マツエク・まつ毛パーマは眼瞼下垂になる?
マツエクやまつ毛パーマは、目元の印象を華やかにできるほか、メイクの時短にもつながる人気の美容施術です。
しかし、マツエク・まつ毛パーマが眼瞼下垂の原因となる場合もあるため注意しなければなりません。
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がってきて、目を開きづらくなる状態です。
進行すると視界が悪くなったり、肩こりや頭痛を引き起こしたりと、日常生活に支障が出るおそれがあります。
本記事では、マツエクやまつ毛パーマと眼瞼下垂の関係や、まぶたに与える影響について詳しく解説していきます。
マツエクやまつ毛パーマは眼瞼下垂の原因となるか?
マツエクやまつ毛パーマによって、まぶたに負担がかかると、眼瞼下垂の原因となるおそれがあります。
マツエク
マツエク(まつ毛エクステ)とは、自分のまつ毛1本1本に専用のグルーで人工まつげをつけていくものです。
マツエクをつけると、自まつげに余計な重みが加わります。
まぶたを上げる筋肉である眼瞼挙筋は、まぶたと同時にまつげも引き上げているため、重みが増した状態で目を開ければ、その分眼瞼挙筋に負担がかかります。
必要以上の負担が継続的にかかると、眼瞼挙筋が弱ってしまい、まぶたをうまく引き上げられなくなって眼瞼下垂につながる危険性があります。
マツエク自体はとても軽く、つけているぶんにはほとんど重みを感じないかもしれませんが、薄くてデリケートな眼瞼挙筋にとっては、少しの重みでも大きな負荷です。
まつ毛パーマ
まつ毛パーマとは、専用の薬液を使用してまつ毛にパーマをかけ、カールさせる技術です。
自分のまつ毛をカールさせるため、マツエクのように余計な重みがかかる心配はありません。
一方で、まつ毛パーマの刺激により、まぶたがかぶれたり腫れたりする被害が報告されている※ため注意が必要です。
※まつ毛パーマについて(主な危害例)|渋谷区役所ホームページ
使用する薬液が原因で、アレルギー症状を起こすケースもあります。
こうしたトラブルが生じると、まぶたにダメージがおよび、眼瞼下垂を引き起こす原因となります。
また、施術後に問題がない場合でも、眼瞼下垂のリスクを減らすためには、短い間隔でのまつ毛パーマは避けたほうがよいでしょう。
短期間に何度も施術を受けると、まぶたやまつ毛に負担がかかってしまいます。
眼瞼下垂を改善・軽減させると謳う「まつ毛パーマ」の安全性
まつ毛パーマによって、眼瞼下垂の症状が改善・軽減するといわれているまつ毛パーマの特許技術があります。
多くのサロンで「アイリッドアップパーマ」の名称で提供されている施術です。
まつ毛パーマでは眼瞼下垂の根本的な改善はできない
アイリッドアップパーマは、まつげを根元から立ち上げてカールさせるのが特徴。
まぶたごと持ち上げる効果が期待できるため、眼瞼下垂の症状である目の開けにくさや視界の狭さを改善できると謳われています。
確かに、根元からまつ毛が上がれば、まぶたの開きが良くなり、視界が広くなる可能性はあります。
しかし、まつ毛パーマでは眼瞼下垂の根本的な改善はできません。
まぶたを無理やり上げているだけで、眼瞼挙筋の機能を回復させる効果はないためです。
眼瞼下垂の治療は医療機関で受けましょう
そもそも、アイリッドアップパーマはライセンスを保持した技術者がおこなえる特許技術とはいえ、医療行為ではありません。
薬液の安全性が懸念されるほか、何度も施術を繰り返すと、ほかのまつ毛パーマと同様、まぶたに負担がかかるおそれがあります。
眼瞼下垂を治療するには、医療機関で症状に合った手術を受けましょう。
マツエク・まつ毛パーマをしていても眼瞼下垂手術はできる?
