眼瞼下垂の基礎知識

まつ毛エクステ(マツエク)・まつ毛パーマ(マツパ)と眼瞼下垂の関係を眼科専門医が医学的に解説します

Dr.髙田

2026/01/27 修正・更新

ABOUT ME
高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

はじめに

まつ毛エクステ(マツエク)やまつ毛パーマ(マツパ)は、目元を華やかに見せる美容施術として、多くの方が日常的に利用されています。
一方で、眼科診療の現場では、

  • 「最近、まぶたが重く感じる」
  • 「目が開きにくくなった気がする」
  • 「まつ毛エクステを続けていたら、眠たそうな目になった」

といったご相談を受けることがあります。

本ページでは、まつ毛エクステ(マツエク)・まつ毛パーマと眼瞼下垂の関係について、
眼科専門医の立場から、医学的に分かりやすく解説します。


眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋やミュラー筋)の働きが低下し、
目が十分に開かなくなる状態を指します。

単に「見た目の問題」だけでなく、

  • 視野が狭くなる
  • 眼精疲労が強くなる
  • 肩こりや頭痛につながる

といった、日常生活の質に影響する症状を伴うこともあります。


まつ毛エクステが眼瞼下垂に影響する理由

マツエク

① 持続的な「重み」がかかる

まつ毛エクステ(マツエク)とは、自分のまつ毛1本1本に専用のグルーで人工まつげをつけていくものです。

マツエクをつけると、自まつ毛に余計な重みが加わります。

まぶたを上げる筋肉である眼瞼挙筋は、まぶたと同時にまつげも引き上げているため、重みが増した状態で目を開ければ、その分眼瞼挙筋に負担がかかります。

必要以上の負担が継続的にかかると、眼瞼挙筋が弱ってしまい、まぶたをうまく引き上げられなくなって眼瞼下垂につながる危険性があります。

マツエク自体はとても軽く、つけているぶんにはほとんど重みを感じないかもしれませんが、薄くてデリケートな眼瞼挙筋にとっては、少しの重みでも大きな負荷です。

まつ毛エクステ(マツエク)は、人工毛を自まつ毛に接着するため、
まぶたには常にわずかな重みが加わる状態になります。

この負荷が長期間にわたって続くことで、

  • 眼瞼挙筋
  • 眼瞼挙筋腱膜

といった組織に影響を及ぼす可能性があります。


② 施術時・日常での物理的刺激

まつ毛エクステ(マツエク)の施術では、

  • テープでまぶたを固定する
  • まぶたを引っ張る操作
  • 目元への繰り返しの接触

が行われます。

施術後も無意識に目をこすったり、違和感から触れてしまうことで、慢性的な刺激となる場合があります。


③ グルー(接着剤)による皮膚炎・かぶれの影響

まつ毛エクステ(マツエク)に使用されるグルー(接着剤)は、
体質によってはアレルギー性皮膚炎や刺激性皮膚炎を引き起こすことがあります。

皮膚炎が起こると、

  • まぶたの腫れ
  • かゆみ・違和感
  • 炎症による皮膚の硬さ

が生じやすくなります。

この状態が続くと、
無意識に目元をこする、触るといった動作が増え
結果として眼瞼挙筋や腱膜に対する慢性的な刺激につながることがあります。

高田 尚忠
高田 尚忠

まつ毛エクステ(マツエク)に使用されるグルー(接着剤)が原因で起こる眼瞼炎(がんけんえん)は、眼科外来でもとてもよく遭遇します。

見た目は軽そうでも、マツエクを繰り返すことで、再発・慢性化しやすく、放置するとトラブルが長引くのが厄介な点です。

まつ毛エクステ(マツエク)に使用されるグルーによる皮膚炎の原因として、ホルムアルデヒドという物質の関与が知られています。

ホルムアルデヒドは、グルーが空気中の水分と反応して固まる過程で、微量ながら発生することがある刺激性の成分です。

このホルムアルデヒドがまぶたの皮膚に触れることで、

  • かゆみ
  • 赤み
  • 腫れ
  • ヒリヒリ感

といったアレルギー性皮膚炎や刺激性皮膚炎を起こすことがあります。

特にまぶたの皮膚は非常に薄くデリケートなため、ごく微量でも炎症が出やすい部位といえます。

皮膚炎が起こると、違和感から目元を触ったり、こすったりする動作が増え、それが結果的にまぶたへの慢性的な刺激や負担につながることがあります。


④ マツエクを外す際の負担

まつ毛エクステ(マツエク)を外す際には、

  • 専用リムーバーを使用する
  • まぶたを引っ張りながら除去する
  • 何度も拭き取る・こする

といった操作が必要になります。

特に、

  • 自分で無理に外してしまう
  • 目元を強く引っ張る
  • 繰り返し除去と装着を行う

といったケースでは、
まぶたにかかる牽引力や摩擦が大きくなりやすい傾向があります。

これらの物理的負担が積み重なることで、
眼瞼下垂の症状が目立つようになることがあります。

高田 尚忠
高田 尚忠

LEDライトで固まる新しいタイプのグルーについて

近年、LEDライトを照射することで瞬時に固まる新しいタイプのグルーも登場しています。
このタイプのグルーは、
ホルムアルデヒドが発生しにくいとされており、
従来のグルーに比べて皮膚炎が起こりにくい傾向があります。

一方で、注意点もあります。

このLED対応グルーは接着力が非常に強く、

  • 一般的なリムーバーでは外せない
  • 専用のリムーバーが必要
  • 無理に自分で外すと、まぶたを強く引っ張ってしまう

といった問題が生じやすくなります。

そのため、
自己処理で外そうとすると、かえってまぶたに大きな負担をかけてしまう可能性があり、
これはこれで眼瞼下垂の観点からは注意が必要と言えます。


補足(眼瞼下垂専門医としての注意点)

まつ毛エクステ(マツエク)が直接的に眼瞼下垂を「必ず」引き起こすわけではありません。
しかし、

  • もともと眼瞼下垂の素因がある方
  • 加齢による変化が始まっている方

では、
炎症・摩擦・牽引といった要素が重なることで、症状が顕在化しやすくなることがあります。


まつ毛パーマは安全なのか?

