眼瞼下垂手術の費用相場は?費用と保険適用・自由診療について解説

Dr.髙田

眼瞼下垂専門病院での手術を検討する際、

どれくらいの費用がかかるの?」
「より安く手術を受ける方法はあるの?」

「より良い内容の手術が受けたい!!」

といった費用に関する不安や疑問、要望を持っている方も、多いのではないでしょうか。

この記事を読めば、眼瞼下垂症手術を受けるにあたっての費用を知ることができるので、ぜひ参考にしてください。

なおこの記事は、眼瞼下垂手術に関しての専門家として、2022年においては年間2000件以上の眼瞼下垂症手術を執刀している当院 院長 高田 尚忠が執筆しております。

※この記事は、2023年11月時点での情報を参考に執筆しています。

ABOUT ME
高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

1.眼瞼下垂手術と費用相場

重度の眼瞼下垂症の症例写真

眼瞼下垂とは、その名前の通り、瞼(目蓋/まぶた)が垂れ下がり、見えにくくなる病気です。

まぶたが重い、見えづらい、特に上方の視野がせまいというのが主な症状となります。

さらに瞼(まぶた)を挙上できないために、額(おでこ)の筋肉を使って無理やりあげようとする代償行為による眉毛挙上や、顎を挙げて見ようとする頸部後屈(chin-up)によって首や肩や背中の筋肉の過緊張により、頭痛や肩こりの原因となると考えられてます。

また、上記の写真のように、外見的にも、二重幅が広くなることで眠たそうな見た目になるため整容面の問題が生じます。

見にくさや視野の改善のため、また副次的に頭痛や肩こり、整容面の改善を得るために手術を行います。


眼瞼下垂症手術は、切開を伴う手術ですので、傷口が改善し日常生活に戻るための時間、ダウンタイムが必要です。


ダウンタイムが明けてから、初めて、手術の効果を実感できると言えます。

まずこの章では、日本頭蓋顎顔面外科学会 眼瞼下垂症診療ガイドラインを踏まえ、

  • 一般的な眼瞼下垂手術の内容
  • 眼瞼下垂専門クリニックでの手術費用相場

をご紹介します。

1-1.眼瞼下垂手術には、様々な手術方法がある。

眼瞼挙筋前転法(TKD切開・ファシアリリース法)の手術途中
内出血もなく、驚くほど腫れも少ないと言えます。

眼瞼下垂症を手術で治すには、様々な手術方法があります。

眼瞼挙筋前転法(タッキング)眼瞼挙筋腱膜を露出させ、短く折り畳むようにして瞼板軟骨に縫着する方法で、全ての眼瞼下垂症手術の基本となるものです。
眼瞼挙筋短縮法眼瞼挙筋腱膜を短くカットして、そのまま、瞼板軟骨に縫着する方法で、挙筋機能が弱い症例に用いられる手術方法です。
ミュラー筋タッキングミュラー筋を露出させ、短く折り畳むようにして瞼板軟骨に縫着する方法です。
ミュラー筋を露出させるのは、比較的容易であるため、最近、この手術を第一選択とする術者が多いと言えます。
ただし、術後眼瞼痙攣のリスクがあり、注意が必要です。
眉下切開/眉上切開眉の境目で、皮膚を必要両カットする手術です。
比較的、顔の雰囲気が変わらないという手術を受ける側のメリットがあります。
開瞼幅を広がらないため眼瞼下垂症症状の改善としては弱いのですが、眼瞼の皮膚を引き上げる要素があり、皮膚の重みを感じるケースには良い適応があります。
ただ、どうしても、体質により傷が傷が目立つケースもあり注意が必要です。
当院では、眼瞼挙筋前転法などの手術後においても、皮膚の余剰が残っている場合に、追加で皮膚の被りを改善させる目的で選択することが多いです。
単純皮膚切除皮膚弛緩などによる偽眼瞼下垂などにおいて、単純に余剰の皮膚を切除するだけの手術です。
安易に大量の皮膚の切除を行うことは、回復不可能な兎眼のリスク・瞼の皮膚の歪みが出てしまう場合があります。
本質的に、眉の分厚い皮膚を引き下げる要素があるので、余計に瞼の皮膚の重みを術後感じてしまうこともあります。
前頭筋吊り上げ術(筋膜移植/ゴアテックス移植)先天性眼瞼下垂症などで挙筋機能がない場合、通常の眼瞼挙筋前転法などの手術では、開瞼の改善は期待できません。
そういった症例において、瞼の瞼板軟骨と前頭筋を身体から採取した(側頭筋・大腿筋など)筋膜で繋ぐ手術です。
移植筋膜ではなく、人工のゴアテックスを代わりに使用するケースが主流になりつつあります。

