眼瞼下垂手術方法のおすすめは?デメリットや名医の選び方・美容外科手術との違いなど全て教えます!
「眼瞼下垂症で悩んでいるけど、どの病院を選べばいいの? 選び方が分からない」
「切らない手術は、切る手術よりも優れているってホント?」
「保険診療での手術は仕上がりが良くないので、やっぱり美容外科で受けた方がよいの!?」
「本当に、自分の目の状態は、眼瞼下垂症手術が必要なの? ぶっちゃけ効果はあるの?」
「手術を受けた後は、すごく腫れちゃうのかな??」
眼瞼下垂症で悩んでるあなたは手術について、こんな疑問を感じていませんか!?
瞼の手術というと、昔から美容外科での手術だと考えられている方が多いと思いますが、最近では、様々なテレビでの特集やインターネットの普及に伴って、眼瞼下垂症という病気が認知されるようになり、美容外科ではなく、眼科や形成外科でも保険診療にて手術が出来ることが知られるようになってきました。
さらに、眼瞼下垂症手術を受けたら、慢性的に悩んでいた「肩こり」「頭痛」「眼精疲労」が嘘のように治ったということで、眼瞼下垂症手術を検討される方が急増しております。
でも・・・たしかに興味はあるんだけど・・・
周りに実際に手術を受けた人がいない!
っていうか、手術が怖くて踏ん切りが付かない!
なんてことはありませんか?
そもそもどんな手術なのか知らなければ、選ぶ基準が分からなくて当然です。
「手術を受けた方がいいよ!」なんて言われても、正直・・・ピンときませんよね?
しかも、気になるのは病院選びだけではありません。
「インターネットで調べると、眼瞼下垂の手術方法にはいろいろ(眼瞼挙筋前転法、眼瞼挙筋短縮法など)あるようだけど、その違いのことさえ良く分からないのに いきなり、顔にメスをいれるのは、ちょっと・・・・」
「切らない手術が良いって聞いたけど・・・・」
「瞼の下がりは、そんなにないけど、普段から瞼が重くって仕方がない。そんな私は手術してもらえるの??」
あわわ、分からないことがたくさん・・・。
自分の身体のことなので不安が一杯で、なかなか決心が付かなくなっちゃいますよね。
でも、ご安心ください!
眼瞼下垂症手術の全貌は、実は15分もあればほとんど完璧に理解できるんです!
「あれこれ調べ回るのは面倒くさいな・・・」
という方は、この15分間だけ、なんとかお付き合いくださいm(__)m
というわけで、こんにちは!
当院で眼瞼下垂手術を担当している眼形成外科医の高田です。
年間1000件を超える眼瞼下垂症手術を手掛けており、これまでの多くの手術経験と知識を活かし、専門家の視点から眼瞼下垂症手術をできるだけ分かりやすく解説してみたいと思います!
では、早速本編に入りましょう!
眼瞼下垂症の基本と手術効果
まずは眼瞼下垂症の基本中の基本!
「眼瞼下垂ってそもそもどんな病気なの?」
「どうしてみんな手術を受けるの?薬じゃ治らないの?」
こちらの疑問についてお答えしますね。
そもそも眼瞼下垂症ってなに?
読んで字の如く、眼瞼下垂症とは、何かしらの原因で、瞼が上がりにくくなる病気。意外にも、少し前まで一般的にはあまり知られてない病気でした。
(眼瞼下垂症)
眼瞼下垂症とは、先天的・後天的な要素を含めて何らかの要因により、瞼(目蓋/まぶた)を上げようとしても、瞼が十分に上がらなくなる状態のことを言います。
目が十分に開かないため、瞼(まぶた)が瞳孔(瞳の中心にある のぞき窓)の一部に被さってしまう状態とも言えます。
眼瞼下垂症には、次のような症状があります。
- 瞼が上がらなくなるとおでこに力が入りやすくなり、酷い肩こり・頭痛が発生する
- 仕事や運転などの作業中、すぐに眠くなってしまう
- 見た目が、老けて見られるようになる
- お年寄りの場合、頭をぶつけたり、転倒しやすくなる。
ものすごくざっくりいうと、「まぶたが下がること(眼瞼下垂症)により視界が狭くなり、様々な身体の不調や不便が発生する」といえますね。
先に述べたように、眼瞼下垂症は最初から今ほど認知されていたわけではありません。
むしろ10年ほど前までは、眼科医の中でも、あまり話題にのぼることすらなかったのですが・・・
「手術で治る!!」ことがテレビで放送されたことで、最近では急激に注目を集めてきております。
テレビでの放送内容というのは・・・!
目パッチリ手術で 頭痛・肩コリ・腰痛が改善する!?というものでした。
しかも、高額な美容外科での手術でなくても、保険診療で全国の形成外科・眼科で受けることが出来るという放送内容によって、眼瞼下垂症手術は予想外のブレイク(?)を果たしたのです^^
ぶっちゃけ眼瞼下垂症手術って、どこまで効果があるの?
「手術でほんとうに治るの?」
「どうやって、手術で治すの?」
決心して手術を受ける以上、やっぱり気になるのは「効果」ですよね。
その効果ですが、眼瞼下垂症手術には主に
- 視界が広くなる(目が大きく開くため)
- 身体が楽になる(目を開くとき、余計な力が必要なくなるため)
- 見た目が綺麗になる(目がぱっちりと開くため)
という3つの効果があると考えられます。
1.視界がひろくなる
そもそも、眼瞼下垂症手術の目的は、「視界を広くすること」です。
「視界の広さ」というのは、簡単にいうと、見える範囲のことです。実は、視力と違い、だんだんと狭くなっても自覚されることはありません。
でも、この視界が広ければ広いほど脳の覚醒が良くなることも証明されています。
「視界の広さ」と「脳の覚醒」の関係ですが、視界を広く保つと目から入る光や視覚情報が増えることで「脳の覚醒を促す効果がある」ことが分かっているんです!
そのため、眼瞼下垂症手術を受けると視界が広くなり、結果的に脳の覚醒が良くなり、日中から夜にかけての作業の効率が上がるようになるわけですね^^
実際に、医学研究でも、眼瞼下垂症手術により脳の覚醒が増すことが証明されております。
2.身体が楽になる
では、眼瞼下垂症手術への身体への効果はどうでしょうか?