マツエク・まつ毛パーマをしている状態で眼瞼下垂手術を受けるのは、多くのクリニックでは推奨されていません。
手術を検討する際は、担当医に確認しましょう。
マツエク
ほとんどのクリニックでは、眼瞼下垂手術を受ける際はマツエクをすべてはずす必要があります。
マツエクをしたまま眼瞼下垂手術を受けると、ダウンタイムが長引いたり、仕上がりに影響したりする場合があるためです。
エクステの接着部分には小さなゴミが付着しているケースが多く、手術で切開した部分の傷口が不衛生な状態となります。
傷口に細菌が入り、感染症を起こせば、術後の腫れが悪化しかねません。
また、眼瞼下垂手術では、まつ毛の生えぎわに近い部分を切開します。
そのため、マツエクがついていると、施術の妨げになって理想的な仕上がりにならないおそれがあります。
まつ毛パーマ
まつ毛パーマは、マツエクのように不衛生となるリスクは少ないため、かかっていても眼瞼下垂手術を受けられるケースが多いでしょう。
ただし、根元からしっかりとパーマがかかっていたり、まぶたにまつ毛が触れるほどカールが強かったりすると、施術を妨げてしまうおそれがあります。
また、まつ毛パーマをしたばかりのタイミングは、薬液の使用によって、まぶたが刺激を受けやすい状態となっている可能性もあります。
問題なく手術を受けられる状態かどうか、必ずカウンセリングで確認しましょう。
術後のマツエク・まつ毛パーマは1か月後から
一般的な眼瞼下垂手術では、まぶたの皮膚を切開して開きにくさを改善します。
そのため、術後はある程度のダウンタイムが生じます。
個人差はありますが、強い腫れや内出血が2週間ほどは続くでしょう。
マツエクやまつ毛パーマができるのは、腫れや内出血がおさまってダウンタイムが明け、まぶたが安定したあとです。
最低でも術後1か月ほどは控える必要があります。
腫れや痛みが残っている状態でマツエクやまつ毛パーマをすると、グルー(接着剤)や薬液の成分が刺激となって皮膚がかぶれたり、傷口が感染したりする危険性があります。
眼瞼下垂手術後にマツエク・まつ毛パーマをしたい場合は、いつから可能かどうかをカウンセリング時や抜糸の際に担当医に相談してください。
マツエク・まつ毛パーマ以外の眼瞼下垂の原因
マツエクやまつ毛パーマのほかにも、眼瞼下垂の原因となる要素は多数あります。
眼瞼下垂は先天性と後天性のものに分けられ、主な原因は以下のとおりです。
- 眼瞼挙筋の発育不全
- 動眼神経の異常
- 加齢
- コンタクトレンズの長期装着
- マツエクやまつ毛パーマ、アイプチ
- 花粉症やアレルギー性皮膚炎
- パソコンやスマホの長時間使用
先天性眼瞼下垂とは、生まれつきまぶたを上げる力が弱い、または備わっておらず、目の開きが悪い状態です。
一方、後天性眼瞼下垂は、もともとは正常に機能していたまぶたが、徐々に、あるいは急に下がる状態を指します。
マツエクやまつ毛パーマが原因で生じるのは、後天性眼瞼下垂です。
まぶたに負担がかかる生活を続けていると、眼瞼下垂になるリスクが高まり、若いうちに発症してしまうケースもあるため注意しましょう。
まとめ
マツエクとまつ毛パーマを長期的に行っていると、まぶたへのダメージが蓄積して眼瞼下垂の原因となる場合があります。
眼瞼下垂のもっとも一般的な原因は加齢ですが、マツエクやまつ毛パーマのような目に負担がかかる習慣によっても発症するおそれがあることを覚えておきましょう。
「まぶたが重く感じる」「目を開けづらくなった」などの症状がある場合は、眼瞼下垂を悪化させないためにも、マツエクやまつ毛パーマは控えたほうが安心です。
また、症状が重く日常生活に支障をきたすようであれば、眼瞼下垂手術をご検討ください。
マツエク・まつ毛パーマと眼瞼下垂についてよくある質問
- マツエクやまつ毛パーマが眼瞼下垂を引き起こすことはありますか?
-
マツエクによる重みで眼瞼下垂や瞼が下がる現象があるとの報告があります。また、まつ毛エクステによってまぶたへのたるみが起こることがあり、これが眼瞼下垂やそれに伴う頭痛・肩こりを引き起こす可能性があると指摘されています。
- マツエクやまつ毛パーマの施術頻度は眼瞼下垂に影響しますか?
-
高頻度の施術はまぶたに余分な負担をかけ、眼瞼下垂の発症リスクを高める可能性があります。
- マツエクやまつ毛パーマをした後、眼瞼下垂を防ぐためにできることはありますか?
-
どうしてもマツエクやまつ毛パーマをされたい場合は、まつ毛エクステの重さには種類がありますので、自まつ毛に負担が少ない軽いものを選ぶようにしましょう。長すぎたり太すぎたりするエクステは、まぶたにかかる重さが増すため、自まつ毛に合った長さや太さが望ましいです。
また、取れかけのエクステが不自然な角度でまつ毛にかかると、余計な負担がかかるため、定期的にメンテナンスを受けてください。
- マツエクやまつ毛パーマを繰り返し行うことで、まぶたの老化は早まりますか?
-
繰り返しの施術がまぶたの皮膚を伸ばしたり、筋肉を弱めたりする可能性があります。特に、マツエクは自まつ毛に人工のまつげを付けることにより、まつ毛の重さが増し、その重さによってまぶたに負担をかけます。長期的には、まぶたのたるみに繋がる可能性があります。
ただし、まぶたの老化を進行させる要因は多岐にわたり、マツエクやまつ毛パーマだけが原因ではありません。生活習慣の乱れ、眼精疲労、ストレス、濃いメイクの頻度、紫外線への露出なども、目元の老化を進行させる要因として挙げられます。
参考文献
FINSTERER, Josef. Ptosis: causes, presentation, and management. Aesthetic plastic surgery, 2003, 27.3: 193-204.
NAGENDRAN, Sonali T., et al. Complications and adverse effects of periocular aesthetic treatments. Survey of Ophthalmology, 2022, 67.3: 741-757.
DAGI GLASS, Lora. Eyelid and Eyelash Malpositions. The Columbia Guide to Basic Elements of Eye Care: A Manual for Healthcare Professionals, 2019, 345-353.
CORONEO, Minas T.; ROSENBERG, Marni L.; CHEUNG, Leanne M. Ocular effects of cosmetic products and procedures. The ocular surface, 2006, 4.2: 94-102.