メージュ(Meige)症候群の症状と治療|眼瞼痙攣・口顎ジストニアはボトックスで改善

Meige(メージュ)症候群とはどんな病気?
Meige(メージュ)症候群は原因不明で、左右両側の「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」を主症状とし、「口・下顎(くちかがく)ジストニア」が組み合わさってみられる疾患です。
- 眼瞼けいれん:眼輪筋の過剰収縮による“目が開けにくい”症状
- 口・下顎(口・あご周囲)のジストニア:本人の意思と無関係な口元の動きが出てしまう症状
見た目的には、たびたび、目尻にシワが入り、しかめっ面をするような状態となります。
「C(メージュ)症候群」の「Meige(メージュ)」は、1910年にこの病態を報告したフランスの神経内科医 H. Meige の名前に由来しています。

メージュ症候群は、神経学的検査や眼科的検査で明確な異常が見つからないこともあり、
症状の説明が難しく、結果として診断まで時間がかかったり誤診につながること多いとも言えます。
症状|Meige(メージュ)症候群
眼瞼痙攣は最初、片側から始まって後に両側性になることがあり、経過とともに口周囲や咀嚼筋(顎)など下顔面の筋肉が関与してきます。
発症から“症状の全体像が揃う”までに1〜4年程度かかるイメージです。
また、眼瞼痙攣は隣接する部位へ広がる(波及する)ことが比較的多く、特に発症初期の数年間に起こりやすいのが特徴と言えます。
つまり、発症後間もない頃は、まばたきが多くなったり、目が開けにくくなる、まぶしく感じるなどの症状が少しずつ強くなっていきます。
その後、まぶたの痙攣の頻度は次第に増え、絶えず下まぶたがピクピクするのを感じるようになり、それが上まぶたにまで進行し、日常生活に支障が出るほどになります。

Meige(メージュ)症候群は、進行すると、瞼がほとんど開かなくなってしまい、瞼を自分の指で開け続けなければ開かないほどにもなります。
そのため、患者さんの中には、テープで無理やり開いていることもあります。
Meige(メージュ)症候群では、まぶたを閉じる筋肉である眼輪筋(がんりんきん)が、本人の意思とは関係なく過度に収縮し、次のような症状が現れることがあります。
- まばたきが増える
- 目が開けにくい/勝手に閉じてしまう
- 光がまぶしい(羞明)
- 目の疲れ、集中しづらさ
- 緊張・疲労・人前などで悪化することがある
特に、羞明(まぶしさ)は、非常によくみられる訴えの一つです。

「眼瞼けいれん」と聞くと、疲れたときの“ピクピク”を想像されることがありますが、メージュ症候群で中心となる眼瞼けいれんは、“ピクピク”というよりも、まぶたが閉じる方向に働いてしまう(開け続けられない)形で出ることが多いです。
口やあごを動かす筋肉が、本人の意思と無関係に過剰収縮することで、以下のような症状がみられることがあります。
- 口が開けにくい/閉じにくい
- 唇・舌・口元が無意識にもごもご動く
- 歯を食いしばる
- うまく噛めない、飲み込みにくい
そもそも、筋肉の異常な緊張によって起こる不随意運動の総称を「ジストニア」と呼びます。
なお、

