眼瞼下垂の基礎知識

男性の眼瞼下垂症とは?原因・皮膚のたるみ・治療を眼瞼下垂専門医が解説

Dr.髙田

2026年2月2日 修正・更新

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高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

「年齢のせい」「疲れのせい」と見過ごされやすい目元の変化を専門医が詳しく解説します

加齢

「最近、まぶたが重く感じるようになった」
「以前よりも目が開きにくく、眠そうに見えると言われる」
「夕方になると視界が狭くなった気がする」

こうした変化を感じていても、男性の場合、それを病気として捉えず、「年齢のせい」「仕事が忙しくて疲れているだけ」と考え、そのままにしてしまう方が少なくありません。
しかし、その背景に眼瞼下垂症が隠れているケースは決して珍しくなく、実際には多くの男性がこの疾患に気づかないまま日常生活を送っています。

眼瞼下垂症は、美容目的の病気だと思われがちですが、本来は視機能に関わる眼科疾患です。
このページでは、男性に起こる眼瞼下垂症について、症状・原因・治療の考え方を、できるだけ分かりやすく、かつ医学的な視点から丁寧に解説していきます。


眼瞼下垂症とはどのような病気か

眼瞼下垂

眼瞼下垂症とは、上まぶたを持ち上げる筋肉の働きが低下することで、まぶたが十分に上がらなくなった状態を指します。
その結果、黒目の上にまぶたがかぶさり、視野の上方が遮られるようになります。

重要なのは、これは単なる「見た目の問題」ではないという点です。
視野が狭くなることで、無意識に眉を上げたり、額や首に力を入れて物を見るようになり、目の疲れだけでなく、頭痛や肩こりといった全身症状につながることもあります。


男性に多い眼瞼下垂症の特徴

男性の眼瞼下垂症の特徴としてまず挙げられるのが、自覚しにくさです。
女性の場合は、二重幅の変化や左右差といった見た目の変化に気づきやすい一方、男性は鏡を見る習慣が少ないこともあり、症状がかなり進行するまで気づかないことがあります。

そのため、受診のきっかけとして多いのは、「視界が狭い」「目が疲れやすい」といった機能的な訴えや、周囲から「眠そう」「機嫌が悪そう」と言われるようになったという他覚的な変化です。

男性の眼瞼下垂の主な症状
  • まぶたが重く、目を開けにくくなる
  • 視界が狭くなる
  • 二重の幅が広がる
  • 眠たそうにみえる
  • 目つきが悪くなる
  • 頭痛・肩こり
  • 眉間や額にシワができる
  • 不眠やうつ病

男性と女性で異なる「皮膚の老化」と眼瞼下垂症の関係

男性の眼瞼下垂症を理解するうえで、欠かせない視点が皮膚の老化の違いです。
一般的に、男性は女性に比べてスキンケアやサンケアへの意識が低い傾向があります。

日焼け止めを日常的に使用する習慣がなく、屋外での活動や通勤、仕事中に、無防備な状態で紫外線を浴び続けている方も少なくありません。
紫外線は皮膚の奥深くにまで到達し、コラーゲンやエラスチンといった皮膚の弾力を支える構造を徐々に破壊していきます。

このような紫外線による慢性的なダメージは「光老化」と呼ばれ、単なる年齢変化よりも、早く、そして深刻な皮膚の劣化を引き起こします。
さらに、紫外線によって発生する活性酸素は皮膚に酸化ストレスを与え、細胞レベルでのダメージを蓄積させます。

その結果、男性では女性よりも早い段階から、目尻のしわが深く刻まれ、上まぶたの皮膚が余ってくる傾向が見られます。
この状態は医学的に眼瞼皮膚弛緩症と呼ばれ、眼瞼下垂症と密接に関係しています。

皮膚の厚み男性では加齢と平行して皮膚の厚さが増加しますが、女性では40歳頃になるとその進行は緩徐となります。結果、眼瞼下垂が生じた際に、男性では強調される傾向があります。
角質肥厚日焼けなどにより、男性では上眼瞼への角質肥厚が多くみられます。これにより、眼瞼の重量が増加し、眼瞼下垂を引き起こしやすくなります。
眉毛の位置一般的に、男性は女性と比べて眉毛の位置が低いため、眼瞼下垂が生じた際に、前頭筋の緊張による代償で男性では眉毛と上眼瞼の距離が長くなると、眼瞼下垂がより目立つ傾向があります。
皮膚の進展性加齢に伴う皮膚の進展性の低下は、男女ともにみられますが、男性では女性と比べてその程度が強い傾向があります。これにより、眼瞼の下垂がより顕著になりやすいとされています。

