緑内障の目薬の副作用一覧|まぶたのくぼみ・充血・色素沈着・PAPを眼科医が解説

緑内障の目薬の副作用には、まつ毛が伸びる、まぶたが黒ずむ、目が充血する、かゆみが出るといった症状があります。
また、長期間の使用によって上まぶたがくぼんだり、眼瞼下垂のような変化が現れたりすることもあります。
緑内障の目薬は、視野を守るために長期間使用することが多い薬です。そのため、副作用の特徴を知り、早めに対処することが重要です。
この記事では、眼科医・眼瞼下垂症手術の専門医である髙田尚忠が、緑内障の目薬の副作用一覧、薬剤ごとの違い、PAP(プロスタグランジン関連眼窩周囲症)、副作用が現れたときの対処法について、医学論文をもとにわかりやすく解説します。
- 副作用は目薬の種類でほぼ決まる:まつ毛やまぶたの黒ずみはPG関連薬、かゆみやかぶれはアイファガンやグラナテック、脈や呼吸への影響はβ遮断薬に多い副作用です。
- 多くは軽く、目薬の変更で対処できる:副作用が出ても、別の種類の目薬やレーザー治療に切り替える方法があります。
- 自己判断でやめない:副作用より怖いのは、眼圧が上がって視野が欠けることです。気になる症状は主治医に伝えてください。
執筆:髙田 尚忠(高田眼科 院長/眼科医・眼形成外科) 最終更新:2026年10月
緑内障の目薬の副作用早見表
まず、自分の目薬がどの種類かを確認しましょう。配合剤は、2つの成分の副作用をあわせ持ちます。それぞれの目薬の効き方や強さは「緑内障の目薬一覧」で解説しています。
| 種類 | 主な商品名 | 起こりやすい副作用 |
|---|---|---|
| PG関連薬 | キサラタン、タプロス、トラバタンズ、ルミガン | まつ毛が伸びる、まぶたの黒ずみ、目の色が濃くなる、目のくぼみ、充血 |
| EP2作動薬 | エイベリス | 充血。白内障手術後の目では黄斑浮腫に注意 |
| FP・EP3作動薬 | セタネオ | 充血、まつ毛が伸びる |
| β遮断薬 | チモプトール、ミケラン など | 脈が遅くなる、喘息などの呼吸の悪化 |
| 炭酸脱水酵素阻害薬 | トルソプト、エイゾプト | トルソプトはしみる、エイゾプトは一時的にかすむ |
| α2作動薬 | アイファガン | アレルギー(充血・かゆみ・まぶたのかぶれ) |
| ROCK阻害薬 | グラナテック、ロープレッサ | 点眼直後の充血、まぶたのかぶれ。ロープレッサは角膜の模様1 |
配合剤に含まれる成分
まつ毛やまぶたの黒ずみなど、PG関連薬の副作用が起こり得ます。β遮断薬も含むため、脈や呼吸への注意も必要です。
まつ毛や黒ずみの原因になる成分は入っていません。アイベータ・アイラミド・グラアルファはアイファガンの成分を含むため、アレルギーに注意します。

眼瞼下垂症の診察では、「以前より目が小さくなった」「上まぶたがくぼんできた」というご相談を受けることがあります。
その際、私が必ず確認することの一つが、緑内障の点眼薬の使用歴です。
特にプロスタグランジン関連薬を長期間使用している場合、加齢による変化だけでなく、薬剤によるPAPが関与している可能性があります。
原因を正しく見極めることが、適切な治療への第一歩になります。

見た目の副作用:まつ毛・まぶたの黒ずみ・目の色

見た目の変化は、ほとんどがPG関連薬によるものです。目のまわりの毛、皮膚、脂肪に作用するため、使い始めて数か月で変化が出てきます2。

中国の大学病院で、PG関連薬を始めた55人を追った研究。1か月後はいずれも7%以下で、3か月を過ぎてから目立ってきました3
目のくぼみ・まぶたの下がり(PAP)

