ボトックス注射の知られていない効能
昨日の記事”眼瞼下垂症と眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)、ボトックスbotox注射での見極めが必要な理由”にあるように、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)、片側顔面痙攣(けいれん)に、使用されるボットクス注射ですが・・・
これまで、ボトックスに触れることが多く、私自信としても、これまで様々な使い方を行っております。
保険適応の治療としては、斜視治療、脇汗治療というものがあり行っております。
隣接する歯科医院(NSデンタルオフィス)の鈴木宏尚先生からも、歯ぎしりや顎関節症の治療として、Botox注射を依頼され行うこともあります。
そういったところまで、ボトックス注射を掘り下げているサイトがありませんでしたので、解説してみたいと思います
斜視への応用
以前の記事にあるように、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)、片側顔面痙攣(けいれん)に、使用されるボットクス注射ですが・・・
斜視にも使用することが可能です。
ボトックスは、ボツリヌス菌から生成されたボツリヌス毒素を使用して、筋肉の動きを止めることができます。
したがって、保険診療において、原因となっている筋肉について、注射することで、斜視の症状を抑えることができます。
筋肉に確実に効かせるためには、特殊な筋電図が付いた針を使って、確実に斜視の原因となっている外眼筋にボトックスを注射するため、施行できる施設は少ないです。
当院では、この度、この特殊な筋電図を採用しましたので、斜視で悩んでいる方、ご相談いただければ幸いです。
脇汗・ワキガへの応用
汗を多くかく病気(多汗症)の中でも特に脇に集中することを腋窩多汗症と言い、日本人において約10%程度の人に認められる頻度の高い病気です。
腋窩の発汗は、精神的な面からも温度の面からも影響されます。
いつの間にか、わき汗がびっしょりになってしまうという嫌な経験をされる方も多いのではないでしょうか。
腋窩多汗症は、脇汗に怯えるという意味で精神的なダメージを与え、社会生活の質を著しく低下させてしまいます。
昔は、脇にある汗腺を外科的に減らすような手術を行うしかなかったのですが、
ボトックス注射で簡単に抑えることができます。
最近では、重症なケースに限られますが、保険適応となり、3割負担の方でも、約30000円程度の自己負担で治療を受けることができるようになりました。
ボツリヌス毒素は、筋肉の動きのスイッチであるアセチルコリンレセプター(受容体)を特異的に阻害することで、筋肉を動かなくするのですが・・・
アセチルコリンレセプターは、汗を出す組織である汗腺においてもスイッチとして働きます。つまり、ボトックスは、汗を出すスイッチであるアセチルコリンレセプターもブロックしますので、打った部分の汗が止まります。
額に打てば、額の汗が出にくくなります・・・そして、夏に脇汗で悩んでる方も多いと思いますが、脇に打てば、脇汗を大幅に減らすことが可能となります。
歯科への応用:歯ぎしり、顎関節症
先にも述べさせて頂きましたが、ボトックス注射は、シワ取り注射として、美容外科では盛んに使用されるプチ整形の代表的な手段です。
ボトックスは、ボツリヌス菌という細菌が作り出す毒素、ボツリヌス毒素を精製して作られる薬剤です。
ボツリヌス毒素は、非常に強いアセチルコリン受容体(レセプター)の阻害剤で、効果しては、筋肉の弛緩作用です。
つまり、ボトックスを注射した部分の筋肉は、数ヶ月、弛緩し、動かなくなります。
そのことで、顔に出てくる表情筋によるシワを消すことができます。
定期的に注射することで、筋肉が痩せることで、長期にわたってシワが出なくなるようにもなります。
これが、一般的に知られている使用方法ですが、歯科の疾患にも有用に使用することができます。
こんな症状はありませんか??
- 歯が欠けやすかったり、歯が折れたりしやすい
- 歯周病を発症しやすい
- 顎関節症を発症しやすい
- エラが張ってくる
つまり、歯ぎしりや食いしばりを行っていると、その際には歯に体重の1.5倍近い力が加わっていると言われています。
そして、歯ぎしりや食いしばりによって、頬にある咬筋の発達し、顔のエラが張る原因になると言われています。
そして、ボトックス注射をこの咬筋に行うことでそれらの力や働きを緩和させることができるのです。
この「歯ぎしり」については、当院隣接の「NSデンタルクリニック」の顎関節症の記事をご覧になってみてください。
当院では、眼瞼下垂症に対して、特に力を入れて治療をしておりますが、その限られた疾患に特化することで、
逆に、得られた知識や経験が診療の幅を広げて行ってくれます。