Meige(メージュ)症候群でみられる眼瞼けいれんも、原因がはっきりしない局所性ジストニアの一つとして扱われます。
セルフチェック|Meige(メージュ)症候群
感覚トリック(症状が一時的に楽になる行動)
「“一時的に楽になる動作”(感覚トリック)」
メージュ症候群や眼瞼痙攣では、ある特定の刺激や動作で一時的に症状が軽くなる方がいます。
これを「感覚トリック(sensory trick)」と呼びます。
- 目の周囲に触れる
- 会話する・ハミングする
- リラックスする
- 上眼瞼を軽く引く
- 頬をふくらませる
- 歩く
- 冷水に触れる
- あくび
- 飲み物を飲む
などで楽になる現象があります。
当てはまる場合には、メージュ症候群や眼瞼痙攣の可能性が高くなります。
※効き方には個人差があり、根本治療ではありませんが、日常の対処として参考になります。
原因は? なりやすいのはどんな人?|Meige(メージュ)症候群
中高年(目安として40~70歳代)でみられることが多く、女性に多い傾向が報告されています。
海外の報告では、眼瞼痙攣や口顎ジストニアは中高年で発症が多く、女性に多い傾向(男性:女性=1:2程度)が示されています。
女性は、不随意運動機能に影響を与える特定のエストロゲン受容体があるために、男性よりもリスクが高いとされております。
海外報告よると、眼瞼痙攣は“人口100万人あたり十数〜百数十人程度”の有病率だと言われております。
メージュ症候群の原因は、まだ完全には解明されていません。
現時点では、顔面神経核や脳幹の部分の異常な神経興奮や、脳幹インターニューロンによる過活動が関与し、まぶたの痙攣やこわばりといったような病状を引き起こしている可能性が考えられております。
また、その他の複数の要因も重なって発症すると推測されています。
例えば、遺伝については、家族内に同様の症状がみられる例は少数ながら報告されていますが、現時点で“この遺伝子が原因”と確定できる原因遺伝子は確認されておりません。
Meige症候群と眼瞼下垂症との違いについて
Meige(メージュ)症候群は、眼瞼痙攣のみでもMeige(メージュ)症候群と扱われることがあります。
そういった意味で、Meige(メージュ)症候群は、分類としては、眼瞼下垂と似て混同されることがある偽眼瞼下垂となります。

Meige(メージュ)症候群において、眼瞼けいれんが強くなると、「目が開けられない」見え方になり、眼瞼下垂症と似た状態にみえたり、患者本人も、眼瞼下垂と自覚することがあります。
しかしながら、眼瞼下垂は主に「まぶたが下がってくる(挙筋機能など)」病態であるのに対し、眼瞼けいれんは「閉じる筋肉が過剰に働く」の病態が中心となります。
このように区別するため、眼瞼けいれんに伴う“眼瞼下垂”の状態を、偽眼瞼下垂と呼ぶことがあります。
また、眼瞼痙攣と聞くと、健康な人でも、眼精疲労が蓄積したときに感じる、”ピクピクする”感覚を想像しがちですが、それは「眼瞼ミオキミア」で、こちらの記事をご覧ください。

大事なこととして、眼瞼痙攣は、”瞼がピクピクする状態ではなく”、まぶたを開けたり閉めたりする際に重要な働きをする「眼輪筋(がんりんきん)」が本人の意思に関係なく過度に収縮して目を強く閉じてしまうことなのです。
つまり、まばたきが増え、目が開けにくくなり、光がまぶしくなるなどの症状を発する疾病となるわけです。
さらに進行すると両眼を開くことができなくなりますが、そのため目の周りの筋肉を意識的にゆるめたり、収縮させたりすることで、”しかめっつら”のような独特の表情をつくりだします。
このときの症状が「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」のように、目が正常に開かない症状とはなりますが、違った疾患として区別するため、「偽眼瞼下垂症(ぎがんけんかすいしょう)」と呼ばれます。

眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)を含めMeige(メージュ)症候群は、単純に目が開かなくなるのではなく、目を強く閉じてしまうから目が開かなくなる病気であるため、眼瞼下垂症とは区別して考えるわけです。
したがって、治療となると、眼瞼下垂とMeige(メージュ)症候群は、違うアプローチで行うのが道理だと考えます。
治療について|Meige(メージュ)症候群
原因が脳にあるらしいというのは分かっていても、詳細については、まだ明らかになっていない疾患です。
両側の眼瞼痙攣のみでメージュ症候群と呼ぶこともあるように、治療方法も眼瞼痙攣の記事で説明した内容と大きな違いはありません。
眼瞼痙攣(けいれん)治療についての有効で安全な実施を目指して策定された「眼瞼けいれん診療 ガイドライン(2011年度版)」でも、メージュ症候群についての言及があり、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)と同様の治療を行うこととされております。

