ポテンツァとダーマペンの違い – どっちがいい?痛みや効果を比較
ポテンツァとダーマペンは、どちらも人気のマイクロニードル治療です。
ダーマペンの進化版として注目を集めているのがポテンツァですが、どのような違いがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ポテンツァもダーマペンも、肌の創傷治癒効果を利用してコラーゲンやエラスチンの生成を促すというメカニズムは同じです。
しかし、対応できる症状やダウンタイム、費用などに違いがあります。
本記事では、施術方法、効果、痛み、ダウンタイム、値段などさまざまな観点からポテンツァとダーマペンを比較。
肌悩み・ケース別にどちらがいいかも紹介しているので、ポテンツァとダーマペンのどちらを選べばよいのか迷っている方はぜひ参考にしてください。
この記事の著者
名前 / Name
藤井 あさ美
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
医学博士。日本皮膚科学会皮膚科専門医。愛媛大学医学部卒業後、大阪大学医学部皮膚科入局。退役軍人病院(ロサンゼルス)皮膚科、岐阜大学医学部付属病院皮膚科を経て現職(あさ美皮フ科亀戸駅前院長)。
ポテンツァとダーマペンの違い比較表
ポテンツァとダーマペンの主な違いを、以下の表にまとめました。
ポテンツァ | ダーマペン | |
---|---|---|
治療方法 | 肌に極細針を刺し、針先から高周波(RF)を流す | 肌に極細針を刺す |
特徴 | ・マイクロニードル、高周波、薬剤導入の3つの効果・自動で薬剤を注入する「ドラッグデリバリーシステム」を搭載 ・1ショット49個の穴を形成 | ・マイクロニードルによる創傷治癒効果 ・手動で薬剤を塗布 ・16本の針で1秒間に1920個の穴を形成 |
期待できる効果 | 肝斑、ニキビ、ニキビ跡(クレーター)、毛穴の開き、赤ら顔・酒さ、小じわ、たるみ、くすみ、ハリつや向上、肌質改善、リフトアップ など | ニキビ、ニキビ跡(クレーター)、毛穴の開き、小じわ、くすみ、ハリつや向上、肌質改善 など |
導入薬剤の種類 | ・マックーム ・BENEV(成長因子) ・エクソソーム ・ボトックス | ・マッサージピール(ヴェルベットスキン) ・ハイラアクティブ ・ウーバーピール ・PRP(ヴァンパイアフェイシャル) |
痛み | あり | あり |
ダウンタイム | 1〜7日程度 | 2〜10日程度 |
効果的な回数 | 3〜5回 | 5〜10回 |
施術間隔 | 4〜6週間 | 4〜6週間 |
費用相場(1回) | 10万〜13万円 | 2万〜5万円 |
施術方法の違い
ポテンツァは、微細な針で肌に穴を形成し、針先から高周波(RF)を出す治療法です。
バリエーション豊かなチップが搭載されており、目的や症状に合わせてチップを使い分けることで、一人ひとりに合った治療をおこなえます。
ダーマペンも、ポテンツァと同様に極細針で肌に穴をあける治療法ですが、高周波機能やドラッグデリバリーシステムは搭載されていません。
肌に穴を形成したあとは、手で薬剤を塗布していきます。
効果の違い
ダーマペンは、主にマイクロニードルの創傷治癒効果を利用して肌の再生を促す治療法です。
傷が治癒する過程でコラーゲンやエラスチンが生成され、美肌へと導きます。
ポテンツァでは、ダーマペンと同じ創傷治癒効果に加えて、高周波の熱作用と薬剤導入による美肌効果が期待できます。
また、症状に合わせてチップを変えることで、さまざまな肌悩みに対応できる点も特徴です。
ポテンツァとダーマペンに共通する効果としては、ニキビ、ニキビ跡、毛穴の開き、くすみ、ハリつや、小じわ、肌質改善などが挙げられます。
ポテンツァはそれらに加えて、肝斑、赤ら顔、リフトアップの治療も可能です。
- ニキビ・ニキビ跡
- 毛穴の開き
- くすみ
- ハリつや
- 小じわ
- 肌質改善
- 肝斑
- 赤ら顔
- リフトアップ
痛み、ダウンタイムの違い
ポテンツァもダーマペンも、肌に針を刺すときに痛みを伴います。個人差はありますが、チクチクとした痛みや熱感が生じるでしょう。
とはいえ、針を刺す深さや使用するチップなどによっても痛みは異なります。
ほとんどのクリニックでは麻酔を使用できるため、痛みが心配な場合は医師に相談してみてください。
肌のザラつきや乾燥は1週間ほど続く可能性がありますが、赤みや腫れは1〜2日でほとんど目立たなくなるでしょう。
ダーマペンも赤みや腫れは1〜3日、乾燥やかさぶたなどは1週間ほどでおさまりますが、同じ針の長さで施術した場合、ポテンツァよりも症状が長引く傾向があります。
