眼瞼下垂の基礎知識

保険診療の 眼瞼下垂手術 で追い求めるべき 一番自然な二重幅とは?

Dr.髙田
ABOUT ME
高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

理想とされる二重瞼幅の答えは、化粧品売り場にあり

一重瞼(ひとえまぶた)が標準である日本人にとって、二重瞼(ふたえまぶた)に憧れる方は多いと思います。

そして、美容外科で診療を行っていた頃、広い、ぱっちりとした二重瞼(ふたえまぶた)にして欲しいという相談を多く受けました。

私個人の本音としては、「こんなに広い二重幅を希望されるけど・・・・大丈夫??」でした。

現在、高田眼科は、ご存知の通り大型ショッピングセンターのテナントのため、お昼休みには、広い館内をよく散歩しております。

その散歩のコースの途中には、化粧品売り場があります。

大型ショッピングセンターですので、非常に多くの化粧品メーカーさんが売り場ブースを出店しており、そして、そのブースの側には、かならず、大きなポスターがそこらかしこと貼っております。

当然、そのポスターにデカデカとアップされているのは、その時の最も旬な女優さん、俳優さん達です。

眼瞼下垂手術の専門家としては、どんな感じの二重が好まれているのか??という観点で、瞼の状態をジッと見てしまいます。

そうすると、二重の幅は、意外にも狭い女優さんが多いことに気付かれると思います。

その一方、海外の女優さんの場合には、結構広めの二重の方が多いです。

欧米人とアジア人では、骨格の違いで、欧米人は奥目になり、アジア人は腫れぼったい目になります。

欧米人は、眉のところの骨格が出っ張っており、眼窩脂肪、眼輪筋が少ない状態なので二重の人が多いです。。

そして、加齢によって眼瞼挙筋腱膜が瞼板から外れることにより眼瞼下垂症が多く、結果として、より二重が広くなります。

逆にアジア人は、頭蓋骨が平坦であり、眼窩脂肪、眼輪筋が分厚くできており、瞼の皮膚の余りも多いことで、一重瞼が多い人種となります。

そして、アジア人でも加齢によって、痩せによる眼窩脂肪のボリュームの低下、眼瞼挙筋腱膜が瞼板から外れ、ファシアで結合している眼窩脂肪も奥に移動することにより、痩せてる人は特に瞼の窪み:サンケンアイ(sunken-eyelid)と眼瞼下垂症となるとともに、結果、二重幅も広い二重(ふたえ)瞼の状態となります。

さらに言うと、蒙古襞が段々と無くなっていき、末広型の二重から平行型の二重にもなります。

この眼窩脂肪の移動は、眼瞼下垂症による代償で、眉を持ち上げることでも、起こります。

試しに、鏡の前で、思いっきり眉を挙げてみると、上瞼が窪むのが分かると思いますので、一度試してみてください。

こうした人種による解剖学的な違いというのは、眼瞼下垂症手術を行うにあたっては、非常に大事なポイントと言えます。

美容外科での切開手術後の二重は、不自然に広すぎる

今から15年ほど前に購入した洋書の教科書

さて、今でこそ、美容外科の教科書は、日本語のものが増えてきましたが、私が眼瞼を勉強する際に購入したのは、Amazonで購入した洋書の眼形成の医学書でした。

気が利いた教科書だと、アジア人と欧米人の違いに注目しているものもありましたが、基本は、欧米人の瞼の構造を基にしたものでした。

美容外科での手術は、何故か?欧米の色が濃いためか?二重幅を広めにとる傾向が強いように思います。

それは、先に述べたようにベースとなる教科書が洋書だったり、レーザー装置など扱う医療機器、ヒアルロン酸やボットクスなどの医療資材が欧米のモノが多いからではないかと勝手に思ってしまいます。

そして、何よりも、美容外科での手術を希望される患者さん、ご本人が、一重瞼(まぶた)にコンプレックスをもち、また、理想とする二重幅が広いということが大きいのではないかと思います。

当院では、基本、保険診療での眼瞼下垂症を主体としておりますので、自然な二重を作るというよりも、結果的に、TKD切開法・ファシアリリースを行えば、勝手に自然な二重になるという考え方でおります。

つまり、当院が考える自然な二重幅、つまりは、やや二重瞼(ふたえ)というのを理想としており、目標としております。

したがって、美容外科で行われているような広い二重幅を求められる人にとっては、物足らないと感じられてしまうこともあるのかもしれません。

広すぎる二重幅を狭くすることは出来ますが、一般的な感性の方は、やはり狭い二重を希望されますし、客観的に術者の私からしても、それが一番自然だからです。

当院に他院眼瞼下垂修正手術の希望されて受診される方の相談内容の多くが、「広すぎる二重をなんとかしたい」「不自然な二重を自然な感じにして欲しい」と言ったものが多くあります。