ボトックス治療について
現在、メージュ症候群においても、ボツリヌスA型毒素を製剤化したものを局所へ注射し、緊張している筋肉を麻痺させる「ボツリヌス療法(ボトックス注射)」が第一選択となっています。
この治療は、痙攣している部位に直接注射し、眼輪筋を緊張から解放でき、大半のケースで痙攣が治まります。
国内外での臨床報告が多く、日本でも1997年4月に厚生労働省が眼瞼痙攣の治療薬として認可しています。
ただ、欠点として効果が数ヶ月しか持続しない点があり、再び痙攣が生じるため、その際には注射による投与を行って治療にあたります。
といっても、軽症の患者さんの場合には再投与が不要な方もおり、明らかに効果があるというのは事実です。
このように、ボツリヌス療法は症状を和らげる中心的治療として広く用いられています。
一方で、副作用としては、眼瞼痙攣への治療では、眼瞼下垂(まぶたが下がる)や兎眼(閉じにくさ)などの“局所の筋力低下”が代表的で、乾燥感や複視は比較的少ないとされています。
口顎ジストニアに対してのボトックス治療
口顎ジストニアに対してのボトックス治療は、注射部位によって噛む力の低下、飲み込みにくさ(嚥下障害)、話しにくさ(構音障害)などが起こり得るため、症状と生活背景に合わせた治療計画が重要となります。
精神的な不安など心的要因により症状の悪化が見られる場合があり、そうしたケースでは自分自身でのメンタルケアはもちろん、向精神薬や抗てんかん薬などを内服する治療方法もとられます。
治療は、症状の程度・生活への影響・併存症状などによって検討されます。
一般的に用いられる治療をまとめると、次の通りとなります。
1)ボツリヌス毒素注射(眼輪筋など)
眼瞼けいれんの治療として、ボツリヌス毒素注射が検討されることが多く、第一選択として扱われております。
(※実際の適応や注射部位・回数は、診察での評価により変わります。)
2)点眼・内服などの対症療法
症状緩和を目的として、
- 人工涙液などの点眼
- 状況により内服(抗不安薬などが検討されることがある)
- 生活調整(疲労・ストレス・光刺激への対策など)
が行われることがあります。
3)外科的治療が検討されることもある
眼輪筋切除が考慮される状況は、このようなボトックスや内服薬に抵抗がみられる患者さんに対して、広範囲眼輪筋切除術などの外科的治療が検討されることがあります。
ただし、病状や経過によっては再燃・再発が課題となることもあり、治療の選択は慎重な判断が必要です。
大部分のケースで最終的には眼瞼けいれんの再発がみられ,結局はボトックス療法を再開せざるを得ない状態です。

