぶしいと両眼をあわせにくくなるため、屋外で片目をつぶりやすく」なると説明しています2。米国眼科学会の診療指針にも、明るい光の中で片目を閉じたり覆ったりすることがある、と書かれています1。

お子さんは、目のずれや見え方の違和感を自分から訴えないことがよくあります。そのため、保護者が気づく「屋外で片目をつぶる」というしぐさが、間欠性外斜視を見つける手がかりになります。

明るい光で片目をつぶった間欠性外斜視の人の割合
イラン 40人58%
韓国 99人54.5%
韓国 61人44.3%

イランの前向き研究(7〜40歳)5、韓国の手術前の患者99人4、韓国の61人の研究(赤外線カメラで判定)3。

間欠性外斜視とは?目が外側にずれる仕組み

外斜視は、片方の目で正面の物を見ているときに、もう片方の目の視線が外側(耳側)にずれる状態です。大きく2つに分けられます。

多い間欠性外斜視

両目がまっすぐなときと、片目が外にずれるときがあります。多くは3歳までに現れ、疲れたとき、眠いとき、ぼんやりしているとき、明るい屋外でずれやすくなります1,6。

いつも恒常性外斜視

いつも片方の目が外にずれている状態です。間欠性外斜視の一部は、年月とともに恒常性に移ることがあります1。

間欠性外斜視の方は、ふだんは両目でひとつに見る力(融像)でずれを抑えています。ずれた目の像は脳が無視するため、ものが二重に見えると訴えることはあまりありません1。ふだんは目の位置が正常に見えるので、周りの人も気づきにくい病気です。

外斜視は「外に引く筋肉が強すぎる病気」ではありません。

外斜視が起こる原因は、まだよくわかっていません。目を外に開こうとする緊張の強さや、眼の周りの構造などが関係すると考えられています1。大切なのは、筋肉の力の強弱よりも、ずれをどれだけ抑えられているか(眼位の制御)と、両目で立体的に見る力(両眼視)がどれだけ保たれているかです。

67%日本人の斜視のうち、外斜視の割合(全国の保険診療データ)8
2倍以上日本では、外斜視が内斜視(26%)の2倍以上みられます8

なぜ外斜視では、まぶしい場所で片目をつぶるのか?

片目をつぶる理由については、研究でわかってきたことと、まだわかっていないことがあります。

わかっていることまぶしさと両眼視が関係する

明るい光の中では、両目でひとつに見る働きが乱れやすくなります9。片目つぶりがある人はまぶしさを強く感じていることが多く、両者は強く関連していました3。

ずれをよく抑えられている人は利き目をつぶる傾向があり、抑えが弱い人は、まず目がずれてから、ずれた側をつぶっていました5。

わかっていないこと詳しい仕組み

片目つぶりやまぶしさの正確な仕組みは、まだ解明されていません7,6。

片目つぶりは、目のずれの大きさや立体視、瞳孔の反応とは別に起こる現象かもしれない、とする研究もあります。むしろ両眼視の働きが保たれている人に多くみられました3。

このように「目がずれたから片目をつぶる」という単純な話ではありません。目がまだずれていないのに片目をつぶる方も珍しくないため、片目つぶりだけで斜視の程度を判断することはできません。

外斜視による片目つぶりと眼瞼下垂の違い

どちらも「片目が細く見える」ため混同されがちですが、まぶたに起きていることは正反対です。眼瞼下垂を専門に診ている立場から、違いを整理します。

比べるところ片目つぶり(間欠性外斜視の症状)眼瞼下垂
まぶたの動きまぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)で、自分で閉じているまぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)や腱(すじ)、その神経に問題があり、下がっている
起こる場面明るい屋外など、決まった場面で起こる明るさに関係なく、いつも下がっている
自然に目を開けたときまぶたの高さに左右差はない瞳孔の中心からまぶたの縁までの距離(MRD-1)が短い
よくみられる癖まぶしそうに片目を細める、手で覆う眉を上げて見る、あごを上げて見る
主に調べること目のずれの大きさ、ずれを抑える力、両眼視まぶたの高さ、まぶたを上げる力(挙筋機能)
治療の考え方屈折矯正・経過観察・視能訓練・斜視の手術主に眼瞼挙筋前転法などのまぶたの手術