まつ毛パーマ

「まつ毛エクステ=必ず眼瞼下垂になる」わけではありません

まつ毛パーマとは、専用の薬液を使用してまつ毛にパーマをかけ、カールさせる技術です。

自分のまつ毛をカールさせるため、マツエクのように余計な重みがかかる心配はありません。

したがって、まつ毛パーマは、まつ毛エクステ(マツエク)に比べると眼瞼下垂症への影響は少ないと言えます。

しかし、

  • 強いカールを繰り返す
  • 短期間で頻回に施術する
  • まぶたを強く固定する施術方法

などの場合、まぶたへの負担が全くないとは言い切れません。

特に、もともと眼瞼下垂の素因がある方では、症状が目立つきっかけになることがあります。

ただし、まつ毛パーマの刺激により、まぶたがかぶれたり腫れたりする被害が報告されているため注意が必要です。

まつ毛パーマについて(主な危害例)|渋谷区役所ホームページ

使用する薬液が原因で、アレルギー症状を起こすケースもあります。

こうしたトラブルが生じると、まぶたにダメージがおよび、眼瞼下垂を引き起こす原因となります。

そういった意味で、まつ毛エクステ(マツエク)のグルーによる まぶたのかぶれのトラブルと同様とも言えます。

また、施術後に問題がない場合でも、眼瞼下垂のリスクを減らすためには、短い間隔でのまつ毛パーマは避けたほうがよいでしょう。

短期間に何度も施術を受けると、まぶたやまつ毛に負担がかかってしまいます。

ただ、勘違いしないで欲しいのは、
まつ毛エクステ(マツエク)やパーマをした方すべてが眼瞼下垂になるわけではないということです。

実際には、眼瞼下垂症の発症への影響について

  • もともとのまぶたの構造
  • 加齢による変化
  • 生活習慣
  • 目をこする癖

など、複数の要因が関係しています。

ただし、すでに眼瞼下垂の傾向がある方では、症状が顕在化しやすくなるという点は、知っておく必要があります。


眼瞼下垂を改善・軽減させると謳う「まつ毛パーマ」の安全性

まつ毛パーマによって、眼瞼下垂の症状が改善・軽減するといわれているまつ毛パーマの特許技術があります。

多くのサロンで「アイリッドアップパーマ」の名称で提供されている施術です。

まつ毛パーマでは眼瞼下垂の根本的な改善はできない

アイリッドアップパーマは、まつげを根元から立ち上げてカールさせるのが特徴。

まぶたごと持ち上げる効果が期待できるため、眼瞼下垂の症状である目の開けにくさや視界の狭さを改善できると謳われています。

まつ毛パーマ

確かに、根元からまつ毛が上がれば、まぶたの開きが良くなり、視界が広くなる可能性はあります。

しかし、まつ毛パーマでは眼瞼下垂の根本的な改善はできません。

まぶたを無理やり上げているだけで、眼瞼挙筋の機能を回復させる効果はないためです。

眼瞼下垂の治療は医療機関で受けましょう

そもそも、アイリッドアップパーマはライセンスを保持した技術者がおこなえる特許技術とはいえ、医療行為ではありません。

