結膜母斑とは?白目にできる茶色いシミの原因・見分け方・レーザー治療について

結膜母斑(けつまくぼはん)とは、白目を覆う結膜にできる良性の色素性病変です。「白目に茶色いシミがある」「黒目の横にほくろのようなものがある」と気づいて受診されることがあります。
多くの結膜母斑は良性で治療を必要としませんが、白目の色素性病変には原発性後天性メラノーシス(PAM)や結膜悪性黒色腫などとの鑑別が必要なものもあります。
この記事では、結膜母斑の原因や特徴、紫外線との関係、悪性病変との見分け方、検査、経過観察、レーザー治療・手術治療について眼科医が詳しく解説します。
鏡を見たときに、白目の部分に茶色や黒っぽいシミがあることに気付き、

「これは何だろう?」
「だんだん濃くなっている気がする」
「悪い病気ではないの?」
「レーザーで消すことはできる?」
と心配になって眼科を受診される方がいます。
白目にみられる茶色い病変の代表が結膜母斑(けつまくぼはん:conjunctival nevus)です。
結膜母斑は、多くの場合は良性です。
ただし、白目にみられる色素性病変には、結膜母斑以外にも、原発性後天性メラノーシス(PAM)、結膜メラノサイト上皮内病変(C-MIL)、そして非常にまれですが結膜悪性黒色腫などがあります。
そのため、単に「白目のシミ」と考えるのではなく、まず何の病変なのかを正しく診断することが重要です。
- 結膜母斑とは?
- 結膜母斑は「皮膚のシミ」とは違う?紫外線との関係
- 結膜母斑はどのように見える?
- 結膜母斑の診断で重要な「嚢胞」
- 結膜母斑は大きくなる?悪性化する?
- 原発性後天性メラノーシス(PAM)との違い
- 結膜悪性黒色腫との違い
- 結膜母斑は治療する必要がありますか?
- 結膜母斑の治療
- 当院ではPASCALレーザーによる結膜母斑治療を行っています
- 皮膚のシミ取りレーザーと結膜母斑レーザーは何が違う?
- PASCALレーザー治療が適している結膜母斑
- 悪性が疑われる病変には安易にレーザーを行いません
- 結膜母斑の外科的切除を検討する場合
- 結膜母斑のPASCALレーザー治療はどのように行う?
- 結膜母斑のレーザー治療後の経過
- 結膜母斑は再発しますか?
- 治療費
- 結膜母斑についてよくある質問
- 結膜母斑についてのまとめ
- 参考文献・医学情報
結膜母斑とは?

結膜母斑とは、白目を覆っている「結膜」に生じる良性のメラノサイト系腫瘍です。
簡単にいえば、
皮膚にできる「ほくろ」に近い病変が、白目の結膜にできたもの
と考えると分かりやすいでしょう。
「母斑」という名前から、生まれたときから存在するものと思われるかもしれませんが、必ずしも出生時から色が目立っているわけではありません。
小児期から存在していても、
- 成長
- 思春期
- ホルモン変化
- 炎症
などに伴って色が濃くなり、あとから気付かれることがあります。
結膜腫瘍のなかでは比較的よくみられる病変で、多くは小児期から若年成人期に発見されます。
大規模な410例の研究では、結膜母斑の72%が球結膜にみられ、特に黒目と白目の境界である角膜輪部付近に多く認められました。
また、65%に病変内部の小さな嚢胞が認められています。
結膜母斑は「皮膚のシミ」とは違う?紫外線との関係
患者さんから、
「結膜母斑は、紫外線でできたシミですか?」
と質問されることがあります。
結論からいうと、結膜母斑は、一般的な皮膚の「シミ」とは病態が異なります。
皮膚の代表的なシミである老人性色素斑(日光黒子)は、長年の紫外線曝露などによってメラニン産生が亢進し、表皮にメラニンが増えることで生じます。
一方、結膜母斑は、単にメラニン色素が白目に沈着したものではありません。
メラニンを産生する細胞に由来する母斑細胞が局所的に増殖して形成される良性の病変です。
そのため、
「白目にメラニンがたまってシミになった」
と考えるよりも、皮膚の「シミ」ではなく「ほくろ」に近いものと理解する方が、医学的にはイメージしやすいでしょう。
結膜母斑は紫外線でできるのですか?
