眼瞼下垂の基礎知識

眼瞼下垂手術は何歳から?年齢制限と手術時期を眼科医が解説

髙田 尚忠

「眼瞼下垂手術は何歳から受けられるのだろう?」

「子どもの眼瞼下垂は、何歳まで待った方がよい?」

「70代・80代でも眼瞼下垂手術は受けられる?」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

結論からいうと、眼瞼下垂手術には「○歳から○歳まで」という一律の年齢制限はありません。

乳幼児の先天性眼瞼下垂から、高齢者の加齢性眼瞼下垂まで、必要に応じて手術が検討されます。

ただし、手術に適した時期は単純に年齢だけでは決まりません。

子どもでは、まぶたが瞳孔をどの程度覆っているか、弱視・屈折異常・斜視の有無、視力の発達などが重要です。

成人では、まぶたの位置や視野への影響、眼瞼挙筋機能、左右差などを確認します。

さらに高齢者では、皮膚のたるみ、眉毛下垂、挙筋腱膜の加齢性変化、眼瞼挙筋機能の低下、ドライアイや角膜の状態なども考慮する必要があります。

つまり眼瞼下垂手術で重要なのは、

「何歳になったら手術するか」ではなく、「その時点で手術を行う医学的な必要性があるか」

ということです。

この記事では、眼瞼下垂手術は何歳から受けられるのか、子ども・成人・高齢者では手術時期をどのように考えるのかについて、眼科医・眼形成外科医の立場から医学的根拠を交えて解説します。

眼瞼下垂手術は何歳から?一律の年齢制限はありません

眼瞼下垂手術には、一律に決められた年齢制限はありません。

子どもから高齢者まで、眼瞼下垂の原因や重症度、視機能への影響、全身状態などを評価したうえで手術が検討されます。

ただし、同じ眼瞼下垂であっても、年齢によって手術を行う主な目的が異なります。

AGE & SURGERY

年齢・時期によって異なる眼瞼下垂手術の主な判断ポイント

年齢・時期 手術を考える主なポイント
乳幼児 手術を考える主なポイント 視軸が遮られていないか、弱視の危険がないか
学童期 手術を考える主なポイント 視力発達、屈折異常、斜視、左右差、眼瞼挙筋機能
思春期〜成人 手術を考える主なポイント 視野障害、開瞼困難、眼瞼挙筋機能、左右差
中高年 手術を考える主なポイント 腱膜性眼瞼下垂、皮膚弛緩、眉毛下垂
70代・80代以降 手術を考える主なポイント 眼瞼の加齢性変化、眼瞼挙筋機能、閉瞼機能、角膜・ドライアイ、全身状態
!

手術時期は年齢だけで決まるものではありません。 視機能への影響、眼瞼挙筋機能、眼表面の状態などを総合して判断します。

このため、「○歳だから手術をする」と考えるより、現在の眼瞼下垂が視機能や日常生活にどの程度影響しているかを確認することが大切です。

子どもの眼瞼下垂手術は何歳から?

4歳児検診

子どもの先天性眼瞼下垂では、「3歳になったら手術する」「小学生まで待つ」といったように、年齢だけで手術時期を決めることはできません。

特に重要なのが、眼瞼下垂によって視力の発達が妨げられていないかという点です。

瞳孔を覆う重度の眼瞼下垂では早期手術を検討します

瞳孔を覆い視軸を遮る重度の先天性眼瞼下垂と弱視リスク

上まぶたが大きく下がり、瞳孔を覆って視軸を遮っている場合には、遮蔽性弱視を生じる可能性があります。

このような重度の先天性眼瞼下垂では、3歳になるまで一律に待つのではなく、乳幼児期であっても早期手術を検討する場合があります。

先天性眼瞼下垂患者を調べた研究では、弱視の原因として、眼瞼による視軸遮蔽だけでなく、不同視や屈折異常、斜視が重要であることが報告されています。

特に瞳孔が眼瞼によって覆われている重症例では、遮蔽性弱視を防ぐため早期手術が推奨されています。[参考文献:PMID 20349903]

