このファシアをしっかり処理せず、眼瞼挙筋腱膜のタッキング(前転)、短縮を行うことが眼瞼下垂術後の三角眼(三角目)の原因の一つだと考えております。もちろん、これだけではありませんが、大きな原因の一つだと考えております。
ケースバイケースですが、ミューラー筋と眼瞼挙筋腱膜との間、ミューラー筋と結膜との間にもファシアが存在し、開瞼時の引っ掛かりの原因となっている場合もあり、その場合には、その剥離も必要になる場合もあります。
つまり、高田眼科が考える眼瞼下垂症の原因は、①皮膚のタルミ ②眼輪筋・眼窩脂肪によるオモミ ③眼瞼挙筋のユルミ 最後に、他院にない考え方として ④ファシアによるヒッカカリ(可動制限) という4つの要素です。
そして、大事なのが、人によって、瞼の構造は異なっており、この①〜④までの要素の割合が異なっております。
例えば、若い方では、①皮膚のタルミは少なく、また③眼瞼挙筋のユルミも少なく、おもに②眼輪筋・眼窩脂肪の重みが強いことが原因であることが多いのです。
そして、先天性眼瞼下垂症の場合には、④ファシアによる引っ掛かりが原因であることが多いです。
先天性眼瞼下垂症の治療は、筋膜移植を選択されることが多いのですが、当院では、このTKDファシア剥離を行うことで、ほとんど、筋膜移植を行うことがなくなりました。
個人的には、筋膜移植は、三角眼(三角目)になりやすいという美容的な欠点があり、また、ゴアテックスではなく、自家の腱膜を移植すると、その後の移植腱膜の拘縮や癒着により、時間が経ってくると問題を起こすことがあり、個人的には問題が大きいと考えております。
つまり、筋膜移植術は、まばたき(瞬目)の動きが不自然なものになります。
TKDファシア剥離を用いた前転法で、かなり良い成績を上げることができております。
このように解剖学的に非常にバラエティに富んでいる眼瞼に対して、その特徴を見定めながら手術の内容をアジャストすることが、常々大事だと考えており、型通りの手術ではなく、本質をついた手術が出来ればと考えております。
その結果、手術の効率化につながり、手術時間の短縮に繋がる。結果、ダウンタイムの少なく、自然な仕上がりの眼瞼下垂症手術になるとも考えております。