1-2.眼瞼下垂手術の手術費用相場について

眼瞼下垂手術の方法は、一部の医療機関で行われている埋没法と呼ばれる切らない手術方法もありますが、皮膚切開を伴う方法が一般的です。

  • 保険診療 健康保険の制度を利用して、負担割合に基づく費用負担ですみます。
  • 自由診療 単なる整容面の改善のための手術は保険適応になりませんが、よりこだわった内容の手術を受けることが出来ます。

保険診療を謳っているのに、実際に、カウンセリングを受けてみると、高額な自由診療をすすめられることもありますが、眼瞼下垂症を治療をする場合、大部分のケースが「保険適応による手術」となります。

眼瞼下垂症手術にかかる手術費用が一般的な病気やケガの治療費と同様の扱いとなり、意外にも低額で受けられます。健康保険が適用される保険診療だからです。

眼瞼下垂症は、視界が狭くなることで視機能に影響を及ぼす眼科疾患であるため保険が適用され、保険診療の負担割合に基づく自己負担で手術を受けられます。

医療費控除に関しては、「Q&A.医療費控除は受けられる?」で詳しく解説しています。

保険診療の場合には、保険点数と言うことで手術の料金が全国、全施設一律に定められており、下記のようになります。

K219 眼瞼下垂症手術
  1. 眼瞼挙筋前転法 7,200点
  2. 筋膜移植法 18,530点
  3. その他のもの 6,070点

したがって、保険適応で通常の眼瞼下垂症手術を行う手術の場合 1の 眼瞼挙筋前転法 に該当します。

結果として、おおよそ、3割負担であれば、片眼につき21600円(1割負担であれば、7200円)となります。

そのほかに、短期滞在手術等基本料1(日帰りの場合)、術前検査、術後の診察代、薬剤の費用が合計2万円ほど別途かかります。

眼瞼下垂手術の手術方式によっての料金の違いは、次の章でご説明いたします。

1-3.眼瞼下垂手術を受けるための流れ

眼瞼下垂専門クリニックで手術を受ける場合、基本的に、術前の診察・カウンセリングが必要です。

術前の診察では、眼瞼下垂症状を引き起こす疾患などを念頭に置いて、眼瞼下垂症か?どうか?の判断を行います。

眼瞼下垂専門クリニックで行う眼瞼下垂症手術の費用相場は、保険診療であれば、全国一律です。

保険診療の3割負担であれば、片眼につき約18,000〜55,000円で、手術方法により幅があると言えます。

ただ、基本的には、眼瞼挙筋前転に準じたものになるので、
結果として、おおよそ、3割負担であれば、片眼につき21600円(1割負担であれば、7200円) となります。

そのほかに、短期滞在手術基本料 術前検査、術後の診察代、薬剤の費用が約2〜3万円程度、別途かかるイメージとなります。

自由診療主体の手術説明の問題点

自由診療主体のクリニックの場合、概ね、カウンセラーによるカウンセリングがメインとなり、医療的なことよりも、セールス的な価格に焦点を当てたものに成りやすいとも言えます。

結果、美容医療サービスに関するトラブルが急増しているとも言えます。

SNSなどを使ったインフルエンサーマーケティング、リスティング広告、ターゲット広告などで、低額を謳っておきながら、実際には、他の施術を提案されたりして、高額な見積もりを提示されることもあります。

さらには、カウンセラーや担当医師により、モニター特別割引、当日割引などの名目で見かけ上の割引きを行いつつ、何時間も監禁して、その場での契約や施術を強引に迫る勧誘や、広告掲載の金額より高額を請求するアップセルで契約をさせているケースが目立ちます。

きちんとしたクリニックであれば、医療的なリスク、費用についての根拠を含めて中立な立場での説明となると思います。

少なくとも、当院では、そのように心掛けております。

美容外科での保険適用について

保険診療を取り扱わない美容外科をはじめ、自由診療主体のクリニックの場合には、手術内容などにより変動し、さらに高額になることも。

ただ、保険診療を取り扱っているクリニックのほとんどが「術前診察・カウンセリング」を保険診療で行っているので、

  • 自分の眼瞼下垂の状態は、手術をする必要があるのか?
  • 自分の眼瞼下垂の状態であれば、どういった手術方法を選択し、手術費用として、おおよそいくらかかるのか?