一方、軽度〜中等度で視軸が確保され、視力発達にも問題がなければ、直ちに手術を行わず経過を観察することもあります。

つまり、「先天性眼瞼下垂=すぐに手術」ではありません。

症例ごとに判断する必要があります。

髙田尚忠医師
髙田尚忠医師

実際に、多くの先天性眼瞼下垂症に診断、治療に当たってきましたが、実際には、弱視を明らかに引き起こすような重度の症例はほとんどないため、焦って、乳幼児のうちに手術する必要性はないと考えております。
眼瞼下垂症は、顔面の手術ですので、やはり、ある程度、成長を待ってから手術をする方が良いと考えます。
特に、腱膜移植などによる吊り上げ手術を考える場合には、将来的に、顔の大きさが変わることにより、過矯正になることも多く、再手術の困難さからして、全くお勧め致しません。

子どもの眼瞼下垂では「まぶたの高さ」だけを見てはいけません

先天性眼瞼下垂で注意しなければならないのは、弱視の原因が眼瞼による遮蔽だけではないことです。

CHECK POINT

診察では、次のような点を確認します。

先天性眼瞼下垂では、まぶたの高さだけでなく、 視力発達・屈折・眼位・姿勢まで総合的に評価することが重要です。

01

視軸が確保されているか

上まぶたが瞳孔を覆い、 視覚刺激を妨げていないかを確認します。

02

視力に左右差がないか

左右の視力差が大きくないか、 視力発達に偏りがないかを確認します。

03

乱視などの屈折異常がないか

乱視・遠視・近視など、 弱視につながる屈折異常がないかを確認します。

04

不同視がないか

左右の眼で屈折度数に大きな差がないかを確認します。 不同視は弱視の原因となることがあります。

05

斜視を伴っていないか

眼位のずれがないかを確認します。 斜視も視力発達に影響することがあります。

06

顎を上げて見る姿勢になっていないか

まぶたで視界が遮られるため、 顎を上げて見ようとしていないかを確認します。

!

「まぶたが瞳孔にどの程度かかっているか」だけで判断することはできません。
視力・屈折・眼位を継続的に確認し、弱視の危険性を総合的に評価することが重要です。

先天性眼瞼下垂では弱視にも注意が必要です

弱視とは、乳幼児期から小児期の視力が発達する時期に、十分な視覚刺激が得られないことで視力の発達が妨げられた状態です。

先天性眼瞼下垂では、上まぶたが瞳孔を覆ってものを見るための光の通り道を遮ると、刺激遮断による弱視につながることがあります。特に重度の眼瞼下垂では注意が必要です。

また、弱視は眼瞼による遮蔽だけでなく、乱視などの屈折異常、不同視、斜視によって生じることもあります。

そのため、先天性眼瞼下垂では「3歳まで待つ」と一律に考えるのではなく、乳幼児期から視力・屈折・眼位を定期的に確認し、弱視の危険性に応じて手術時期を判断することが重要です。

先天性眼瞼下垂における弱視について調べた研究では、弱視患者の中に屈折異常や斜視を伴う症例が多く含まれていました。[参考文献:PMID 20349903]

そのため、「まぶたが瞳孔にどの程度かかっているか」だけでなく、視力・屈折・眼位を継続的に評価することが重要です。

軽度の先天性眼瞼下垂では成長を待つこともあります

ものを見るための光の通り道(視軸)が確保され、弱視の危険性が低い軽度の先天性眼瞼下垂では、必ずしも乳幼児期に手術する必要はありません。

BENEFIT

手術を待つことには、次のようなメリットがあります。

01

顔面や眼瞼の成長を待つことができる

成長に伴う顔貌や眼瞼の変化をみながら、 より適切な時期に手術を計画できます。

02

本人が手術について理解できるようになる

年齢が上がることで、手術の目的や術後の注意点を 本人が理解しやすくなります。

03

術後の安静や点眼に協力しやすくなる

術後に必要な安静、点眼、創部を触らないといった 管理に協力しやすくなります。

04

局所麻酔で手術できる可能性が高くなる

年齢や理解度によっては、 全身麻酔ではなく局所麻酔で手術できる可能性が高くなります。

05

手術中に眼瞼位置を確認できる場合がある

局所麻酔で手術が可能な場合には、 開瞼状態や左右差を術中に確認しながら調整できることがあります。

!

