後天性眼瞼下垂の症状「ホルネル (Horner)症候群」

Horner(ホルネル)症候群とは?
「ホルネル(Horner)症候群」は、1869年にスイスの眼科医だったヨハン・フリードリヒ・ホルネルによって発見された疾病のため、その名をとってこう呼ばれています。
脳(視床下部)から眼球へと走行する頸部交感神経の経路が遮断された場合に発生する疾患です。
この交感神経遠心路には3つの神経細胞がありますが、いずれの神経細胞に障害が生じてもホルネル症候群が発症し、また、若年から老年までどの年代でも症状がみられます。
さまざまな症状を特長としますが、目を中心として起きる症状としては、主に次の3徴候が挙げられます。
まず、瞳孔が過度に収縮する「縮瞳(しゅくどう)」です。
日常生活において瞳孔は、副交感神経によって支配される瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)の働きによって、光のある場所では収縮し暗闇では拡大して目に入る光を調節しますが、縮瞳になると暗闇のなかでも過度に縮まったままになってしまいます。
次に挙げられるのが「眼球陥凹(がんきゅうかんおう=眼球後退)」。眼球が、眼球の収まるくぼみである眼窩(がんか)内に極端に陥没する症状です。
そして3点めが「眼瞼下垂(がんけんかすい)」です。特に片方の目だけに眼瞼下垂が発症する場合が、ホルネル症候群の特長といわれます。
これは、損傷が起きた神経細胞と同じ側の目が影響を受けるからです。
これら目に関わる徴候以外では、顔面における発汗が減ることや、”のぼせ”や”ほてり”などの紅潮、虹彩異色症(こうさいいしょくしょう/左右の眼で虹彩の色が異なること、もしくは変色すること)などが、ホルネル症候群の特長とされています。
Horner(ホルネル)症候群の原因
自然発生する場合もあるホルネル症候群ですが、その原因は多岐にわたります。
肺癌をはじめ胸部に発症する腫瘍や、同じく胸部の大動脈が拡張する大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)、手術におけるメスによる侵襲(体を傷つけること)、さらに「内頸動脈解離(ないけいどうみゃくかいり)」が原因としてまず挙げられます。
内頸動脈解離とは、首にある頸動脈の壁の内側の一部が解離する、つまり裂けてはがれる疾病です。
さらに、頸部(首)や脊髄の疾患に、やはり頸部や頭部に受けた外傷に至るまで実に多くの原因が挙げられます。
生まれつきホルネル症候群がある「先天性ホルネル症候群」も存在します。