眼瞼下垂の症状「カーンズ・セイヤー 症候群」
「眼瞼下垂(がんけんかすい)」につながる「カーンズ・セイヤー症候群」の基本的な原因は、ブログ記事:後天性眼瞼下垂の症状「カーンズ・セイヤー (Kearns-Sayre)症候群」で説明しました。
ここではさらに具体的にカーンズ・セイヤー症候群をみていきます。
カーンズ・セイヤー症候群とは、眼瞼下垂を生じさせる外眼筋麻痺に加え、眼のなかで光を感じる網膜に異常 がみられる「網膜色素変性(もうまくしきそへんせい)」、場合によっては突然死も危惧せねばならない致死性不整脈である「心伝導障害」の3つの徴候が条件となります。
ただ、この3条件が揃わない不完全型もみられます。
ミトコンドリアの異常から発症するのですが、極めて稀有な疾病であり、小児も含め年代を選ばず発症します。
眼瞼下垂については、初期には片方の目に発症することもありますが、ゆっくりと進行するにつれて両方の目ともに眼瞼下垂となります。
遺伝性も明確ではありませんが、点突然変異(遺伝子の一つの塩基が置き換わる)の場合は母系を伝わって遺伝することがあるようです。
「難病情報センター」のWEBサイトにリンクされている「国立精神・神経医療研究センター病院遺伝カウンセリング室」の冊子によれば、カーンズ・セイヤー症候群もそのひとつであるミトコンドリア病は、2009年の10月に、国の難病対策の一つの「特定疾患治療研究事業」の対象として認められました。
この事業は、ある疾病にかかった患者さんに対し、決められた条件を満たす場合に医療費を助成し、難病の原因究明や治療法開発などを目指した調査研究の進捗を図るものです。
ミトコンドリア病と認定されるためには、定められた条件を満たす必要があります。
カーンズ・セイヤー症候群は、難病と認められているように、現在の時点では根本的な治療方法はまだ発見されていませんが、現在も治験中の薬剤も数種存在しています。
したがって眼瞼下垂も含め対症療法が主となっています。
たとえば、発作時はエネルギー消費を抑えるため安静・睡眠が奨励されます。
糖質制限と脂質優先摂取、バルプロ酸などのミトコンドリア毒を避けること、発作時にはL-カルニチン、コエンザイムQ、ビタミンB1・Cを中心とするビタミンカクテル療法を行う。