眼瞼下垂の基礎知識

眼瞼下垂手術のこぼれ話(瞼の厚み)

Dr.髙田

2026年1月25日 修正・更新

ABOUT ME
高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

眼瞼下垂症手術における「瞼の厚み」という難しさ

― 当院の考え方のアップデートについて ―

日々、多くの患者様の眼瞼下垂症手術を担当させていただいておりますが、実際に診察・手術をしていると、まぶたの状態には非常に大きな個人差があることを実感します。

骨格、皮膚の厚み、脂肪量、筋肉の発達、左右差、生活習慣――
本当に「同じ目」はひとつとしてありません。

今回このテーマを取り上げたのは、
この個人差が、そのまま手術の難易度に直結するからです。


実は、瞼が分厚い人ほど、手術は難しくなります

一般にはあまり知られていませんが、
まぶたが分厚い方ほど、眼瞼下垂症手術は難易度が高くなります。

腫れぼったい印象が強いほど、実際の手術操作は繊細になり、調整も難しくなります。

「瞼が分厚い」というのは、単に皮膚が厚いという意味ではありません。

具体的には、

・眼輪筋(目を閉じる筋肉)が分厚い
・中間脂肪(隔膜前脂肪:ROOF)が多い
・眼窩脂肪(眼球を衝撃から守るクッションのような脂肪)が多い

といった要素が複合している状態です。

つまり、まぶた全体が“重たい構造”になっているということです。


眼瞼下垂症の原因は「筋肉」だけではありません

一般に、眼瞼下垂症の原因としては、

・瞼を引き上げる筋肉(眼瞼挙筋・ミューラー筋)の問題
・皮膚のたるみ

が挙げられます。

しかし、実際の臨床では、
これらに加えて「まぶたの厚み」そのものが、開きを妨げているケースが少なくありません。

ここで、少し例え話をします。

最近のアスリートは、「必要な筋肉を、必要な分だけ鍛える」ことを非常に重視します。
なぜなら、余計な筋肉や脂肪は、動きを妨げるからです。

まぶたも同じです。

重たい構造のままでは、
どれだけ筋肉を引き上げても、動きは鈍くなります。


以前の当院の考え方:厚みは「減らすべきもの」

こうした考えから、私は以前、

・筋肉の引き上げ
・皮膚の切除
・眼輪筋の調整
・ROOFの除去
・眼窩脂肪の処理

といった、いわば**“彫刻のような手術”**を行っていました。

瞼の厚みを減らし、軽くすることで、
より開きやすく、すっきりした目元になる。

この発想自体は、医学的にも間違いではありません。

しかし――


ここで、考え方が大きく変わりました

このようなアプローチは、確かに「見た目」を大きく変えることができます。

しかし同時に、

・出血リスク
・腫れの長期化
・左右差
・瘢痕
・感覚異常
・乾燥
・予測不能な変化

といったリスクも確実に増えるという事実があります。

そして何より、

これらの操作は、すべて“美容的要素”が強い

という点に、私は強く向き合うようになりました。


現在の当院の方針:保険診療は「引き算の手術」

現在、当院では、

瞼の厚みを積極的に改善する操作は、完全に美容手術の領域

と位置づけています。

そのため、

・ROOF切除
・眼窩脂肪切除
・積極的な皮膚切除

これらは、保険診療では原則として行いません。


なぜなら、保険診療の本質は「機能回復」だからです

保険診療で行われる眼瞼下垂手術の第一の目的は、

まぶたの開きを改善し、視野や眼精疲労などの視機能障害を回復させること

です。

これは単なる見た目の問題ではなく、
日常生活の質に直結する、医学的に重要な治療です。

当院では、この「機能回復」という本来の目的を最も重視しています。


「審美的配慮」とは何か

ここで誤解されがちなのが、「審美的配慮」という言葉です。

当院が考える保険診療における審美的配慮とは、

・大きく変えることではなく
・余計な変化を加えないこと
・仕上がりのばらつきを最小限にすること

です。

つまり、

“変えすぎないこと”こそが、最も自然な仕上がりにつながる

という考え方です。


変化を大きくすれば、リスクも必ず増えます

美容手術では、より大きな変化を求めるほど、

・切開
・切除
・縫合
・剥離
・注入

といった人為的操作が増えていきます。

当然、それに比例して、

不自然さ・合併症・左右差・後戻り・修正リスクも増えていきます。


だからこそ、保険診療は「引き算」が最適解です

保険診療の眼瞼下垂手術は、

・見た目を大きく変えるための治療ではありません
・理想の二重を作るための治療でもありません

**「機能を回復させるための医学的治療」**です。

だからこそ当院では、

・必要なことだけを
・必要な分だけ
・正確に行う

という引き算の手術を徹底しています。


保険診療は「簡易版」でも「劣化版」でもありません

一部の美容外科や形成外科では、

「保険の下垂手術は仕上がりが悪い」
「不自然になる」
「汚くなる」

といった表現で不安を煽り、高額な自由診療に誘導するケースもあります。

しかし、少なくとも当院を含む多くの専門クリニックでは、
そのような考え方は採っていません。

専門性の高い医師が、適切な診断と手術を行えば、
保険診療でも、十分に自然で違和感の少ない仕上がりは可能です。


まとめ

かつて私は、

「まぶたの厚みは、できるだけ減らすべきもの」

と考えていました。

しかし現在は、

それは美容領域の発想であり、保険診療の本質とは異なる

と考えています。

保険診療の眼瞼下垂手術とは、

・医学的に本質的な問題に集中し
・余計な操作を排除し
・リスクを最小限に抑え
・安定した結果を得る

極めて合理的で、洗練された治療です。

「大きく変える」ことが、必ずしも「良い治療」ではありません。

必要なことだけを、必要な分だけ行う。

それこそが、
保険診療としての眼瞼下垂手術の価値であり、
本当の意味での“審美的配慮”であると、私は考えています。

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- 【眼瞼下垂】延べ2万眼瞼以上の手術経験 -
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