などを、眼瞼下垂専門医の診断を受け、詳しくお話をすることをお勧めします。

保険適応ではなく、自由診療のみのクリニックでも、カウンセリングは無料の場合も多いので問題はありませんが、強引で言葉巧みなセールスに引っかかってしまうこともあるので、注意が必要です。

したがって、Noが言えない方は、美容クリニックの無料相談はお勧めできないとも言えます。

もちろん、保険診療であった場合には自己負担分の費用ですので、非常に低額でカウンセリング、手術説明が受けられます。

そして、高田眼科・フラミンゴ眼瞼美容クリニックでは、無料のメール相談を随時行っていますので、遠方の方でも、気軽に「眼瞼下垂症」についての質問をすることができます。

これって眼瞼下垂?
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2.保険診療における眼瞼下垂症手術の種類とそれぞれの費用

2-1.眼瞼挙筋前転法、眼瞼挙筋短縮法、ミュラー筋タッキングの費用

眼瞼挙筋前転法とミュラー筋タッキングは、保険診療では、料金的がひとまとめにされております。

主に、瞼の表側から、つまり、瞼の皮膚を切開または切除し、眼瞼挙筋腱膜または、ミュラー筋を露出させ(見えるようにして)、瞬目(まばたき)の起点となる瞼板軟骨との位置を細いナイロンの糸で、目が開きやすくなるように縫合固定し直す手術方法です。

先に述べたように、

K219 眼瞼下垂症手術 の 1 眼瞼挙筋前転法 7,200点 (片眼)に該当し、保険医療機関は、1点あたり十円の計算となり、結果として、7,200点=72,000円の報酬となり、そのうちの自己負担が3割となれば、72,000円の30%である21,600円という手術費用と手術の際に支払うことになります。

この手術費用の他に、術前の血液検査・術前の診察・検査料金・麻酔手技料金などが別途必要となります。

3割負担の場合、標準的な眼瞼下垂症手術の費用は、両眼で約50,000円程度です。

2-2.眉下切開/眉上切開手術(アイリフト)・単純皮膚切開手術の費用

眉下切開/眉上切開手術(アイリフト)・単純皮膚切開手術は、瞼を引き上げるための筋肉である眼瞼挙筋・ミュラー筋に操作を加えず、単純に皮膚を切り取るだけの手術となります。

したがって、K219 眼瞼下垂症手術 の 3 その他のもの 6,070点 (片眼)に該当し、保険医療機関は、1点あたり10円の計算となります。

したがって、6,070点=60,700円の報酬となり、そのうちの自己負担が3割となれば、60.700円の30%である18,020円という手術費用と手術の際に支払うことになります。

3割負担の場合、眉下切開手術は、両眼で約45,000円程度です。

2-3. 筋膜移植/前頭筋吊り上げ術の費用

筋膜移植/前頭筋吊り上げ術は、眼瞼下垂症手術でも大変特殊な手術方法です。

瞼の構造体である瞼板と眉を持ち上げる筋肉である前頭筋を身体から採取した筋膜で繋げる手術となります。

したがって、K219 眼瞼下垂症手術 の 2 筋膜移植法 18,530点 (片眼)に該当し、保険医療機関は、1点あたり十円の計算となり、結果として、18,530点=185,300円の報酬となり、そのうちの自己負担が3割となれば、185,300円の30%である55,590円という手術費用となります。

人工のゴアテックスを用いた場合には、医療材料として、実費でご請求される形となります。

2-4. 医療保険を使うと更にお得になることも・・・。

民間の医療保険に加入しているのであれば、保険診療(公的医療保険)ではカバーできない支出(自己負担)を補うことができます。

中には、保険外手術(自由診療による手術)でも、眼瞼下垂症という診断が付いてさえいれば、給付を受けられる保険が多いと言えます。

また、多くの民間医療保険は、入院給付金と手術給付金が基本保障となっています。

眼瞼下垂手術は、一般的に入院無しの日帰り手術で行うことが多いのですが、入院施設を持つ病院で手術を受けた場合には、入院給付金も受けられることもあります。

手術給付金・入院給付金についてはご加入の保険会社にお問い合わせください。

3.眼瞼下垂手術で保険適用になる条件・基準

例えば、当院での手術にあたっては、原則、保険適応の手術となっておりますが、

  1. 他院の切開手術後の修正手術の場合
  2. 整容的、審美的な要望がある方の場合
  3. 糸による二重手術(埋没法手術)を一度でも受けられたことがある場合
  4. 怪我などで眼瞼下垂症手術を難しくするような瘢痕状態になってしまっていると想定できる場合
  5. 挙筋機能の無い先天性眼瞼下垂症の場合

