眼瞼下垂手術における左右差を減らすためのTKDアジャスタブル瞼板縫合固定について。

眼瞼挙筋前転法における腱膜の「瞼板固定」がなぜ重要なのか
— 当院が TKD Adjustable suture(調整縫合)を重視する理由 —
眼瞼下垂症手術、とくに眼瞼挙筋前転法において、手術結果を大きく左右する最重要ポイントの一つが眼瞼挙筋腱膜を、どのように瞼板へ固定するかです。
実はこの「固定」の質こそが、
- 術後のまぶたの安定性
- 左右差の出にくさ
- 再発のしにくさ
- 術中での微調整の可否
といった、患者さんが最も気にされる結果に直結します。
アジャスタブル瞼板固定法とは
「フィードバックさせながら、試行を繰り返す」からこそ、より正確に合わせられる眼瞼下垂手術です
眼瞼下垂症手術では、
「どの位置で、どの強さでまぶたを支えるか」
が仕上がりを大きく左右します。
当院で行っているアジャスタブル瞼板固定法は、一言で言えば、
仮固定を繰り返しながら、ちょうど良い強さに“近づけていく”方法です。
一般的な手術では、
術者が「ここだ」と判断した位置で、一気に固定してしまい、あとは、上がり具合は運任せなことも少なくありません。
しかし、まぶたの開きは非常に繊細で、ほんのわずかな差によって、
- 開きすぎてしまう
- 思ったほど開かない
- 左右差が目立つ
といった結果につながることがあります。
アジャストさせることの意味
TKDアジャスタブル瞼板固定法では、最初から強く固定することはしません。
まずは、
- まぶたを支える土台となる部分に糸をかけ
- 実際に目を開けた状態を確認しながら
- いったん「仮」の状態で止めます
その時点で、
- 開きすぎていないか
- もう少し開かせた方がよいか
- 形や左右差に違和感がないか
を丁寧に確認します。
開きすぎた場合・足りない場合はどうするのか
もし、
- 少し開きすぎていると感じた場合
- もう一段階だけ開きを足したい場合
でも、いきなりやり直すことはしません。
現時点の仮固定をベースに、ごくわずかに支え方を調整し、
もう一度、目を開けた状態を確認します。
この工程を、
納得できるところまで何度も再調整を繰り返す(アジャストさせる)のが、この手術の特徴です。
たとえるなら、
眼鏡のフレームを少しずつ調整しながら、かけ心地が一番良い位置を探していく
ようなイメージです。
一気に決めてしまうのではなく、
微調整を重ねて最適解に近づけていく。
それがアジャスタブル瞼板固定法の本質です。
なぜ「微調整」がそこまで重要なのか
まぶたは、
- 皮膚や組織の厚み
- 眼瞼挙筋やミュラー筋の状態
- 左右差
が人によって大きく異なります。
そのため、
「この位置なら誰でもうまくいく」
という万能な正解は存在しません。
アジャスタブル瞼板固定法では、
- その方のまぶたの反応を見ながら
- 実際の開き方を確認し
- 最も自然で無理のない状態に合わせていく
ことが可能になります。
強く引き上げないことも、仕上がりには重要です
「しっかり開けたい」というお気持ちは、
多くの患者さんが持たれます。
しかし、必要以上に強く固定してしまうと、
- 不自然な引きつれ
- いわゆる「三角目」「テント状」の形
- 術後の違和感や疲れやすさ
につながることがあります。
当院では、
強く引き上げるのではなく、ちょうど良いところで“支える”
という考え方を大切にしています。
「アジャスタブル=不安定」ではありません
「調整できる」と聞くと、
「しっかり固定されていないのでは?」
と不安に思われる方もいらっしゃいます。
しかし実際には、
- 調整を重ね
- 最も安定する位置を見極めたうえで
- 最終的にしっかり固定
する流れになります。
むしろ、
最初から決め打ちで固定するよりも、安定性が高い
と考えています。
腱膜の瞼板固定 ―「固定点の数」ではなく「設計」が結果を左右します
眼瞼下垂症手術、とくに眼瞼挙筋前転法では、眼瞼挙筋腱膜をどのように瞼板へ固定するかが、術後の仕上がりや安定性を大きく左右します。
次に、何ヶ所で固定するのかが問題となりますが、一般的には、眼瞼挙筋前転法などにおいて、複数点(多くは3点)で固定する方法を選択する医師が多いと考えます。
複数点固定は一見すると安定性が高そうに見えますが、実際には、いくつかの難しさや注意点があります。
