眼瞼下垂手術における左右差を減らすためのアジャスタブル縫合について。
眼瞼下垂症手術において、目に開き方の左右差は大きな課題になるかと思います。
いかに、術後の仕上がりにおいて、左右差が無いようにするのか?
それが非常に大事な要素だと当院では考えております。
その解決策の一つとして、当院では、左右差が出ないようにするためのオリジナルの縫合方法をおこなっております。
眼瞼下垂症手術で目の大きさを決める一番大事な要素としては、眼瞼挙筋腱膜の固定する位置と前転させる量です。
学問的には、何mm前転したのか?等を論文に書くようにして、客観性を持たせるようにしているのですが、実際には、数字通りには上がりません。
手の握力に左右差があるように、眼瞼挙筋にも筋力の左右差がありますので、物差しで測って、左右同じ量だけ前転させたからといって、同じようには開きにはなりません。
したがって、実際の手術においては、左右差が同じになるように、実際に引っ張ってみながら、眼瞼挙筋腱膜を細かく調整しながら、何度も固定することになります。
さらに、眼瞼下垂症手術において、少なからずヘリングの法則が働きますので、最初、片目の方が上手に上がったとしても、反対側の瞼の方を上げると、最初の方が下がってしまい、上手くいきません。
結果として、最初に固定した方の眼瞼挙筋腱膜の瞼板固定の微調整が必要となります。
手術の結果をよくする最大のコツは、スピードだと考える当院としては、出来るだけ効率良く、かつ、再現性が高くなるような眼瞼挙筋腱膜の瞼板への固定方法について
色々と試行錯誤を繰り返した結果、今のアジャスタブル縫合に行きつきました。
眼瞼下垂症手術の失敗率を下げるためには、スピードが非常に大事だと、以前にブログでも書いたことがあるのですが、その考え方には変わりありません。
いかに、スピーディーに丁寧に正確に手術を進めた上で、術中のデザインを確定させることが肝となるわけです。
腫れていない状態で、しっかりとデザインを決めることができれば、その術中確認のデザインが術後のデザインの目安となるからです。
術中のデザイン確認がキチンと出来ないような眼瞼下垂症手術は、当然、結果も不安定で、結果として成功率が低いと言えるのかもしれません。
繰り返しとなりますが、当院の眼瞼下垂症手術で、一番重要な手術のパートは腱膜の固定となります。
この大事なパートである挙筋腱膜の固定に対して、当院が考えたのがアジャスタブル縫合というわけです。
この縫合方法を行うことで、手術時間の短縮、仕上がりの完成度の高さに繋がってきます。
当院の眼瞼下垂症手術の結果が安定しており、そして、ナチュラルだと言われるのは、このアジャスタブル縫合のお陰だと考えております。
話が変わりますが、とある学会で、眼瞼下垂手術において、ミュラー筋タッキング(前転)を推奨するような発表されておりました。
それは、眼瞼挙筋腱膜のタッキング(前転)だと、術後ドライアイが出やすいから・・・と説明されていたと思いますが・・・・
眼瞼下垂症手術後のドライアイ、つまり、術後ドライアイについては、当院での眼瞼下垂手術後においては、概ね3ヶ月程度で改善すると説明させて頂いております。
当院の術後ドライアイが、比較的軽度で済むのは、アジャスタブル縫合の固定の仕方が瞼板の変形を最小限に抑えることが出来るから・・・だと考えております。
したがって、術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)のリスクを考えると、ミュラー筋に操作を加えるのはリスクだと考えている当院は、アジャスタブル縫合での眼瞼挙筋前転法をお薦めする理由だとも言えます。
ちなみに、ミュラー筋タッキングのデメリットは、
- 再手術が難しくなる
- 再発が10%程度もあること
- 術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の発症リスク
- 見た目の不自然さ(カッと見開いたような怖い目付き)
などがあると考えております。
そういったことからも、挙筋腱膜前転法は、
- そもそもが生理的に、眼瞼挙筋を使って開く目の方が自然である
- 術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の発症リスクがない
- 再手術が容易である
などを考えると、メリットが大きいと当院は考えているわけです。
具体的なアジャスタブル縫合のやり方、調整方法は、企業秘密とさせて頂いておりますが、非常に理に適ったものだと自負しております。