確かに、皮膚のシミでは紫外線が大きく関係しますが、結膜母斑については、紫外線が直接の原因であるとは考えられておりません。
ただし、結膜は常に外界にさらされているため、紫外線などの刺激によって、もともと存在する母斑の色調が濃く見える可能性はあります。
一方、結膜悪性黒色腫では、紫外線によるDNA損傷に特徴的な遺伝子変化が報告されており、紫外線が発症に関与する可能性が示されています。
しかし、これは「紫外線で結膜母斑ができる」「紫外線によって結膜母斑が癌になる」という意味ではありません。
結膜母斑は、基本的には母斑細胞からなる良性の病変であり、いわゆる「紫外線でできた白目のシミ」とは異なります。
眼表面への過度な紫外線曝露を避ける目的では、UVカット機能のある眼鏡やサングラス、つばのある帽子を使用することは有用です。
結膜母斑はどのように見える?

典型的な結膜母斑には、いくつか共通した特徴があります。
発見される年齢、できやすい場所、色調の違いを知っておくと、
結膜母斑の見た目を理解しやすくなります。
若いころから存在することが多い
結膜母斑は、小児期から若年成人期に発見されることが多い病変です。
患者さん自身が最近気付いた場合でも、 過去の写真を確認すると以前から存在していたことがあります。
白目の鼻側・耳側に多い
結膜母斑は、まぶたを開いたときに見えている 球結膜に多くみられます。
特にこの部位は、典型的な結膜母斑でよくみられる場所です。
茶色とは限らない
結膜母斑というと濃い茶色を想像しやすいのですが、 実際には色調にはかなり幅があります。
結膜母斑の診断で重要な「嚢胞」
結膜母斑には特徴的な所見があります。
それが、
病変内部にみられる透明な小さな嚢胞(intralesional cyst)
です。
細隙灯顕微鏡で拡大すると、茶色い母斑の内部に、小さな透明の泡のようなものが見えることがあります。
これは、母斑が形成される過程で結膜上皮が病変内部に取り込まれてできる構造です。
結膜母斑410例を調べた研究では、約65%にこの嚢胞が確認されました。
このため、
「若いころからある」「白目にある」「境界が比較的明瞭」「内部に透明な嚢胞がある」
という組み合わせがあると、結膜母斑の可能性が高くなります。
ただし、嚢胞がない結膜母斑もあるため、嚢胞がないから悪性というわけではありません。
結膜母斑は大きくなる?悪性化する?
「昔より少し大きくなった」「色が濃くなった」と心配される方もいます。
しかし、
結膜母斑が変化したからといって、すぐに悪性化を意味するわけではありません。
結膜母斑410例を調べた研究では、長期間経過観察された症例のうち、
- 約7%で大きさが増加
- 約5%で色が濃くなる
- 約8%で色が薄くなる
という変化が認められました。
特に若年者では、成長やホルモン変化、結膜炎などの炎症によって病変が少し大きくなったり、色調が変化したりすることがあります。
結膜母斑は基本的に良性です
結膜母斑は基本的に良性の病変で、 悪性黒色腫へ進展することは非常にまれです。
「絶対に悪性化しない」とまでは言い切れませんが、 典型的な結膜母斑では悪性化のリスクは非常に低いと考えられています。
大きさや色が変わることがあります
結膜母斑は、経過中に少し大きくなったり、 色が濃くなったり、反対に薄くなったりすることがあります。
特に若年者では、成長やホルモン変化、結膜炎などの炎症によって 病変の大きさや色調が変化することがあります。
このような変化は再評価が必要です
ごくまれに、既存の母斑から悪性黒色腫が発生した例も報告されています。 特に、以下のような変化がある場合は眼科での再評価が必要です。
- 成人になってから急速に大きくなる
- 形が不整になってくる
- 色調が急に変化する
- 血管が増えたり、太く目立つようになる
典型的な結膜母斑は悪性化リスクの非常に低い病変です。
ただし、明らかな変化がみられる場合には、悪性病変との鑑別のため再評価することが大切です。
原発性後天性メラノーシス(PAM)との違い
白目に茶色い色素がみられる病気として、結膜母斑としばしば比較されるのが、
原発性後天性メラノーシス(Primary Acquired Melanosis:PAM)
です。
結膜母斑とPAMは、見た目が似ることがありますが、病態は異なります。