眼瞼下垂症手術をすると、目を開くときに余計な力が必要なくなるため、眼瞼挙筋だけでなく、前頭筋、僧帽筋、広背筋などの筋肉、具体的には、首から肩、背中に渡る筋肉の緊張が取れます。
結果として、肩こり・頭痛が改善し、人によっては、耳鳴り、めまいがなおったりします。
眼瞼下垂症手術を受けると、身体が楽になると言えるわけです。
3.見た目が綺麗になる
では、眼瞼下垂症手術が見た目に対して、どのような効果をあるのでしょうか?
眼瞼下垂症手術には、「視界が広くなる」や「身体が楽になる」といった「機能の改善」だけでなく、
- 瞼の皮膚のタルミ
- 額(オデコ)のシワ
- 目がパッチリする
- 二重になる
など、アンチエイジング(若返り)の効果も期待できます。
患者さんの中には、手術を受けることで見た目だけでなく、気持ちも若返ったような気がすると行ってくださる方もいらっしゃいます。
実際に、服装が急に若々しくなる方もいらっしゃいます。
ただし、保険診療の場合は、機能回復を目的としておりますので、上記のような審美的な結果を保証して行うわけではないので、ご理解ください。
眼瞼下垂手術のデメリット
眼瞼下垂症手術のデメリットについて
眼瞼下垂症を根本的に治療するためには、眼瞼下垂症手術が一般的な方法として考えられます。しかし、この手術にはいくつかのデメリットがあり、その点を考慮して手術を受けるかどうかを判断する必要があります。
もちろん、眼瞼下垂症手術には、様々な手術方法がありますので、手術方法のそれぞれにメリットとデメリットがありますが、その辺りは、別の記事にて詳しく解説させていただいております。
- 手術後のダウンタイム:
手術後、一時的に痛みや腫れが発生することがあります。これは手術の範囲や個人の体質によるため、手術前に医師と相談しておくことが重要です。 - 感染リスク:
どんな手術にも感染のリスクがありますが、きちんと手術後の抗生剤の使用することが必要となります。 - 非対称のリスク:
手術の結果、両目の位置や形が非対称になるリスクがあります。 - 手術の効果が一時的:
一度手術を受けても、年月が経つと眼瞼の下垂が再発する可能性があります。
再発するのは、そんなに多くないと考えております。 - 副作用や合併症:
ドライアイ、兎眼、視力の低下や二重まぶたの形成の乱れなどの不都合が生じることがあります。 - 手術のコスト:
保険適用外の場合、手術の費用が高額になることがあります。
以上のようなデメリットが考えられるため、眼瞼下垂症手術を受ける前には、十分な情報収集と医師との相談が必要です。手術のメリットだけでなく、デメリットもよく理解して、最適な選択をするようにしましょう。
これって眼瞼下垂?
費用や保険適用は?
眼瞼下垂手術の不安やご相談 など
手術は美容外科で受ければ良いの?眼科・形成外科で受ければ良いの?
「手術方法ってどれを選べば良いの?」
「調べれば調べるほど・・・どの病院を選んでいいか、基準が分からない」
眼瞼下垂症手術に関する一番の悩みといえば、やっぱり「病院の選び方」ですよね。
何しろ、
そもそも眼科は行ったことはあっても、美容外科なんて行ったことがない!
という人がほとんど。
「知らない病院」を「受診する」のはかなり不安です・・・。
おまけに、高額な手術を勧められ、なし崩し的に契約させられると思ったら・・・なおさら失敗したくありませんよね!
というわけで、さっそく「眼瞼下垂症において病院を選ぶ8つのポイント」を紹介します。
ポイント① 2つの料金システム
眼瞼下垂症手術って、費用の面から考えると、ある意味でとても「選びやすい」ものだと思います。
というのも・・・手術費用は2種類しかないからです!
- 保険診療
- 自由診療
保険診療というのは、健康保険加入している人であれば、どの医療機関であっても同じ内容の診療を、同じ金額で受けることができる仕組みのことです。
ある意味、経験豊富な一流の医師でも、新米医師でも患者様の自己負担額が変わらないと言えます。
自由診療というのは、保険外診療とも言われ、医師と患者との合意により、診療内容に従って、値段が変わることになります。
自由診療を利用するメリットは、治療の選択肢が増え、自分の体質や病気にあった治療を制限なく受けられるということです。
反対に自由診療のデメリットとしては、保険診療と比べて医療費が高額になってしまうことです。
自由診療では、公的医療保険の適用にならないため、かかった医療費をすべて患者様が負担することになります。
眼瞼下垂症手術 (両眼) | 保険診療 | 自由診療 | |
1割負担 | 3割負担 | 完全自己負担 | |
切開法 | 14,400円 | 43,200円 | 400,000円〜 |
埋没法 | 設定なし | 設定なし | 150000円〜 |
ポイント② 効果は同じ、でも個性がある
眼瞼下垂症手術には「1. 視野が広くなる」「2. 身体が楽になる」「3.見た目が綺麗になる」という効果があることをお伝えしました。
実は眼瞼下垂症手術には様々な手術方法があるのですが、手術方法のどれを選んでも、効果はほとんど同じです。
基本的には、どの手術方法でも、患者様の状態に合わせて適切に行えば「この眼瞼下垂症手術の方が瞼が上がる」といった違いはほぼありません。(稀に、患者様のまぶたの状態によってはふさわしい手術方法が限られることもあります)
でも、瞼を上げ易くする効果は同じですが、手術法にはそれぞれ「個性」があり、「長所」と「短所」があります。
その長所・短所をしっかりと理解することが、正しい眼瞼下垂症の手術方法を選ぶための近道になるわけですね。
そして、保険診療の場合には、機能的な要素の改善という意味で、標準的な手術に徹することで手術の結果を安定させるように努力します。
逆に、美容外科での自由診療は、審美的な要素(例えば、二重の幅など)について出来るだけ、ご本人の希望に合わせて手術してもらうことが出来ます。
また、仕上がりを保証すると言うことで、手術費用が高額となります。
ポイント③ 手術の特徴を知った上で、ドクターの得意な手術方法を選択する
瞼(まぶた)を上げやすくするという「効果」は同じだけど、個性(長所・短所)があるというのは、食べ物でいえば「食事」という意味では同じだけど、フランス料理と懐石料理の違いみたいに料理の内容が違うみたいなものです。
つまり、栄養を摂取できるという意味では同じかもしれませんが、味も見た目も違い、個々の好みなどにより感じ方が違う感じですね。
どうせ効果が同じなら、手術方法は「自分に合った結果の良い」ものを選びたいですよね?
基本的な考え方として、そのドクターの得意な手術方法を選択するのが大事なのです。
「え?先生の得意手術で選んじゃっていいの?」と思うかもしれませんが、むしろそれこそが失敗しないための秘訣なんです!