片目つぶりに、まぶたの手術はしません

片目つぶりは、まぶたを上げる力が弱っているわけではないため、眼瞼下垂の手術では治りません。片目をつぶっている様子だけで、眼瞼下垂と診断することもできません。

なお、片目つぶりと本当の眼瞼下垂が両方ある方もいます。その場合は、斜視と眼瞼下垂で解説しているとおり、斜視の治療を先に行い、目の位置が落ち着いてからまぶたの高さを決めます。まぶたが下がって見えるほかの原因は、偽眼瞼下垂とはにまとめています。

まぶしさで目をつぶる病気には、眼瞼けいれんもあります。こちらは多くが両目で、まばたきが増えて目を開けていられなくなるのが特徴です(眼瞼けいれんと眼瞼下垂の見極め)。

外斜視による片目つぶりを調べる検査

眼科では、目の位置と両眼視の働きを中心に調べます。眼瞼下垂が疑われる場合は、まぶたの検査も一緒に行います。

  1. 問診と、写真・動画の確認
    いつ、どんな場面で目がずれるか、片目をつぶるかを伺います。間欠性外斜視は診察中にずれが出ないこともあるため、ご自宅で症状が出たときの写真や動画がとても参考になります1。
  2. 両眼視(立体視)の検査
    片目を隠す検査の前に行います。先に片目を隠すと、ずれが出やすくなり、本来の力を正しく測れなくなるためです1。
  3. 遮閉試験・斜視角の測定
    片目ずつ隠して目の動きを見る検査(遮閉試験)で、斜視かどうかを判断します。小さなお子さんは、好きなおもちゃやペンライトを見てもらいながら行います2。ずれの大きさは、プリズムを使って測ります1。
  4. 視力・屈折の検査
    近視・遠視・乱視があるかを調べます。弱視は間欠性外斜視ではまれですが、あれば治療します1。
  5. まぶたの検査(必要なとき)
    自然に目を開けたときのまぶたの高さ(MRD-1)と、まぶたを上げる力(挙筋機能)を測り、本当の眼瞼下垂があるかを確かめます。

外斜視による片目つぶりの治療方法

治療は、外斜視の種類(病型)、ずれの大きさと頻度、視力、両眼視の働き、日常生活への影響を総合的にみて決めます1。片目つぶりがあることだけで、手術が必要になるわけではありません。

屈折異常の矯正と、経過観察

近視・遠視・乱視で見え方が落ちている場合は、眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正します1。そのうえで、病型やずれの程度に応じてほかの治療を検討します。近視をわざと強めに矯正する方法もありますが、効果が続かないことが多く、近視が進む方向に変化するとも報告されています1。

ずれをよく抑えられている小さなお子さんは、手術をせずに経過を見ることができます。恒常性外斜視に進んだり、立体視が落ちたりすることは少ないためです1。

経過観察の3年間で、間欠性外斜視が悪化した子どもの割合
1〜2歳28%
3〜10歳15%

米国の大規模な臨床試験の経過観察群。米国眼科学会の診療指針より1。

手術をしない治療:アイパッチ・プリズム眼鏡・視能訓練

複数の臨床試験をまとめた分析(コクランレビュー)では、1〜10歳の子どもで、1日数時間片目を隠す治療(アイパッチ)が、経過観察よりも目の位置を少し改善させました(根拠の確かさは高い)1,10。ずれが小さい場合は、プリズム眼鏡や視能訓練が行われることもあります2。

まぶしさへの日常の対策としては、サングラスやつばのある帽子が役立ちます6。光を通す量が20〜43%の濃いフィルターを使うと、明るい光の中でも片目をつぶった人はいなくなりました7。ただし、これは症状を和らげる対策で、目のずれそのものを治すものではありません。