PG関連薬は、目のまわりの脂肪を減らし、上まぶたのくぼみや、まぶたの下がりを起こすことがあります。これらをまとめて「PAP(プロスタグランジン関連眼窩周囲症)」と呼びます2。目薬による違いや治る見込みは、「緑内障の目薬によるPAP(目のくぼみ・眼瞼下垂)」で詳しく解説しています。
緑内障の目薬の副作用のなかでも、PAPは眼瞼下垂症との区別が重要です。
上まぶたのくぼみや目の開きの変化が認められる場合は、点眼薬による影響と、加齢性・腱膜性眼瞼下垂症などの合併を考慮して診察しております。
PG関連薬以外の目薬で、まつ毛は伸びる?
まつ毛が伸びるのは、PG関連薬に特徴的な副作用です2。アゾルガ、アイファガン、アイラミド、アイベータ、グラナテック、コソプトなどには、まつ毛を伸ばす成分は含まれていません。これらを使っていてまつ毛が伸びた場合は、ほかにPG関連薬(配合剤を含む)を使っていないか確認してみてください。
新しい目薬のセタネオは、PG関連薬と同じFP受容体にも作用するため、1年間の試験で22〜43%にまつ毛が伸びる副作用がみられました7。一方、エイベリスでは、国内の市販後調査(1,862人)でPAPに分類される副作用は報告されていません8。

PAPによるまぶたの変化で注意したいのは、見た目が眼瞼下垂症に似ていても、その原因が必ずしも同じではないことです。
通常の腱膜性眼瞼下垂症では、眼瞼挙筋の腱膜が緩んだり、瞼板から外れたりすることが主な原因です。一方、PAPでは、眼窩脂肪の萎縮や周囲組織の変化が、上まぶたのくぼみや眼瞼位置の変化に関係します。
実際には両者が合併することもあるため、単純に「まぶたが下がっているから挙筋を前転すればよい」とは判断できません。
眼瞼下垂症の手術を検討する際には、眼瞼挙筋の機能だけでなく、眼窩脂肪の状態や上眼瞼のくぼみも含めた評価が重要だと考えています。
目の症状:充血・かゆみ・しみる・かすむ

多くの目薬で起こりますが、ほとんどは軽いものです。グラナテックを含む目薬では、点眼直後に赤くなり、次の点眼までに自然に引くことがほとんどでした9。エイベリスでは19%、セタネオでは30%に充血がみられました10,11。
同じ炭酸脱水酵素阻害薬でも、トルソプト(コソプト)はしみやすく、エイゾプト(アゾルガ)は白く濁った目薬のため一時的にかすみやすい傾向があります14。どちらが合うかは人によって違います。
目薬の防腐剤(ベンザルコニウム塩化物)は、長く使うと目の表面を傷めることがあります。防腐剤を含まない、または刺激の少ない防腐剤の目薬に変えると、症状の改善が期待できます15。
アレルギーが出るまでの期間
アイファガンは1年半で中止が必要になったアレルギー(102人)16、グラアルファは1年でのアレルギー性結膜炎(日本、179人)9、グラナテックは2年でのまぶたのかぶれ(日本の市販後調査、3,374人)13。研究ごとに定義が異なります
アイファガンのアレルギーは、使い始めて2〜4か月に出ることが多く、半数は6か月以内でした。アレルギーが出ると眼圧のコントロールも悪くなりやすいため、別の種類の目薬への変更が勧められています12。グラナテックのかぶれは、女性、アレルギー体質の人、以前にまぶたのかぶれがあった人に多くみられました13。

まぶたの腫れや赤みが続いている場合、その原因は眼瞼下垂症ではなく、点眼薬によるアレルギー性の炎症であることもあります。
炎症による一時的なまぶたの下がりと、PAPによる眼窩周囲組織の変化、さらに本来の眼瞼下垂症は、治療方針が異なります。
特に炎症が強い時期には、まず原因となる点眼薬や皮膚炎への対応を優先し、状態が落ち着いてからまぶたの位置を評価することが大切です。
緑内障の目薬で視力は落ちる?
目薬の副作用で視力が下がり続けることは、まれです。
多いのは点眼直後の一時的なかすみで、数分で元に戻ります。ただし、次の場合は注意が必要です。
国内の1年間の試験では、エイベリスだけを使った人の12%に網膜の中心がむくむ黄斑浮腫が起こり、すべて白内障手術で眼内レンズが入っている目でした。目薬の中止と治療で改善しています10。白内障手術を受けた方は、必ず主治医に伝えてください。
見えにくさの原因が、緑内障の進行のこともあります
緑内障で欠けた視野は元に戻りません。「目薬のせいで見えにくい」と自己判断してやめると、かえって視野を失うおそれがあります。見え方の変化は、必ず主治医に相談してください。
全身の副作用:β遮断薬に注意