というのも、先ほどお伝えしたように、眼瞼下垂症手術の効果は瞼を上げることです。
全てのドクターが全ての手術方法に「精通」しているわけではないんです。
となると・・・「その医師が慣れている」手術方法を選んだほうが、手術が上手くいきそうですよね?
ようするに、眼瞼下垂症手術の選び方で一番大切なポイントは、
「その先生は、その手術に慣れているのかしら・・・?」
という視点を持つことなんです!
あらかじめ、ある程度、希望する受けたい手術方法を選んでおいて、その方法に精通したドクターに相談すると良いのかもしれませんし、
逆に、その手術方法に否定的なドクターのお話も聞いておくのも必要なのかもしれません。
ポイント④ 埋没法と切開法はどっちが良い?
眼瞼下垂症手術には、大きく分けて「埋没法」と「切開法」があります。
埋没法のメリット・デメリット
- 皮膚切開をしないので傷ができない。
- ダウンタイム(手術後の腫れのひくまでの時間)が少ない。
- 効果が安定せず、すぐに元に戻ってしまうこともある。
- 腫れぼったい瞼などでは、上手くいかない。
- 自由診療なので料金が高い。
- 二重幅などのデザインが出来ない。
切開法のメリット・デメリット
- どんなタイプの瞼に対しても適応がある。
- 保険診療を選択すれば料金が安い。
- 手術の結果が安定している。
- 術後の再発が少ない。
- ダウンタイムが長いこともある。
- 後戻りができない。
- 自由診療だと非常に高額
埋没法と切開法のメリット・デメリットは、ちょうど正反対の関係にありますね。
「どちらが良い・悪い」というものでもないので、ご自身の瞼の状態や予算などに合わせて選ぶようにしましょう!
また、最初は埋没法を行ってから、上手くいかなかった場合には切開法という方法も不可能ではありませんが、非常にコストがかかってしまいます。
(自由診療の埋没法の修正手術は基本的に自費診療となります。)
ポイント⑤ 手術前にいろいろな医療機関を検討しよう
眼瞼下垂症手術を受けられる「医療機関」には様々があり、美容外科、形成外科、眼科など複数の科をまたいでいます。
「地名+眼瞼下垂症」と検索するだけで、近くの眼瞼下垂症に力を入れている「医療機関」のホームページが出てきます。
そこには、その医療機関の得意な手術方法が挙げられており、ホームページを見ることで、そのドクターのコダワリなどが分かることが大事です。
手術件数、ダウンタイム(手術後の腫れのひくまでの時間)の短さ、術後再発率の少なさ(再手術率の少なさ)が見極めのポイントです。
でも、ホームページだけで、その医療機関の実力が全て判るわけではありません。
せいぜい、ちょっとした ふるいにかけることができるくらいです。
さらに、最終的に受診するにしても、受診前に直接電話をかけてみたり、お問い合わせメールを出してみるのも手かもしれません。
ポイント⑥ 眼瞼下垂症手術を受けることは恥ずかしくない
『眼瞼下垂症手術』について、術後のダウンタイムや周囲に手術を受けたことがバレることを気にする方が多いようです。
でも、筆者が経験する限り、社会生活が困難になったと思われるような事はほとんどありません。
むしろ、積極的に手術を受けること、受けたことを伝えて、術後に、家族や知人を紹介してくださる方が多いぐらいです。
日本人は、美容外科手術を受けることに対して否定的な側面があります。
ある意味、美容外科での手術については、バレてしまうのではないか?という不安感を患者さんは感じる場合があります。
しかしながら、保険医療機関で保険診療で行われる眼瞼下垂症手術は、美容外科手術ではありません。
つまり、美容的な面から行う二重切開手術とは区別して考え、眼瞼下垂症という病気を直すために、眼科で手術を受けるということが本質です。
その結果として、見た目が綺麗になった・・・二重まぶたになった・・・という考え方です。
むしろ、術後上手く行っていれば、知人・友人から「どこで手術を受けたのか?」「手術はどうだったのか(時間・痛みは)?」とかで興味本位で詳しく聞かれるかと思います。
眼瞼下垂症は、目を開けるという本来の機能が低下している病気であり、それを治療するために、眼瞼下垂症手術を受けることは、決して恥ずかしいことではありません。
ポイント⑦ 左右同時手術が良いのか?片眼ずつ二回に分ける方が良いのか?
眼瞼下垂症手術において、左右差が出てしまう原因にはいくつかありますが、大きなものとして麻酔という要素があります。
眼瞼下垂症は局所麻酔という麻酔の液を瞼に注射します。
それで、痛みを無くすことはできるのですが、結果として、瞼が液体を注入した分膨らんでしまいます。
膨らめば、ボリュームが増えますので、その分、デザインがズレてしまいます。
眼瞼下垂症手術は、彫刻の様に瞼を削っていく手術ですので、膨らめば膨らむほど、術中のデザインの設定が難しくなります。
さらに、麻酔には、筋肉の動きを麻痺させる作用があります。したがって、麻酔をかけるとその分、上がりづらくなります。
結果として、術中に左右左を見ても、片目手術の場合ですと、合わせが難しいと言えます。
当院の手術では、麻酔の使用量は極力少なくするように努力しております。
少ないと、麻酔の効きが浅くなり、麻酔がすぐに切れるため、相当に手術時間を短くしないと、結果的に最悪のタイミングで追加の麻酔をすることになります。
したがって、左右差を少なくするには、基本的には、両眼同時手術をすることが最低限、必要条件だと思っております。
また、片眼手術で注意しないといけないこととして、ヘリング現象があります。
片側の眼瞼下垂のみに対する治療では、手術前では、治療しない側の眼瞼挙筋が、無意識に過度に収縮して、本来の位置よりもまぶたを高くあげています。
そして、手術により、眼瞼下垂の側のまぶたが正常化すると、反対側のまぶたが本来の位置まで下がります。
この現象をヘリング現象と呼ばれるもので、両眼手術でも注意が必要ですが、特に、片眼手術では注意しないといけないと言えます。
個人的には、眼瞼下垂症手術は、左右同時に行うことが望ましいとしているのは、ヘリング現象という眼瞼下垂手術後に生じる現象があるからです。
このへリング現象により、片方の眼を開けやすくすると、反対側の眼が開きづらくなる現象です。シーソーみたいなものをイメージすると分かりやすいですね。
両眼同時に手術を行うと、手術中、このヘリングの出方を見ながら、左右の目の開く大きさを微調整して合わせこむことで術後のトラブルのリスクを減らすことが可能となりますので、可能な限り、両眼同時手術を受けると良いと思います。
眼瞼下垂手術の各手術方法の特徴
眼瞼挙筋前転法の特徴
