眼瞼下垂の症状「外傷性眼瞼下垂」
「外傷性眼瞼下垂(がいしょうせいがんけんかすい)」は、外傷(体外から加えられた物理的な力によってできた傷)が原因で眼瞼下垂が発症するタイプの眼瞼下垂です。
この場合に外傷の原因となるのが「白内障」、「緑内障」などの眼科手術を受けた際や事故などです。
「白内障」「緑内障」は、いずれも視力悪化に大きな影響を与える疾病ですが、これらについては [後天性眼瞼下垂]の症状「内眼手術後眼瞼下垂」でも詳しく説明しています。
これは、眼科において「白内障手術」、「緑内障手術」が「硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)」と共に、まとめて「内眼手術(ないがんしゅじゅつ)」と呼ばれていることによりますが、いずれにしても手術が契機となって眼瞼下垂の症状が生まれます。
これらに事故を原因とする外傷が加わって外傷性眼瞼下垂と呼ばれます。
外傷性眼瞼下垂における3タイプ
外傷性眼瞼下垂は、前述の原因によって発症する「動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)」と「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」、さらに「ホルネル(Horner)症候群」の3つの疾病にさらに分けられます。
これらの疾病については、それぞれ
にまとめられていますが、その原因について簡潔に説明しましょう。
動眼神経麻痺とは、眼球を鼻側(内側)方向に向ける「内直筋(ないちょくきん)」、上下に向ける「上直筋(じょうちょくきん)」と「下直筋(かちょくきん)」、外方向に回転させる「下斜筋(かしゃきん)」を支配するほか、まぶたを上げる「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」も支配しているため動眼神経に麻痺が生じることで、眼瞼下垂が生じます。
次に腱膜性眼瞼下垂ですが、この「腱膜」とは、まぶたを上げる際に大切な「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」を指します。腱膜性眼瞼下垂は、この挙筋腱膜とまぶたを引き上げる「瞼板(けんばん)」との付着部分が外れたり、挙筋腱膜が伸びたり薄くなったり、切れたりし、瞼板が自然に持ち上がらなくなって、まぶたが開きづらくなることで、眼瞼下垂になります。
最後に「ホルネル(Horner)症候群」は、脳から体の末梢に向かう交感神経遠心路のどこかに障害が起きて生じる疾病で、やはり眼瞼下垂につながる場合があります。