一方、当院で眼瞼下垂症手術を受けられた患者様からは、「若いころに戻ったねと家族から言って貰えた」「見た目が自然なので、手術したのが判らない」「周りから、どこの病院で手術したの?」という喜びの声を多くいただきます。

当院のスタンスとしては、保険診療の眼瞼下垂症手術であっても悪かろう、安かろうではありません。

あくまで、出来るだけ自然に瞼を上げる目的に眼瞼下垂手術を行うことが保険診療の目的です。

その中に、自然な二重という目標が入っているものだと考えております。

したがって、当院では眼瞼下垂症手術後の仕上がり見た目については、結果的に、幅が狭めの二重幅の二重瞼になるという意味となるわけです。

余談話

では、当院でお好みの二重に出来ないのか?と言われたら、所謂、自由診療として手術を希望されるのであれば、対応をすることは可能です。

つまり、どうしても、ご自身の好みのデザインを優先することを希望される場合には、自由診療で対応させていただいております。

その場合には、保険診療以上に、ご自身の希望に出来るだけ沿った形で、仕上がりへのコダワリをもった手術をご提供することが可能です。

具体的には、手術途中に、皮膚・眼輪筋・眼窩脂肪、ROOFなどの追加切除などを行ったりして、術前にカウンセリングさせて頂いた状態に近づける操作を加えたりします。

また、皮膚縫合の糸を通常よりは細い8−0という細い糸に変更し、術後の糸の見えるのを減らすことが出来ます。

保険診療の場合には、皮膚の縫合についえは、7−0という糸で縫います。

ちなみに、非常に細い8−0で縫うには、細かく縫わないと糸が切れてしまうので、その分、余計に手間がかかります。

縫合糸は、糸が細い分、組織への物理刺激が少ないため、傷跡が非常に綺麗に治りやすいです。

このように、値段が高い分、その分、保険診療では出来ない要素を加えて、お値段に見合うように手術にしております。

ただし、先に述べたように、当院は、あくまで、保険診療主体で行ってますので、カウンセリングで自由診療を勧めることはしておりません。

したがって、当院で眼瞼下垂症手術をご希望するにあたっては、保険診療でお受けしたいのか? それとも、審美的なこだわりを優先した手術を受けたいのか?

その点について、ご自身で選択をして頂ければとは思っております。

当院の自費診療のお話は閑話休題とさせていただき、実は、眼瞼の手術において、一番大事なことは、やり過ぎないことなのです。

理由は、修正が難しくなるからです。

具体的には、二重の起点となる部分も、挙筋腱膜の固定部分も・・・結局は、癒着によってなされます。

そして、二重の位置をずらす、上がり過ぎた瞼を元に戻すには癒着組織を取り除くことになるのですが、

修正手術において、癒着を全て取り除くことは非常に難しいのです。

言葉では、癒着を取るというのは、簡単に聞こえるのかもしれませんが、

癒着組織を取り除くというのは、絨毯(じゅうたん)にこびりついたガムを取り除くようなイメージです。

こびりついているような癒着組織を綺麗に取り除くことにおいて、正常な組織を出来るだけ残すことも重要であり、やたら滅多に取り除けば良いというわけでもありません。

さらには、瘢痕組織を取り除いたとしても、修正手術自体が、再び新しい瘢痕組織を作り出し、癒着していく可能性もあります。

そのため、修正手術においては、可能な限り、組織を痛めないような配慮が必要であり、本当に神経を使います。

当然、癒着除去が中途半端であれば、当初予定していた癒着による不具合が取れませんし、侵襲が強い癒着除去であれば、新たに癒着ができてしまう。

結果として、眼瞼下垂症手術は、控えめにしておいて・・・足らなければ、追加手術を行うぐらいが良いと思います。

もちろん、再手術にならないような手術の方法、考え方などのブラッシュアップは必要で、開院以来12年になりますが、独自の優れた手術方法を確立できたと考えております。

それが、TKD切開法・ファシアリリース法です。

TKD切開法・ファシアリリース法を行うためには、その根底には眼窩脂肪の処理のコツ、ROOF切除、皮膚や眼輪筋の切除の工夫など様々必要です。

こういった工夫をするようになったキッカケというのは、私を指導してくだっさった 故 二木裕先生の教えです。

具体的には、「眼瞼下垂症手術では、ミュラー筋を触ってはいけない」という教えです。

結果として、私は、眼瞼挙筋腱膜前転法が第一選択となるわけですが、一般的には、挙筋腱膜のタッキングだけじゃー眼瞼は上がらないよね?ってことになっております。

そこで、ミュラー筋を触らなくても・・・・ミュラー筋に負担をかけることなく、可能な限り、自然で、ダウンタイムが少ない手術方法の工夫を重ねることになりました。

それが、TKD切開法・ファシアリリース法となったわけです。

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