以上の条件に当てはまる場合には、自由診療(保険外手術)とさせて頂いております。

逆に言えば、当院の場合、眼瞼下垂症手術が保険診療での手術となる条件としては、眼瞼下垂症という診断がつく状態であることと、上記の自由診療に当てはまらないことになります。

3.1 保険診療の眼瞼下垂手術と美容手術との違い

高田 尚忠
高田 尚忠

保険診療では、術前に患者様に仕上がりのイメージをシュミレーションする等は敢えて行ってはおりません。術中に、デザインの要望を聞いて、調整することも致しておりません。

眼瞼下垂症手術を保険診療で行う場合には、二重の幅などの仕上がりについて、ご本人のご希望を反映することはないとお考えください。

保険診療による眼瞼下垂症手術は、二重幅を作るために行う手術ではなく、あくまで眼瞼下垂症の治療、つまりは瞼を開けやすくすることを目的に行うものとなります。

つまり、必ずしも、二重となる、さらに言えば、ご希望の二重になるという前提、そうなるという結果を保証して行っているわけではありません。

特に、保険診療で行う場合には、施設によっては、皮膚切除を行わず、切開のみで行う場合も多くあります。

ましてや、眼窩脂肪、ROOFなどの切除を行うところは、さらに少ないとも言えます。

当院の場合は、保険診療での眼瞼下垂手術の際には皮膚切除量を3mm以下を基準として少なくしております。

結果として、皮膚切除の少ないため、保険診療の場合、奥二重、被さった一重瞼になる可能性も少なからずあります。

皮膚が厚ぼったいケースや皮膚の被りが術後強く出た場合には、通常の眼瞼下垂の手術に、経過をみてから、追加して、眉下切開を行うことをお勧めしております。

皮膚切除を多くするメリットは、術後の皮膚の被りを無くすことができるというメリットがありますが、逆に、皮膚の取りすぎのデメリットも考えないといけません。

眼瞼下垂手術における皮膚切除のデメリット

眼瞼下垂手術における皮膚切除のデメリットとして、まずは、眼輪筋を含め、皮膚切除が過剰であった場合には、目が完全に閉じなくなる兎眼が挙げられます。

そして、瞼の皮膚は、身体の中でも一番薄い皮膚なのですが、その厚みは、眉の方に向かって、段々と厚くなります。

したがって、その薄い皮膚を切除すぎると、それを埋めるために、眉側の分厚い皮膚が移動してきます。

結果として、腫れぼったい瞼になってしまう関係上、切除量には限りがあります。そういった意味で、保険診療では、皮膚切除の量を限定して行うようになっております。

眼瞼下垂症手術における自然な二重幅とは

一般的に、二重幅は広ければ広いほど、不自然さが出てくることが多いとは当院は考えております。

つまり、もともと、日本人は、人種的に一重の方が多いですので、二重瞼は、ある程度、狭い方が問題になりにくい、つまりは、自然な状態の瞼と見られやすいと言えます。

また、当院での保険診療手術における二重幅は、美容手術ではないという前提で、無理に二重にするのではなく、あくまで、自然の流れでの二重になるという意味でのお任せでという形になっております。

さらに申し上げれば、二重の幅などを含めて仕上がりの結果に関しては、術前に保証するものではなく、あくまで、術中に術者の私が自然で問題ない状態にまで仕上がったときに、ご本人(可能であれば家族にも)に実際に確認していただくことで担保しております。

あくまで、当院が自然であるという二重幅などを基準としており、明確な幅をお示ししておりません。

ただし、術者の自然だという認識と、手術を受けられた患者様の自然さとの認識には齟齬(そご)が生じることがあり得ますので、ご注意ください。

ただ、言葉で表現すると、一般的に美容外科が行っている二重切開よりも、やや狭めの二重幅になることが多いと思っていただければ幸いなのですが、逆に、瞼の状態、例えば、皮膚の余りの量、皮膚の硬さ、厚みなど、さまざまな条件によっては、広めの二重になるケースもあります。

高田 尚忠
高田 尚忠

蒙古襞がない瞼は、自然と、少し広めの二重幅の平行型になっていると言えます。

例えば、年齢を重ねると、一般的に蒙古襞がなくなっていくため、どうしても、蒙古襞がないケースの場合、二重というのは平行型なりやすいため、手術で無理に狭い二重に固執するよりも、ある程度、平行型の広めの二重にすることもあります。