斜視手術

いつもずれるようになった、立体視が落ちた、見た目が気になって生活に影響している、といった場合に手術を考えます1。

手術では、目を外に引く筋肉(外直筋)の付け根を後ろにずらす手術(外直筋後転術)や、内に引く筋肉(内直筋)を短くする手術(内直筋短縮術)で、左右の目の位置のバランスを整えます。筋肉が「強すぎるから弱める」のではなく、目の位置を正面にそろえるための調整です。両目の外直筋を調整する方法と、片目の外直筋と内直筋を調整する方法は、どちらも効果があるとされています1,10。

64.8%手術のあと、片目つぶりが消えた人の割合(韓国、54人)4
53.5%手術でずれが十分に治った人のうち、明るい所での片目つぶりが消えた人の割合(韓国)11

手術でずれが治っても、片目つぶりやまぶしさが残る方もいます11。また、手術のあとに再び外斜視に戻ること(もどり)も少なくないため、手術の時期を含めて慎重に判断します1,2。

米国では、両目で別々の映像を見る3D動画で、ずれを抑える力を鍛える治療の臨床試験が進められています(結果はまだ出ていません)12。

子どもが片目をつぶるとき、いつ眼科を受診する?

一度受診を眼科で確認をおすすめするとき

屋外で片目をつぶるしぐさがくり返しみられる、片方の目が外にずれることに気づいた、片目をつぶる回数が増えてきた、見えにくさや目の疲れ、ものが二重に見えることを訴える。

早めに受診をすぐに医療機関へ

急にものが二重に見えるようになった、はっきりとまぶたが下がってきた、瞳孔の大きさに左右差がある、強い頭痛を伴う。通常の間欠性外斜視とは別の、脳や神経の病気が隠れていることがあります13。

眼瞼下垂の専門医から:「下がって見える」の原因を見極めることが大切です

髙田尚忠医師
髙田尚忠医師

片目を閉じている様子だけで、まぶたの手術を決めてはいけません

眼瞼下垂の診療では、「まぶたが下がっているように見える」という見た目だけでなく、その原因を見極めることが何より大切です。外斜視による片目つぶりは、まぶたそのものの異常ではなく、目の位置や両眼視の働きが関係しています。

特にお子さんが明るい場所で片目をつぶる場合は、間欠性外斜視の可能性も考えて、まずは眼科で目の位置と両眼視の検査を受けていただきたいと思います。

高田眼科の考え方

「片目だけまぶたが下がっている」というご相談でも、診察してみると片目つぶりだったということがあります。当院では、まぶたの高さとまぶたを上げる力に加えて、目の位置と動きまで調べ、眼瞼下垂なのか、斜視の症状なのか、両方なのかを見極めてから治療を考えます。斜視の手術が必要な場合は、斜視を専門とする医療機関と連携します。

よくある質問

まぶしいと片目をつぶるのは病気ですか?

片目つぶりそのものは病名ではなく、症状です。多くは間欠性外斜視にともなってみられます1,2。目の位置のずれがあるかどうか、一度眼科で調べてもらいましょう。

子どもが外で片目をつぶります。すぐに治療が必要ですか?

急ぐ必要はありませんが、一度眼科で調べてください。ずれをよく抑えられていれば、経過観察で済むことも多い病気です1。ずれの大きさや立体視を定期的に確かめることが大切です。

片目つぶりを続けていると、まぶたが下がってきますか?

つぶる癖が原因で眼瞼下垂になるわけではありません。ただ、もともと眼瞼下垂があると、片目つぶりと見分けにくくなります。明るさに関係なくいつも片目が細い場合は、眼瞼下垂も疑って診察を受けてください。

大人になってから片目つぶりに気づきました。

大人の外斜視も治療できます。子どもの頃からあったずれが、疲れや年齢で抑えにくくなることもあります。上下のずれを伴う斜視は大人に多いので8、まぶたの下垂と合わせて確認しましょう。

片目つぶりや、片目だけ細く見えるのが気になる方へ

斜視の症状なのか、まぶたの下垂なのか、両方なのか。原因を確かめることが、正しい治療への第一歩です。

高田眼科(浜松)〒435-0052 静岡県浜松市中央区天王町字諏訪1981-3
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フラミンゴ眼瞼・美容クリニック(名古屋)〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦2丁目11-27
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執筆:髙田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長。岡山大学医学部卒業。眼科医・眼形成外科医として眼瞼下垂手術を専門とし、関連クリニックを含め年間2,000件以上の眼瞼手術に携わっています。