手術内容 | 手術の内容としては、皮膚→眼輪筋を切開(切除)し、眼瞼挙筋腱膜と瞼板の表側を露出させたら、溶けない糸で眼瞼挙筋腱膜を前転(タック)させて瞼板に留めます。後は、皮膚の縫合を行って手術終了。 | |
料金 | 1割負担 両眼:14,400円 | 3割負担 両眼:43,200円 |
手術時間 | 片眼:20分〜60分 | |
ダウンタイム | 約1ヶ月 | |
傷跡の有無 | 二重の奥に隠れるので、目立たない |
眼瞼挙筋前転法は、タッキングとも呼ばれます。
ズボンのタックのように、緩んだ眼瞼挙筋腱膜をタグって留める手術で、眼瞼下垂症手術の1番の基本となる手術です。
当院では、この基本手術に高田医師が長年の経験から得た下記のテクニックを組み合わせることで、一般的な手術方法では得られない、より完成度の高い手術を行っています。
手術概要のイラスト(当院オリジナル:TKD切開・ファシアリリース法)
自然な瞼には、二本のシワがあります。睫毛(まつ毛)の根元に近いところと眉側へもう少し離れたところです。
二重の起点になる部分を考えた時には、一般的には、眉側のラインを基準にすることが多いと思います。
しかしながら、そのラインは、自然な瞼では全くない方もいるぐらい僅かな淡いラインです。
その部分に、強くラインが出過ぎてしまうと、不自然にクッキリとした幅の広い二重になってしまいます。
特に、皮膚切除をしすぎると、その部分が陥没するような二重になってしまい、術後、目を閉じると切開線が目立ち、手術してあることが、他人に簡単に判ってしまいます。
TKD切開は、睫毛側のラインを基準にしてありますので、術後、目を閉じても、自然で、手術したのが分からないようになります。
当院では、手術中に、ファシア(眼瞼挙筋腱膜と眼窩脂肪を繋ぐ繊維組織)をリリース(解除)する手法を取り入れることで、負荷のない状態での前転(タッキング)を行うようにしています。
このファシアリリースを行うには、眼窩脂肪を取り扱う高度な手術テクニックが必要です。
縫合は、片目につき10針〜13針行います。
縫合の際には、切開線が二重の起点になるように特殊な縫合を行っております。
また、通常よりも細かく縫うことで手術後の仕上がりをよくすることが出来ます。
眼瞼挙筋前転法に対しての高田医師の考え方
眼瞼挙筋前転法は、眼瞼下垂症手術の中では1番スタンダードな手術方法です。
ミュラー筋を傷つけない手術方法ですので、術後合併症が少ないです。
当院では、眼瞼挙筋前転法でも、軽度〜重度の眼瞼下垂症に対しても効果を安定させるために、オリジナルのTKD切開・ファシアリリースを組み合わせております。
もちろん、ROOF(瞼板前脂肪)切除も必要に応じて行っております。
眼瞼挙筋短縮法の特徴
眼瞼挙筋短縮法は、腱膜をカットし短くします。
つまり、ズボンのベルトの閉める穴の位置を変えて締め直すのが、前述の眼瞼挙筋前転法とするのなら、眼瞼挙筋短縮法は、長すぎるベルトをハサミでカットして短くするようなものです。
当然、一旦短くしたら元には戻せません。つまり、修正不可能な過矯正のリスク(手術後、目が大きく開きすぎてしまい、閉じにくくなってしまうリスク)があります。
眼瞼挙筋短縮法の手術の内容としては、先ず、皮膚→眼輪筋を切開(切除)し、眼瞼挙筋腱膜と瞼板の表側を露出させます。
そして、ミュラー筋と眼瞼挙筋腱膜との間を剥がし、腱膜を短くカットした上で、溶けない糸で瞼板に留めます。
最後は、皮膚の縫合を行って手術終了。
料金1割負担 両眼:3割負担 両眼:手術時間片眼:20分〜60分ダウンタイム約1ヶ月 傷跡の有無:二重の奥に隠れるので、目立たないと言えます。
手術概要のイラスト
眼瞼挙筋腱膜と瞼板の接合部を露出させる。
矢印のように眼瞼挙筋腱膜をミュラー筋から遊離させる
遊離した眼瞼挙筋腱膜を短くカットしたのちに瞼板に固定
挙筋短縮手術に対しての高田医師の考え方
挙筋短縮法は、腱を短くすることになるので、確実な瞼の挙上効果があると考えます。
他院では、挙筋機能(まぶたを上げる機能)が非常に少ない方に自動的に選択されることが多いのですが、ミュラー筋との剥離の際、ミュラー筋を傷つける可能性が高いため、当院では、基本的には行いません。
(まれに、他院での初回手術後の修正手術を依頼されたときに行うことがあります。当院で初回手術を受けられる場合、そもそもリカバリー手術 (修正手術)になることは極めてまれです。)
埋没式眼瞼挙筋短縮法の特徴
手術内容 | 手術の内容としては、眼瞼結膜を切開し、瞼の裏側から眼瞼挙筋腱膜とミュラー筋を溶けない糸で縫合して瞼板に留めます。後は、糸を結膜の中に埋め込んで手術終了。 |
料金 | 自由診療:150,000円〜 |
手術時間 | 片眼:20分〜40分 |
ダウンタイム | 約1週間 |
傷跡の有無 | 二重の奥に隠れるので、目立たない |
皮膚側を操作するわけではないので、二重の幅をコントロールすることは出来ませんが、眼瞼下垂症になると一般的に二重幅が広くなるので、埋没法によって眼瞼下垂症が治れば、自然な二重幅に戻ると言えます。
手術概要のイラスト
埋没式眼瞼挙筋短縮法に対しての高田医師の考え方
皮膚の切開を伴わないので、切らない眼瞼下垂症手術と言われ、盛んに宣伝されている方法です。ダウンタイムが短いことが期待できます。
日本人に多い腫れぼったい瞼や加齢による皮膚の余剰が強いケースには、この手術方法の適用は難しいと言えます。
加えて、再発が少ないと宣伝している美容外科もありますが、切開法と比べては安定感に欠けると言えます。
適応を選べば、素晴らしい手術ですが、自由診療なので、単なる糸を結ぶだけの手術にもかかわらず、保険診療による切開法よりも高額なのがデメリットです。
眉下切開法の特徴
手術内容 | 手術の内容としては、眉の下の皮膚をカットし、皮膚の縫合を行って手術終了。 | |
料金 | 1割負担 両眼:12,140円 | 3割負担 両眼:36,420円 |
手術時間 | 片眼:15分〜30分 | |
ダウンタイム | 約1ヶ月 | |
傷跡の有無 | 眉毛の生え際に傷が出来、目立つこともある。 |
手術概要のイラスト
眉の境界に沿って、皮膚切除デザインを設定します。
皮膚を切り取ったら、そのまま傷が目立たないように縫合します。
眉下切開法に対しての高田医師の考え方
他の切開手術を得意としている私としては、よっぽど患者さん本人からの強い希望がなければ選択しない手術方法です。
眉に傷跡が残ってしまうので、トラブルになる可能性が高いからです。あくまで、皮膚だけを取り除くだけですので、適応を選ばなければならないでしょう。
例えば、他院での複数回の手術により、眼瞼自体に皮膚を取る余裕がない場合です。
