偽眼瞼下垂の治療「Meige症候群」

Meige症候群の治療法
「メージュ(Meige)症候群」は、一般には、左右両側の眼瞼痙攣を主症状とし、「口・下顎(くちかがく)ジストニア」が存在する疾病です。

口・下顎ジストニアは、口とアゴを動かしている筋肉が何らかの原因で本人の意思に関係なく過度に収縮する症状を示します。
見た目的には、たびたび、目尻にシワが入り、しかめっ面をするような状態となります。
ただ、左右両側の眼瞼痙攣のみでメージュ症候群と呼ぶこともあるため、治療方法も眼瞼痙攣の記事で説明した内容と大きな違いはありません。
眼瞼痙攣(けいれん)治療についての有効で安全な実施を目指して策定された「眼瞼けいれん診療 ガイドライン(2011年度版)」でも、同じようなメージュ症候群についての言及があります。
>>眼瞼痙攣(けいれん)の治療については、こちらの記事をご覧ください

現在、メージュ症候群においても、ボツリヌスA型毒素を製剤化したものを局所へ注射し、緊張している筋肉を麻痺させる「ボツリヌス療法」が主流となっています。
ここで使われる薬剤は、米国の「アラガン社」が国際商標権を持つ医薬品「ボトックス」で、食中毒で認知されたボツリヌス菌が産む毒素であるボツリヌストキシンから、A型といわれる血清型毒素だけを抽出し精製します。
痙攣している部位に直接注射するため、眼輪筋を緊張から解放でき、大半のケースでこの治療法により痙攣が治まります。
国内外での臨床報告が多く、日本でも1997年4月に厚生労働省が眼瞼痙攣の治療薬として認可しています。
ただ、欠点として効果が数ヶ月しか持続しない点があり、再び痙攣が生じるため、その際には注射による投与を行って治療にあたります。
といっても、軽症の患者さんの場合は再投与が不要な方もおり、明らかな効果が生まれているのは事実です。
精神的な不安など心的要因により症状の悪化が見られる場合があり、そうしたケースでは自分自身でのメンタルケアはもちろん、向精神薬や抗てんかん薬などを内服する治療方法もとられます。
眼輪筋切除が考慮される状況は、このようなボトックスや内服薬に抵抗がみられる患者さんに対して試みますが、
一時的には改善することが多いのですが,大部分のケースで最終的には眼瞼けいれんの再発がみられ,結局はボトックス療法を再開せざるを得ない状態です。
特に、眼輪筋広範囲切除術を行っていた場合には、術後の瘢痕組織へのボットクス注射となり、注射時の疼痛が術前よりも強くなってしまうので、注意が必要です。
当院でも、随時、メージュ症候群に対してのボトックス注射治療を行っておりますので、気軽にご相談ください。