目つき矯正と眼瞼下垂の違い
目つき矯正と眼瞼下垂手術は、眼科や形成外科、美容外科などでおこなわれている治療法です。
どちらも目の開きにくさを改善し、視野を広げたり眠たい印象を解消したりする効果が期待できますが、目的や施術方法によって区別される場合もあります。
目の開きや重たいまぶたを解消したいと考えているものの、どちらの治療法を選べばよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、目つき矯正と眼瞼下垂の違いについて詳しく解説していきます。
自分に合った治療法を選ぶポイントもまとめましたので、手術を受ける際の参考にしてください。
目つき矯正と眼瞼下垂の違い
眼瞼下垂とは、まぶたを上げる力(眼瞼挙筋)が弱く、うまく目を開けられなくなる状態です。
眼瞼下垂手術は、まぶたの開きを良くし、視界の狭さや頭痛、肩こりなどを改善する目的でおこなわれます。
一方、目つき矯正は、一般的に目の開きを調整して瞳を露出させ、魅力的な目元に仕上げることを目指す施術です。
重たいまぶたを解消して、ぱっちりとした目元の印象をつくる効果が期待できます。
どちらも施術方法に大きな違いはなく、軽度の眼瞼下垂を治療するために目つき矯正がおこなわれるケースもあります。
基本的に、目つき矯正は「黒目を大きく見せたい」「すっきりとした目元をつくりたい」など、審美的な希望がある方が受ける施術であり、デザイン性を重視しているのが特徴です。
クリニックごとに解釈が異なる
どのような施術を「目つき矯正」と呼ぶかは、クリニックによって異なります。
一般的には、眼瞼下垂の症状を改善するための治療法を眼瞼下垂手術、審美目的でおこなわれる治療法を目つき矯正と呼び、両者は区別されます。
しかし、クリニックによって解釈は異なり、眼瞼下垂の治療法として目つき矯正のメニューを提供している場合もあります。
そのため、手術を受ける際は、施術内容をカウンセリングで医師によく確認することが重要です。
眼瞼下垂=目つき矯正と呼ぶクリニックも多い
眼瞼下垂手術と目つき矯正は治療目的が異なりますが、どちらも目を開ける力を強くする効果があるため、同じ治療法として考えているクリニックも少なくありません。
とくに、美容外科でおこなっている自由診療(保険適用外)の眼瞼下垂手術では、単にまぶたの開きを改善するだけではなく、デザイン性も重視されるため、目つき矯正と呼んでいるケースがあります。
なお、保険適用による眼瞼下垂手術は、基本的にまぶたの機能回復のみを目的としているため、審美性は考慮されません。※ただし全く考慮がないかというと、そういうことはありません。
切開か非切開かで言い方を分けているクリニックも
クリニックのなかには、治療目的ではなく、まぶたの皮膚を切開するかしないかで「眼瞼下垂手術」と「目つき矯正」を区別しているところもあります。
切開を伴う施術が眼瞼下垂手術、非切開でおこなわれる施術が目つき矯正です。
切開式と非切開式では、効果やダウンタイムの長さなどが異なります。
ただし、先述したとおり解釈はクリニックによって異なり、目つき矯正が必ずしも非切開となるわけではありません。
また、眼瞼下垂手術であっても、切開しない埋没法の施術方法を選択できる場合もあります。
目の開き改善・重たいまぶた解消の治療法を選ぶポイント
目の開きや重たいまぶたを改善するための手術を検討する際は、治療内容をよく確認し、自分の希望に合う方法を選択しましょう。
名称ではなく治療内容をチェック
先述のとおり、眼瞼下垂手術と目つき矯正は、同じ治療法として提供されるケースもあれば、区別されるケースもあり、クリニックによって解釈はさまざまです。
そのため、治療の名称で選ぶのではなく、内容をしっかりとチェックしなければなりません。
まぶたの開き改善のみを目的としているのか、目をぱっちりとさせるための施術なのか。
どのような術式で手術がおこなわれるのかなど、治療に対する疑問を解消したうえで、納得できる方法を選んでください。
どんな手術が自分に合っているか知るには
まずは専門医への受診が第一です。
そのうえで、治療内容を理解できても、どの手術が自分に合っているかわからない場合は、手術を受けるうえで重視するポイントを明確にしましょう。
たとえば、できるだけ費用を抑えて眼瞼下垂の症状を改善したい場合は、保険診療での眼瞼下垂手術が推奨されます。
二重のデザインや左右のバランスなど、審美性に徹底的にこだわりたい場合は、自由診療で受けられる眼瞼下垂手術(目つき矯正)も選択肢のひとつです。
どこへ受診すれば良いか悩まれている方は、下記の記事を参考にしてください。
手術前のカウンセリングの重要性
眼瞼下垂や目つき矯正の手術で失敗しないためには、手術前のカウンセリングで自分の希望を伝え、治療の効果や仕上がりのイメージ、リスクなどをよく確認しておく必要があります。
治療内容を十分に理解しないまま手術を受けてしまうと、思いどおりの仕上がりにならず、後悔につながってしまう場合も。
カウンセリングに時間をかけてくれ、親身になって対応してもらえるクリニックを選びましょう。