前頭筋吊り上げ術の特徴
手術内容 | 手術の内容としては、眉毛の生え際から切開し、瞼の瞼板までのトンネルを作ります。その後、前頭筋と瞼板を人工の糸やゴアテックス、時には、採取した太腿の筋膜で繋ぐ手術になります。 | |
料金 | 1割負担 両眼:37,060円 + 人工素材代(使用した場合) | 3割負担 両眼:111,180円 + 人工素材代(使用した場合) |
手術時間 | 片眼:30分〜60分 | |
ダウンタイム | 約1ヶ月 | |
傷跡の有無 | 眉毛の生え際に少し、瞼に少し出来ます。 |
前頭筋吊り上げ術に対しての高田医師の考え方
個人的には、以前までは、先天性眼瞼下垂症で重度の場合におこなっておりました。
それも、スタンダードな眼瞼下垂症手術を行って、それでも全く上がらなかったケースに適応していましたが、最近では、スタンダードな当院の手術の方が、より自然な瞬目(まばたき)が期待できるので行わなくなりました。
最近では、他院でこの、前頭筋吊り上げ手術を受けられたものの結果に満足できず、修正の相談で、当院に非常に多くご相談いただくことが多い手術方法です。
美容外科の二重手術との違い
美容外科で行われている高額な二重手術とは、外見を整える目的の手術(整容目的の手術)、いわゆる美容手術です。
見た目を綺麗にするというのは、病気を治療するという医療という目的から離れております。
結果として、ご本人の希望されるままに見た目を変える手術というのは、保険診療とならず、全額自費となるためにかなりの高額になります。
加えて、切らない眼瞼下垂症手術というのは、保険で認められている手術方法(健康保険法に規定される手術方法)に該当しないため、自由診療扱いになります。
一度、自由診療で治療を受けられた場合には、その修正目的、リカバリー目的で行われる手術も、また、高額な自由診療となります。
結果として、安易に保険外の自由診療を選択されてしまうと、後で予期せぬ高額な手術が必要になってしまします。
美容外科で多い二重切開手術トラブル
美容外科系の医療機関で手術を受けて、結果が悪くて、当院に相談に来られる場合の相談内容のほとんどが、二重幅が広すぎるといった内容となります。
日本人の大部分が、二重について肯定的な考え方を持ってますが、一般的に理想とされる二重幅は意外にも狭いものなのです。
しかし、二重を意識するあまりに、患者さん本人も、美容外科医も、広すぎる二重を求めすぎる結果となり、後戻りが出来なくなるような結果に至ってる状況です。
広すぎる二重を狭くするには、非常に難しい手術だと言われ、悲嘆に暮れてる方が多いのですが、当院オリジナル手術であるTKD切開を用いると治すことができます。
比較表
眼瞼下垂症手術方法の詳細を比較表にまとめると次のようになります
(※右にスクロールできます)
眼瞼挙筋前転法 | 眼瞼挙筋短縮法 | 埋没式眼瞼挙筋短縮法 | 眉下切開法 | 前頭筋吊り上げ術 | 二重手術(埋没法) | 二重手術(切開法) | |
手術時間(両眼) | 40分〜90分 | 50分〜100分 | 40分〜60分 | 30分〜50分 | 50分〜100分 | 30分〜50分 | 40分〜90分 |
対応する眼瞼下垂の程度 | 軽度〜中等度 | 中等度〜重度 | 軽度 | 軽度 | 重度 | 軽度 | 軽度〜中等度 |
値段 | 1割負担 両眼:14,400円 3割負担 両眼:43,200円 | 1割負担 両眼:14,400円 3割負担 両眼:43,200円 | 自由診療:150,000円〜 | 1割負担 両眼:12,140円 3割負担 両眼:36,420円 | 1割負担 両眼:37,060円 3割負担 両眼:111,180円 + 人工素材代(使用した場合) | 自由診療:100,000円〜 | 自由診療:400,000円〜1,200,000円 |
再発リスク | 少ない | 少ない | 多い | 多い | 少ない | 多い | 少ない |
術後トラブルの際のリカバリ手術の難易度 | 比較的容易 | 困難 | 容易 | 容易 | 困難 | 容易 | 比較的困難 |
おすすめで選ぶ!!眼瞼下垂症手術方法!
当院に眼瞼下垂症手術の相談に来られた患者様が選んだ眼瞼下垂症手術方法は、次のような結果になります!
1位:眼瞼挙筋前転法
断トツで選択されたのは、『眼瞼挙筋前転法』です。
特に、全年齢に渡って、眼瞼下垂症の場合には、眼瞼挙筋前転法を選ばれることが多いです。
やっぱり、加齢性が原因のケースでは、・・・・・当院の場合、基本手術に加えて、独自の技術(眼窩脂肪の処理、ルーフ脂肪切除)までも合わせて行っておりますので、自然な仕上がりが期待でき、安定した手術結果が期待できるからです。
筆者(高田)の経験では、他院手術での修正トラブルとなることも少ない手術方法と言えます。
そして、修正のケースになっても、リカバリー手術(修正手術)がしやすい方法だと考えます。
2位:埋没式眼瞼挙筋短縮法
俗にいう「切らない眼瞼下垂症手術」と呼ばれるものです。
瞼の裏から、眼瞼挙筋腱膜と瞼板を埋没糸で固定する手術方法となります。
腱膜性眼瞼下垂症の症例に対して有効な手術です。
日本人に多い腫れぼったい瞼や加齢による皮膚の余剰が強いケースでは適応でなかったり、また、自由診療となるので、自己負担額が多いというデメリットも・・・。
3位:眼瞼挙筋短縮法
眼瞼挙筋前転法との違いは、眼瞼挙筋腱膜を折りたたむのではなく、短く切って瞼板に固定します。
そのために、ミュラー筋と眼瞼挙筋腱膜を分離します。
ミュラー筋は非常に繊細な脆弱な筋肉であり、剥がすのは非常に技術が必要です。
ミュラー筋の障害は、術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)を引き起こす可能性があり、ミュラー筋を傷つけてしまう可能性のあるこの手術方法は、筆者(高田)としてはお勧めしておりません。
4位:前頭筋吊り上げ術
教科書的には、眼瞼挙筋の機能不全がある症例などに適応されます。
オデコの筋肉と瞼板を繋げて、オデコの力で瞼を持ち上げられるようになります。
繋げる素材としては、人工物(糸、ゴアテックスシート)や、太腿の筋肉から採取した筋膜などがあります。
筋膜の場合には、時間が経つと拘縮(縮んでしまうこと)により長さが縮んだり、同時に周辺組織への癒着などもあるため、整容(外観)的に歪みが生じ、癒着のため修正手術が難しくなる大きな問題点があります。
眼瞼下垂症をセルフチェックしよう。
実は、眼瞼下垂症を診断するには特別な機械は必要ありません。
iPhoneなどのスマートフォンのカメラ機能と物差しを使えば、自己診断できます!!
