診断の話

後天性眼瞼下垂の治療「後天性動眼神経麻痺」

2020.3.13 記事内容の修正・更新を行いました。


 ■原因と治療

眼球を動かす筋肉を支配する「動眼神経(どうがんしんけい)」は、眼球を動かす外眼筋の動きを制御する神経で、眼球を鼻側(内側)方向に向ける「内直筋(ないちょくきん)」、上下に向ける「上直筋(じょうちょくきん)」と「下直筋(かちょくきん)」、外方向に回転させる「下斜筋(かしゃきん)」を支配しています。

 

加えて、瞳孔を調節する「瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)」や、まぶたを上げる(開ける)「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」まで支配しています。

 

したがって、動眼神経が麻痺すると「眼瞼下垂(がんけんかすい)」だけでなく、さまざまな眼球の動きが正常にコントロールできなくなってしまいます。

動眼神経麻痺の原因は、脳動脈の一部分が膨らんで血管壁が弱くなった状態の脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)や、頭蓋骨内にできる脳腫瘍(のうしゅよう)、脳血管が詰まったり狭まったりするなどの原因で酸素欠乏や栄養不足になり脳組織が壊死(梗塞)する脳梗塞(のうこうそく)、脳血管障害(脳卒中)や脳組織が押し出される脳ヘルニア、動眼神経の局所性貧血、糖尿病の合併症による神経障害、事故などによる外傷など多岐にわたります。

眼瞼下垂や眼球の運動障害以外に、瞳孔が大きく開いたりピント調節がうまくできないなどの瞳孔障害がある場合は、脳動脈瘤の危険性がありますので十分な注意が必要です。

 

この場合は頭痛を伴うことがあります。

 

治療が遅れて脳動脈瘤の破裂に至るとクモ膜下出血を発症し命にも関わるため、早急にMRI(磁気共鳴画像診断)などの頭蓋内の精密検査や脳神経外科的な処置が必要となります。

 

また、瞳孔障害がない場合も、念のため脳動脈瘤を確かめる慎重さが求められます。瞳孔障害がない場合は、動眼神経の局所性貧血や脳梗塞が原因である可能性が高くなります。

いずれにしても動眼神経麻痺の治療は、原因となっている脳腫瘍などの疾病へのアプローチが優先されます。

 

もちろん、糖尿病による発症の場合は血糖値コントロールなどの治療が必要となり、動眼神経の局所性貧血の場合は回復の経過を見守ります。

 

動眼神経麻痺による眼瞼下垂の症状は瞳を覆ってしまうほどの重度になるケースが多いですが、脳の重大疾患の危険性が考えられるため、まずは早急な脳神経外科による受診が求められます。

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