リジュセアミニ点眼液とは?子どもの近視進行を抑える新治療を眼科医が解説

浜松・高田眼科で行う小児近視進行抑制治療のイメージ。低濃度アトロピン点眼薬リジュセア ミニ点眼液0.025%(参天製薬)のパッケージと、メガネをかけて笑顔の日本人小児3人
髙田 尚忠

「学校健診で再検査と言われた」「メガネを作ったばかりなのに、もう度数が進んでいる」——お子さんの近視の進行に、不安を感じていらっしゃる保護者の方は多いのではないでしょうか。

2024年12月、日本で初めて「近視の進行抑制」を効能・効果として承認された点眼薬「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」が登場しました。さらに2026年6月からは 「選定療養」 という新しい仕組みのもとで、診察・検査が保険適用となる見込みです。

このページでは、浜松市の高田眼科 院長が、リジュセアミニの効果・副作用・費用・受診の流れを、ご家族に納得していただけるよう、できる限りわかりやすく解説します。

リジュセアミニ点眼液とは?

リジュセアミニ点眼液0.025%は、参天製薬から発売されている、低濃度アトロピンを有効成分とする点眼薬です。「アトロピン」と聞くと馴染みがないかもしれませんが、眼科では昔から散瞳薬として広く使われてきた成分で、それを「近視の進行を抑える」ためにごく低い濃度(0.025%)に調整したのがリジュセアミニです。

2024年12月27日、日本国内で「近視の進行抑制」を効能・効果として正式に薬事承認された、初めての医薬品です※1

ポイント
リジュセアミニは「近視を治す」薬ではありません。あくまで、子どもの近視が進んでいくスピードをゆるやかにするための治療薬です。効果には個人差があり、すべてのお子さんに同じ効果が出るわけではありません。

どうして近視の進行を抑えられるの?

子どもの近視は、眼球の前後の長さ(眼軸長)が伸びすぎることで進行します。低濃度アトロピンには、この眼軸長の伸びをゆるやかにする作用があると考えられています(作用機序の詳細は研究段階です)。

2026年6月から「選定療養」に|何が変わる?

これまで日本では、低濃度アトロピン点眼治療は 完全な自由診療(自費) として行われてきました。検査も投薬もすべて自費で、ご家族の経済的負担が大きいことが課題でした。

しかし、2026年1月の中央社会保険医療協議会(中医協)で、リジュセアミニを「選定療養」の対象とする方針が了承され、2026年6月から運用開始される見込みとなりました※2,3

選定療養って何?

選定療養とは、保険診療と保険外診療(自費)を 例外的に併用してよい と国が認めた仕組みです。これにより、リジュセアミニ治療は次のように整理されます。
項目2026年6月以降の取り扱い
診察料保険適用
屈折検査・視力検査などの各種検査保険適用
リジュセアミニ点眼液(薬剤本体)自己負担(選定療養部分)

つまり、薬代だけが自費で、診察や検査は通常の保険診療として受けられるようになります。これによって、ご家族の経済的負担はこれまでより大きく軽減されることが見込まれます。

高田眼科での治療費の目安(2026年6月以降)

高田眼科では、2026年6月の選定療養化開始に合わせて、リジュセアミニ点眼治療の取り扱いを開始する予定です。浜松市の 「こども医療費助成制度」 を併用される場合、ご家族の窓口負担は次のようになります。

項目窓口負担の目安
初診時の診察・検査500円
(こども医療費助成適用時)
3ヶ月ごとの定期再診・検査500円
(こども医療費助成適用時)
リジュセアミニ点眼液(1箱=1ヶ月分)4,000円
(選定療養・自己負担)
月額の目安約4,000円〜
ご注意
記載の金額は2026年6月時点の想定額であり、診療報酬改定や運用変更により変更となる可能性があります。最新の金額は当院までお問い合わせください。また、こども医療費助成の自己負担額は浜松市の制度に基づいた金額であり、お住まいの自治体によって異なる場合があります。

こんなお子さんが対象になります

日本眼科学会の「低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の手引き」※4では、以下のような条件のお子さんが治療対象となります。