針を肌の奥深くまで到達させる深いニキビ跡やクレーターなどの治療では、2週間程度ダウンタイムが続くケースも。
値段の違い
値段はクリニックによって差がありますが、ポテンツァは1回約10〜13万円、ダーマペンは約2〜5万円が相場です。
どちらも基本的には自由診療となるため、保険は適用されません。
ポテンツァとダーマペン、どっちがいい?ケース別に比較
ここまで解説したように、ポテンツァのほうが幅広い肌トラブルにアプローチが可能です。
また、薬剤を肌の奥深くまで届けられるため、一度の治療で大きな効果が期待できます。
一方で、ダーマペンは費用を抑えられる点が大きなメリットです。また、ペンタイプの機器であるため、より細かい部位に対応できます。
以下では、ケース別にポテンツァとダーマペンのどちらが適しているのかを解説します。
- 肝斑を治療したい
- 毛穴の開きを改善したい
- 深いクレーターがある
- 鼻や目元を重点的に治療したい
- 少ない回数で効果を実感したい
- 予算を抑えたい
肝斑を治療したい
肝斑の治療にはポテンツァが有効です。高周波によってメラノサイトの活動を抑制し、メラニンの生成を防ぐことで、肝斑の改善と予防につなげます。
※ただし、高周波(RF)エネルギーは熱損傷を引き起こし、特に色黒肌のタイプの方は炎症後色素沈着を悪化させる可能性がある点に注意が必要です。
一方で、ダーマペンは肝斑を悪化させてしまう可能性がありますので、施術を避けるクリニックがほとんど。肝斑は通常のしみよりも非常にデリケートです。
毛穴の開きを改善したい
毛穴の開きには、ポテンツァとダーマペンどちらも効果が期待できます。
針で穴をあけたときの創傷治癒作用によってコラーゲンの生成が促され、毛穴の引き締めや肌質改善につながるでしょう。
ポテンツァには高周波エネルギーによるタイトニング(肌の引き締め)作用があるため、たるみ毛穴に対してはより効果的だと考えられています。
毛穴の開きが加齢やたるみによるものであれば、ポテンツァがおすすめです。
また、皮脂の分泌量が多いタイプの毛穴にはダーマペンが効きにくく、回数が必要になるといわれています。
深いクレーターがある
どちらもニキビ跡やクレーターの治療に適した治療法ですが、ポテンツァはより深刻なクレーターに有効であると考えられています。
ポテンツァには、ニキビ跡やクレーター治療、スキンリジュビネーション(肌の若返り)治療に対応した「水光RFモード」があります。
皮膚の深い部分に高周波を流して線維芽細胞を活性化し、コラーゲンやエラスチンの生成を促進することで、重度のクレーターにもアプローチが可能。
また、ポテンツァ専用の薬剤であるマックームには、コラーゲンを増生させて肌の凸凹を滑らかにする効果が期待できます。
ダーマペンでは十分な効果を得られなかった方でも、ポテンツァであれば改善できる可能性があるでしょう。
鼻や目元を重点的に治療したい
目元の小じわや小鼻の黒ずみなどを治療したいのであれば、ペンタイプで細かい部分までアプローチできるダーマペンがおすすめです。
フェイスラインなどの湾曲した部分にもあてやすいメリットがあります。
また、針の長さをより細かく調節できるため、箇所によって異なる症状がある場合でも効果的な治療が可能です。
少ない回数で効果を実感したい
必要な施術回数は肌の状態や求める効果によって異なりますが、ポテンツァは1回あたりの効果を実感しやすく、従来のダーマペンと比べると少ない回数で肌質の改善が期待できます。
たとえば、効果を1年持続させるためには、ポテンツァで約3回、ダーマペンでは約5回の施術が必要な回数の目安です。
より少ない回数で結果を出したいのであれば、一般的にはポテンツァが適しています。
※ただし、治療に対する結果には個人差があります。
予算を抑えたい
予算をできるだけ抑えたい方には、ダーマペンがおすすめです。
ダーマペンは多くのクリニックが導入しており、割引キャンペーンなども頻繁に行われている施術のため、より安く受けられる場合もあります。
継続的な治療が必要になることを考慮して、トータルでかかるコストを計算しておきましょう。
ポテンツァ・ダーマペンどちらがいいか比較まとめ
ここまでの解説を踏まえて、ポテンツァが向いている人、ダーマペンが向いている人の特徴を以下にまとめました。
- 少ない回数で効果を実感したい人
- 肝斑や赤ら顔を治療したい人
- リフトアップ効果を得たい人
- ダウンタイムを短くしたい人
- ダーマペンでは満足のいく効果を得られなかった人
- 費用を抑えたい人
- 痛みが苦手な人
- 小鼻な目元などの細かい部位を治療したい人
- ヴェルベットスキンなどの治療と組み合わせたい人
フラクショナルレーザーとの違いは?
