眼瞼下垂に「医療用テープ(サージカルテープ)」「アイテープ」は効く?──効果・限界・悪化リスク・正しい使い方まで専門医が徹底解説

眼瞼下垂を自力で改善するためのアイテムとして、医療用テープやアイテープがよく紹介されています。
テープをまぶたに貼るだけで、本当に眼瞼下垂の症状が改善されるのでしょうか。
結論から言うと、テープで「まぶたを持ち上げる」ことはできても、眼瞼下垂そのもの(原因)を治すことはできません。
一方で、使い方を誤ると皮膚トラブルだけでなく、目の表面(角膜)に影響が出る報告もあります。
この記事では、眼瞼下垂症手術を多数行っている立場から、眼瞼下垂でテープ・アイテープを使用する効果やおすすめのテープ、症状を軽くする貼り方、デメリットについて詳しく解説します。
この記事で分かること
- テープで期待できる効果(どの程度・どんな人に)
- 「治る」と勘違いしやすいポイント
- アイテープ・アイプチは眼瞼下垂の原因になるのか?(よくある誤解)
- 悪化・副作用(皮膚/ドライアイ/角膜への影響など)
- どうしても使うなら:安全性を上げる貼り方
- 受診の目安(放置してはいけないケース)
そもそも眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、まぶたを上げる仕組みに問題が起きて、上まぶたが十分に上がらず、視野が狭くなったり、目が開けづらくなる状態です。
典型的には、視野が狭い/眠そうに見える/二重幅が変わる/額のしわが増える/頭痛・肩こりなどが起きます。
- 視野がせまくなる
- まぶたが重く感じる
- 眠たそうな印象になる
- 二重幅が広くなる
- 頭痛や肩こりがひどくなる
- おでこにシワが寄る
眼瞼下垂の重症度によって症状は異なりますが、重度になると瞳孔が半分以上隠れてしまい、日常生活に支障をきたすおそれがあります。

テープで得られる効果:できるのは「一時的な挙上」

インターネット上では、眼瞼下垂の症状をやわらげる応急処置として、医療用のテープやアイテープなどをまぶたに貼る方法がよく紹介されています。
確かに、医療用テープ(サージカルテープ)やアイテープで、まぶた(皮膚)を物理的に引き上げれば、貼っている間だけ目の開きが少し良くなることがあります。
軽症なら、眉や額の緊張が減って、頭痛・肩こり・眼精疲労が一時的に軽く感じる方もいます。
ただし重要なのは、テープは原因(挙筋腱膜のゆるみ、筋力低下、神経・筋疾患など)を修復しないということです。
貼って良く見えても、根本的に治ったわけではありません。
テープで「治らない」理由(専門医として一番強調したい点)
眼瞼下垂の代表である「腱膜性眼瞼下垂」は、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)そのものより、挙筋腱膜のゆるみ・断裂が本質です。
これを元に戻すには、原則として手術による修復が必要になります(例:挙筋腱膜前転など)。
テープは皮膚を引っ張って形を変えるだけなので、貼っていない時の状態を根本から改善できません。
「アイプチ・アイテープで眼瞼下垂になる」は嘘?──ここは整理が必要
ネット記事でよく見るテーマですが、参考記事でも「アイプチで“筋肉が弱って”眼瞼下垂になる、という理解には語弊がある」と整理されています。
つまり、アイプチで起きやすいのは、筋肉の障害というより皮膚が伸びて(たるんで)目が開きづらく見える状態だ、という主張です。
では「安心して使い続けてOK」か?
ここがポイントです。
- “定義上の眼瞼下垂(挙筋機能の問題)”ではないケースがあるのは事実です。
- しかし、眼瞼下垂(特に腱膜性)は、慢性的な刺激・牽引・炎症でもリスクが上がるとされ、頻回の眼こすりやアトピーなどがリスクとして挙げられています。
つまり、
「アイテープ=即、眼瞼下垂」ではない
一方で、
「まぶたへの刺激が積み重なるほど、まぶたのトラブル(たるみ・炎症・開瞼不全の助長)の土台になり得る」
このくらいの温度感が、臨床的には最も誤解が少ないです。
テープのデメリット・悪化リスク(見た目より大事な話)