結膜母斑と原発性後天性メラノーシス(PAM)は、どちらも結膜にみられる色素性病変ですが、 年齢や形状、隆起の有無、嚢胞の有無などに違いがあります。
結膜母斑にみられやすい特徴
- 小児〜若年者から存在することが多い 若いころから認められることが多い病変です。
- 比較的境界がはっきりしている 病変の輪郭が比較的わかりやすいことがあります。
- やや盛り上がることがある 完全に平坦ではなく、軽度に隆起して見えることがあります。
- 内部に嚢胞を認めることが多い 小さな透明〜半透明の嚢胞は、結膜母斑を示唆する特徴のひとつです。
PAMにみられやすい特徴
- 成人以降に出現することが多い 若年期から存在する結膜母斑とは異なり、成人になってから認められることがあります。
- 平坦 盛り上がりが乏しく、結膜表面に色素が広がるように見えます。
- 不整形 輪郭が一定せず、不規則な形をとることがあります。
- 地図状に広がることがある 限局した「ほくろ」のような形ではなく、面として広がることがあります。
- 嚢胞を通常認めない 結膜母斑でみられやすい内部嚢胞は、PAMでは通常みられません。
近年では、PAMという言葉だけでは病変の性質を十分に表せないため、病理学的にはC-MIL(Conjunctival Melanocytic Intraepithelial Lesion:結膜メラノサイト上皮内病変)という分類が使われるようになっています。
C-MILにはlow-gradeとhigh-gradeがあり、とくにhigh-grade C-MILは結膜悪性黒色腫と密接に関連する病変です。
WHO分類に基づく国際的な検討でも、high-grade C-MILは臨床的に重要な病変として分類されています。

「白目が茶色い=すべて結膜母斑」ではありません。
年齢、病変の形、位置、隆起、嚢胞、血管、広がりなどを総合的に評価する必要があります。
結膜悪性黒色腫との違い
結膜悪性黒色腫は非常にまれな疾患ですが、 結膜の色素性病変を診察する際には鑑別すべき重要な病気です。 結膜母斑と悪性黒色腫では、発症年齢、経過、形状、発生部位などに違いがみられることがあります。
TYPICAL CONJUNCTIVAL NEVUS
典型的な結膜母斑にみられやすい特徴
- 若いころから存在している 小児期〜若年期から存在していることが多い病変です。
- 長期間、大きな変化がない 年単位でみても、形や大きさに明らかな変化がないことが多くみられます。
- 球結膜にみられることが多い 特に、まぶたを開いたときに見える球結膜や角膜輪部付近に多く認められます。
- 境界が比較的明瞭 周囲との境界が比較的わかりやすいことがあります。
- 内部に嚢胞を認めることがある 小さな透明〜半透明の嚢胞は、結膜母斑を示唆する重要な特徴のひとつです。
NEEDS CAREFUL EVALUATION
悪性黒色腫などを考慮して慎重に評価する所見
- 成人になってから新しく出現した 特に、以前にはなかった色素性病変が成人以降に出現した場合には注意が必要です。
- 短期間で明らかに大きくなった 数か月〜短期間で明らかな増大を認める場合には慎重な評価が必要です。
- 急に隆起してきた 平坦だった病変が盛り上がってきた場合には、形態変化として重要です。
- 血管が目立つようになってきた 新たな血管の増生や、病変に向かう血管が目立ってきた場合には評価が必要です。
- 出血を伴う 自然出血や、明らかな表面変化を伴う場合には注意が必要です。
- 角膜側へ広がっている 色素性病変が角膜側へ進展している場合には慎重に観察します。
- 非典型的な部位に存在する 眼瞼結膜、円蓋部など、典型的な結膜母斑では少ない部位にある場合には注意が必要です。
- 周囲に不整な色素沈着が広がっている 病変周囲に地図状・不整形の色素沈着を伴う場合には、 PAMなど他の色素性病変も含めて評価します。
「血管がある=悪性」ではありません
病変に血管があるというだけで、悪性黒色腫と判断することはできません。 良性の結膜母斑でも、 病変へ向かう feeder vessel や病変内部の血管 を認めることがあります。
血管の有無だけではなく、 病変の増大、隆起、色調変化、発生部位、周囲への広がりなどを総合的に評価すること が重要です。
結膜母斑は治療する必要がありますか?