上の図のように、目頭の二重の線は、蒙古襞に引き込まれ性質があるため、蒙古襞があると末広型二重になります。逆に、蒙古襞がなければ、平行型二重になります。

被りを無くす、二重を確実に作る、平行型二重などの希望する二重を目指すのであれば、自由診療での手術を検討すべきだと言えます。

当院の場合、他院修正ではない形での自由診療であれば、二重について配慮をした眼瞼下垂症手術を行っております。

自由診療の場合には、可能な限り、ご希望の二重になるように、皮膚切除、切開デザイン、眼窩脂肪切除、ROOF切除などを保険診療よりも突っ込んで行うようにしております。

しかしながら、自由診療の手術でも結果を約束することが出来る訳ではありません。

瞼の状態、それに対しての希望される瞼とのギャップ、術後の経過など、さまざまな要素で、計画通りにいくというお約束は難しいからです。

3.2 過去に埋没法の手術済みの場合は保険適用できる?

高田 尚忠
高田 尚忠

他院修正手術は、通常の眼瞼下垂症手術よりも格段に難しく、症例ごとに、即興で、瞼の状態に合わせて手術内容を工夫し、変えていかなければなりません。

埋没法術後を含め、他院の修正手術の場合、元の術者による手術内容の差が多いので、結果として、瞼の状態の差が大きくなり、難易度が症例ごとに大きく変わり、その状態により、手術内容に色々とアレンジや工夫を重ねていかねければなりません。

結果、以前の瞼の手術に伴って出来ているだろう瘢痕組織の問題などが大きいと考えられますので、非常に高度な手術技術が必要とされるため、術後のトラブルのリスクが高いと言えます。

そういったこともあり、当院では、リスク要素が術前にきちんと見積もられるケースにおいては保険適応手術で行い、リスクが大きく高度な技術が必要な手術は、自費診療の手術となります。

背景としては、眼瞼下垂症という疾患が有名となり、眼瞼下垂症手術を行う医療機関が増え、結果として、失敗して、当院での修正を希望される方が非常に多くなっております。

そういった他院修正のケースでは、手術において、埋没糸の除去、瘢痕組織の切除など、保険適応手術の範疇を超えた内容のものが多くなり、非常に苦労する症例ということもあり、通常の症例の方とは、分けて考えるべきだと考えるようになりました。

また、術後の経過においても、そうった手術を行っていると、思いのほか経過が悪いということもあります。

修正手術において、前医による瘢痕組織を全て取り除けるわけでもありませんので、その影響で、手術結果が予定通りに出ないこともあったりして、再手術になるリスクが高くなります。

加えて、そういう美容手術を受けられた方は、単なる疾患としての眼瞼下垂症の治療以上に、審美的な要素への欲求が強いキャラクターの方も多いのもあります。

したがって、そういった他院修正手術の場合において、術後のフォロー等を行う場合には、医療機関としても相当の心理的なストレス、労力、時間がかかります。

つまり、術前カウンセリング、手術、術後のフォロー等に必要な時間が多くなると考えております。

当院としては、保険診療での眼瞼下垂症にこだわっていれるのは、手術時間を出来るだけ短時間にし、術後の経過を安定させることで、手術の回転数を上げることができるからです。

大変申し訳ありませんが、以上の理由から、埋没手術後については、現在の当院のルールでは、保険適応外での手術となりますので、ご理解ください。

埋没法術後の場合には、手術中に、前医で縫合された埋没糸の除去は、手術においては必須ですので、除去できるものは、全て取り除く形になります。

ただ、先に述べさせていただいたように、術者ごとに、埋没法のやり方は千差万別で、使用する縫合糸、縫い方、縫う場所、縫合する本数などはバラバラになります。

特に、透明な糸を使用したり、何箇所も埋没してしまっている場合には、全てを取り除くことは不可能な場合もありますので、注意が必要です。

また、埋没の糸は、通常は、ナイロンのような糸なのですが、生体にとっては異物となりますので、意外にも瘢痕組織形成を引き起こし、眼瞼下垂症手術への妨げとなることも多いと言えます。

当院の考え方として、切らない眼瞼下垂症手術については、術後成績が不安定であり、結果として、高額な手術費用と合間ってトラブルとなる可能性が高いと考えております。

さらには、術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)などの瞼の不調を起こすことが多いため、当院では基本的に行っておりません。

だからこそ、当院は、切開にこだわった手術を行っております。大事なことですが、今回、自由診療で行なったとしても、他院手術の修正手術でもありますので、

基本的には、二重の幅などを含めて仕上がりの結果に関しては、術前に保証することは難しいものがあり、あくまで、手術中に仕上がったときにご本人(可能であれば家族にも)に実際に確認していただくことで担保するに過ぎないと言えます。