目薬でも、成分は鼻の奥の粘膜から血液に入ります。β遮断薬(チモプトールなど)は、肝臓を通らずに全身に回るため、飲み薬と同じような作用が出ることがあります18。
β遮断薬は、コソプト、アゾルガ、ザラカム、デュオトラバ、タプコム、ミケルナ、アイベータなどの配合剤にも含まれています。
点眼後に目を閉じて、目頭を軽く押さえましょう。
目頭を押さえる、または目を閉じておくと、全身に吸収されるβ遮断薬の量が6割以上減ったという研究があります20。どの目薬でも使えるコツです。
副作用が少ない目薬はある? 目的別の選び方
緑内障の目薬の副作用は、薬剤の種類によって異なります。
目の充血やかゆみが気になる方と、まつ毛やまぶたの見た目の変化が気になる方では、検討すべき点眼薬が異なります。
眼圧下降効果と副作用の両方を考慮した選択が大切です。
そして、どの目薬にも副作用はあり、すべての人に「副作用が少ない」目薬はありません。
避けたい副作用や持病に合わせて選ぶことが大切です。
エイベリスに切り替えた場合のまぶたの変化
PG関連薬によるPAPが気になる場合、眼圧の管理が可能であれば、主治医と点眼薬の変更を検討する選択肢があります。エイベリスへの切り替え後に上まぶたのくぼみなどが改善した報告がありますが、変化の程度や回復までの期間には個人差があり、すべての症状が元に戻るわけではありません21,22。


PAPによって上まぶたのくぼみや眼瞼下垂が生じている場合、私は、まず現在使用している緑内障点眼薬を確認することが重要だと考えています。
原因となる薬剤を変更することで、眼窩周囲の外観が改善するケースが報告されています。そのため、手術を急ぐ前に、緑内障の病状が許す範囲で点眼薬の見直しを検討する価値があります。
ただし、すべての変化が元に戻るわけではありません。また、緑内障治療では眼圧のコントロールが最優先です。
眼瞼下垂症の治療と緑内障の治療を別々に考えるのではなく、両方を総合的に判断することが大切です。
目薬の種類・強さ・使い分けを知りたい方へ
このページでは副作用を中心に解説しました。それぞれの目薬の効き方、眼圧を下げる強さ、最初に使われる目薬(第一選択薬)や配合剤の一覧は、関連ページで詳しく解説しています。
PG関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α2作動薬、ROCK阻害薬、エイベリスやロープレッサなど新しい目薬まで、種類ごとの特徴と配合剤をまとめています。
緑内障の目薬(点眼薬)一覧を見るPG関連薬による目のくぼみやまぶたの下がりについて、目薬による違い、治る見込み、手術の注意点を解説しています。
緑内障の目薬によるPAP(目のくぼみ・眼瞼下垂)
PAPによる変化は、数か月から数年という時間をかけて徐々に現れることがあるため、ご本人が気づきにくい点が特徴です。
特に片眼だけに点眼している場合は、左右の上まぶたのくぼみや二重の形の違いが手がかりになることがあります。
点眼開始前と現在の顔写真を比較することも、診断の参考になります。
以前と比べて「まぶたがくぼんだ」「二重が深くなった」「目の開きが変わった」と感じたら、受診時に主治医へ相談してください。
副作用を減らす点眼のコツ
-
1回1滴で十分
何滴さしても効果は変わらず、あふれた分が皮膚につく原因になります。 -
点眼後は目を閉じて、目頭を軽く押さえる
全身に回る薬の量を減らせます20。
点眼後は目を閉じ、目頭の涙点付近を軽く押さえることで、薬液が鼻へ流れるのを抑えます。 -
あふれた薬液はふき取る
ふき取った目では、目頭側のまぶたの黒ずみが少なかったという小さな研究があります5。PG関連薬は、洗顔や入浴の前にさすと洗い流しやすくなります。 -
変化に気づいたら、写真を撮って受診時に伝える
まつ毛、まぶたの色、くぼみは、少しずつ進むため自分では気づきにくい変化です。
副作用が出ても、目薬は自分の判断でやめないでください
眼圧が上がると、緑内障が進んで視野が欠けるおそれがあります。目薬の変更は、必ず主治医と相談してください。