薬液の安全性が懸念されるほか、何度も施術を繰り返すと、ほかのまつ毛パーマと同様、まぶたに負担がかかるおそれがあります。

眼瞼下垂を治療するには、医療機関で症状に合った手術を受けましょう。

では「つけまつ毛」はどうなのか?

つけまつ毛(マツパ)は、まつ毛エクステ(マツエク)と異なり、
一時的に装着するアイメイクです。

そのため、影響は比較的軽度と考えられますが、

  • 毎日使用している
  • 強く引っ張って外す
  • のりを落とす際に目元をこする

といった習慣がある場合、
まぶたへの負担となる可能性があります。

▶︎ つけまつ毛と眼瞼下垂の関係については、以下のページで詳しく解説しています。

あわせて読みたい
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つけまつげと眼瞼下垂 – 日常的なアイメイク習慣がまぶたに与える影響を眼瞼下垂専門医が解説

眼瞼下垂が気になる方へ

「美容のせいで悪くなったのでは?」
「手術が必要なのでは?」

と不安になる方も多いですが、
眼瞼下垂は自己判断が非常に難しい疾患です。

美容習慣をすぐにやめる前に、
まずは眼科での正確な評価を受けることをおすすめします。

当院では、
眼瞼下垂の診断から治療まで、眼科医、形成外科の両面の立場で対応しています。


マツエク・まつ毛パーマをしていても眼瞼下垂手術はできる? 

マツエクやまつ毛パーマは、目元の印象を華やかにできるほか、メイクの時短にもつながる人気の美容施術です。

しかし、マツエク・まつ毛パーマが眼瞼下垂の原因となる場合もあるため注意しなければなりません。

眼瞼下垂とは、上まぶたが下がってきて、目を開きづらくなる状態です。

進行すると視界が悪くなったり、肩こりや頭痛を引き起こしたりと、日常生活に支障が出るおそれがあります。

本記事では、マツエクやまつ毛パーマと眼瞼下垂の関係や、まぶたに与える影響について詳しく解説しております。

マツエク・まつ毛パーマをしている状態で眼瞼下垂手術を受けるのは、多くのクリニックでは推奨されていません。

手術を検討する際は、担当医に確認しましょう。

高田 尚忠
高田 尚忠

当院でも、まつ毛エクステをされた状態での眼瞼下垂症手術を多く行っております。

術者からすれば、エクステがない方が手術をやり易いですし、術後感染症のリスクも減らせますので、可能なら、マツエクを外した状態での手術をお勧めいたします。

まつ毛パーマに関しては、パーマによる眼瞼のかぶれ(炎症)が無ければ特に問題はないと考えます。

まつ毛エクステ(マツエク)

ほとんどのクリニックでは、眼瞼下垂手術を受ける際は、まつ毛エクステ(マツエク)をすべて外すことが推奨されます。

マツエクをしたまま眼瞼下垂手術を受けると、ダウンタイムが長引いたり、仕上がりに影響したりする可能性があるためです。

エクステの接着部分には小さなゴミが付着しているケースもあり、その場合ですと、消毒は十分に行っていたも、手術で切開した部分の傷口が不衛生な状態となる可能性があります。