つまり、今回、ご希望の二重幅になるように、配慮を行ったとしても、瘢痕組織があるような他院修正手術においては、思った通りに二重を作成することが難しいと言えます。

3.3 軽度眼瞼下垂の手術における保険適用

目を見開いた状態

世の中には不明瞭な要素で自由診療を勧めてくるクリニックがありますが、明確にさせて頂いております。

瞼の形・眼瞼下垂症の程度等の理由で、保険適用外にすることはありません。

つまり、眼瞼下垂症の診断基準に則って、眼瞼下垂症と診断でき、かつ、自由診療のルールに当たらなければ、原則、保険診療での手術となります。

3.4 保険適用の場合、デザインは追求できるのか

先に述べた通り、理想の審美的な結果に、こだわった眼瞼下垂症手術を希望されるのであれば、自由診療での手術を選ばれると良いかと思います。

クリニックによっては、保険診療が「審美的な要素」などの「結果責任を負わない」のを前提の手術であることを逆手に、酷い手術を行っている場合もあります。

確かに、当院の保険診療でも、瞼の状態をみて、必要に応じて手術を行っておりますが、

保険診療の場合には、皮膚切除、眼窩脂肪切除、ファシア剥離、Roof切除、眼輪筋切除、眼瞼挙筋前転などを組み合わせや、それらの切除量に関しては、制限をかけることにしております。

具体的には、皮膚切除については、余剰皮膚に関わらず、切除量を3mm以下にさせていただいております。

皮膚切除が少ない分、眼輪筋切除、眼窩脂肪切除、ROOF切除などは、限定的になります。

結論として、組織切除量が少なければ、手術のリスクは下がります。

高田 尚忠
高田 尚忠

形成外科手術は、術前と術後の差を大きくとればとるほど、誤差が強くなります。つまりは、リスクが上がっていきます。

ただ、保険診療は、機能回復を主とした目的となるもので、審美的な部分に関しての要素は出来るだけ排除し、リスクを下げる考えが大事だと考えております。

切除量が少なければ、兎眼のリスクが下げられますし、残存組織量も多いため、修正手術となった場合の選択肢も広くなります。

したがって、眼瞼下垂症手術は、基本的に保険が適用されるのですが、特殊な条件、リスクが高い場合においては、当院に限らず、自由診療による手術が行われる形になります。

特に、他院修正手術に関しては、症例ごとに難易度が異なりますが、総じて非常に難しい手術ですので、他院修正手術自体を完全に断っている医療機関の方が多いと言えます。

眼瞼下垂手術における病院選びのポイント

眼瞼下垂は手術を受けたとしても、医師により手術技術の差によって、ダウンタイムの長さの幅が大きく違ってきます。

周囲から見ても、傷の状態が分からなくなる程度になるのは、最短で1ヶ月であるものの、場合によっては。6ヶ月以上かかってしまうこともあります。

このように眼瞼下垂症手術のダウンタイムは、意外に長期になることもあるため、再手術など術後のフォローをしっかりしてくれる医療機関を選択すべきだと考えます。

特に、自由診療での眼瞼下垂症手術は、非常に高額になる場合も多く、中には、軽自動車が新車で買えてしまうような金額の請求をされるようなケースもありますし、さらに再手術となり、高額な費用負担を再度、請求されることもありますので、注意が必要です。

  1. 明瞭な料金提示
  2. 手術内容・目的に対して納得できるカウンセリング内容
  3. 手術のメリットだけでなく、デメリットをしっかり説明できてるか?

の3点を満たす病院を選ぶことをおすすめします。

病院のHPやカウンセリングで、次のポイントをよくチェックしておきましょう。

眼瞼下垂手術を自由診療で受ける場合にチェックするポイント

・手術にかかる費用の内訳がはっきりしているか
…何に(薬、診察、施術、検査など)どれだけ(ひと月、1回の診察、3ヶ月など)かかるかが明確になっている

・その料金プランの治療に対する効果がイメージできるか
…HP上の治療説明や、カウンセリングで症例写真を確認するなどして、自分が望むレベルの変化がイメージできればOK

これらに加えて、自分が払える予算の上限をしっかり決めておくと良いです。

前章でお伝えしたとおり眼瞼下垂症手術は保険適用であったとしても、同じ金額や手術方法であっても、病院やクリニックによって、その内容が大きく異なりますが、自由診療の場合には、よりバリエーションがあり、非常に複雑になっております。

3.5 眼瞼下垂が原因のおでこのしわ治療は保険適用になる?

