基本の話

眼瞼下垂症を理解するために瞼(まぶた)の仕組みを知ろう。
眼形成外科医が説明!!

※2021.2.22 記事内容の修正・更新を行いました。


◼︎まぶたの働き

 私たちは普段、特に意識することなく、瞼(まぶた)を開いたり閉じたり、瞬き(まばたき)を繰り返しています。

その瞬き(まばたき)を1分間で約20回繰り返しており、1時間で1,200回、1日16〜18時間起きているとしたら約20,000回、1年で約720万回、85歳まで生きたとしたら、なんと6億回の瞬き(まばたき)をすることになります。

この瞼の働きや構造に問題が生じると、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」が発生します。

瞼は、上眼瞼(上まぶた)と下眼瞼(下まぶた)で一組になっており、表面は非常に薄い皮膚で覆われ、裏側は結膜とつながっています。

瞼の皮膚は、人の皮膚の中で一番薄いとも言われております。

上眼瞼の解剖の図

 物を見るときはまぶたを開き、眠るときはまぶたを閉じますが、ホコリや光などを感じたときは、瞬時に閉じて眼球にフタをするように保護する役割があります。

また、閉じたり開いたりして瞬き(まばたき)をすることで、涙腺を絞ることで、塩分を含む液体でもある涙を出して汚れを洗い流したり、目の表面に涙の膜を作って、目が開いた状態でも目が乾かないように保護する働きも行っています。

人がこのように、まぶたの開け閉めを行う際は、主に「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」、「ミュラー筋」、「前頭筋(ぜんとうきん)」、「眼輪筋(がんりんきん)」の4つの筋肉を使っています。

特に眼瞼挙筋は、まぶたを上げる際の動力となる主たる筋肉で、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」の重要な要因となります。

眼瞼下垂症を手術する際に、高田眼科(ひとみ眼科)が、瞼を挙げる際に補助として働く「ミュラー筋」ではなく、眼瞼挙筋腱膜の操作にコダワっているのは、眼瞼挙筋の不具合をしっかり直すことこそが、生理的に自然だと考えるからです。

 


◼︎まぶたの開け閉めに関わる筋肉について

 瞼を開けるときに大きな力になる筋肉が眼瞼挙筋で、この筋肉はまぶたの後ろにあって、まぶたの先に近づくにつれて「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」という薄くて堅い膜になり、まぶたの先端部分にある「瞼板(けんばん)」という板状になった軟骨の前面に付着しています。

瞼は、先ず脳から眼瞼挙筋に信号が送られ、この筋肉が縮んで挙筋腱膜を介して瞼板が上へ引っ張られることによって上がります。例えるなら、上の図のようなマリオネット人形のようなイメージです。


また、眼瞼挙筋の裏側で瞼板に直接つながっているのが「ミュラー筋」で、この筋肉も補助的にまぶたを上げる働きをしています。


ミュラー筋は、びっくりした時や怒った時に、目を見開く際に使われる筋肉です。


つまり、ミュラー筋は、交感神経という自律神経に支配されており、意識して動かすことが出来ません。


高田眼科(ひとみ眼科)では、ミュラー筋に手術侵襲を与えるようなミュラー筋タッキングなどは、自律神経に負荷を与えることもありえ、結果として、眼瞼下垂手術後に起こる術後眼瞼けいれんを発生させると考えており、基本的に行うことはありません。


一部の施設では、ミュラー筋が眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の原因だと考え、手術で操作を加えることで治すことを試みているようですが、結果として、悪化させる結果になることもあるので注意が必要です。


次に、前頭筋は、眉毛の上から頭頂部付近まで縦に伸びている筋肉で、眉毛を上げる役割を果たし、同時に額にシワを作ることになります。目を見開くようにまぶたをあける場合がありますが、このときは前頭筋を使っているのです。

眼瞼下垂症になった際には、一般的に、この前頭筋による代償が働きます。

結果として、眼瞼下垂症になると、眉が上がり、額にシワが入ります。

僧帽筋などの背中全体につながる筋肉で、前頭筋の過緊張で肩こりや腰痛などの原因ともなると考えられます。

一方で、瞼を閉じる際に使う筋肉が、眼輪筋です。

上まぶたから下まぶたにかけて、その名の通り輪のようにまぶたの周囲をくるくると同心円状に取り囲むようについていて、これが収縮することでまぶたが閉じられます。

眼球を上に回転させ白目をむくようなときに使われる「上直筋(じょうちょくきん)」を、まぶたを上げる筋肉に含ませることもあります。

まばたきは、瞼の単純な開け閉めではありますが、非常に多くの筋肉が複雑に絡んでおります。

眼瞼下垂症手術は、複雑な筋肉の集合体の不具合を直すことになりますので、丁寧で正確な手術操作が必要であり、雑な手術を行われると、良くなるどころか?逆に、悪くなるとも言えます。

執筆した医師

高田眼科 院長 |ひとみ眼科 眼瞼手術担当医師
高田 尚忠(たかだ なおただ)
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕 先生を師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、年間1000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。

執筆した医師
高田 尚忠

高田眼科 院長
ひとみ眼科 眼瞼手術顧問
静岡県にお越しの方は「高田眼科」
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