  • 6歳〜15歳ごろのお子さん(高田眼科では6歳以上を目安としています)
  • 調節麻痺下の屈折検査で 近視(−0.5D以上) と診断されている
  • 近視の進行が比較的早く、ご家族が進行抑制を希望される
  • 緑内障や狭隅角など、眼圧上昇のリスクとなる眼疾患がない
  • リジュセアミニの成分に対するアレルギーがない
  • 定期通院(3〜6ヶ月ごと)と、長期継続(10代後半まで)が可能
注意:5歳未満のお子さんについて
リジュセアミニは5歳未満を対象とした臨床試験が行われておらず、屈折度数の正確な評価も難しい年齢のため、5歳未満への処方は慎重に検討する必要があるとされています※4

どれくらい効果があるの?|臨床試験のデータ

国内第Ⅱ/Ⅲ相試験の結果

5〜15歳の近視のお子さん299例を対象に、リジュセアミニ点眼液(0.025%)とプラセボ(偽薬)を比較した日本国内の臨床試験では、24ヶ月後に次のような結果が報告されています※5

評価項目プラセボとの差(24ヶ月後)意味
等価球面度数+0.622 D近視の進行が抑えられた
眼軸長−0.227 mm眼軸長の伸びが抑えられた

いずれも統計学的に有意差あり(p<0.0001)。36ヶ月後も同様の傾向が継続することが確認されています。

効果の経時イメージ図

経過月数 眼軸長(相対) 0 6 12 18 24(月) 無治療(想定) リジュセアミニ

※イメージ図です。実際の進行速度には大きな個人差があります。

海外の研究データ

低濃度アトロピンの近視進行抑制効果は、シンガポールのATOM2試験※6、香港のLAMP試験※7、米国のCHAMP試験※8など、世界各国で確認されています。LAMP試験では、0.05%・0.025%・0.01%の3濃度を比較し、0.025%濃度は効果と副作用のバランスが良好であることが報告されました。

効果には個人差があります
すべてのお子さんに同じ効果が現れるわけではなく、効果が乏しい「ノンレスポンダー」と呼ばれるお子さんが一定の割合で存在することも報告されています。だからこそ、当院では 定期検査による効果判定 を重視しています。

副作用と安全性について

国内の臨床試験では、リジュセアミニ群122例のうち19例(15.6%)に副作用が認められました※5,9。発現頻度の高い順に以下の通りです。

副作用発現頻度内容
羞明(しゅうめい)9.0%まぶしさを感じる
視力障害2.5%見え方が一時的に変わる
霧視(むし)1.6%かすんで見える
瞳孔障害1.6%瞳孔がやや大きくなる
頭痛1.6%
調節障害/眼瞼湿疹/グレア各0.8%
多くの副作用は「就寝前点眼」で対処されます
点眼直後は瞳孔がやや開くため、まぶしさや見えにくさが出ることがあります。リジュセアミニは 1日1回、就寝前に点眼 する設計のため、起床時にはこれらの影響はほぼ落ち着いています。点眼開始から数週間で自然に軽くなっていくお子さんが多い印象です。
禁忌(使えない方)
・本剤の成分に対しアレルギーの既往がある方
・緑内障、狭隅角、前房が浅いなど、眼圧上昇の素因がある方
(点眼後の散瞳により、急性の眼圧上昇発作を起こす危険性があるためです)※9

高田眼科での治療の流れ

  1. STEP 1|初診・カウンセリング(完全予約制)お子さんの近視の状況、これまでの経過、ご家族のご希望を丁寧にうかがいます。リジュセアミニ治療の効果・限界・副作用・費用について十分にご説明します。
  2. STEP 2|術前検査の徹底視力検査・自動屈折検査・調節麻痺下屈折検査(サイプレジン点眼)・細隙灯顕微鏡検査・眼圧・眼底検査などを行い、近視であることの正確な診断と、他の疾患の除外を行います。
  3. STEP 3|処方・点眼指導1日1回、就寝前に1滴を点眼していただきます。点眼方法を、お子さんと保護者の方の両方にお伝えします。
  4. STEP 4|1週間〜1ヶ月後の安全確認点眼を続けられているか、副作用が出ていないかを確認します。
  5. STEP 5|3ヶ月ごとの定期フォロー近視の進行状況を客観的に評価し、必要に応じて治療方針を見直します。