ただし、弱視の危険性がある場合には「成長を待つこと」よりも、 視力発達を守ることを優先します。 手術時期は年齢だけでなく、視軸、視力、屈折、斜視などを総合して判断します。

一方で、手術を待つかどうかを判断する前提として、弱視のリスクが低いことを眼科で確認しておく必要があります。

当院では、視力発達への緊急性が低い先天性眼瞼下垂については、まぶたの状態、挙筋機能、左右差、本人とご家族の理解などを総合して手術時期を判断しています。

実際には、小学校高学年〜中学生以降で手術を行うケースが、ほとんどとなっております。

ただし、これはすべての先天性眼瞼下垂に当てはまるわけではなく、弱視の危険性がある症例については早期治療を優先します。

髙田尚忠医師
髙田尚忠医師

当院の場合は、少なくとも中学生ぐらいからの手術をお勧めしておりますが、
実際には、小学6年生ぐらいのお子様から手術を行っているのが現実です。

成人の眼瞼下垂手術は年齢よりも症状と原因で判断します

成人以降では、「何歳だから手術する」というよりも、眼瞼下垂によってどの程度の機能障害が生じているかが重要になります。

診察では、次のような点を確認します。

CHECK POINT

診察では、次のような点を確認します。

まぶたの高さだけでなく、 眼瞼挙筋機能、眉毛や皮膚の状態、眼球運動、瞳孔 などを総合的に評価します。

01

上まぶたが瞳孔にどの程度かかっているか

上眼瞼縁の位置を確認し、瞳孔や視野がどの程度遮られているかを評価します。

02

MRD-1

正面を見たときの角膜中央の光反射から上眼瞼縁までの距離を測り、 まぶたの高さを客観的に評価します。

03

眼瞼挙筋機能

まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋が、どの程度動いているかを確認します。 手術方法を考えるうえでも重要な評価です。

04

左右差

左右の眼瞼位置や挙筋機能を比較し、 片側だけの眼瞼下垂や左右差の程度を確認します。

05

眉毛を持ち上げて目を開けていないか

まぶたを開けにくいために前頭筋を使い、 無意識に眉毛を持ち上げていないかを確認します。

06

皮膚のたるみを伴っていないか

上眼瞼の皮膚がたるんで垂れ下がり、 視野を狭くしていないかを確認します。

07

眉毛下垂がないか

眉毛そのものが下がることで、 上まぶたの皮膚をさらに押し下げていないかを確認します。

08

眼球運動に異常がないか

目の動きに制限や左右差がないかを確認し、 神経麻痺などによる眼瞼下垂の可能性も評価します。

09

瞳孔に異常がないか

左右の瞳孔の大きさや反応を確認します。 眼瞼下垂に瞳孔異常を伴う場合には、 単純な加齢性眼瞼下垂ではなく神経疾患などが関係している可能性があります。

!

眼瞼下垂の診断は、まぶたの高さだけでは決まりません。
MRD-1、眼瞼挙筋機能、皮膚や眉毛の状態、眼球運動、瞳孔などを確認し、 眼瞼下垂の原因と手術適応を総合的に判断します。