眼瞼下垂症になると、目の開きづらさをカバーするために、前頭筋が働くことで、おでこにシワが入る状態になります。

そして、眼瞼下垂症手術を行い、上手く眼瞼下垂の状態が改善されれば、当然、前頭筋を使用することなく、目を開くようになれば、おでこのシワが治る可能性があります。

そういった意味で、保険適用の眼瞼下垂症手術でも、おでこのしわが改善する可能性は多くあります。

ただし、おでこのシワの治療には、眼瞼下垂症手術だけではなく、自由診療(美容施術)ボトックス注射が、リスクも少なく、非常に効果的でお勧めできます。

3.6 近さだけ、手軽さだけで病院を選ぶのはNG?

眼瞼下垂手術は再手術になると、初回以上に手術難易度が上がってしまう可能性があり、修正が難しくなる可能性があります。

自由診療の場合、薬や施術自体の料金に加えて、治療効果や安全性に影響するプラスαのサービスで金額が変わります。

例えば、

  • 使用する縫合糸を細くする
  • 局所麻酔に使用する針を極限まで細くする
  • 仕上がりについての患者様本人のコダワリに配慮した術前のカウンセリング

などです。

そのため『安ければお得』というわけではありません。

このように病院やクリニックによって治療費に含まれるサービスに違いがあるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

眼瞼下垂症手術においては、結果的に、ある程度の二重になることが多いものだという認識です。

眼瞼下垂症手術を行うと、術後眉毛下垂が起きます。

それは、当然、目を開きやすくすることで起こる額の筋肉の脱力で、眉が下がり、瞼の皮膚の弛みが出てきて、手術中のデザインよりも二重幅が狭くなることが予想されます(ならないこともあります・・・)。

もちろん、手術中の腫れも引くと、二重幅は、より狭くなります。

そう言った意味でも、術前から眼瞼下垂症手術で二重幅を約束すること自体が難しいという考え方でおります。

瞼の開き易さを変えない、つまりは、手術によるオデコの筋肉の脱力が発生しない単純な二重切開や二重埋没手術とは、その点が異なるとも言えます。

3.7 海外での「眼瞼下垂手術」はおすすめしない

海外(特に、美容整形大国の韓国などで)で美容手術旅行を受けてくるケース、いわゆる韓国整形ツアーがありますが、

  • 偽医者による素人手術の恐れががある
  • トラブルが起きた際の保証がない
  • 言葉が通じず、美的センスが日本人とは異なっているので、トラブルになりやすい

などのリスクが高いため、「海外で安易な手術」は行わないようにしましょう。

4.眼瞼下垂症手術の費用に関するQ&A

最後に、眼瞼下垂手術の費用に関する代表的な5つの疑問にお答えします。

Q1.治療費によって効果に違いは出る?
Q2.もっと費用を抑えた治療はある?
Q3.自由診療のクリニックでは、いきなり高額な治療費がかかるの?
Q4.医療費控除は受けられないの?
Q5.一度、眼瞼下垂手術を受けたら、一生再発しないの?

どれも、眼瞼下垂症専門クリニックでの手術を検討する際に役立つ情報ばかりですので、気になる質問からチェックしてみてください。

Q
治療費によって効果に違いは出る?

瞼の状態は、個人差が非常に大きく、バリエーションに富んでいます。

自由診療による眼瞼下垂症手術について、クリニックによって手術費用に差があるのは、保険適用外であるがためにクリニック側が自由に価格を決めることができるからです。

逆に、保険診療の場合は、手術術式により、手術費用が保険療養規則により決められているので、全国一律となっております。

しかも、クリニックごとに治療費が違っており、手術で行われている手術の内容は、医療機関によりことなっており、同じ費用だとしても、効果や仕上がりに大きな差があります。

ただ、 眼窩脂肪除去 ⇒眼窩脂肪を除去すると、瞼の重みが取れて、一層、眼瞼下垂改善の効果が高まる ROOF脂肪切除 ⇒「眼窩脂肪除去」のみでは、不十分な瞼の腫れぼったいケースでは、「眼窩脂肪除去+ROOF脂肪切除」など によって、手術費用や効果は変わります。

多くの医療機関では、上記の手技が含まれると自由診療となるケースがあります。

高田眼科(ひとみ眼科)では、「3.自由診療による眼瞼下垂手術の費用でクリニックを選ぶには?」で、ご説明したように、 瞼の形・眼瞼下垂症の程度等の理由で、保険適用外にすることはありませんが、保険診療の場合には、組織切除量などは、リスクを出来るだけ抑えるようにしております。

Q
もっと費用を抑えた治療はある?

