点眼しても、いっこうに治らないドライアイ、実は眼瞼痙攣(がんけんけいれん)!?
眼瞼痙攣って、どんな疾患?
「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と同じように瞼(まぶた)が上がりにくくなるものの、眼瞼下垂症に認められる動眼神経、眼瞼挙筋、眼瞼挙筋腱膜などに異常がない「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」につながる原因疾患に「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」があります。
一般的に痙攣(けいれん)と言うと、自分の意志とは関係なく筋肉がピクピクと動くイメージがあります。
これを「不随意の筋肉の収縮」と言いますが、眼瞼痙攣は、このように目の周囲がピクピク動くといった症状のほか、「光がやたらとまぶしくなる」「目を開けているのがつらい」「目がしょぼしょぼする」「まばたきが増える」「目が乾いた感じがする」などを自覚します。
眼瞼痙攣より、むしろ「顔面痙攣(がんめんけいれん)=片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)」の方に認知度があるかもしれません。
どちらも「痙攣」という病名がついているので、筋肉がピクピクする病気と思いがちですが、顔面けいれんは片側の顔面筋がピクピクする症状が必ず現れることから、顔面けいれんは、片側顔面痙攣ともいいます。
顔の半分が自分の意思とは関係なく痙攣するもので、ふつう目の周囲から始まりだんだん口元へと広がります。
初期の状態では眼精疲労などにより、まぶたのピクピクする症状との区別が困難ですが、徐々に進み、あごの下の筋肉も痙攣するようになります。
頻度は、最初は緊張したときなど時々だけですが、徐々に痙攣している時間が長くなっていきます。
やがて一日中、ときには寝ていてもおこるようになることもあります。
これに対して眼瞼痙攣は、ピクピクするような筋肉の動きが必ずしも伴うとは限りません。
むしろ目が開けづらくなって物にぶつかるなどの事態が生じ、重症になるにつれて全く目が開けられなくなって、視力があるのに失明と同じ、機能的失明という深刻な状況も心配される疾病です。
こうした症状が、眼瞼下垂と似て異なる偽眼瞼下垂につながることがあります。
さらに、この2つの疾病は初期症状が似ているため、区別がつきにくくなっています。
この眼瞼痙攣は、もう一つ「ドライアイ」と間違えられることも多いのです。
ドライアイとは「乾燥性角結膜炎」とも言うように、涙の不足などで目が乾いてしまい、傷や障害が発生する疾病ですが、
「目がしょぼしょぼする」などの症状が似ているため、眼瞼痙攣だったのにドライアイの治療をされて一向に症状が改善されないという事例も多いと言えます。
ドライアイと診断され,種々のドライアイ治療に抵抗する患者の 57%(ドライアイと診断された患者の 8.6%)が眼瞼けいれんであったという報告もあるぐらいです。
また、眼精疲労や自律神経失調症、更年期障害などと診断されることもあるので、眼瞼痙攣の症状を自覚したら診断も慎重に進めておきたいものです。
眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の原因は未解明
さまざまな疾病との紛らわしさを指摘されるのは、眼瞼痙攣の原因が完全に解明されたわけではない、という事情が影響しているかもしれません。
大脳の一部の機能障害でまぶたに関係する動きに異常が発生するという説や、頭蓋内での血管による神経の圧迫という原因を指摘する医師もいますが、それが確かに認知されているというわけでもありません。
また、抗うつ剤など、全く別の病気で服用した薬剤で発症し、服用を止めたら眼瞼痙攣の症状もなくなったという事例や、パーキンソン病などによる発症なども報告されています。
しかし、まだ完全には解明されていない疾病の一つです。