MRD-1は、眼瞼下垂症の手術適応の判断で重要な指標です。

MRD-1の測定方法を示す図。角膜反射から上まぶたの縁までの距離を、先天性眼瞼下垂の症例写真とともに比較

MRD-1とは、正面を見た状態で角膜中央の光反射から上眼瞼縁までの垂直距離を測定する指標です。

ただし、眼瞼下垂の診断や手術適応はMRD-1だけで決めるものではありません。

眼瞼挙筋機能、眉毛や前頭筋の代償、皮膚弛緩、原因疾患などを含めて総合的に判断します。

加齢性眼瞼下垂では「眼瞼挙筋が弱る」だけではありません

中高年以降で多くみられるのが、加齢に伴う眼瞼下垂です。

以前は「年を取るとまぶたを上げる筋肉が弱くなる」と単純に説明されることもありました。

しかし実際には、加齢性眼瞼下垂では眼瞼挙筋と瞼板をつないでいる挙筋腱膜の加齢性変化が重要です。

加齢とともに、次のような変化が生じることがあります。

  • 挙筋腱膜が薄くなる
  • 挙筋腱膜が伸びる
  • 瞼板との付着部が弱くなる
  • 挙筋腱膜が離開する

これらによって、眼瞼挙筋で作られた力がまぶたへ十分に伝わらなくなることがあります。

これを腱膜性眼瞼下垂と呼びます。

古典的な病理学的研究でも、加齢性眼瞼下垂における挙筋腱膜の変性や離開が報告されています。[参考文献:PMID 6742077]

眼瞼下垂は何歳ごろから増える?

眼瞼下垂は、特定の年齢になった瞬間に発症する病気ではありません。

しかし、加齢とともに有病率が上昇することは大規模疫学研究でも確認されています。

韓国で40歳以上の20,941人を対象に行われた全国調査では、加齢性眼瞼下垂の有病率は全体で13.5%でした。

さらに年代別にみると、

  • 40歳代:約5.4%
  • 70歳以上:約32.8%

と、加齢に伴って眼瞼下垂が明らかに増加していました。[参考文献:PMID 28338663]

この研究では、眼瞼挙筋機能が低いほど眼瞼下垂が多いことも示されています。

したがって、「女性なら40歳から」「男性なら50歳から」といったように発症年齢を明確に区切るよりも、年齢とともに眼瞼組織の加齢性変化が蓄積し、眼瞼下垂が徐々に増えていくと考える方が医学的には適切です。

70代・80代でも眼瞼下垂手術は受けられる?

高齢だからという理由だけで、眼瞼下垂手術ができなくなるわけではありません。

実際に眼瞼下垂手術は、70代・80代を含む高齢者にも行われています。

ただし、高齢者の眼瞼下垂では、若い方とは異なる眼瞼そのものの加齢性変化を考慮する必要があります。

高齢になると、まぶたそのものが変化します

加齢による変化は、挙筋腱膜だけに起こるわけではありません。

眼瞼を構成するさまざまな組織に、次のような変化が生じます。

  • 上眼瞼皮膚のたるみ(眼瞼皮膚弛緩)
  • 眉毛の下垂
  • 挙筋腱膜の菲薄化・伸展・付着部の変化
  • 眼瞼挙筋の筋量低下や脂肪変性
  • 眼輪筋などの加齢性変化
  • 眼窩脂肪や眼窩周囲組織の変化
  • 組織全体の弾力低下

そのため、高齢者の「まぶたが下がった」という状態は、一つの原因だけで起きているとは限りません。

腱膜性眼瞼下垂に、皮膚弛緩、眉毛下垂、挙筋機能低下などが複合していることがあります。

高齢者では眼瞼挙筋そのものの変性も考えます

典型的な加齢性眼瞼下垂では、挙筋腱膜の伸展や離開が重要な原因です。

一方で、すべての高齢者で眼瞼挙筋機能が十分保たれているわけではありません。

加齢性眼瞼下垂の組織学的研究では、眼瞼挙筋への脂肪浸潤・変性を認める症例が報告されています。[参考文献:PMID 3801202]

また、加齢性眼瞼下垂279眼を調べた研究では、眼瞼挙筋への中等度〜高度の脂肪浸潤が多く認められ、脂肪浸潤が強いほど眼瞼挙筋機能が低いという関連が報告されています。[参考文献:PMID 25742524]

