近視・遠視の基本とは?治療法までをまとめて解説
多くの人が抱える眼の問題が『近視』です。
近視というのは、近くのものは見えるけれど、遠くのものはピントが合わずに見えにくいという状態をいいます。
その状態によって程度は異なりますが、学業や仕事などの日常生活に支障を生じてしまう病態でもあります。
また、近視と同様に、一般な眼の問題のひとつに『遠視』という病気があります。
遠視は〝近視の逆の状態〟と考えられがちですが、実際にはそうではなく、遠くのものも近くのものもピントが合いにくい状態です。
遠視の状態になると、『見る』という動作を行う際のピント調節が難しくなります。
目の疲れや疲労感が溜まりやすくなることで、全身の不調を誘発する可能性があります。
今回は、そんな『近視と遠視』に関して解説します。
近視とは?
近視というのは非常に一般的な眼の問題です。
- ものが見えにくくなった
- 遠くのものがぼやけて見える
- 目を細めないと遠くの文字が読めない
などなど
学校などの健康診断で指摘され、眼科を受診する際の多くの動機となる症状です。
近視はメガネやコンタクトレンズ、レーシックや眼内コンタクトレンズなどの手術治療(個人によって、おすすめできるものが異なります。一度当院にご相談下さい。)によって視力を矯正する必要があります。
症状の程度は状態によって異なりますが、近視をそのままにしておくと、日常生活に大きな支障を生じる可能性もあります。
特に車の運転など、危険を伴う作業や仕事ができなくなることも考えられるため、早めに眼科への受診をおすすめします。
学生であれば、授業などの勉強の効率が落ち、学業の成績低下の原因ともなります。
近視症状はまず眼科への受診をおすすめします
現在では、インターネットなどで気軽にコンタクトレンズを手に入れることが可能ですが、自分の目の状態を把握し、状態にあったものを使う必要性があることから、自己判断をせず、定期的に眼科を受診してください。
まずは近視の原因を突き止めることが重要であり、場合によっては原因疾患(近視の原因となっている病気)の治療が必要な場合もあります。
近視、それ自体は、通常の場合、メガネやコンタクトレンズで矯正が可能であり、それらの医療機器は気軽に手に入れることが出来ます。
しかし、近視が進んでる、その裏には別の病気が潜んでいる可能性も否定できません。
まずは眼科に受診して、近視の原因をはっきりとさせることが大切です。
世界中で近視の人が増加している
そんな『近視』ですが、実は世界中で急速に増加していることが知られています。
2050年には、全世界の近視人口は47億5800万人を上回るという予測も出ています。
47億人という数字は、全人口の約半数を占める人数であり、全人口の約半数は近視になる可能性があるということです。
参考)Holden BA, et al. Ophthalmology.(2016)
近視の原因は?
近視の原因は様々であり、遺伝的な要因から目の使い過ぎまでさまざまです。
特に、成長期には眼球の奥行き(眼軸長)が長くなることが知られており、ピントが合いにくくなります。
学業やテレビ(テレビゲーム)、スマートフォンやパソコンなどの仕様によって目を酷使することで、より近視症状が進行する可能性も考えられます。
近年ではスマートフォンの普及によって、成人期にも近視症状が出現する人が増加しています。
スマートフォンやパソコンのモニターはたくさんの小さな点が密集して文字や画像を構成しおり、この点は1秒間に数十回という速さで点滅しています。
そのため、モニターを見続けることで目が疲労し、次第にピントを調節する能力が低下します。
加えて、スマートフォンを見続ける独特な姿勢(うつむき加減で前かがみの姿勢)も悪影響を及ぼします。
スマートフォンを見る姿勢によって、近くの画面を集中して見続けるために、ピントを調節する眼の中の筋肉の緊張が続いたり、首から肩周辺の筋肉が凝り固まったり神経を圧迫します。
このように、日常生活のあらゆる場面が近視症状発現に影響を与えています。
その他にもストレスなどによる自律神経の乱れも視力に影響を及ぼすことが分かっています。
近視の治療法
一般的な近視の治療方法は、メガネやコンタクトレンズなどによる視力の矯正です。
眼に栄養を与えるビタミン剤や眼に潤いを与える点眼薬(目薬)、目のピントを合わせる筋肉を一過性に休ませる点眼薬が使用されることがありますが、あくまでも、視力矯正が一般的です。
なお、『眼が見えにくい』状態に他の病気(白内障や緑内障など)が関与している場合は、眼科医の指導の下専門的な治療が必須となります。
また、場合によってはレーシックや眼内コンタクトレンズなどの処置が選択されることもありますが、さまざまな問題(副作用)もあります。
しっかりと説明を受けて納得した上で治療を行う必要があります。
”近視の手術的矯正法として、角膜周辺部分を放射状に切開する「放射状角膜切開術」や、エキシマレーザーを用いて角膜の中心部分を削るレーシック(LASIK)などがあります。しかし、強い近視では効果が弱く、また、安定した視力予後が得られない場合や、角膜の濁りや眼底出血などの後遺症が残る場合もあります。治療を受ける場合には、十分説明を聞き、納得してから受けるようにしましょう。(日本眼科医会ホームページより引用)”
遠視とは?
次に『遠視』について解説していきます。
勘違いをしている人が多いですが、遠視というのは一概に〝遠くのものがよく見える状態〟ではありません。
実際の遠視とは、『屈折異常』とよばれる症状ひとつです。
眼に入ってくる光の屈折が正常に働いていない状態です。
具体的には、屈折力が弱すぎて、網膜より後ろで焦点があってしまう状態が遠視です。
人間はピントを自分の力で『調節』しようとする働きがあるため、場合によっては〝遠くのものもよく見える状態〟になることがあります。
しかし、日常的にピントの調節を続けることで、眼精疲労やそれに伴う全身症状(めまいや頭痛など)が出現する場合もあります。
遠視の治療法は?
遠視の治療もメガネやコンタクトレンズなどによる矯正が一般的です。
自分に合ったメガネを使用しないと、眼に大きな負荷をかけることになりますので、必ず眼科医に相談の上、視力の強制を行って下さい。
近視・遠視の治療は眼科にご相談ください
近視や遠視などの視力矯正はメガネやコンタクトレンズで可能です。
視力が低下した原因を明確にするためにも、まずは眼科に受診することが重要です。
- 最近目が見えにくくなった
- こどもが目を細めていることがある
- 目が疲れて頭痛がする
などなど
このような症状にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。