眼瞼下垂が肩こり・頭痛を引き起こす本当の理由 〜眼瞼下垂専門医が最新のメカニズムから治療まで徹底解説〜

眼瞼下垂は肩こりや頭痛の一因
肩こりや頭痛は、多かれ少なかれ誰しも抱える症状ですが、その程度がひどくなると、整形外科や整骨院、整体院などに通院される方もいらっしゃると思います。
ただ、そういった病院で、CTやMRIで検査を受けても原因が分からず、薬をもらっても治らないと悩まれていたり、整骨院の施術でもほとんど解消されない、という方も多いのではないでしょうか。
そんな場合、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」から肩こりや頭痛などの症状が生まれているケースも考えられます。
今回のブログは、このテーマでお話をしてみたいと思います。
1.眼瞼下垂とは? ― まず基本を押さえよう!
眼瞼下垂とは、上まぶたが正常な位置より著しく下がってしまう状態です。
加齢・コンタクトレンズの長期使用・筋肉の機能低下などが原因で発症し、視界の狭さだけでなく、目周囲の筋肉・頸部の筋肉への負担を生みます。
2.肩こり・頭痛が起こるメカニズム
① まぶたを開けるための代償運動
まぶたを持ち上げる主力筋は 眼瞼挙筋 ですが、眼瞼下垂ではこの筋力が低下しているため、目を開くときに おでこの筋肉(前頭筋) を過剰に使うようになります。
この不随意な補助運動が慢性的な筋緊張を生み、首・肩の筋肉とも連動して緊張が拡大していきます。
➡ 実際、慢性頭痛や肩こりが、まぶたを開けるための 前頭筋の過緊張 によって誘発されるという臨床報告もあります。
② 筋緊張性頭痛(Tension Headache)の誘因
慢性的に筋肉が緊張状態にあると、後頭部〜首〜肩にかけての血流が悪化し、慢性の 筋緊張性頭痛 を引き起こしやすくなります。
眼瞼下垂の患者では、まぶたを開くために無意識に眉を引き上げるクセが続き、その筋緊張が頭痛へ波及する可能性が示唆されています。
③ 肩や首への二次的負担
眼瞼下垂によって視野が狭くなると、自然と顎を引いた姿勢・首が前に出る姿勢になることが多く、これが首・肩・背中に持続的な負担をかけます。
この姿勢の変化は頸椎周囲筋に慢性ストレスを与え、肩こり・頭痛の悪循環を強める要因となります。
3.眼瞼下垂と頭痛・肩こりは必ずしもセットではない
眼瞼下垂は、あくまで ”肩こりや頭痛の原因の一つ”
重要なのは、すべての肩こり・頭痛が眼瞼下垂によるものではない ということです。
他の整形外科的・神経学的原因(例:頚椎症・緊張型頭痛・偏頭痛)との鑑別が必要です。
その診断には専門医による眼科・神経内科的評価が不可欠です。