眼輪筋広範囲切除術後のボトックス治療は、術後の瘢痕組織へのボットクス注射となり、注射時の疼痛が術前よりも強くなってしまうのが難点です。
4)ボトックス治療以外の治療法
ボツリヌス療法が第一選択とされる一方で、事情により注射が難しい場合や効果が十分でない場合、抗コリン薬・ベンゾジアゼピン系・バクロフェン等の内服が検討されることがあります。
ただし、内服の効果は概して大きくないことが多く、全身性の副作用が制限になることがあります。
さらに難治例では、脳深部刺激療法(DBS)が選択肢として検討され、淡蒼球内節(GPi)や視床下核(STN)などを標的にした報告があります。
海外のメタ解析では、従来治療に反応しにくい症例でも有効性が示唆されてはおります。
しかしながら、大学病院のような限られた高次医療機関での治療となります。
まとめ|Meige(メージュ)症候群
メージュ症候群は、眼瞼けいれん(目が開けにくい・まぶしい等)と、口・下顎ジストニア(口元の不随意運動等)が組み合わさってみられることがある病態です。
当院での診察・治療について
メージュ症候群(眼瞼けいれん/口・下顎ジストニアが関与する状態)は、症状の出方が人によって異なり、「眼瞼下垂に見える」「ドライアイや眼精疲労と紛らわしい」など、自己判断が難しいことがあります。
当院では、まず診察で
- まばたきの増加、羞明(まぶしさ)、目が開けづらい状況の確認
- 眼輪筋の緊張や不随意運動の有無
- 乾燥や屈折(眼鏡度数)など、症状を強める要因の評価
を行い、眼瞼けいれん/ジストニアが疑われる場合には、病状に応じて治療をご提案します。
眼瞼けいれんの治療としては、一般的にボツリヌス毒素注射が検討されることが多く、当院でも症状や生活への影響を踏まえて適応を判断したうえで対応しています。
(※治療内容・回数・間隔は、症状や経過により個別に検討させて頂いております。)
FAQ|Meige症候群(メージュ症候群)
両眼のまぶたが意思と関係なくこわばって開けにくくなる「眼瞼痙攣」を中心に、口や顎まわりの不随意運動(口・下顎ジストニア)を伴うことがある病気です。
代表的には、まぶしさ(羞明)、まばたきが増える、目が開けにくい、進行すると自分の指でまぶたを開けていないとつらい、などです。
メージュ症候群では、まぶたを動かす筋肉(特に眼輪筋)が過度に収縮して**“開けたくても開けにくい”状態になり、見た目は眼瞼下垂に似ることがあります。この場合は区別のため「偽眼瞼下垂」**と呼ばれます。
一般的な疲れ目で感じる「ピクピク」は、説明上は片側顔面痙攣で語られることが多く、メージュ症候群の眼瞼痙攣は、どちらかというとまばたき増加・開けにくさ・まぶしさが前面に出やすいとされています。
口や顎を動かす筋肉が意思に反して収縮してしまう **「口・下顎ジストニア」**が関与するとされ、噛みにくい・飲みにくい・口が開けにくい/閉じにくい・舌や唇が勝手に動くなどが起こり得ます。
はっきりした原因はまだ不明とされ、脳の機能(脳幹や大脳基底核など)の異常が関係する可能性が考えられています。
現状は、症状のある筋肉に注射して過収縮を抑える ボツリヌス療法(ボツリヌストキシン注射)が第一選択として説明されることが多いです。内服や点眼などの対症療法が併用されることもあります。
外科的治療(例:眼輪筋切除など)が検討されることもありますが、再発が問題になることがあるとされています。症状の型・重症度・治療歴で方針が変わるため、まずは専門医で評価する流れが安心です。
参考文献
- Ma H, et al. Blepharospasm, Oromandibular Dystonia, and Meige Syndrome: Clinical and Pathophysiological Aspects. Frontiers in Neurology. 2021.
https://www.frontiersin.org/journals/neurology/articles/10.3389/fneur.2021.630221/full - Pandey S, et al. Meige’s syndrome: History, epidemiology, clinical features, and treatment. Journal of the Neurological Sciences. 2017.
https://www.jns-journal.com/article/S0022-510X(16)30756-0/abstract - Vitale S, et al. A Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Clinical Trial of Efficacy of Nutritional Supplements in Essential Blepharospasm and Meige Syndrome. American Journal of Ophthalmology. 2004.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15234278/ - Prognostic factors for long-term outcomes of bilateral pallidal deep brain stimulation in Meige syndrome. Journal of Neurosurgery.(※書誌情報要確認)
https://thejns.org/view/journals/j-neurosurg/142/6/article-p1566.xml - Comparative efficacy and safety of GPi-DBS versus STN-DBS in Meige syndrome. International Journal of Surgery.(※書誌情報要確認)
https://journals.lww.com/international-journal-of-surgery/abstract/9900/comparative_efficacy_and_safety_of_gpi_dbs_versus.3640.aspx
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