眼瞼下垂の症状「メージュ(Meige)症候群」
メージュ症候群とはどんな病気?
「メージュ(Meige)症候群」の「メージュ(Meige)」とは、1910年にこの疾病を最初に報告したフランスの神経内科医、H.メージュの名に由来しています。
両目の瞼が自分の意思とは無関係にこわばってしまい目を自然に開けることができなくなってしまいます。
特に40~70歳代の中高年に多く、女性の方に多い傾向がみられます。
一番多い症状としては、光をまぶしく感じる羞明です。
加えて、口や舌がもごもご動いてしまう症状などの特徴があり、片方ではなく大抵両目で発症し、進行すると瞼を自分の指で開け続けなければならないほどにもなります。
発症後間もない頃は、まばたきが多くなったり、目が開けにくくなる、まぶしく感じるなどの症状が表れますが、その後は、絶えず下まぶたがピクピクするのを感じるようになり、それが上まぶたにまで進行します。
まぶたの痙攣の頻度は次第に増え、日常生活に支障が出るほどになります。
そのため、患者さんの中には、テープで無理やり開いていることもあります。
メージュ症候群の原因は不明で、左右両側の「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」を主症状とし、「口・下顎(くちかがく)ジストニア」が存在する疾病です。
ただ、眼瞼痙攣のみでメージュ症候群と呼ぶこともあります。
正確な原因は不明なのですが、脳の機能異常に起因していると考えられており、脳幹や大脳基底核の働きに異常がある場合には、まぶたの痙攣やこわばりといったような病状を引き起こす恐れがあります。
また、顔面神経核や脳幹の部分の異常な神経興奮や、脳幹インターニューロンによる過活動といった理由によっても、こうしたまぶたの異常な病状が発症すると考えられます。
Meige症候群における眼瞼痙攣(けいれん)症状について
眼瞼痙攣と聞くと、健康な人でも、眼精疲労が蓄積したときに感じる、”ピクピクする”感覚を想像しがちですが、これが起きるのは「片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)」で、こちらの記事をご覧ください。
また、眼瞼痙攣は、基本的に”ピクピクする”のではなく、まぶたを開けたり閉めたりする際に重要な働きをする「眼輪筋(がんりんきん)」が本人の意思に関係なく過度に収縮することで、まばたきが増え、目が開けにくくなり、光がまぶしくなるなどの症状を発する疾病です。
さらに進行すると両眼を開くことができなくなりますが、そのため目の周りの筋肉を意識的にゆるめたり、収縮させたりすることで独特の表情をつくりだします。
このときの症状が「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」にもなりますが、違った疾患として区別するため、「偽眼瞼下垂症(ぎがんけんかすいしょう)」と呼ばれます。
Meige症候群における口周囲のジストニア症状について
口周囲(下顎)ジストニアについては、口とアゴを動かしている筋肉が何らかの原因で本人の意思に関係なく過度に収縮する症状となります。
そもそも筋肉の異常な緊張によって起きる様々な不随意(本人の意思に関係のないこと)運動を「ジストニア」運動と言います。
食べ物がうまくかめず飲みにくくなり、口が開かない、閉じられない、アゴや口、舌、唇が無意識にもぐもぐと動いたり歯を食いしばったり、など様々な障害が生まれます
メージュ症候群で先に説明した眼瞼痙攣症状も、特発性(原因不明)の局所性ジストニアに含まれます。
Meige症候群の治療について
原因が脳にあるらしいというのは分かっていても、詳細については、まだ明らかになっていない疾患です。
したがって、治療法は、特異療法として眼輪菌にボツリヌス菌毒素を注射する方法があり、それが第一選択となります。
また、症状の緩和に向けて、肉体的・精神的に安静を取ること、人工涙液の点眼や抗不安薬などの内服薬の投与により、対症療法的な治療を行うこともあります。
広範囲眼輪筋切除術などの外科的治療を行うこともありますが、再発することも多く、問題となることがあります。
Meige症候群(メージュ症候群)の治療について、より詳しく説明させていただきましたので。ご参考ください。