複数点固定(3点固定)に潜む課題
3点固定を理想的に行うためには、
- 3点すべてを均等なテンションで
- 左右差なく
- まぶたの形を崩さず
縫合する必要があります。
これは言葉で書くほど簡単ではなく、
非常に高い技術的完成度が求められます。
また、固定点が増えることで、
- 糸による術後の違和感
- まぶたの裏側で糸が露出するリスク
- 術後に角膜刺激症状が強く出てしまう
といった問題が生じることもあります。
特に、保険診療で求められる
「安全性」「再現性」「負担の少なさ」を考えると、
必ずしも万能な方法とは言い切れません。
当院が保険診療であえて「1点固定」を選ぶ理由
当院では、
TKDアジャスタブル瞼板固定法を用い、
保険診療においてはあえて1点固定を基本としています。
これは決して
「簡略化」や「妥協」ではありません。
むしろ、
当院が大切にしている
「引き算の手術」という考え方の要となる部分です。
1点固定に対する一般的な不安について
1点固定と聞くと、
- 吊ったような不自然な形になるのではないか
- いわゆる「三角目」「テント」と呼ばれる状態になるのではないか
- 外れやすく、再発しやすいのではないか
といった不安を持たれる方もいらっしゃいます。
これらは、
理論的にはもっともな懸念だと思います。
しかし重要なのは、
「何点で固定するか」ではなく、
どの状態で、どのような強さで固定するか
という手術中の調整です。
安定性を支えているのは「前処理」と「調整」
当院では、
オリジナルのファシアリリースを行い、
眼瞼挙筋腱膜を十分に露出・可動化したうえで、TKDアジャスタブル瞼板固定法を用い、
- 開瞼幅
- まぶたの形
- 左右差
を細かく確認・調整しながら固定を行います。
この工程を丁寧に積み重ねることで、
1点固定であっても、
- 不自然な引き攣れを起こしにくく
- しっかりと安定した
- 長期的にも満足度の高い
手術成績につながっていると考えています。

腱膜固定の強度は、手術直後は確かに固定された糸による強度に依存しますが、時間が経ち、創傷の治癒が進むにつれて、糸周囲の組織は癒着し、より強く固定されます。
したがって、1点留めの腱膜固定は、2点留めの瞼板固定よりは弱いのは確かですが、単純に、半分の強度しかならないというわけにはなりません。
固定点を増やす選択肢について
もちろん、
固定点を2点以上にすることで、
- より長期的な再発防止
- テントを起こしにくい形状設計
- 開瞼幅をしっかり確保しながらの形態調整
を行うことも可能です。
ただしこの場合、
- 組織への操作量
- 判断すべき要素
- 術者に求められる技術水準
はいずれも大きく上がります。
そのため当院では、
より高度な設計を必要とする複数点固定は、自費診療の手術メニューとして位置づけています。
「難点で固定するのか?」ではなく「完成形」を見据えた手術へ
眼瞼下垂症手術の本質は、
- 何点で縫ったか
- どんな方法を使ったか
ではありません。
最終的に、自然で、安定したまぶたの動きが得られるか
そこに尽きると考えています。
当院では、
患者さん一人ひとりのまぶたの状態に合わせ、
必要最小限の操作で最大限の安定性を得ることを目指しています。
これが、
当院が考える
「引き算の眼瞼下垂症手術」です。
「縫い方」よりも重要なこと
当院が重視しているのは、
- 何針縫うか
- どこから針を入れるか
といった手技そのものではなく、
- その方のまぶたの厚み
- 腱膜の状態
- 瞼板との関係
- 左右差の原因
を総合的に評価したうえで、
「どの程度の支え方が最も自然で、長期的に安定するか」
を判断することです。
この判断は、
文章や図だけで再現できるものではなく、
多くの症例経験の積み重ねによって磨かれるものです。
長期的な結果を見据えた手術のために
眼瞼下垂症手術は、
「その日の仕上がり」だけを見る手術ではありません。
- 数か月後
- 数年後
に、
自然で、違和感が少なく、再発しにくい状態を保てることが
本当に大切だと考えています。
そのため当院では、
- 必要以上に強く固定しない
- 無理な操作を加えない
- 調整の余地を残す
という“引き算の設計”を重視しています。
最後に
眼瞼挙筋前転法における
腱膜の瞼板固定は、
単なる「縫う作業」ではありません。
それは、
まぶたの動きをどう設計するか?