高田眼科がお伝えしたいこと

点眼薬だけでは不十分です

当院がもっとも大切にしているのは、「点眼薬だけでなく、生活習慣の改善もセットで」 という姿勢です。

近視進行抑制の3本柱
  1. リジュセアミニの正しい点眼(1日1回・就寝前・長期継続)
  2. 1日2時間以上の屋外活動(明るい光が眼軸の伸びを抑える可能性が報告されています)
  3. 近業時の正しい姿勢と距離(30cm以上、20分ごとに遠くを見る)

どれか1つだけでは不十分です。お子さんの一生の視力を守るには、ご家族の理解と協力が欠かせません。

「説明と検査」を妥協しません

近視進行抑制治療は、効果に個人差があり、長期間続ける必要のある治療です。だからこそ高田眼科では、

  • 調節麻痺下屈折検査による 正確な近視の診断
  • 3ヶ月ごとの 客観的な効果判定
  • 効果が乏しい場合の 代替治療のご提案
  • 保護者の方への 納得いただける説明

を、当院の方針として徹底しています。

高田眼科 院長
高田眼科 院長

岡山大学医学部卒業。横浜形成外科、岡山メディクス眼科院長などを経て、現在 高田眼科 院長。日本眼科学会/日本形成外科学会/日本眼形成再建外科学会 会員。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. リジュセアミニはいつから始めるのがよいですか?

【院長案・要赤入れ】 一般的には、近視が始まったばかりの早い段階(小学校低〜中学年)で治療を開始するほど、長期的な進行抑制効果が得られやすいと考えられています。学校健診で「再検査」を指摘されたタイミングや、ご家族が近視の進行に気づかれたタイミングで、一度ご相談いただくのがよいでしょう。当院では6歳以上を目安に処方しています。

Q2. どれくらいで効果が出ますか?

【院長案・要赤入れ】 効果判定は、点眼を始めて数ヶ月単位で見ていく必要があります。臨床試験では 24ヶ月後にプラセボ群との差 が明確に出ており、短期間(数週間〜数ヶ月)で「目に見えて視力が良くなる」治療ではありません。3〜6ヶ月ごとの定期検査で、屈折度数や眼軸長の伸びを比較しながら判断していきます。

Q3. 副作用は心配ありませんか?まぶしさは大丈夫?

【院長案・要赤入れ】 もっとも多い副作用は 羞明(まぶしさ)約9% ですが、リジュセアミニは1日1回・就寝前点眼のため、起床時にはほとんど影響が残らないお子さんが大半です。点眼を続けるうちに数週間で慣れていくことも多いです。屋外でまぶしさが気になる場合は、サングラスや帽子の活用をお伝えしています。

Q4. いつまで続ければよいですか?

【院長案・要赤入れ】 近視の進行は 10代後半まで 続くことが多く、日本眼科学会の手引きでも、進行が安定するまで継続することが望ましいとされています。海外の研究では、2年で中止すると進行が再加速する例も報告されており、当院では中止後も6ヶ月ごとの経過観察をおすすめしています。

Q5. オルソケラトロジーや累進レンズメガネと併用できますか?

【院長案・要赤入れ】 日本眼科学会の手引きでも、低濃度アトロピンとオルソケラトロジーやDIMS眼鏡などの併用報告が紹介されています。ただし、エビデンスはまだ限定的です。当院では、お子さんの近視の進行速度・生活スタイル・ご家族のご希望を踏まえて、個別に併用の可否をご相談いたします。

Q6. 保険適用になるって本当ですか?費用はどう変わりますか?

【院長案・要赤入れ】 厳密には「保険適用」ではなく 「選定療養」 という、保険診療と保険外診療を併用できる仕組みです。2026年6月から、診察料と検査費は保険適用薬剤費のみ自己負担となります。浜松市のこども医療費助成も併せて、当院では月額約4,000円が目安となります。

Q7. 効果がない子もいますか?