したがって高齢者では、「挙筋腱膜を前転すれば十分に開くはず」と単純には考えず、術前に眼瞼挙筋機能をきちんと評価することが重要です。

挙筋機能が低下している症例では、手術方法や挙上量について、より慎重な判断が必要になります。

高齢者では皮膚のたるみと眼瞼下垂を分けて考えます

高齢者では、眼瞼下垂だけでなく眼瞼皮膚弛緩症を伴っていることがよくあります。

これは上まぶたの皮膚が加齢によって伸び、まつ毛側へ垂れ下がった状態です。

さらに眉毛そのものが下がる眉毛下垂が加わることもあります。

つまり、「目が小さくなった=すべて眼瞼下垂」ではありません。

実際には、

皮膚弛緩
+眉毛下垂
+腱膜性眼瞼下垂
+挙筋機能低下

が、さまざまな割合で組み合わさっていることがあります。

そのため高齢者の手術では、単純に眼瞼を上げるだけではなく、何が視野を遮っているのかを診断してから術式を選択することが大切です。

髙田尚忠医師
髙田尚忠医師

高齢者の眼瞼下垂では、挙筋腱膜の加齢性変化を主体とする「腱膜性眼瞼下垂」に、皮膚弛緩や眉毛下垂、眼瞼挙筋機能の低下が重なっていることも多いため、眼瞼下垂だけを単独で評価しないことが重要です。

70代・80代の手術では「上げすぎ」に注意します

高齢者では眼瞼の位置だけでなく、眼表面の状態にも注意が必要です。

術前には、次のような点を確認します。

  • ドライアイ
  • 角膜表面の障害
  • 閉瞼機能
  • Bell現象
  • 涙液の状態
  • 眼瞼挙筋機能
  • 皮膚弛緩
  • 眉毛下垂
  • 全身疾患
  • 内服薬

特に、高齢者で眼瞼を過度に挙上すると、術後に目が完全に閉じにくくなる兎眼(とがん)が生じることがあります。

目が閉じにくくなると角膜が乾燥し、点状表層角膜障害などの眼表面トラブルにつながる可能性があります。

したがって、高齢者の眼瞼下垂手術では、

「どれだけ大きく目を開けられるか」ではなく、「視機能の改善と角膜保護をどこで両立させるか」

という考え方が重要になります。

70代・80代であっても、眼瞼・眼表面・全身状態を適切に評価したうえで、手術によるメリットがリスクを上回ると判断されれば、眼瞼下垂手術を検討することは可能です。

若い人でも眼瞼下垂になることがあります

眼瞼下垂は高齢者だけの病気ではありません。

先天性眼瞼下垂のほか、若い成人でも後天性眼瞼下垂がみられる場合があります。

若年〜中年の後天性眼瞼下垂で、医学的な関連が比較的よく示されているものの一つがコンタクトレンズの長期装用です。

若年〜中年成人を調べた研究では、コンタクトレンズ装用、とくにハードコンタクトレンズとの関連が報告されています。手術所見では、挙筋腱膜の離開が確認される症例もあります。[参考文献:PMID 7777300]

一方、「スマートフォンやパソコンを長時間使用すると眼瞼下垂になる」という直接的な因果関係については、現時点で十分に確立された医学的根拠はありません。

スマートフォン使用によって眼精疲労やドライアイ症状が生じることと、腱膜性眼瞼下垂が発症することは分けて考える必要があります。

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急にまぶたが下がった場合は年齢にかかわらず注意が必要です

ここまで説明してきた加齢性眼瞼下垂は、多くの場合ゆっくり進行します。

一方で、次のような場合には注意が必要です。

  • 急に片方のまぶたが下がった
  • 物が二重に見える
  • 眼球を動かしにくい
  • 左右の瞳孔の大きさが違う
  • 症状が一日の中で大きく変動する

このような場合には、単純な加齢性眼瞼下垂ではなく、神経や筋肉の病気が関係している可能性があります。

動眼神経麻痺、Horner症候群、重症筋無力症などでも眼瞼下垂が生じるため、このような場合には年齢に関係なく眼科での評価が必要です。

眼瞼下垂手術の方法は年齢だけでは決まりません

眼瞼下垂手術には複数の方法があります。

どの手術を選択するかは、年齢そのものではなく、次のような要素によって決まります。

  • 眼瞼下垂の原因
  • 眼瞼挙筋機能
  • 下垂の程度
  • 皮膚弛緩
  • 眉毛下垂
  • 左右差
  • 眼表面の状態

成人で挙筋機能が保たれている腱膜性眼瞼下垂では、挙筋腱膜を適切な位置へ前転・固定する手術が代表的です。

一方、先天性眼瞼下垂などで挙筋機能が非常に弱い場合には、前頭筋の力を利用する手術が検討されることがあります。

眼瞼下垂手術の保険適用に年齢制限はある?