まぶたの開きを良くする効果が期待できるテープですが、以下のようなデメリットもあります。
- かぶれやかゆみを起こすおそれがある
- 眼瞼下垂が悪化するリスクがある
- 見た目が不自然になる
1日中テープをまぶたに貼って過ごす方法であるため、刺激の少ないテープであっても、毎日のように使用し続けているとまぶたの皮膚に負担がかかってしまいます。
とくに肌が弱い方は、テープを貼っている部分がかぶれたり、かゆみが生じたりする可能性も。
また、長期間にわたりテープでまぶたを引っ張り上げていると、皮膚が伸びてしまい、眼瞼下垂が悪化するリスクが高まります。
さらに、テープを貼ると見た目が不自然になってしまう点もデメリットの一つです。人と会ったり、外出したりする予定がない日に使用する必要があります。
1) 皮膚炎・かぶれ・色素沈着
まぶたは皮膚が非常に薄くデリケートです。粘着力が強いもの、剥がし方が雑なものは、かぶれ・赤み・色素沈着を起こしやすいです。
2) 角膜(黒目)の形が変わるリスク
二重形成テープ(アイテープ)で、角膜乱視が増えた(角膜形状変化を疑う)症例報告もあります。頻度は高くないにせよ、「目の表面に影響し得る」という点は軽視できません。
3) まばたきが不完全になる・ドライアイ悪化
両面の二重テープを4週間使用した研究で、不完全瞬目が増えた(上眼瞼の動きが制限される可能性)と報告されています。ドライアイ傾向の方には特に不利です。
4) 「重度の眼瞼下垂」には効かない
瞳孔に大きくかぶさるような重度の眼瞼下垂では、テープで十分な改善は期待できません。
どうしても使うなら:安全性を上げる“医療用テープ”の考え方
まぶたに貼るテープは、市販のサージカルテープ(医療用テープ)を選びましょう。
おすすめは、美容用の強い粘着のものより、肌色のサージカルテープ(医療用)です。
理由は「刺激の少なさ」と「剥がしやすさ」。粘着が強すぎる製品は避けます。
効果を発揮させるためには1日中テープを貼って過ごす必要があるため、目立たない肌色タイプがおすすめです。
また、粘着力が強すぎると、肌荒れを起こしてしまうおそれがあります。
まぶたは皮膚が薄いデリケートな部分であるため、とくに注意が必要です。肌への刺激が少ない素材が使われているテープを選びましょう。
サージカルテープはドラッグストアやコンビニ、通販などで購入できます。
なお、二重まぶたを作るためのアイテープにも、一時的にまぶたを開きやすくする効果は十分にあります。
ただし、粘着成分によって肌がかぶれやすくなるほか、間違った剥がし方をすると眼瞼下垂を悪化させる原因にもなるため注意が必要です。
貼り方(応急処置としての使い方)
※ここでは「眼瞼下垂を治す方法」ではなく、一時的に楽にする目的での貼り方です。
- サージカルテープを4〜5cmの長さにカットします。
- 目をつぶり、テープの片側を眉毛の下の2−3cm程度のところ、上まぶたの部分に貼ります。
- テープを上方向に引っ張りながら目を開き、もう片側の端を額に貼ったら完成です。
洗顔後の清潔な皮膚に、貼り替えは必要に応じて。貼っている間だけ効果が出る点は再度強調します。
根本的には治らないが、不調がやわらぐ可能性はある
まぶたが下がっていると、無意識のうちに目を開こうとして、筋肉が緊張した状態が続きます。その結果、頭痛や肩こりなどを引き起こすおそれがあります。
テープを使ってまぶたを上げることで、筋肉への負担を軽減できるため、眼瞼下垂が原因で生じる頭痛や肩こり、眼精疲労などの不調がやわらぐ可能性があります。
やってはいけない使い方
- かぶれているのに貼り続ける
- 強い力で引き上げる(皮膚トラブルが増える)
- 雑に剥がす(皮膚刺激が増える)
- ドライアイが悪化しているのに無理に続ける(不完全瞬目のリスク)
受診の目安:テープでごまかさず「原因確認」へ