参考文献

PubMed・Cochrane Libraryに収載された論文、米国眼科学会(AAO)の診療指針、国内外の小児眼科・斜視の学会による解説と臨床試験の登録情報(ClinicalTrials.gov)をもとに作成しています。いずれも抄録を確認しています。

  1. Sprunger DT, Lambert SR, Hercinovic A, et al. Esotropia and Exotropia Preferred Practice Pattern®. Ophthalmology. 2023;130(3):P179-P221. doi:10.1016/j.ophtha.2022.11.002
  2. 日本弱視斜視学会. 外斜視(一般の方へ:疾患の説明). 2026年10月閲覧. https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus2
  3. Choi WJ, Jang Y, Kim SJ. Investigation of transient eye closure evoked with bright light in the patients with intermittent exotropia. BMC Ophthalmol. 2021;21(1):291. doi:10.1186/s12886-021-02046-7
  4. Oh BL, Suh SY, Choung HK, et al. Squinting and photophobia in intermittent exotropia. Optom Vis Sci. 2014;91(5):533-539. doi:10.1097/OPX.0000000000000251
  5. Rostami M, Kiarudi MY, Hassanzadeh S, et al. Transient eye closure and ocular preference in patients with intermittent exotropia. J AAPOS. 2024;28(6):104015. doi:10.1016/j.jaapos.2024.104015
  6. American Association for Pediatric Ophthalmology and Strabismus. Exotropia. Updated December 2024. Accessed October 2026. https://www.aapos.org/glossary/exotropia
  7. Rostami M, Kiarudi MY, Hassanzadeh S, et al. The effect of sunglass filters on contrast sensitivity, monocular eye closure, and blinking rate in people with intermittent exotropia. Clin Exp Optom. 2025;108(6):733-737. doi:10.1080/08164622.2024.2400317
  8. Miyata M, Kido A, Miyake M, et al. Prevalence and incidence of strabismus by age group in Japan: a nationwide population-based cohort study. Am J Ophthalmol. 2024;262:222-228. doi:10.1016/j.ajo.2023.11.022
  9. Campos EC, Cipolli C. Binocularity and photophobia in intermittent exotropia. Percept Mot Skills. 1992;74(3 Pt 2):1168-1170. doi:10.2466/pms.1992.74.3c.1168
  10. Pang Y, Gnanaraj L, Gayleard J, et al. Interventions for intermittent exotropia. Cochrane Database Syst Rev. 2021;(9):CD003737. doi:10.1002/14651858.CD003737.pub4
  11. Lew H, Kim CH, Yun YS, et al. Binocular photophobia after surgical treatment in intermittent exotropia. Optom Vis Sci. 2007;84(12):1101-1103. doi:10.1097/OPX.0b013e31815b9dec
  12. ClinicalTrials.gov. Improving Control of Alignment in Intermittent Exotropia. NCT04199871. ClinicalTrials.gov NCT04199871
  13. Nichols KK, Malloy KA, Karpecki PM, et al. Topical review: an update of diagnostic and management algorithms for acquired blepharoptosis. Optom Vis Sci. 2022;99(3):230-240. doi:10.1097/OPX.0000000000001868
このブログの執筆者
髙田尚忠
髙田尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
岡山大学医学部卒業後、郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、現在は高田眼科の院長を務めつつ、関連クリニックの名古屋のフラミンゴ眼瞼・美容クリニック、銀座のJ clinic、亀戸のあさ美皮フ科においても、眼瞼下垂手術を中心に年間2,000件以上の眼瞼手術に携わっています 「見え方(視機能)」と「日常の快適さ」を回復することを第一に、診察では原因(加齢・コンタクト・体質・既往手術など)を丁寧に整理し、必要な治療を分かりやすく説明すること心がけています。 このブログでは、眼瞼下垂の症状、治療選択、術後経過で不安になりやすいポイントなどを、専門医の立場からできるだけ具体的に発信しています。
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