男性の眼瞼下垂と皮膚のたるみは同時に評価が必要です

眼瞼下垂症を診る際、まぶたの「開き」だけに注目してしまうと、適切な治療判断ができないことがあります。
特に男性では、筋肉の問題に加えて、皮膚のたるみが強く関与しているケースが少なくありません。

皮膚が余ることでまぶた自体が重くなり、結果として挙筋への負担が増え、眼瞼下垂がより目立つようになります。
また、軽度の眼瞼下垂であっても、皮膚のたるみが加わることで、視界の遮りや見た目の変化が強調されてしまうこともあります。

そのため、診察では
・まぶたの開き(眼瞼下垂の程度)
・挙筋機能
・皮膚の厚みやたるみの量

これらを同時に、総合的に評価することが重要になります。


眉下切開や皮膚処理との役割の違いについて

ここで混同されやすいのが、眼瞼下垂手術と、眉下切開手術での皮膚処理との違いです。

眼瞼下垂手術の主な目的は、まぶたを持ち上げる力を改善し、視機能を回復させることにあります。

一方で、眉下切開や皮膚切除は、余った皮膚を処理することで、まぶたの重さや被さりを軽減する手術です。

皮膚のたるみが主な原因の場合には有効ですが、挙筋の働きが低下している眼瞼下垂症そのものを改善する手術ではありません。

男性の場合、眼瞼下垂と皮膚のたるみが同時に存在することも多く、どちらか一方だけを治療しても十分な改善が得られないケースがあります。

そのため、状態に応じて、眼瞼下垂手術を主体に考えるのか、皮膚処理を組み合わせるのかを慎重に判断する必要があります。

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男性の眼瞼下垂症の診断と検査

診察では、見た目だけでなく、客観的な指標を用いて評価を行います。

代表的なのが、黒目の中心から上まぶたまでの距離を測定するMRD-1です。

また、まぶたをどれだけ持ち上げられるかという挙筋機能を確認し、筋肉の力がどの程度保たれているかを評価します。

これらの結果を踏まえて、眼瞼下垂のタイプや重症度を判断します。


男性の眼瞼下垂症の治療について

眼瞼下垂症の根本的な治療は手術です。

点眼薬やトレーニングで一時的に楽に感じることはあっても、下垂そのものを改善することはできません。

保険診療として行われる眼瞼下垂手術の最大の目的は、視野や眼精疲労といった機能障害を回復させることです。

男性の場合、「目が大きくなりすぎないか」「不自然にならないか」という不安を持たれることが多いですが、保険診療という機能回復を重視した手術では、その人本来の目元を活かした自然な仕上がりなど審美的な約束をして手術することではありません。


手術後の経過と日常生活への影響(男性の場合の注意点)

眼瞼下垂症の手術後は、多くの場合、日常生活への大きな制限はありません。
しかし、男性の場合は、女性と比べて術後の経過に影響を与えやすい生活環境や行動パターンがあるため、より意識した管理が必要になります。

まず、男性は女性に比べて、屋外での作業や外回りの仕事に従事している方が多く、術後早期から汗をかく、直射日光を浴びる、風や埃にさらされるといった環境に置かれやすい傾向があります。
これらは、眼瞼下垂症の術後においては決して好ましい条件とは言えません。

汗や皮脂は創部を不潔にしやすく、炎症や腫れの長期化、内出血の吸収遅延につながることがあります。
また、紫外線は皮膚に炎症反応や色素沈着を引き起こしやすく、特に術後のデリケートなまぶたの皮膚にとっては、経過を悪化させる要因になり得ます。

この点において、女性は日傘や帽子、サングラス、日焼け止めなどを自然に取り入れている方が多いのに対し、男性では「多少は大丈夫だろう」と対策を省いてしまうケースも少なくありません。
その結果、同じ手術を行っていても、術後の腫れや赤みが長引く、左右差が気になりやすくなるといった差が生じることがあります。

