眼瞼下垂の基礎知識

眼瞼下垂症手術のこぼれ話 その4

Dr.髙田

今日の眼瞼下垂症のご相談が興味深いものでした。

先ず、一人目ですが、他院で眼瞼下垂症を指摘され、そのことで相談したいとのことでした。

診察をしてみると、瞼もしっかり上がっており、眼瞼下垂を認めません。

また、眉毛の挙上さえも認めません。右眼に至っては、逆三白眼な状態でした。(逆に挙がりすぎなぐらいです。)

不思議です!!

患者様への問診を進めていくと、そこの病院ではドクターから
「肩こりはヒドイですか??」 
テープで上眼瞼を挙上してみて
「見えやすくなりましたか??」
と質問されたとのことでした。

要するに、その問診に当てはまると、眼瞼下垂症という診断になるとのことでした。

手術の予約は、妊娠中なので取らなかったが、早期に手術すべきであり、放っておくと手遅れになってしまうと言われたそうです。

本人は受けるつもりではいらっしゃるようでしたが・・・・・思わず「現時点で、絶対に、手術を受けるべきでない。」と言ってしまいました。

こんな感じで、眼瞼下垂症の診断は、非常に曖昧な部分があり、ドクターによって、基準が本当に様々です。

ただし、私見として、眼瞼下垂手術において過矯正が一番のトラブルの元だと考えてます。

それゆえに過剰な眼瞼下垂症手術の適応は、過矯正を引き起こし・・・術後が大変なことになってしまいます。

本当に過矯正の修正は大変なのです。

患者様には安易に手術を受けないようにお願いしたいですし、日頃から私も安易に手術を進めないようにしております。
(眼瞼下垂症手術を進めようとするブログで、それを否定する記事を書くのは、矛盾していますが・・・)

そこで、本日は、また別の眼瞼下垂症関連の患者様いらっしゃいました。

この方は、3ヶ月前に、眼瞼下垂症で相談に来られ、その診察の際には、MRD(瞳孔中心から上眼瞼縁までの距離)が2.0mm程度で明らかな眼瞼下垂症(正常は3.5mm以上)でしたが、結膜炎やドライアイを認めたので、点眼加療をさせて頂いており、今日が経過をみるための再診でした。

面白いことに、今日の診察では、全く眼瞼下垂症を認めません。

本人も、点眼薬の追加を希望されるのみで・・・・前回、あれほど、手術を希望されていたのに、全く触れられません。

「前回、眼瞼下垂のお話しをしましたが、今日は問題ありません。手術を行うかの検討をする予定でしたが・・・必要ないですね。」という説明をさせて頂きました。

眼瞼下垂症は、手術でしか治らないという説明を我々、ドクターはしがちですが・・・・手術をせずに治ってしまうケースが多々あります。

だからこそ、手術の適応については、慎重に考えるべきでないかと考えさせられる1日でした。

- 【眼瞼下垂】延べ2万眼瞼以上の手術経験 -
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