典型的な結膜母斑であり、見た目が気にならないのであれば、必ずしも治療する必要はありません。
基本的には、
細隙灯顕微鏡による診察と写真撮影による経過観察
が可能です。
一方で、
- 白目の茶色い部分が目立つ
- 人から指摘される
- 写真に写るのが気になる
- 美容的に取り除きたい
といった理由から治療を希望される患者さんもいます。
また、病変の性状によっては美容目的ではなく、病理検査を目的として外科的切除を検討することがあります。
結膜母斑の治療
結膜母斑の治療には、大きく分けて
- 経過観察
- レーザー治療
- 外科的切除
があります。
どの方法が適切かは、病変の形・厚み・位置・色素の程度・悪性疾患を疑う所見の有無などによって異なります。
当院ではPASCALレーザーによる結膜母斑治療を行っています
当院では、治療適応があると判断した表在性の結膜母斑に対して、PASCAL(Pattern Scan Laser)を用いたレーザー治療を行っています。
PASCALは、もともと眼科領域で網膜光凝固などに広く使用されているレーザーシステムです。
結膜母斑にPASCALを照射すると、母斑に含まれているメラニンがレーザー光を吸収します。
PASCALレーザーで結膜母斑が治療される仕組み
PASCALレーザーでは、照射した光エネルギーが病変内の色素に吸収され、 熱エネルギーへ変換されることで、母斑細胞を含む病変組織に熱変性を起こします。
光エネルギーを照射
PASCALレーザーを結膜母斑の病変に向けて照射します。
メラニンなどに吸収
照射されたレーザー光は、結膜母斑内の細胞に含まれるメラニンなどの色素に吸収されます。
熱エネルギーへ変換
吸収された光エネルギーが熱エネルギーへ変換され、 病変組織の温度が上昇します。
病変組織が熱変性
発生した熱によって、母斑細胞を含む病変組織が熱変性します。
病変が凝固・除去される
熱変性した病変組織が凝固し、その後の経過の中で除去されていきます。
PASCALを用いた表在性結膜母斑10眼の臨床研究では、200μmのスポット、250〜300mW、100〜200msの照射によって全例で病変の完全除去が確認され、6か月後には結膜上皮の再生が認められました。観察期間中、再発や瘢痕形成も認められなかったと報告されています。
皮膚のシミ取りレーザーと結膜母斑レーザーは何が違う?
これも患者さんからよくいただく質問です。
皮膚のシミ治療
皮膚の日光黒子などでは、主として過剰に存在するメラニンやメラノソームを標的としてレーザーを照射します。
つまり、
「余分な色素を選択的に除去する」
という考え方です。
結膜母斑のPASCALレーザー治療
結膜母斑は単なるメラニン沈着ではなく、母斑細胞が増殖した良性腫瘍です。
そのためPASCAL治療では、
「色素だけを消す」のではなく、母斑に含まれるメラニンをレーザーの標的として利用し、母斑細胞を含む病変組織そのものを熱変性させる
という違いがあります。
言い換えると、
皮膚のシミ取り
=過剰なメラニンを主にターゲットにする
のに対して、
結膜母斑のPASCAL治療
=メラニンを標的として母斑組織そのものを処理する
という違いがあります。
結膜母斑が皮膚の「シミ」よりも「ほくろ」に近い病変であることを考えると、理解しやすいと思います。
PASCALレーザー治療が適している結膜母斑
すべての結膜母斑がレーザー治療に適しているわけではありません。 病変の厚み・形・広がり・位置などを確認し、 レーザーで安全かつ十分な治療効果が期待できるかを判断します。
LASER SUITABLE
レーザー治療を検討しやすい結膜母斑
- 表在性の病変 結膜の比較的浅い部分に色素性病変が存在している
- 比較的平坦である 大きく隆起せず、レーザー照射を均一に行いやすい
- 臨床的に良性と判断できる 典型的な結膜母斑の所見を示し、悪性を疑う特徴が乏しい
- レーザー照射が可能な位置にある 眼球表面で安全にレーザーを照射できる部位に存在している
OTHER OPTIONS
レーザー以外の治療を検討する結膜母斑
- 病変が厚い 表面だけでなく、深部まで母斑組織が存在している可能性がある