もう一つの工夫:入浴前の点眼と洗顔
私が患者さんにおすすめしている工夫の一つが、入浴の10分ほど前に点眼し、入浴時に目の周囲をやさしく洗い流す方法です。
緑内障の点眼薬は、点眼時にあふれた薬液がまぶたや目の周囲の皮膚に付着することがあります。特にプロスタグランジン関連薬では、皮膚に付着した薬液が色素沈着やまつ毛の増加など、目の周囲の外見的な変化に関係することが知られています。
また、薬液や添加物による刺激が、眼瞼周囲の皮膚炎に関与する場合もあります。
そこで、点眼後は軽く目を閉じて涙点を圧迫し、10分ほど経過してから入浴し、まぶたや目の周囲に残った薬液をぬるま湯でやさしく洗い流すことをおすすめしています。
この方法は、皮膚に残る薬液を減らすことで、色素沈着や皮膚刺激などの副作用を軽減する可能性があります。
ただし、洗顔によってすべての副作用や眼瞼周囲炎を予防できるわけではありません。赤み、かゆみ、腫れが続く場合には、点眼薬の変更が必要になることもあるため、主治医に相談してください。
よくある質問
アゾルガやアイファガンで、まつ毛は伸びますか。
まつ毛を伸ばす成分は含まれていません。まつ毛が伸びるのは、主にPG関連薬(キサラタン、ルミガンなど)とその配合剤の副作用です2。ほかに使っている目薬を確認してみてください。
エイベリスでも、まぶたの黒ずみやくぼみは起こりますか。
国内の市販後調査では、PAPに分類される副作用は報告されていません。一方で、充血は起こることがあり、白内障手術後の目では黄斑浮腫に注意が必要です8,10。
目薬をやめれば、まつ毛や黒ずみは元に戻りますか。
黒ずみやくぼみは戻ることが多い一方、まつ毛や目の色は戻りにくい変化です。エイベリスに切り替えた研究では、くぼみの76%が7か月で改善しましたが、まつ毛は1年後もほとんど変わりませんでした21,22。
副作用が気になります。目薬をやめてもいいですか。
やめないでください。多くの副作用は、別の種類の目薬やレーザー治療への変更で対処できます。次の受診で主治医に相談してください。
高田眼科の考え方
当院では、眼圧と視野の状態を確認したうえで、副作用に合わせて目薬の種類の変更や、レーザー治療(SLT)をご提案します。PG関連薬による目のくぼみやまぶたの下がりが残る場合は、眼形成外科として、まぶたの治療にも対応しています。

PAPを伴う眼瞼下垂症の手術では、通常の眼瞼下垂症とは異なる配慮が必要になる場合があります。
特に、眼窩脂肪の萎縮によって上まぶたのくぼみが強い場合、挙筋腱膜を前転して目の開きを改善するだけでは、くぼみそのものは十分に改善しないことがあります。
このようなケースでは、挙筋腱膜の調整に加え、必要に応じて眼窩脂肪の位置やボリュームを考慮した手術を検討します。
また、点眼薬による組織の変化が続いている状態では、術後のまぶたの形が変化する可能性もあります。
そのため、私は、眼瞼下垂症の手術を行う前にPAPの有無を確認し、緑内障治療の状況や眼窩周囲組織の状態を踏まえて、手術の時期と方法を慎重に判断することが重要だと考えています。
緑内障の目薬の副作用が気になる方へ
目薬の見直しから、目のまわりの変化の治療まで、緑内障の治療と合わせてご相談いただけます。
参考文献
PubMed収載論文をもとに作成しています。文献2・7・9・12・13・22は全文、それ以外は抄録を確認しています。
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