手術・治療の話

後天性眼瞼下垂の治療「腱膜性眼瞼下垂」

※2021.2.22記事内容を修正・更新をしました。


◼︎眼瞼下垂による症状

眼精疲労に悩む人物の写真

[後天性眼瞼下垂]の症状「腱膜性眼瞼下垂」で説明したように、「後天性(こうてんせい)眼瞼下垂」のほとんどを占めるのが、「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」です。

 


 腱膜性眼瞼下垂の「腱膜」とは、まぶたを上げる際に大切な「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」を指すのですが、詳しくは、ブログ記事:まぶたの開け閉め


腱膜性眼瞼下垂症になると、まぶたが上がらないだけでなく様々な自覚症状が表れますので注意が必要です。

そのメカニズムと共に紹介しましょう。

まず、挙筋腱膜の働きに支障が出ると眼瞼挙筋を補佐している「ミュラー筋」が収縮する力を貸りるのですが、ミュラー筋が眼瞼挙筋に強く引っ張られると、眉毛を上げる「前頭筋(ぜんとうきん)」が収縮し、首や肩甲骨を動かす「僧帽筋(そうぼうきん)」も収縮すると言われております。

しかしながら、高田眼科(ひとみ眼科)としては、ミュラー筋理論ではなく、単純に、腱膜性眼瞼下垂症を発症すると、瞼の上げにくさをカバーするために、眉を引き上げることで代償するために、前頭筋が常に収縮、緊張するために、それに連なる僧帽筋が過緊張を引き起こします。

つまり、ミュラー筋の緊張の有無とは、問題にならないと考えております。

その証拠に、高田眼科(ひとみ眼科)の手術は、原則、眼瞼挙筋前転法に準じたものであることから、ミュラー筋を傷つけるような操作を加えることはありません。

つまり、ミュラー筋に操作を加えずに、眼瞼下垂症を手術治療していることになるわけですが、それでも、「肩こり」「頭痛」は改善したというお声を多く頂いております。

ミュラー筋に手を加えるというリスクを冒さなくても、眼瞼下垂症の副次的な症状の改善は期待できます。

筋緊張の仕組みの図

したがって、 通常は上を見るときにしか収縮しない額や首、肩の筋肉が常に収縮した状態になってしまうため、緊張型の頭痛や肩こりが起こりやすくなります。

また、このミュラー筋が収縮するときは、緊張時に働く交感神経が活発になるため、目を開けている時間が長くなると、それだけ心身の緊張状態が続くため疲れやすく、不眠症を引き起こすこともあると言われております。

このように各筋肉が働くと、腱膜性眼瞼下垂の初期には眉の位置が上がる、額のシワが深くなる、二重の幅が広くなる、(白目の部分が多い)三白眼になる、眉の下がくぼむ、左右で目の大きさが違うなどの変化が表れます。

◼︎手術後の注意


腱膜性眼瞼下垂の治療は、挙筋腱膜を瞼板に再固定することで、まぶたを上げる力を取り戻すのを目的として行われますが、詳しい方法は、ブログ記事:眼瞼下垂症手術「挙筋腱膜前転法」でご確認ください。

なお、当院で、行っているオリジナル眼瞼下垂症手術法のTKD切開・ファシアリリース法の基本は、眼瞼挙筋前転法です。

 

そして、最近では、眼瞼挙筋腱膜前転法が難しいということもあり、最近では、手術手技が簡単な眉下切開法(まゆしたせっかいほう)をおこなうところが増えております。

この手術法は、眼瞼挙筋、ミュラー筋の調整を行わずに単純に皮膚のみを切除することで、施術を受ける患者にも、施術者にも、理解しやすく受け入れやすいと言えます。


参照:>>眉下切開術(アイリフト)については、こちらのブログ記事をお読みください。


「眉下切開術(まゆしたせっかいじゅつ)」の場合では、眉毛下から離れた傷跡は目立ってしまうので、眉毛の下側の産毛の部位で切開し、なお且つメスを入れる角度を眉毛と平行にすることで、眉毛の毛根をできるだけ温存できます。

最終的に傷跡直上に眉毛が生えてくるようにすることが大切だと言われております。

通常、5~15mmの幅でたるみの程度に応じて紡錘形(ぼうすいけい)に切除します。

皮膚切除の際に、厚い皮下脂肪や眼輪筋を切除することになります。

手術後には、眉毛の位置は下がり、目と眉毛の距離は縮まります。

そのため目と眉毛のバランスを一番いいところにしたいため、眉毛下皮膚切除術の際に、前頭骨(額の骨)の骨膜に、眼輪筋を縫合・固定して眉毛の下降を防ぐ眉毛固定術を行うことがあります。

麻酔は局部麻酔で、手術は、一般的なクリニックでは、約40分~1時間。抜糸は通常術後7日目〜14日目に行います。

上眼瞼除皺術と比較して、術後の腫れが非常に少ないことがメリットです。また抜糸後は眉毛の下の傷跡をアイブロウで隠せます。

額の筋肉を使ってまぶたを上げれば、視界の制限にも対処できる程度の軽傷の場合は特に治療の必要はありません。

ただ、額の筋肉を上げて目を大きく開こうとするとき、後頭部から頭の上を通って眉毛にまで至る後頭前頭筋(こうとうぜんとうきん)が収縮します。

こうした状況が持続し、緊張して凝ったようになると血流の悪化に結びついて、頭痛や肩こりの原因ともなります。

こうしたメカニズムは、ブログ記事:なぜ肩こりや頭痛になるの? をご参照ください。

 一方で老人性眼瞼下垂が重症になるとまつ毛を内側に押し込んで、いわゆる「逆さまつ毛」になり眼球を傷つけるケースも生じます。

もちろん、視野が制限されて生活に支障をきたす場合は治療が必要です。

老人性眼瞼下垂の治療は、まぶたに関わる筋肉への処置は行わず、たるんだ皮膚だけを切除することで視野が確保できる場合もありますが、一般的には、眼瞼挙筋前転法を併用することが多いです。

当院では、皮膚切除術だけの眼瞼下垂症手術を選択することはありません。

高田眼科として、眼瞼下垂症による体のコリの原因と考えられている眼瞼ファシアを剥がすオリジナル眼瞼下垂症手術を行っております。

執筆した医師

高田眼科 院長 |ひとみ眼科 眼瞼手術担当医師
高田 尚忠(たかだ なおただ)
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕 先生を師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、年間1000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。

執筆した医師
高田 尚忠

高田眼科 院長
ひとみ眼科 眼瞼手術顧問

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