- 大きく隆起している レーザーのみでは十分な治療が難しい場合がある
- 病変が深部まで及んでいる 表在性のレーザー照射だけでは母斑組織が残る可能性がある
- 非典型的な形や変化を認める 左右非対称、急速な増大、色調変化などを認める場合
- 悪性黒色腫などを否定できない 診断確定のために組織検査が必要と考えられる場合
悪性が疑われる病変には安易にレーザーを行いません
レーザー治療には重要な特徴があります。
レーザーを照射すると病変組織がその場で熱変性・除去されるため、
外科的切除のように病変全体を病理組織検査に提出することができません。
そのため、診断がはっきりしない色素性病変や、悪性黒色腫・C-MILなどを疑う病変に対して、最初から美容目的のレーザーを行うことは適切ではありません。
PASCALによる結膜母斑治療の報告も、対象は「superficial conjunctival nevi」、すなわち臨床的に表在性の結膜母斑と判断された症例です。
当院でも、まず細隙灯顕微鏡で病変を確認し、
レーザー治療が適している病変なのか、経過観察や外科的切除の方が適切なのか
を判断することが重要だと考えています。
結膜母斑の外科的切除を検討する場合
次のような場合には、レーザーではなく外科的切除を検討することがあります。
- 大きく隆起している
- 深い母斑
- 角膜側まで広がっている
- 病変の診断が確定できない
- 悪性黒色腫などとの鑑別が必要
- 病理検査が必要
外科的切除の大きなメリットは、
摘出した組織を病理検査できること
です。
特に診断に不確実性がある場合には、この点が非常に重要になります。
結膜母斑のPASCALレーザー治療はどのように行う?


治療前に点眼麻酔を行います。
その後、細隙灯顕微鏡で結膜母斑を確認しながら、病変に対してPASCALレーザーを照射します。
病変の大きさや色素の程度にもよりますが、治療そのものは比較的短時間で終了します。
当院では、おおむね10分程度で終了することが多く、点眼麻酔を使用するため、治療中の痛みもできるだけ少なくなるようにしています。
ただし、病変の大きさ・厚み・色素量によって治療時間や必要な照射量は異なります。
また、病変によっては1回ですべて除去せず、追加照射が必要になることがあります。
結膜母斑のレーザー治療後の経過
レーザー照射直後は、治療した部分に
- 充血
- 軽い異物感
- ヒリヒリする感じ
- 軽い腫れ
などがみられることがあります。
これはレーザーによる熱作用を受けた結膜が治癒していく過程でみられる変化です。
治療後には必要に応じて、感染や炎症を抑えるための点眼薬を使用します。
小さな病変では1週間程度、比較的大きな病変では1〜2週間程度かけて徐々に落ち着いていくことが一般的です。
最終的には結膜上皮が再生し、治療部分が周囲の白目になじんでいきます。
結膜母斑は再発しますか?
母斑の深さや大きさによっては、レーザー照射後に一部の母斑細胞が残る可能性があります。
そのため、病変によっては、
- 色素が一部残る
- 時間が経って再び色が目立つ
- 追加照射が必要になる
ことがあります。
特に厚みのある母斑では、表面だけを無理に強く照射するのではなく、病変の状態に合わせて治療方法を選択することが重要です。
治療費
結膜母斑のレーザー治療は、整容目的の場合には自由診療となります。
片眼 55,000円(税込)
病変の大きさや状態によっては、複数回の治療が必要になる場合があります。
診察時に病変の状態を確認したうえで、レーザー治療が可能かどうかをご説明します。
結膜母斑についてよくある質問
結膜母斑について、患者さんからよくいただくご質問をまとめました。 経過観察の考え方や悪性化の可能性、紫外線との関係、レーザー治療について解説します。
Q 結膜母斑は放置しても大丈夫ですか?
典型的な良性の結膜母斑であれば、必ずしも治療する必要はありません。
見た目が気にならなければ、写真撮影などを行いながら経過観察することができます。
ただし、大きさ・形・色・血管などに明らかな変化がある場合には、 一度眼科で診察を受けることをおすすめします。
Q 結膜母斑は癌になりますか?
