当院の自費診療のお話は閑話休題とさせていただき、実は、眼瞼の手術において、一番大事なことは、やり過ぎないことなのです。
理由は、修正が難しくなるからです。
具体的には、二重の起点となる部分も、挙筋腱膜の固定部分も・・・結局は、癒着によってなされます。
そして、二重の位置をずらす、上がり過ぎた瞼を元に戻すには癒着組織を取り除くことになるのですが、
修正手術において、癒着を全て取り除くことは非常に難しいのです。
言葉では、癒着を取るというのは、簡単に聞こえるのかもしれませんが、
癒着組織を取り除くというのは、絨毯(じゅうたん)にこびりついたガムを取り除くようなイメージです。
こびりついているような癒着組織を綺麗に取り除くことにおいて、正常な組織を出来るだけ残すことも重要であり、やたら滅多に取り除けば良いというわけでもありません。
さらには、瘢痕組織を取り除いたとしても、修正手術自体が、再び新しい瘢痕組織を作り出し、癒着していく可能性もあります。
そのため、修正手術においては、可能な限り、組織を痛めないような配慮が必要であり、本当に神経を使います。
当然、癒着除去が中途半端であれば、当初予定していた癒着による不具合が取れませんし、侵襲が強い癒着除去であれば、新たに癒着ができてしまう。
結果として、眼瞼下垂症手術は、控えめにしておいて・・・足らなければ、追加手術を行うぐらいが良いと思います。
もちろん、再手術にならないような手術の方法、考え方などのブラッシュアップは必要で、開院以来12年になりますが、独自の優れた手術方法を確立できたと考えております。
それが、TKD切開法・ファシアリリース法です。
TKD切開法・ファシアリリース法を行うためには、その根底には眼窩脂肪の処理のコツ、ROOF切除、皮膚や眼輪筋の切除の工夫など様々必要です。
こういった工夫をするようになったキッカケというのは、私を指導してくだっさった 故 二木裕先生の教えです。
具体的には、「眼瞼下垂症手術では、ミュラー筋を触ってはいけない」という教えです。
結果として、私は、眼瞼挙筋腱膜前転法が第一選択となるわけですが、一般的には、挙筋腱膜のタッキングだけじゃー眼瞼は上がらないよね?ってことになっております。
そこで、ミュラー筋を触らなくても・・・・ミュラー筋に負担をかけることなく、可能な限り、自然で、ダウンタイムが少ない手術方法の工夫を重ねることになりました。
それが、TKD切開法・ファシアリリース法となったわけです。