費用だけで考えれば、保険適応として手術を受けることが一番低額に抑えられます。

眼瞼下垂症治療は、眼瞼下垂を保険適応と明示しているクリニックで、カウンセリングを受け、手術法の選択する⇒保険診療なので全額自己負担とならず、自由診療よりも安い 美容手術を専門にしている美容外科クリニックを選ばない⇒「眼瞼下垂専門クリニック」であれば、その他の美容手術を勧めてこないなど、費用を抑えて治療する方法もあります。

治療費を抑えたい場合は、保険適応のクリニックでの治療がおすすめです。

Q
クリニックでは、いきなり高額な治療費がかかるの?

ほとんどのクリニックでは、はじめに「カウンセリング」を実施しています。

「1-2.眼瞼下垂手術を受けるための流れ」でも紹介したように、保険診療の眼瞼下垂手術に対応しているクリニックではまず「保険診療によるカウンセリング」を実施しているため、いきなり高額な治療費を請求されることはありません。

例えば、高田眼科(ひとみ眼科)でのカウンセリングでは、 担当医師による眼瞼下垂の診断 専門スタッフによるヒアリング・説明 眼瞼下垂の知識や原因、治療方法についての詳細な説明 眼瞼下垂症手術を受けるための流れ、受けた後のフォロー 実際の治療に掛かる費用の見積もりなど、眼瞼下垂症の基本的な情報から実際の治療に関して、幅広く相談できます。

眼瞼下垂症専門クリニックでの治療(手術)を検討している方は、さまざまなクリニックで「保険診療による術前診察」を受けて、その中から治療を受けるクリニックを探すことをおすすめします。

Q
医療費控除は受けられないの?

基本的に、眼瞼下垂手術には医療費控除は適用されます。

「1-2.眼瞼下垂手術を受けるための流れ」でもご紹介したように、眼瞼下垂手術は保険適用の保険診療なので、全額自己負担とはなりません。

加入されている保険診療の負担割合で、眼瞼下垂手術が受けられます。 そのため、眼瞼下垂症手術に必要な治療費や検査代もすべて、医療費控除の対象となります。

しかし、 審美的、つまり美容目的 他院修正 といったことがきっかけで眼瞼下垂手術を行った場合は、医療費控除の対象外になるケースもあります。

「自分が受ける眼瞼下垂症手術が、美容目的であるものかも知れない…」という方は、確定申告などの手続きを行う税務署に問い合わせてみましょう。

医療費控除の申請に必要なもの 確定申告の申請用紙 領収書 源泉徴収票 口座情報 税務署に問い合わせて医療費控除の対象となった場合は、これらの書類を用意して、忘れずに申告を行うようにしましょう。

医療費控除の申請に必要なもの
  • 確定申告の申請用紙
  • 手術を受けた際の医療機関の領収書
  • 源泉徴収票
  • 口座情報

税務署に問い合わせて医療費控除の対象となった場合には、これらの書類を用意して、忘れずに申告を行うようにしましょう。

Q
一度、眼瞼下垂手術を受ければ、一生再発しないの?

残念ながら、眼瞼下垂症手術を受けても、再発を完全に予防することはできません。

眼瞼下垂手術を受けたとしても、手術後の老化現象を止まるわけではないからです。

しかしながら、瞼の老化現象は、皮膚や眼瞼挙筋の弛みが主な要素となるので、 眼瞼下垂手術を受けることで、将来、弛んでいただろう皮膚を切除し、眼瞼挙筋の弛みを瞼板に縫合・固定するわけなので、明らかなアンチエイジング効果は十分に認められると考えます。

ただし、瞼に物理的な負担を掛けていると再び眼瞼下垂が進行してしまうので、自分の眼瞼下垂の状態と相談しながら、眼瞼下垂の予防に努めましょう。

より詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください!!

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5.まとめ

いかがでしたか?ここまで、眼瞼下垂症手術の費用に関してご説明してきました。

もう一度、眼瞼下垂手術の費用をまとめておきます。

眼瞼下垂手術の費用 まとめ

  • 保険治療
    ⇒保険診療3割負担であれば、片眼につき約18,000〜55,000円で、手術方法により幅がある。
    上記の金額に診察料や検査料、薬剤料、短期滞在手術料などを合わせたものが、実際に支払う費用です。
  • 自由診療
    ⇒病院によって、あるいは、手術内容によって、まちまちだが、保険診療にはない拘った内容の手術を受けられますが、保険診療よりも高額になることが多い。

手術治療内容や費用の根拠などをしっかりと把握して、眼瞼下垂症手術を検討しましょう!

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