眼瞼下垂手術の保険適用についても、年齢だけを理由に対象外になるわけではありません。

重要なのは、眼瞼下垂によって視機能などに支障があり、機能改善を目的とした治療が医学的に必要であるかどうかです。

診察では、MRD-1や眼瞼挙筋機能、視野への影響、眼瞼や眉毛の状態などを確認します。

一方、次のような主として整容面を目的とする治療については自由診療となります。

  • 二重幅を好みの形にしたい
  • より大きな目にしたい
  • 左右のデザインを細かく調整したい

つまり、保険診療と自由診療の違いは患者さんの年齢ではなく、治療の目的によって考える必要があります。

年齢によって眼瞼下垂手術の費用は変わる?

手術そのものの診療報酬が、高齢であることを理由に高くなるわけではありません。

ただし、保険診療では年齢、所得、加入している医療保険制度などによって、実際の自己負担割合や自己負担上限が異なる場合があります。

また、自由診療では各医療機関によって料金が異なります。

眼瞼下垂手術は何歳から受けるのが正解?

眼瞼下垂手術には、すべての人に共通する「最適な年齢」はありません。

子どもの場合

弱視、屈折異常、斜視、視軸遮蔽など、視力発達への影響を最優先して判断します。

重度で視軸を遮る症例では、乳幼児期から手術を検討する場合があります。

一方、視機能への影響が少ない軽症例では、経過をみながら成長後に手術を行う選択肢があります。

成人の場合

年齢よりも、眼瞼下垂によってどの程度視機能や日常生活に支障が生じているかを重視します。

高齢者の場合

眼瞼下垂そのものに加えて、皮膚弛緩、眉毛下垂、挙筋腱膜の変化、眼瞼挙筋機能、閉瞼機能、角膜・ドライアイなどを総合的に評価します。

つまり、

「何歳だから手術する」のではなく、「現在、手術を行う医学的な理由があるか」で判断する

ことが最も重要です。

眼瞼下垂手術の年齢についてよくある質問

FAQ

眼瞼下垂手術の年齢について、よくいただくご質問をまとめました。

Q1 眼瞼下垂手術は何歳から受けられますか?
A

一律の最低年齢はありません。

乳幼児でも、重度の先天性眼瞼下垂によって視軸が遮られ、 弱視の危険性が高い場合には早期手術を検討することがあります。

一方、軽度で視力発達に影響がない場合には、 成長を待ってから手術することもあります。

Q2 先天性眼瞼下垂は3歳まで手術しない方がよいですか?
A

必ずしもそうではありません。

視軸を遮る重度の眼瞼下垂では、 3歳未満でも手術が必要となる場合があります。

手術時期は年齢だけではなく、 弱視の危険性、屈折異常、斜視、眼瞼下垂の程度 などを総合して判断します。

Q3 小学生や中学生でも眼瞼下垂手術はできますか?
A

可能です。

ただし、視力への緊急性、眼瞼挙筋機能、顔面や眼瞼の成長、 本人の理解、麻酔方法などを考慮して手術時期を決めます。

Q4 70代でも眼瞼下垂手術を受けられますか?
A

70代という年齢だけを理由に、 眼瞼下垂手術ができなくなるわけではありません。

ただし、高齢者では皮膚弛緩、眉毛下垂、眼瞼挙筋機能低下、 ドライアイ、角膜表面の状態などを確認し、 術後の閉瞼障害にも注意して手術量を決める必要があります。

Q5 80代でも眼瞼下垂手術は可能ですか?
A

全身状態や眼の状態に問題がなく、手術によるメリットが期待できる場合には検討可能です。

年齢の数字そのものよりも、眼瞼挙筋機能、角膜や眼表面の状態、 閉瞼機能、全身疾患や内服薬などを確認することが重要です。

Q6 高齢になると眼瞼下垂手術の効果が悪くなりますか?
A

年齢だけで手術効果が決まるわけではありません。

ただし、高齢者では挙筋腱膜の変化だけでなく、 眼瞼挙筋の筋量低下や脂肪変性、皮膚弛緩、眉毛下垂などが 合併する場合があります。

