診断の話

偽眼瞼下垂の症状「斜視」

2020.3.31 記事内容を修正更新しました。


「斜視(しゃし)」とは、片方の目が正しく正面に向いているのに、もう片方の目が別の方向に向いている状態をいいます。

斜視にはこのほか、片方の目が内側を向く「内斜視(ないしゃし)」、外側を向く「外斜視(そとしゃし)」、上側を向く「上斜視(じょうしゃし)」があります。

斜視は、「外眼筋(がいがんきん/上斜筋・下斜筋・上直筋・下直筋・内直筋・外直筋)」の麻痺が原因になる「麻痺(まひ)性斜視」と、外眼筋麻痺以外の原因による「共同性斜視」とに分かれます。

 

外眼筋とは、私たちが物を目で追う際に眼球を動かす筋肉です。

 

外眼筋麻痺は、見る方向によって斜視の程度が変化しますが、共同性斜視は、見る方向によって斜視の程度が変化せず一定という点で大きく異なります。

 

ただ、一般的に斜視という場合は共同性斜視を指し、麻痺性斜視は「眼筋麻痺」とも呼ばれます。

「眼瞼下垂(がんけんかすい)」に似た症状が出るため「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」に属する斜視は、麻痺性斜視に属します。

麻痺性斜視の麻痺の原因としては、外眼筋そのものの障害、あるいは脳腫瘍などの疾患ができることで外眼筋を動かす指令を出す神経が圧迫されたり、糖尿病などによる脳の血管の障害を通して末梢神経の麻痺が生じるケースなど実にさまざまです。

 

疾患によるものばかりでなく、脳に損傷が起きた場合も麻痺につながります。

 

また、斜視は、眼球運動と密接な関係があり、その症状である複視(ものが二重に見える症状)が診断の手がかりとなります。

 

眼球運動には ひき運動(単眼での運動)とむき運動(両眼での運動)に分けられますが、どちらかまたは両方に障害がある場合に眼球運動障害と呼びます。

 

多くは複視と斜視を伴いますが、眼球運動があったとしても必ずしも複視が生じるわけではなく、正面を向いた状態(正面視)では斜視がハッキリしない場合もあります。

外眼筋は、眼球を外転させる外直筋を支配する外転神経、上斜筋を支配する運動神経である滑車(かっしゃ)神経、この2つの筋肉以外の外眼筋の大部分を支配する動眼神経によってバランスをとりながらコントロールされています。

 

そして、それぞれの神経核は脳と脊髄をつなぐ脳幹の中枢に支配され、その中枢はさらに 大脳前頭野の運動領に支配されるメカニズムになっています。

この神経核とは、中枢神経系(全身に指令を送る神経系の働きの中心となる部分で脳と脊髄からなる)のなかにある灰白質(かいはくしつ/ニューロン=神経細胞の細胞体が集まる場所)で、神経系の分岐点や中継点となっている神経細胞群を指します。

 

このように外眼筋に関わる神経系統は複雑に張り巡らされていて、そのどの部分が障害を受けても筋肉が働かなくなって斜視の原因となります。

 

代表的なものでいれば、動眼神経に問題が起これば、つまり、動眼神経麻痺になると、眼瞼挙筋 と 外眼筋(上直筋、内直筋、下直筋、下斜筋)をコントロールが出来なくなるので、眼瞼下垂症と共に、斜視が出現いたします。

 

Horner症候群なら、交感神経の障害になります。ミュラー筋は交感神経によりコントロールされているので、障害を受けると、ミュラー筋の麻痺となり、軽度の眼瞼下垂症となります。

 

そのほかで言えば、重症筋無力症、筋緊張性ジストロフィーなどがあります。

 

以上のように、斜視と共に眼瞼下垂症を生じる病態は非常に多岐に渡り神経疾患、神経筋接合部疾患、筋疾患など原因は様々です。

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