ほとんどの結膜母斑は良性です。
悪性黒色腫へ進展することは非常にまれですが、ゼロではありません。
特に、成人になってから新しく出現した病変や、 短期間で明らかに形状が変化する病変では、 結膜母斑以外の病気を含めて評価することが重要です。
Q 結膜母斑は紫外線が原因ですか?
紫外線が結膜母斑そのものを直接発生させる主原因であるとは、 現在のところ証明されていません。
結膜母斑は母斑細胞が増殖した良性腫瘍であり、 皮膚の日光黒子のような単純な紫外線による色素沈着とは異なります。
ただし、紫外線が色素の濃さなどに影響する可能性はあり、 眼表面全体を保護するという意味ではUV対策には意義があります。
Q 結膜母斑と皮膚のシミは同じものですか?
違います。
皮膚の代表的なシミでは、紫外線などによって メラニン産生が増えていることが主体です。
一方、結膜母斑では母斑細胞そのものが局所的に増殖しています。
そのため、結膜母斑は皮膚の「シミ」よりも、 「ほくろ」に近い病変と考えると理解しやすいでしょう。
Q 白目の茶色い部分はすべて結膜母斑ですか?
いいえ。白目にみられる色素性病変には、結膜母斑以外にもさまざまな病変があります。
- 結膜母斑
- complexion-associated melanosis
- 原発性後天性メラノーシス(PAM)
- C-MIL
- 結膜悪性黒色腫
見た目だけでは判断が難しい病変もあるため、 まず眼科で病変の性状を確認することが重要です。
Q 結膜母斑はレーザーで取れますか?
表在性で、臨床的に良性と判断できる結膜母斑であれば、 レーザー治療が可能な場合があります。
当院ではPASCALレーザーを用いた治療を行っています。
ただし、病変が厚い場合や、診断に不確実性がある場合には、 外科的切除の方が適していることがあります。
Q PASCALは皮膚のシミ取りレーザーと同じですか?
異なります。
皮膚のシミに使用されるQスイッチレーザーやピコ秒レーザーは、 非常に短いパルスで主としてメラニンを選択的に破壊します。
一方、PASCALはミリ秒単位で照射する光凝固レーザーです。 結膜母斑では、メラニンに吸収されたレーザー光が熱へ変換され、 その熱によって母斑細胞を含む病変組織を熱変性させます。
Q 一度レーザーをすれば完全に消えますか?
1回の治療で十分な場合もありますが、 病変の大きさ・厚み・色素の程度によっては、 色素が一部残ったり、追加照射が必要になることがあります。
治療前の診察で病変の状態を確認し、適切な治療方法を選択します。
結膜母斑についてのまとめ
結膜母斑は、白目にできる茶色や黒っぽい病変の代表ですが、単なる「白目のシミ」ではありません。
母斑細胞が局所的に増殖してできる良性のメラノサイト系腫瘍で、皮膚でいう「シミ」よりも「ほくろ」に近い病変です。
多くの場合は良性で、治療せず経過観察することができます。
一方、成人になってから出現した病変や、短期間で大きさ・形・血管などが変化する病変では、PAM/C-MILや結膜悪性黒色腫などとの鑑別が必要です。
また、整容面が気になる場合には、病変の状態によってPASCALレーザーで治療できることがあります。
PASCALによる結膜母斑治療は、皮膚のレーザーによる「シミ取り」とは異なり、母斑に含まれるメラニンをレーザー光の標的として利用し、その熱作用によって母斑細胞を含む病変組織を熱変性・凝固させる治療です。
大切なのは、「白目のシミだからレーザーを当てる」のではなく、
まず病変が本当に良性の結膜母斑なのかを診断し、そのうえで経過観察・レーザー治療・外科的切除の中から適切な方法を選択することです。
参考文献・医学情報
- Conjunctival Nevus: Current Concepts in Diagnosis and Management
- Efficacy of Pattern Scan Laser photocoagulation for superficial conjunctival nevi ablation
- Argon laser photoablation of superficial conjunctival nevus: results of a 3-year study
- American Academy of Ophthalmology EyeWiki:Conjunctival Melanocytic Tumors