眼瞼下垂症がある方は眉が上がろうとするので、しっかり指で眉を固定しましょう。
瞳の中心から、瞼の縁までの距離 marginal reflex distance(MRD)を用います。眼瞼下垂症を診断する際には大事な要素となります。
MRDの正常値は3.5~5.5mmですが、眼瞼下垂症の方ではMRDが3.5mm以下になった状態になります。
一般的に、MRDが3.5mmから瞳孔上縁までを軽度、瞳孔上縁からMRDが-0.5mmまでを中等度、MRD:-0.5mm以下を重度と分類します。
つまり、先ほどのスマートフォンで撮影した写真から測定できるMRDから、ご自身が眼瞼下垂症なのかを判断することができます。
実は知られてない眼瞼下垂症の本質を知ろう!!
眼瞼下垂症は、生まれながらなりやすいタイプとなりにくいタイプの方がいらっしゃいます。
眼形成外科医からみた「一重瞼」と「二重瞼」の違い
実は、元々から二重の方は、眼瞼下垂症になりにくいとは言えます。
目の構造として、二重の方は、眼瞼挙筋腱膜がしっかり瞼板にくっついており、さらには、眼窩脂肪が少ないからです。
それでも、加齢と共に瞼の皮膚が伸びてきたり、コンタクトレンズ装用、アレルギー疾患の痒みで擦ったりすることにより眼瞼挙筋腱膜が外れ、眼瞼下垂症は発生します。
二重の幅が広がったり、オデコのシワが増えたりするようならば、眼瞼下垂症の危険信号です。
逆に一重の方は、眼瞼下垂症になりやすいと言えます。
日本人には、非常に多いタイプです。
一重瞼(ひとえまぶた)の人は、概して、眼窩脂肪、眼輪筋が多いため、瞼の厚み、ボリュームが多いと言えます。
さらに、皮膚の余剰も強いのが特徴で、これに、眼瞼挙筋腱膜の障害が起こることで眼瞼下垂症となります。
外見から判断できる眼瞼下垂症
眼瞼下垂症は、一般的には、眼瞼挙筋腱膜の断裂、瞼板からの離断が原因と言われます。
しかしながら、眼瞼挙筋腱膜だけではなく、実際には、皮膚、眼輪筋、眼窩脂肪、ファシアなどの瞼を構成する様々な要素が複雑に絡み合って出現します。
したがって、眼瞼挙筋腱膜だけを修復しようとする手術で、全ての眼瞼下垂症を満足できるレベルで治すことは難しいと考えます。
そのことを踏まえて、眼瞼下垂症の見た目と眼瞼下垂症の原因を結び付けて考えるとどうなるのか?お示ししていきたいと考えます。
一重(ひとえ)だったのが二重(ふたえ)になった。三重四重と増えてきた。
眼瞼挙筋腱膜と瞼板の接着が悪くなったときに起こります。
目の上が、くぼんが出てくるパターン
特に、痩せている方が腱膜性眼瞼下垂症となると、眉を挙上する代償が強くなり、結果として、上眼瞼がくぼんでくるようになります。
美容外科の世界では、サンケンアイ sunken-eyelidと呼ばれる状態です。
手術においては、眼輪筋と眼窩脂肪のボリュームを確保しつつ、眼瞼挙筋腱膜を瞼板に再固定することが必要となります。
目尻の皮膚が垂れているパターン
実は、日本人に多いパターンです。
若年者でも上まぶたに脂肪の多い方はこのパターンになりやすいのですが、余剰皮膚が多過ぎて垂れてきた状態です。
このような状態では、眼瞼挙筋腱膜が瞼板から外れていなくても、瞼が重く感じられるようになります。
睫毛(まつげ)が皮膚に押し下げられ、目を傷つけるので、しばしば目が痛むと訴えられる方も多くいます。
目が痛む理由として、上まぶただけでなく、下まぶたの逆さ睫毛(さかさまつげ)になっている方も多く認められます。
まっすぐ正面を見ている状態では分からないのですが、目線を上に上げると、上まぶたの睫毛が角膜に触れ、目線を下に向けると下まぶたの睫毛が当たるようになります。
特に、受験などで机に向かうことの多くなる中学生以降、逆さ睫毛に気付くようになり、勉強の集中力を切らす要因となります。
手術後のダウンタイム(腫れのひくまでの時間)はどれくらいか
「手術を受けた後の過ごし方って気になりますよね?」
「鉄は熱いうちに打て」ということわざがありますが、逆に、傷口は腫れないうちに冷やせ!!
つまり、ダウンタイム(腫れのひくまでの時間)を短くするためには、可能な限り手術直後に、しっかり冷却することです。
腫れの少ないと言われる埋没法であれ、どんな手術でも腫れは大なり小なり出てきます。
ダウンタイム(腫れのひくまでの時間)の長さは、同じ手術でも、術者の腕の良し悪しでも変わるし、患者さんの体質によってもかわります。
そして、術後の炎症反応のコントロールの仕方により長くもなったり、短くもなります。
そもそも、術後の腫れは、傷が回復していくときの炎症反応が原因です。
炎症反応は、生体の反応ではありますが、本質的には、化学反応です。
ダウンタイムを短くためには、小学校の頃に学んだ化学の知識が役に立ちます。
化学反応(炎症反応)を進める要素:
- 混ぜる(傷口を触る、抑える、過剰に動かす)
- 温める(血圧を上げる行為、お風呂に入る・運動する)
- 触媒を入れる(内服・軟膏を適正に使用しない)
この逆を行えば良いわけです。
- しっかりと冷やす!!
