偽眼瞼下垂の症状「無眼球・小眼球」
「小眼球症(しょうがんきゅうしょう)」は、文字通り眼球が通常に比較して小さいという特長から、こう呼ばれています。
症状が両目に出る場合、片目に出る場合の割合はほぼ拮抗しており、男女の割合も女性がやや多いもののそれほどの差はみられません。
正常な眼球容積の2/3以下を基準に診断されますが、より具体的には眼球の長さ(眼軸長)、角膜の大きさ(角膜径)、左右眼の大きさの差(乳児で9mm以下が目安)を計測して判断されます。
原因は、胎内で眼球がつくられる早い時期に、房水(角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える体液)の排出が正常になされなかったために、眼球の形成が不十分になって生じるとされています。
それに伴って、まぶたが下がった状態(眼瞼下垂症)も合併します。
小眼球症は、原因に関わる遺伝子が発見されている症例があるものの、原因不明の場合も多い疾病ですが、風疹などの感染やアルコール摂取など、妊娠初期の母親の生活環境が影響を与える場合もあります。
また、発生頻度が約10,000人に1人というデータが示す通り、極めて希少な疾患にあたります。
「無眼球」とは、この小眼球症のうちの最も重度な疾病を指し、眼の組織がほとんどないケースです。
このほか極小眼球、先天性嚢胞眼(せんてんせいのうほうがん)などの重度なレベルから、軽度の小眼球まで程度はさまざまですが、重度の場合は、先天的な全盲となります。
ただ、軽症の場合は視力が弱まるだけで済むこともあるようです。
先天性嚢胞眼の「嚢胞(のうほう)」は、中に液体がたまった袋状の異物のことで、胎児の発育過程のなかで通常は消える部分の一部が残って袋状に変化し、体内に生成されます。
この嚢胞を伴った小眼球を先天性嚢胞眼と呼びます。
いずれにしても解明不十分の疾病で、根本的な治療法は確立されていないのが実情です。
ただ、通常は知性(知能)には問題がなく、視覚以外の他の身体部分にも影響がないため、健康面では特に支障がなく生活することが可能です。