さらに、術後の自己管理という点でも、男性は注意が必要です。
処方された点眼薬や軟膏の使用、目をこすらないこと、無理をしないことといった基本的な注意事項は、経過を安定させるうえで非常に重要です。
しかし実際には、男性の方が「症状が軽くなってきたから」「忙しいから」といった理由で、術後管理を自己判断で省略してしまうケースが見られます。

こうした小さな油断の積み重ねが、腫れの長期化や違和感の残存につながり、「思っていたより治りが悪い」と感じる原因になることもあります。

一方で興味深い点として、男性の方が、仕上がりの細部にまで強いこだわりを持つケースも少なくありません
左右差のわずかな違い、開きの微妙な感覚、まぶたの重さの残り具合など、非常に繊細な部分まで気になるという方もいらっしゃいます。

眼瞼下垂手術はミリ単位の調整を行う手術であり、術後の腫れや組織のなじみ方によって、完成形が安定するまでには一定の時間が必要です。
しかし、術後早期の段階で過度に仕上がりを気にしすぎてしまうと、不安が強くなり、結果として満足度が下がってしまうこともあります。

そのため、男性の眼瞼下垂症手術では、
・術後に避けるべき生活環境
・きちんと行うべき自己管理
・仕上がりが安定するまでの時間的な経過

これらをあらかじめ十分に理解しておくことが、良好な経過と満足度の高い結果につながります。

術後の経過を左右するのは、手術そのものだけでなく、**その後の過ごし方も含めた「治療全体」**であるという点は、特に男性の患者さんに知っておいていただきたい重要なポイントです。

眼瞼下垂症を放置することで起こりうる影響

眼瞼下垂症は命に関わる病気ではありませんが、放置することで生活の質に大きな影響を与えることがあります。

視界が狭い状態が続くことで、慢性的な疲労感や集中力の低下につながることもあります。

また、常に眉や額に力を入れて物を見る癖がつくことで、頭痛や肩こり、首の痛みを訴える方も少なくありません。

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男性の眼瞼下垂症は「早めの評価」が重要です

「年齢のせい」「仕方ない」と思っている間にも、眼瞼下垂症や皮膚のたるみは少しずつ進行していきます。
早い段階で状態を正しく評価することで、治療の選択肢が広がり、より自然で負担の少ない対応が可能になります。


まとめ:男性の眼瞼下垂症は決して珍しくありません

眼瞼下垂症は、男性にも多く見られる眼科疾患です。
その背景には、加齢だけでなく、紫外線による光老化や皮膚のたるみといった要因が関与していることも少なくありません。

まぶたの重さや視界の違和感、周囲からの指摘など、気になる症状がある場合には、一度専門的な診察を受けることをおすすめします。
正しい診断と適切な治療によって、視界の改善だけでなく、日常生活の快適さを取り戻すことができます。

本記事では、男性の眼瞼下垂の症状や主な原因、治療法について解説しました。

眼瞼下垂は、性別にかかわらず発症するリスクがある病気です。

加齢による筋肉の衰えのほか、生活習慣によって眼瞼下垂を引き起こすおそれもあります。

眼瞼下垂は手術によって治療できますが、とくに男性の場合は、二重になることで見た目が変化したり、ダウンタイムが生じて仕事に影響したりする点に注意しましょう。

術後のイメージについて医師とよく相談し、副作用やリスクを把握したうえで手術を検討してください。

男性の眼瞼下垂症でよくある質問

Q
眼瞼下垂の症状はどのようなものですか?

眼瞼下垂の主な症状は、上まぶたが下がって目を開けにくくなることです。疲れ目、視野の狭まり、老け顔などの症状も見られます。

Q
眼瞼下垂の原因は何ですか?

加齢によるまぶたの筋肉の衰えが主な原因ですが、先天性の場合や、神経障害、外傷、腫瘍などが原因となることもあります。

Q
手術後の回復期間はどのくらいですか?

個人差がありますが、通常1~2週間程度で日常生活に復帰できます。腫れや内出血は1~3ヶ月程度で落ち着きます。

Q
手術の効果はどのくらい持続しますか?

個人差がありますが、通常5~10年程度は効果が持続します。加齢とともに再び下がってくることもあります。

Q
男性も眼瞼下垂になりますか?

眼瞼下垂は男性よりも女性が多いとされていますが、性別にかかわらず発症します。

参考文献

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ZOUMALAN, Christopher I.; ROOSTAEIAN, Jason. Simplifying blepharoplasty. Plastic and reconstructive surgery, 2016, 137.1: 196e-213e.

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