- 傷口を触らない、抑えない。できるだけ、瞼を動かさない!!
- 内服・軟膏を指示通りに使用する。
ポイント①:しっかりと冷やす
傷口は、温めるといけません。冷やすことが非常に大事になります。
よく冷えピタや熱さまシートのような冷却ジェルシートを使う方がいらっしゃいますが、全く意味をなしません。
凍った保冷剤を綺麗なガーゼに包んで、低温火傷に気をつけながら、そっと傷口に当てることで冷やすことが大事です。
実際には、この方法は非常に大変ですので、筆者は、メオアイスという商品をお勧めし、手術後の患者様にご使用いただいております。
ポイント②:傷口に圧力をかけない
化学反応はかき混ぜなければ反応は進まない。
つまり、術後の仕上がりが気になってしまい、鏡を見ながら、瞼を無理に動かしたりすると、炎症物質が傷口周囲に拡散し、腫れがひどくなります。
術後は、可能な限り傷口を触らず、安静にすることを徹底しましょう。
例えば、術後早期のコンタクトレンズ使用、アイメイクなども可能な限り避けるべきです。
ポイント③:指示された内服・軟膏を使用する
術後に出される薬剤は、傷口の炎症反応を抑えるために出されるものです。
つまり、炎症物質の放出を抑える・・・炎症反応の触媒を除去するイメージです。
きちんと服用・塗布しなければ、傷口の状態が悪くなります。
例えば、「痛み止め」は、痛く無くても飲むべき薬剤です。
痛み止めは、医学的には「消炎・鎮痛剤」と呼ばれます。
鎮痛作用は痛みを鎮める作用でありますが、消炎作用とは、炎症を抑えるという意味で腫れを抑えてくれます。
ポイント④:傷を隠すのは、黒縁メガネがお勧め!!
美容外科で手術を受けると・・・包帯で顔をグルグル巻きってイメージありませんか??または、室内でもサングラスを外せない・・とか。
眼瞼下垂症で手術を受けたら、サングラスではなく伊達眼鏡でも良いので、黒縁の眼鏡をして隠すと意外に目立ちません!!
予見される術後後遺症
眼瞼下垂症手術は、視力に対しても、そして生命に影響を及ぼすような緊急性の高い手術ではありません。
安易に、適当なカウンセリングで手術を勧める医療機関は信用されない方が良いと考えます。
言われるままに手術をしてしまって後悔されている人も沢山いらっしゃいます。
あえて、眼瞼下垂症手術後に起こりえる術後後遺症について説明させていただきます。程度や頻度について、避けられるものもあれば、予期せず起こりえるものもあるので、選択される手術方法によっても、施設によっても変わってきます。
個人的には、ミュラー筋に操作を加えたことによって起こる眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)は無視できないものがあります。
また、前頭筋吊り上げ術後の兎眼(目が閉じられなくなること)や瞼の変形の修正は非常に難しいものがあります。
過矯正に伴う兎眼(目が閉じられなくなること)、ドライアイ
眼瞼下垂症は目を開けやすくする手術ですので、言ってしまえば、目を閉じにくくする手術です。
術後、目が閉じなくなる状態を医学的には「兎眼」と呼びます。ほとんどのケースで、手術直後の兎眼は大なり小なり出てくることがありますが、時間の経過で治ることが多いです。
眼瞼下垂症手術が過矯正すぎると治りませんので、長期間に渡り苦しむことになります。
過矯正の修正手術は難しい場合があります。
特に、術後の癒着がひどくなりやすい眼瞼挙筋短縮法、前頭筋吊り上げ術において、注意が必要です。
逆に眼瞼挙筋前転法、埋没法だと、修正が容易だと言えます。
術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)
当院には多くの方が他施設での眼瞼下垂症術後に羞明(まぶしく感じること)、目の引きつれを感じ、相談にこられます。
ほとんどのケースで、眼瞼挙筋短縮法によるミュラー筋への障害が原因と考えられる状態です。
瞼を持ち上げる筋肉には、一番のメインになる眼瞼挙筋、それをサポートするミュラー筋と前頭筋の3つがあります。
ミュラー筋は、交感神経という自律神経により制御されております。
交感神経は、生存神経とも言われ、身体にストレスがあった場合に興奮する神経です。
精神的に緊張状態になった場合にミュラー筋は収縮し、瞼が少し引き上がるわけです。
人は怒ったりすると、「くわっ」という効果音があるように目を吊り上げるのですが、そのときにミュラー筋が働いているのです。
つまり、手術において、ミュラー筋を使うような手術方法で眼瞼下垂症を治すと、どうしても自律神経に影響が出てしまい、術後、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)が出現しやすくなる考えております。
その場合には、ミュラー筋への障害を取り除く・・・のが方針となるのですが、埋没糸による刺激なら、埋没糸を取り除くだけで良いのですが、手術による癒着組織による刺激であると修正が難しいと言えます。
最近では、ミュラー筋の異常が眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の原因だとの報告も出ております。
眼瞼下垂症手術において、ミュラー筋を前転したり短縮したり離断する手術方法で眼瞼下垂手術を行っている施設もあります。
そのことにより、術後、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)が発生してしまったという他施設での症例を多く経験しております。
そういった他施設では、元々から眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)があり、眼瞼下垂症手術により明らかになったと考え、眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の治療には、さらに追加で眼輪筋の切除が必要であり、今度は下眼瞼にメスを入れることが必要だと患者様に説明するところもあるようです。
そのような追加手術が怖くなってしまったとの訴えで、当院にセカンドピニオンとして受診される患者様もみえます。
難治性の術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)が、ミューラー筋への障害が原因によって起こるのであれば、当院では、出来るだけミュラー筋に障害を与える眼瞼手術は行うべきではないと考えております。
手術後に起きうる瞼の審美(外観)的な意味での異常
眼瞼下垂症手術は、あくまで、瞼が上げやすくすることが目標となります。
しかしながら、見た目も非常に重要なポイントでもあります。
顔の中で目というのは、非常に大事な要素なのですが、眼瞼下垂症手術は、その部分を変えてしまう手術であります。
眼瞼下垂症の手術後には下記のような外観の異常が起きることがあります。(もちろん 当院ではそのような異常が極力生じないよう注意しておりますが、異常の原因には患者様の体質が原因となるものもあります。)
①三角目(テント)
目を開いたときに、丸いアーチ状ではなく、二等辺三角形のような形になるような状態。
挙筋腱膜の固定の仕方が強い場合に起こります。
同様に、前頭筋吊り上げ術でも起こりやすい異常です。
②左右差
左右の腱膜を瞼板に固定した埋没糸のどちらかが外れた場合に起こります。
麻酔の左右の量を等しくし、術中に左右差がない状態を確認しても、麻酔の影響差で発生してしまうことがあります。
③三重瞼
通常、切開線を基準に二重の折り目を付けるところが、傷口の肥厚性瘢痕化により折り目が上に逃げることで起こります。術後数ヶ月で、瘢痕が治ってくれば治ることもありますが、再手術が必要な場合もあります。
眼瞼下垂症手術は何歳から何歳まで出来るの?