【院長案・要赤入れ】 残念ながら、リジュセアミニで十分な効果が得られない「ノンレスポンダー」と呼ばれるお子さんも一定の割合で存在します。当院では3ヶ月ごとの定期検査で効果判定を行い、効果が乏しい場合は、累進屈折力レンズ・オルソケラトロジー・生活習慣のさらなる見直しなど、代替・併用の選択肢をご提案しています。

Q8. MC(マイオピアコントロール)レンズや累進レンズメガネとの違いは?

【院長案・要赤入れ】 リジュセアミニは 「点眼薬による近視進行抑制」 で、MCレンズや累進屈折力レンズは 「光学的な近視進行抑制」 です。両者はアプローチが異なり、組み合わせて効果を高めようとする研究も進んでいます。それぞれの利点・欠点・費用を踏まえ、お子さんに合った方法を一緒に考えていきます。

当院の経験例

【症例例・要赤入れ/個人情報を含まない範囲で】

たとえば8歳の男児で、治療開始前は1年あたりの眼軸長進行が大きかったお子さんが、リジュセアミニ点眼を1年継続したところ、眼軸長進行が約0.15mmに抑制された例も経験しています。一方で、効果が小さく感じられるお子さんもおり、個人差は確実にあります。

※掲載は、ご本人・ご家族の同意を得た範囲・個人情報を伏せた形でのみ行っております。

お子さんの近視の進行が気になる方へ

高田眼科では完全予約制でリジュセアミニ点眼治療のご相談を承ります(2026年6月開始予定)。

予約・お問い合わせはこちら

参考資料・出典

  1. 厚生労働省「近視進行抑制薬の処方に係る検査」中医協総会資料(令和7年9月17日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001629049.pdf
  2. 中医協 2026年1月総会 近視進行抑制薬リジュセアの選定療養対象化 報道
    https://mf.jiho.jp/article/264974
  3. 大阪府眼科医会「低濃度アトロピンによる近視進行抑制治療に関する留意点」
    http://osaka-ganka.jp/wp-content/uploads/2025/04/9b5fac13dfbb0b7c096c1641b3b7e9f5.pdf
  4. 日本眼科学会「低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の手引き」日眼会誌2025;129:851-854
    https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/129-851.pdf
  5. 参天製薬 リジュセアミニ点眼液0.025% 医薬品インタビューフォーム
    https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00009949.pdf
  6. Chia A, et al. Five-Year Clinical Trial on Atropine for the Treatment of Myopia 2 (ATOM2). Ophthalmology. 2016;123(2):391-399.
    https://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(15)00675-2/fulltext
  7. Yam JC, et al. Low-Concentration Atropine for Myopia Progression (LAMP) Study. Ophthalmology. 2019;126(1):113-124.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30514630/
  8. Zadnik K, et al. CHAMP study: Safety and efficacy of low-dose atropine for myopia control in children.
    https://www.myopiaprofile.com/articles/atropine-safety-efficacy-CHAMP-study
  9. リジュセアミニ点眼液0.025% 電子添文(添付文書)
    https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071614.pdf

本記事は、近視進行抑制治療に関する一般的な解説を目的としており、特定の効果を保証するものではありません。治療には個人差があり、すべての方に効果があるわけではありません。実際の治療は、医師の診察・検査のうえで決定されます。記載金額は2026年時点の想定であり、変更となる可能性があります。

このブログの執筆者
髙田 尚忠
髙田 尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
岡山大学医学部卒業後、郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、現在は高田眼科の院長を務めつつ、関連クリニックの名古屋ののフラミンゴ眼瞼・美容クリニック、銀座のJ clinic、亀戸のあさ美皮フ科においても、眼瞼下垂手術を中心に多くの年間2000件以上の手術を行っています。「見え方(視機能)」と「日常の快適さ」を回復することを第一に、診察では原因(加齢・コンタクト・体質・既往手術など)を丁寧に整理し、必要な治療を分かりやすく説明すること心がけています。 このブログでは、眼瞼下垂の症状、治療選択、術後経過で不安になりやすいポイントなどを、専門医の立場からできるだけ具体的に発信しています。
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