そのため、若い方と同じ手術を一律に行うのではなく、 眼瞼の状態に合わせて術式や挙上量を決めること が重要です。

Q7 高齢者では眼瞼下垂手術で目を大きく開けない方がよいのでしょうか?
A

必要以上の挙上は避けるべき場合があります。

高齢者ではドライアイや閉瞼機能低下を伴っていることがあり、 過度に眼瞼を挙上すると、兎眼や角膜乾燥などを生じる可能性があります。

POINT

重要なのは「できるだけ大きく開けること」ではなく、 視機能改善と角膜保護のバランスです。

Q8 眼瞼下垂手術に年齢の上限はありますか?
A

一律の上限年齢はありません。

70代、80代以降でも眼瞼下垂手術が行われることがあります。

ただし、高齢になるほど眼瞼・角膜・全身状態などの個人差が大きくなるため、 術前評価がより重要になります。

Q9 若くても眼瞼下垂になることはありますか?
A

あります。

先天性眼瞼下垂のほか、コンタクトレンズの長期使用、外傷、 眼科手術、神経・筋疾患などによって、 若い方でも眼瞼下垂が生じることがあります。

特にハードコンタクトレンズの長期装用と後天性眼瞼下垂との関連は、 複数の研究で報告されています。 [参考文献:PMID 7777300]

Q10 眼瞼下垂手術の保険適用は年齢で決まりますか?
A

年齢だけで決まるものではありません。

眼瞼下垂によって視機能などに支障があり、 機能改善を目的とした手術が医学的に必要と判断されるかどうかが重要です。

整容面を主目的とする手術は自由診療となります。

まとめ|眼瞼下垂手術は「何歳か」ではなく眼の状態で判断します

眼瞼下垂手術には、一律の年齢制限はありません。

子どもでは、弱視をはじめとする視力発達への影響を最優先して考えます。

成人では、眼瞼の位置、挙筋機能、視野や日常生活への影響などを評価します。

そして70代・80代を含む高齢者では、単なる眼瞼下垂だけでなく、次のような瞼の加齢性変化まで総合的に考える必要があります。

  • 皮膚のたるみ
  • 眉毛下垂
  • 挙筋腱膜の加齢性変化
  • 眼瞼挙筋機能低下
  • 眼瞼挙筋の脂肪変性
  • 閉瞼機能
  • ドライアイ
  • 角膜表面の状態

特に高齢者では、単に「目を大きく開けること」を目標にするのではなく、視機能の改善と眼表面の安全性を両立させることが重要です。

参考文献

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  8. Acquired ptosis in the young and middle-aged adult population. PMID: 7777300.

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このブログの執筆者
髙田尚忠
髙田尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
岡山大学医学部卒業後、郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、現在は高田眼科の院長を務めつつ、関連クリニックの名古屋のフラミンゴ眼瞼・美容クリニック、銀座のJ clinic、亀戸のあさ美皮フ科においても、眼瞼下垂手術を中心に年間2,000件以上の眼瞼手術に携わっています 「見え方(視機能)」と「日常の快適さ」を回復することを第一に、診察では原因(加齢・コンタクト・体質・既往手術など)を丁寧に整理し、必要な治療を分かりやすく説明すること心がけています。 このブログでは、眼瞼下垂の症状、治療選択、術後経過で不安になりやすいポイントなどを、専門医の立場からできるだけ具体的に発信しています。
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