疑問や不安はすべて解消し、納得したうえで治療を受けてください。
目つき矯正・眼瞼下垂手術のリスク・副作用
目つき矯正や眼瞼下垂手術では、目の開きを良くする効果が期待できる一方、副作用が生じたり、後遺症が残ったりするリスクも伴います。
目つき矯正・眼瞼下垂手術の副作用
- 赤みや腫れ、内出血
- ドライアイ
- 涙目、目やに
- 目の違和感
- まぶたが閉じにくくなる
- 目が開きすぎる
- 視界不良 など
手術後に起こりうる後遺症・トラブル
- 眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
- 低矯正、過矯正
- 傷口のひきつれ
- 稗粒腫(はいりゅうしゅ)
- 霰粒腫(さんりゅうしゅ)
- 二重の左右差 など
とくに、切開法の手術の場合、赤みや腫れ、内出血などが生じやすく、ある程度のダウンタイムは避けられません。
個人差はありますが、1〜2週間ほどは傷跡が目立ちます。
また、目の開閉が困難となったり、涙や目やにが増えたりと、手術後は目に違和感を覚える場合もあります。
こうした副作用は一時的なものであり、適切なケアをおこなっていれば、時間の経過とともに元の状態に戻っていくため、ほとんど心配はありません。
一方、眼瞼痙攣や低矯正・過矯正、左右差といったトラブルが起こると、再手術が必要となる可能性があるため注意が必要です。
実績があり、信頼のできるクリニックを選べば後遺症や失敗のリスクは減らせますが、完全には防げないことを理解したうえで手術を受けましょう。
眼瞼下垂手術後のトラブルについてご心配がある方は、下記の記事もご覧ください。
治療後の効果・変化
目つき矯正・眼瞼下垂手術には、目の開きを改善して魅力的な目元に見せる効果があります。
- 目を開きやすくなる
- 視野が広がる
- 黒目が大きく見える
- 眠たそうな印象がなくなる
- 目つきが良くなる
- 目元がすっきりとする
- 眼精疲労の改善
- 眼瞼下垂による頭痛や肩こりの緩和
- 眼瞼下垂の予防
ただし、眼瞼下垂の重症度や治療方法によって効果の現れ方は異なるため、担当医とよく相談してください。
また、治療後の経過も、施術方法や体質、術後の過ごし方などによって異なります。
切開法の場合、傷跡がほぼ目立たなくなり、二重が安定するまでには3〜6か月ほどかかるのが一般的です。
非切開の場合は、2〜3日で腫れが引き、1か月ほど経てば完全に落ち着く傾向です。
傷跡が残らず、ダウンタイムを短縮できるメリットがある非切開法ですが、その分切開法に比べて効果の持続性は低くなります。
また、重度の眼瞼下垂である場合、非切開の手術では十分な効果が見込めない点にも注意が必要です。
まとめ
本記事では、目つき矯正と眼瞼下垂手術の違いについて解説しました。
一般的に目つき矯正は、重たいまぶたを解消し、ぱっちりとした目元をつくるための治療法です。
一方、眼瞼下垂手術は、まぶたの開きにくさや視界の狭さ、頭痛、肩こりといった眼瞼下垂の症状改善のみを目的としています。
ただし、クリニックによって解釈は異なり、眼瞼下垂手術を目つき矯正と呼ぶ場合もあります。
目の開きやまぶたの重さを改善したい場合は、治療内容をよく確認して希望に合う方法を選びましょう。
どのような治療法が自分に合っているかわからない方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
目つき矯正と眼瞼下垂の違いでよくある質問
- 目つき矯正と眼瞼下垂の手術方法は同じですか?
-
施術方法に大きな違いはありませんが、眼瞼下垂手術は、まぶたの開きを良くし、視界の狭さや頭痛、肩こりなどを改善する目的でおこなわれます。
目つき矯正は「黒目を大きく見せたい」「すっきりとした目元をつくりたい」など、審美的な希望がある方が受ける施術であり、デザイン性を重視しているのが特徴です。
どのような施術を「目つき矯正」と呼ぶかはクリニックによって解釈が異なり、眼瞼下垂=目つき矯正と呼ぶクリニックも多いため、施術内容をカウンセリングで医師によく確認することが重要です。
- 目つき矯正と眼瞼下垂、どちらが自分に合っているかわかりません。
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目の開きや重たいまぶたにお悩みの方は、まずは専門医への受診が第一です。眼瞼痙攣(がんけんけいれん)や眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふちかんしょう)といった偽眼瞼下垂症のほか、内科的・神経内科的なほかの病気が隠れていることもあります。
眼科では眼瞼下垂の原因や、ほかの病気の有無を調べられるため、まずは眼科を受診されることを推奨いたします。
目つき矯正という名称はクリニックごとに解釈が異なるため、名前ではなく、治療内容を確認しましょう。
参考文献
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