テープが効いた=「軽症だから大丈夫」ではありません。
テープ・アイテープにより眼瞼下垂の症状が改善されたとしても、眼瞼下垂が治るわけではありません。眼瞼下垂が進行する前に、手術で治療する必要があります。
むしろ、早めに原因を見極めた方が、治療の選択肢は広がります。
また、まぶたが瞳孔に大きくかぶさっている重度の眼瞼下垂に対しては、テープの効果は期待できません。
特に次は早めに受診してください:
- 以前より明らかに進行している
- 夕方ほど悪い(疲れで増悪)
- 片目だけ急に下がった
- ものが二重に見える、しびれ・ろれつなど他症状がある(神経学的評価が必要なことがあります)
- テープ使用で目の乾き・痛み・視力変動が出る(角膜影響も含め確認が必要)
眼瞼下垂手術の効果
一般的な眼瞼下垂手術では、皮膚を切開して眼瞼挙筋腱膜を露出させ、糸で瞼板に固定させてまぶたの開きを良くします。

手術を受けていただくと、目の開きにくさが改善されるほか、まぶたのゆるみやたるみ、おもみの進行も防げます。
加齢による変化は完全には止められませんが、アンチエイジングの観点からも眼瞼下垂手術は効果的です。
まぶたの皮膚を切開するため、ある程度のダウンタイムは生じるものの、一度眼瞼下垂手術を受ければ効果は半永久的に持続します。

保険適用での治療が可能
眼瞼下垂症と認められれば、基本的には保険適用による治療を受けられます。施術方法によって値段は異なりますが、3割以下の自己負担で手術が可能です。
ただし、保険診療の眼瞼下垂手術は、日常生活へのトラブルが生じている症状を改善することが目的となります。
基本的に「目を大きく見せたい」「左右のバランスを良くしたい」などの審美的な希望には、保険診療の範囲では対応していません。
眼瞼下垂の改善だけではなく、見た目の美しさにもこだわりたい方は、美容外科や自由診療のほうが良い場合もあります。
まぶたが重く感じる、目が開きにくいといった症状にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ:そのまま記事末尾に使えます)
Q1. 眼瞼下垂はテープで治りますか?
治りません。テープは貼っている間だけまぶたを持ち上げる“対症療法”です。原因(挙筋腱膜のゆるみ等)を治すものではありません。
Q2. アイテープ・アイプチで眼瞼下垂になりますか?
「筋肉が壊れて眼瞼下垂になる」と単純化するのは正確ではない、という整理があります。
ただし、まぶたへの刺激(牽引・炎症・こすり)が続くほど、まぶたのトラブルを助長する土台になり得るため、使い方・頻度には注意が必要です。
Q3. 医療用テープなら安全ですか?
比較的刺激は少ない傾向ですが、かぶれ・皮膚炎は起こり得ます。また、二重形成テープで角膜乱視が増えた報告や、不完全瞬目が増えた研究もあり、“絶対安全”ではありません。
Q4. テープが効くのはどんな眼瞼下垂ですか?
軽症で「皮膚のかぶさり」要素が強い場合、見かけ上の改善は得やすいです。一方、重度で瞳孔に大きくかぶさるケースでは限界があります。
まとめ(専門医としての提案)
医療用テープやアイテープの眼瞼下垂への効果について解説しました。
テープをまぶたに貼る方法は、軽度の眼瞼下垂を一時的に軽くするのに効果的です。
しかし、使い方によってはまぶたに負担がかかり、肌荒れや眼瞼下垂の悪化を招くリスクがあります。
眼瞼下垂の症状に気づいたら早めに医療機関を受診し、医師の指示を仰ぎましょう。

症状が進行する前に眼瞼下垂手術を受けることで、加齢による変化を遅らせ、眼瞼下垂により生じる頭痛や肩こり、おでこのシワなどの症状も改善できる可能性があります。
- テープは応急処置としては価値がある
- ただし、根治はできない
- 誤った使い方は、皮膚/ドライアイ/角膜の問題を起こし得る
- 「貼ると楽」だからこそ、早い段階で原因を診断し、必要なら手術も含めて最短ルートを選ぶべき
参考文献
CLAUSER, Luigi; TIEGHI, Riccardo; GALIÈ, Manlio. Palpebral ptosis: clinical classification, differential diagnosis, and surgical guidelines: an overview. Journal of Craniofacial Surgery, 2006, 17.2: 246-254.
FINSTERER, Josef. Ptosis: causes, presentation, and management. Aesthetic plastic surgery, 2003, 27.3: 193-204.
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