もし、傷口に細菌が入り、感染症を起こせば、術後の腫れが悪化しかねません。

また、眼瞼下垂手術では、まつ毛の生えぎわに近い部分を切開します。

そのため、マツエクがついていると、施術の妨げになって理想的な仕上がりにならないおそれがあります。

まつ毛パーマ

まつ毛パーマは、まつ毛エクステ(マツエク)のように不衛生となるリスクは少ないため、かかっていても眼瞼下垂手術を受けられるケースが多いでしょう。

ただし、根元からしっかりとパーマがかかっていたり、まぶたにまつ毛が触れるほどカールが強かったりすると、施術を妨げてしまうおそれがあります。

また、まつ毛パーマをしたばかりのタイミングは、薬液の使用によって、まぶたが刺激を受けやすい状態となっている可能性もあります。

問題なく手術を受けられる状態かどうか、必ずカウンセリングで確認しましょう。

術後のマツエク・まつ毛パーマは1か月以上経ってから

カレンダー

一般的な眼瞼下垂手術では、まぶたの皮膚を切開して開きにくさを改善します。

そのため、術後はある程度のダウンタイムが生じます。

個人差はありますが、強い腫れや内出血が2週間ほどは続くでしょう。

マツエクやまつ毛パーマができるのは、腫れや内出血がおさまってダウンタイムが明け、まぶたが安定したあとです。

最低でも術後1か月以上は控える必要があります。

腫れや痛みが残っている状態でマツエクやまつ毛パーマをすると、グルー(接着剤)や薬液の成分が刺激となって皮膚がかぶれたり、傷口が感染したりする危険性があります。

眼瞼下垂手術後にマツエク・まつ毛パーマをしたい場合は、いつから可能かどうかをカウンセリング時や抜糸の際に担当医に相談してください。

まとめ

マツエクとまつ毛パーマを長期的に行っていると、まぶたへのダメージが蓄積して眼瞼下垂の原因となる場合があります。

眼瞼下垂のもっとも一般的な原因は加齢ですが、マツエクやまつ毛パーマのような目に負担がかかる習慣によっても発症するおそれがあることを覚えておきましょう。

「まぶたが重く感じる」「目を開けづらくなった」などの症状がある場合は、眼瞼下垂を悪化させないためにも、マツエクやまつ毛パーマは控えたほうが安心です。

また、症状が重く日常生活に支障をきたすようであれば、眼瞼下垂手術をご検討ください。

  • まつ毛エクステ・パーマは、眼瞼下垂の直接原因とは限らない
  • ただし、持続的な負荷や刺激により、症状が目立つことがある
  • つけまつ毛は影響が軽度だが、使い方によっては注意が必要
  • 気になる場合は、早めの眼科受診が重要

マツエク・まつ毛パーマと眼瞼下垂についてよくある質問

Q
マツエクやまつ毛パーマが眼瞼下垂を引き起こすことはありますか?

マツエクによる重みで眼瞼下垂や瞼が下がる現象があるとの報告があります。また、まつ毛エクステによってまぶたへのたるみが起こることがあり、これが眼瞼下垂やそれに伴う頭痛・肩こりを引き起こす可能性があると指摘されています。

Q
マツエクやまつ毛パーマの施術頻度は眼瞼下垂に影響しますか?

高頻度の施術はまぶたに余分な負担をかけ、眼瞼下垂の発症リスクを高める可能性があります。

Q
マツエクやまつ毛パーマをした後、眼瞼下垂を防ぐためにできることはありますか?

どうしてもマツエクやまつ毛パーマをされたい場合は、まつ毛エクステの重さには種類がありますので、自まつ毛に負担が少ない軽いものを選ぶようにしましょう。長すぎたり太すぎたりするエクステは、まぶたにかかる重さが増すため、自まつ毛に合った長さや太さが望ましいです。

また、取れかけのエクステが不自然な角度でまつ毛にかかると、余計な負担がかかるため、定期的にメンテナンスを受けてください。

Q
マツエクやまつ毛パーマを繰り返し行うことで、まぶたの老化は早まりますか?

繰り返しの施術がまぶたの皮膚を伸ばしたり、筋肉を弱めたりする可能性があります。特に、マツエクは自まつ毛に人工のまつげを付けることにより、まつ毛の重さが増し、その重さによってまぶたに負担をかけます。長期的には、まぶたのたるみに繋がる可能性があります。

ただし、まぶたの老化を進行させる要因は多岐にわたり、マツエクやまつ毛パーマだけが原因ではありません。生活習慣の乱れ、眼精疲労、ストレス、濃いメイクの頻度、紫外線への露出なども、目元の老化を進行させる要因として挙げられます。

参考文献

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DAGI GLASS, Lora. Eyelid and Eyelash Malpositions. The Columbia Guide to Basic Elements of Eye Care: A Manual for Healthcare Professionals, 2019, 345-353.

CORONEO, Minas T.; ROSENBERG, Marni L.; CHEUNG, Leanne M. Ocular effects of cosmetic products and procedures. The ocular surface, 2006, 4.2: 94-102.

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