眼瞼下垂症手術は、原則、局所麻酔(意識のある麻酔)での手術となります。
それは、左右の形の差などの仕上がりの確認の際に、目を開けて頂かなければならないからです。
したがって、手術中に、簡単ではありますが、問題なく指示に従って頂ける方となります。
私の手術経験から言うと、小学校の高学年〜高齢者まで幅広く行えます。
眼瞼下垂症の予防方法
眼瞼下垂症の原因のほとんどが、加齢性とコンタクトレンズ装用によるものだと考えられます。
どちらも腱膜性眼瞼下垂症と呼ばれるもので、瞼板から眼瞼挙筋腱膜が外れてしまうことが原因で、どちらも物理的な要素で外れてしまう・・・つまりは、無理な力で外れてしまうと考えられております。
つまり、眼瞼下垂症を防ぐには、
- コンタクトレンズを可能な限り装用しない。
- 目を擦らない。
- ドライアイの状態にならないようにする。
というのが考えられます。
手術以外の対応策はないの?
イラストのように、上眼瞼がくぼみ、二重の幅が広くなり、明らかに眉の位置が上がってしまっているような状態の場合、腱膜性眼瞼下垂症の可能性が高いです。
眼瞼挙筋腱膜が瞼板から外れてしまっているので、腱膜を瞼板に固定し直す手術以外に対応策はないと言えます。
そんな状態になる前であれば、ある程度対応策があります。
①アイプチ、自力で二重にする ②筋力体操
アイプチ、自力で二重にする
軽度の眼瞼下垂症であれば、二重を作るだけで症状の緩和を期待することは可能です。
人工的に二重まぶたをつくる“アイプチ”:二重テープは、NHKの有名健康番組「ためしてガッテン」でも眼瞼下垂症の症状の緩和させる方法として特集されたこともあります。
他には、眉に力を入れた状態で意識的に瞼を引き上げると、自力で二重にできるのであれば、それも有効な方法です。
形なりでも、二重にすることで眼瞼挙筋の力がしっかり上眼瞼の先端まで伝わるようになるので、瞼が上がりやすくなるイメージです。
しかしながら、逆に、アイプチが眼瞼下垂症を引き起こす原因となるケースもあるので注意が必要です。
アイプチでまぶたを機械的にいじることで負担となり、アイプチに使う接着剤による肌のかぶれで若年性眼瞼下垂を引き起こすことがあります。
まぶたが腫れぼったく分厚い方はアイプチがすぐに取れることが多く、そのような場合は、無理にアイプチに頼らず、早めの手術を検討された方が良いと思います。
眼瞼下垂予防体操
腱膜性の眼瞼下垂症が完成していなければ、眼瞼挙筋を休ませたり、逆に運動を行うことで、予防ができますが、間違ったトレーニングは、腱膜の断裂を引き起こしますので注意してください。
- 目を閉じる
- 左右の眉毛が動かないように、手のひらで額全体固定する。
- 両目をカッと限界まで大きく見開いて5秒キープする。
- ゆっくり目を閉じてリラックスする。
この①~④を1セットとし、1日に数回繰り返しましょう。
習慣化することで、眼瞼挙筋の衰えを防ぐのに効果を発揮します。
眼瞼下垂症手術への流れ
眼瞼下垂症手術において、一番大事なのは主治医(術者)と患者様との信頼関係が構築できているかどうかだと思います。
それは、眼瞼下垂症手術が緊急性の高い手術ではないからです。
当院では、メールでの問合せ等でも可能な限り、専門スタッフとの電話相談に切り替えて、眼瞼下垂症の状況を伺うようにしております。
直接、お話をすることで得られる情報量は、メールで得られる情報量とは比べ物にならないからです。
当院では、少なくとも30分以上の時間を術前説明として当てさせて頂いております。
そして、その手術説明は、手術を受けることを前提にするわけではなく、あくまで説明であり、説明後に手術を受けるか?どうか?は患者様本人に決めていただくこととしております。
当院は、そのスタンスを非常に大事にしております。
手術においては、ベストの結果が出せるように気をつけていることは、手術時間を最小限に押さえることです。
そのためには、最小限の侵襲、すなわち、最小限の麻酔、最小限の出血、最小限の組織切開・切除、最小限の縫合を目指すことです。
当院では、両眼で30分〜40分で手術を終えてます。
結果として、切らない埋没法よりも腫れないこともあるぐらいです。
インターネット検索で得られる他施設の術後の写真よりも腫れてないと患者さん本人から言ってくださることも多いです。
加えて、術中の腫れが少なければ、術中で決定したデザインと、実際に腫れがひいた後のデザインとの相違が少ないと言えます。
つまり、手術後時間が経過して落ち着いた外観が、術中に鏡で確認したデザインに近いわけで、結果として、審美的なトラブルが非常に少なくなります。これは、非常に重要なことです。
手術後の適切な傷口の管理は、手術の結果に大きく影響します。
手術の結果は、手術内容が70%で、残りは術後管理によって左右されます。
いくら完璧な手術を行っても、適当な術後管理をすると、台無しになってしまいます。
遠方の方など特殊な場合は除き、当院では、手術翌日、1週間後、2週間後(抜糸)、1ヶ月後、3ヶ月後と間を開けつつ、経過をみて、投薬・過ごし方のアドバイスを行います。
事細かに、術後管理を行うことで、当然、物理的なトラブルも減るのはありますが、何よりも、患者様の心理的な不安を取り除くことが可能となり、安心して晴れがひくまでの時間をお過ごしできると考えております。
いかがでしたか?
眼瞼下垂症手術の全貌についてお分かりいただけましたか?
この記事が眼瞼下垂症を受けるか?どうか?で悩むあなたのお役に立てたら嬉しいです!
お相手は、当院の眼形成外科医の高田でした^^
それでは、またお会いしましょう!