ポテンツァは高周波RF、マイクロニードルを使用しますので、レーザー技術を使用するフラクショナルレーザーとは作用の方法が異なります。
肌に損傷を与えて再生を促す点は同じ
フラクショナルレーザーは、レーザーをマイクロドット状に照射(点状照射)して、肌に微細な穴をあける治療法です。
これにより強い刺激を与えて皮膚の治癒反応を促し、コラーゲンの生成を促進します。
フラクショナルレーザーの「肌に損傷を与えて再生力を高める」仕組みはポテンツァやダーマペンと似ており、ニキビ跡や毛穴などの改善に効果が期待できます。
痛み・ダウンタイムが異なる
仕組みは似ているものの、フラクショナルレーザーとポテンツァでは痛みやダウンタイムの程度が異なります。
フラクショナルレーザーは皮膚の角質層から真皮層まで熱を加えるため、強い痛みを伴うことがあります。
また、皮膚の表面に傷がつきやすく、赤みや腫れが長引きやすい点もデメリットです。ダウンタイムは5~7日程度続くでしょう。
レーザー後に火傷や色素沈着が起こるリスクも高まります。
一方でポテンツァは、針を刺してから熱を入れるため、皮膚の表面に傷がつきにくく、火傷のリスクはほとんどありません。
まとめ
ポテンツァとダーマペンの違いを解説しました。どちらもマイクロニードルの一種を採用していて、皮膚に小さな穴をあけて身体の治癒反応を刺激します。
ただ、ポテンツァはこれに高周波エネルギーを組み合わせることで、効果を実感しやすくし、より深いレベルでのコラーゲン生成を促すと考えられています。
ポテンツァとダーマペン、どちらを選択するかは肌悩み、肌タイプによりますが、少ない回数で効果を実感したい方やダウンタイムを短くしたい方にポテンツァはおすすめです。
ご自身の肌悩みにはどちらが良いのか、悩まれている方はぜひ一度ご相談ください。
ポテンツァとダーマペンの違いでよくある質問Q&A
- ポテンツァとダーマペンのどちらが効果が高いですか?
-
効果は個々の皮膚の状態や目指す結果によります。
基本的に、加齢やたるみによる毛穴の開き、深いクレーターではポテンツァが向いていますが、医師と十分なカウンセリングを行い、どちらが適しているか判断してもらうことが重要です。
- ポテンツァとダーマペン、どちらが痛みが少ないですか?
-
どちらも多少の刺激を伴います。また、どちらの施術でも麻酔が使用できます。
- ポテンツァとダーマペン、どちらがダウンタイムが少ないですか?
-
ダウンタイムは、ポテンツァの方が軽減できるとされています。
- ポテンツァとダーマペン、どちらが費用が高いですか?
-
ダーマペンと比べると、ポテンツァは費用が高いです。
ダーマペンの相場が約2~5万円なのに対して、ポテンツァでは1回約10~13万円が相場となります。
- ポテンツァとダーマペン、どちらがアフターケアが簡単ですか?
-
どちらの治療法も、施術後は紫外線からの保護と保湿が必要です。
- ポテンツァとダーマペン、どちらがニキビ跡に効果的ですか?
-
どちらもニキビ跡の治療に用いられますが、重度のニキビ跡にはポテンツァの方がより深く作用しますので、より良い結果を得られる可能性があります。
- ポテンツァとダーマペン、どちらが毛穴に効果的ですか?
-
どちらの治療法も毛穴にアプローチできますが、ポテンツァは高周波エネルギーによる肌の引き締め作用があるため、加齢やたるみ毛穴にはポテンツァが向いています。
参考文献
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Cohen BE, Elbuluk N. Microneedling in skin of color: A review of uses and efficacy. Journal of the American Academy of Dermatology. 2016 Feb;74(2):348-55. (1)
- 赤み・腫れ(数時間~数日)
- 内出血(通常、一週間程度で消失します)
- ごく稀に色素沈着が起こる場合があります