目に開き方の左右差をどう調整するか?
二重の食い込みをどうデザインするか?
という、非常に繊細で奥深い工程です。
したがって、この眼瞼挙筋前転法において、手術の成功を決める一番大事な要素としては、眼瞼挙筋腱膜の固定する位置と前転させる量、固定する糸のテンションの掛け方です。
学問的には、何mm前転したのか?等を論文に書くようにして、客観性を持たせるようにしているのですが、実際には、数字通りには上がりません。
手の握力に左右差があるように、眼瞼挙筋にも筋力の左右差がありますので、物差しで測って、左右同じ量だけ前転させたからといって、同じようには開きにはなりません。
したがって、実際の手術においては、左右差が同じになるように、実際に引っ張ってみながら、眼瞼挙筋腱膜を細かく調整しながら、何度も固定することになります。
さらに、眼瞼下垂症手術において、少なからずヘリングの法則が働きますので、最初、片目の方が上手に上がったとしても、反対側の瞼の方を上げると、最初の方が下がってしまい、上手くいきません。
結果として、最初に固定した方の眼瞼挙筋腱膜の瞼板固定の微調整が必要となります。
手術の結果をよくする最大のコツは、スピードだと考える当院としては、出来るだけ効率良く、かつ、再現性が高くなるような眼瞼挙筋腱膜の瞼板への固定方法について
色々と試行錯誤を繰り返した結果、今のTKDアジャスタブル瞼板縫合固定に行きつきました。
加えて、眼瞼下垂症手術の失敗率を下げるためには、スピードが非常に大事だと、以前にブログでも書いたことがあるのですが、その考え方には変わりありません。
いかに、スピーディーに丁寧に正確に手術を進めた上で、術中のデザインを確定させることが肝となるわけです。
腫れていない状態で、しっかりとデザインを決めることができれば、その術中確認のデザインが術後のデザインの目安となるからです。
術中のデザイン確認がキチンと出来ないような眼瞼下垂症手術は、当然、結果も不安定で、結果として成功率が低いと言えるのかもしれません。
繰り返しとなりますが、当院の眼瞼下垂症手術で、一番重要な手術のパートは腱膜の固定となります。
この大事なパートである挙筋腱膜の固定に対して、当院が考えたのがTKDアジャスタブル瞼板縫合というわけです。
この縫合方法を行うことで、手術時間の短縮、仕上がりの完成度の高さに繋がってきます。
当院の眼瞼下垂症手術の結果が安定しており、そして、ナチュラルだと言われるのは、このアジャスタブル縫合のお陰だと考えております。
話が変わりますが、とある学会で、眼瞼下垂手術において、ミュラー筋タッキング(前転)を推奨するような発表されておりました。
それは、眼瞼挙筋腱膜のタッキング(前転)だと、術後ドライアイが出やすいから・・・と説明されていたと思いますが・・・・
眼瞼下垂症手術後のドライアイ、つまり、術後ドライアイについては、当院での眼瞼下垂手術後においては、概ね3ヶ月程度で改善すると説明させて頂いております。
当院の術後ドライアイが、比較的軽度で済むのは、アジャスタブル縫合の固定の仕方が瞼板の変形を最小限に抑えることが出来るから・・・だと考えております。
したがって、術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)のリスクを考えると、ミュラー筋に操作を加えるのはリスクだと考えている当院は、アジャスタブル縫合での眼瞼挙筋前転法をお薦めする理由だとも言えます。
ちなみに、ミュラー筋タッキングのデメリットは、
- 再手術が難しくなる
- 再発が10%程度もあること
- 術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の発症リスク
- 見た目の不自然さ(カッと見開いたような怖い目付き)
などがあると考えております。
そういったことからも、挙筋腱膜前転法は、
- そもそもが生理的に、眼瞼挙筋を使って開く目の方が自然である
- 術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)の発症リスクがない
- 再手術が容易である
などを考えると、メリットが大きいと当院は考えているわけです。
当院では、
これまでの多数の手術経験をもとに、
安全性と長期安定性を最優先にした手術を行っています。
眼瞼下垂症手術をご検討の方は、
ぜひ一度ご相談ください。
目に関する悩みで困ったら、まずは専門医に相談してみてください。
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