一部で「頭痛・肩こりの原因はすべて眼瞼下垂」と解釈されかねない説明をされることもあり、誤解を受けやすいテーマでもあります。
当院においても、眼瞼下垂症手術の説明の際には、手術により頭痛・肩こりなどが必ず治るというような説明はしておりません。
過度な期待を持たせて、手術を無責任に勧めることを良しとしていないからです。
確かに、眼瞼下垂症手術を受けられた方の多くで、肩こり・頭痛が改善したということは、日常茶飯事なので・・・・、期待してくださいという言い方になります。
4.眼瞼下垂に伴いやすい身体症状一覧
眼瞼下垂は「まぶたが下がる」という見た目の問題だけでなく、全身の不調につながることがある疾患です。実際に、当院でも「目の相談で来院された患者さんが、実は慢性的な肩こりや頭痛にも悩んでいた」というケースは少なくありません。
以下は、眼瞼下垂に伴いやすい代表的な症状です。
● まぶたの下がり(開きにくさ)
最も分かりやすい変化が、上まぶたが下がり、目が開きにくくなることです。
「眠そうに見られる」「不機嫌そうに見える」「写真写りが悪い」といった見た目の悩みにつながることもあります。
また、無意識に目を見開こうとするため、目の周囲の筋肉が常に緊張状態になります。
● 視野狭窄(とくに上方視野)
眼瞼下垂が進行すると、黒目の上にまぶたがかぶさり、上方向の視界が狭くなる状態になります。
- 信号機が見えにくい
- 階段の段差が分かりにくい
- 上を見るときに首を反らす癖がある
といった症状がある方は、視野の狭窄が起きている可能性があります。
● 目の疲れ・眼精疲労
まぶたが自然に開かないため、患者さんは無意識のうちに
「頑張って目を開けよう」
とします。この状態が続くと、目の周囲の筋肉や神経が常に酷使され、眼精疲労・目の奥の痛み・重だるさにつながります。
● 眉を上げるクセ(前頭筋の過剰使用)
眼瞼下垂の方に特徴的なのが、
👉 眉毛を上げて目を開けようとするクセ
です。
これは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)がうまく働かないため、代わりに おでこの筋肉(前頭筋) を使って目を開けようとする代償運動です。
この状態が長期間続くと、
- 額の横ジワが増える
- 常に力が入っている感覚がある
- 頭が重い
といった症状が現れやすくなります。
● 肩こり・首こり
眉を上げるクセや、視界を確保しようとする姿勢の変化は、首・肩の筋肉にも影響を及ぼします。
眼瞼下垂の方は、
- 顎を引く
- 首を前に出す
- 上目遣いになる
といった姿勢になりやすく、これが慢性的な 肩こり・首こり の原因となることがあります。
「マッサージをしてもすぐ戻る肩こり」は、実は目の問題が関係していることも少なくありません。
● 緊張型頭痛
前頭筋、側頭部、首、肩の筋肉が慢性的に緊張すると、筋緊張型頭痛 を引き起こしやすくなります。
特徴としては:
- 頭全体が締め付けられるような痛み
- 夕方になると悪化
- 目を使うと強くなる
といった症状が多く、「目の開けづらさ」とセットで現れることもあります。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| まぶたの下がり | 日常で一番わかりやすい変化 |
| 視野狭窄 | 上方視野が狭くなる |
| 目の疲れ・眼精疲労 | 目を開ける際の負担増大 |
| 眉を上げるクセ | 前頭筋の常用 |
| 肩こり・首こり | 補助筋運動と姿勢変化 |
| 緊張型頭痛 | 筋緊張の持続 |
5.治療による改善の可能性
✅ 手術による根本改善
眼瞼下垂の治療として代表的なのは 眼瞼挙筋の前転・強化術(下垂修正手術) です。
術後には視界が改善するだけでなく、前頭筋の緊張が下がることで肩こり・頭痛の改善を実感する患者さんも多い と報告されています。
※ただし手術は万能ではなく、肩こり・頭痛が完全に消失する保証はありません。誇大な期待を避け、適切な医師の診察が大切です。
6.受診・診察のポイント
以下のような症状がある場合、専門医の診察をお勧めします:
- まぶたが大きく下がって目が重い感じがする
- 頭痛・肩こりが慢性化しやすい
- 視界の狭さを自覚する
- おでこのシワ・眉が上がるクセが顕著
ミュラー筋の緊張が原因だという学説??
肩こりや頭痛の一般的な原因は、頚椎(けいつい)や椎間板(ついかんばん)など骨格の状態悪化、あるいは血管の炎症など、さまざまな体のトラブルに起因しますが、眼瞼下垂と関係するだろうとみられる筋肉の痛みとの関係をみていきましょう。
この場合の肩こりは、首筋や背中の筋肉のこわばりから生まれますが、そうした筋肉のこわばりに眼瞼下垂が関連します。
ミュラー筋の過緊張により、肩こり・頭痛が引き起こされていると考える学説があります。
その説については、当院ブログ記事の「眼瞼下垂症を理解するために瞼(まぶた)の仕組みを知ろう。眼形成外科医が説明!!」にて、まぶたを開け閉めする筋肉について説明していますので、ぜひ、お読みになってみてください。

その学説では、先ず、眼瞼下垂になると、まぶたを上げる「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」を補佐している「ミュラー筋」が力を貸すようになると考えます。
すると、このミュラー筋を支配している交感神経(意思とは関係なしに働く自律神経の一つ)が常に緊張している状態になるため、首周辺の筋肉まで力が入ってしまって、肩こりにつながるという考え方です。
さらに、こうした筋肉の緊張が血流の悪化に結びついて発症する緊張性頭痛まで引き起こすと考えております。
朝から痛む場合もあれば、夕方に疲れるに従って痛むケースもありますが、頭痛の大半は、この緊張性頭痛といわれ、「肩こり頭痛」と考える先生もいらっしゃいます。
一般的に「頭全体が締め付けられるように痛む」と、その特長が表されます。
まぶたに関わる「ミュラー筋」という筋肉の過緊張が、眼瞼下垂によって引き起こされ、体全体に悪い影響を与えることもあるという学説もあります。
前頭筋の緊張が原因だと単純に考えた方がわかりやすい!!
当院では、眼瞼下垂症における随伴症状である肩こり・頭痛について、ミュラー筋の過緊張説は行き過ぎた誤解を産むとして、その正誤については言及しないようにしております。
当院では、ミュラー筋に全く手術操作を加えないような眼瞼挙筋前転法を行っておりますが、当院で手術を受けれた多くの方から、「肩こり・頭痛がなくなった」という声を頂きます。
もし、ミュラー筋が原因だとするのであれば、眼瞼挙筋前転法で肩こりなどが改善するのは、道理に合わない気がしてます。
むしろ、単純に、眼瞼下垂症になれば、前頭筋が補助するという眼瞼下垂症状の代償が働くことが原因だと考えるべきだと思います。
眼瞼下垂における代償とは、わかりやすく言えば、おでこの筋肉(前頭筋)を使って眉を引き上げることで、まぶたを開こうとする行為のことです。
さらに、前頭筋は、そのまま、僧帽筋などの頭部や首、肩の筋肉と繋がっており、前頭筋の緊張状態が、そのまま、頭部や首、肩の筋肉の緊張を引き起こし、ひいては、慢性の肩こり、頭痛を悩まされることになるという考え方です。
この説明の方が、単純でわかりやすいと思います。
眼瞼下垂症手術を行うと、眉が下がります。つまり、前頭筋の緊張が取れます。
術前、オデコのシワが強い症例、眉の引き上げが強い症例ほど、術後の肩こり、頭痛の改善の度合いが強いイメージです。
最初に述べたように、過度な期待を持って、眼瞼下垂症手術を受けられるのは、よくないとは思いますが、本当に肩こりや頭痛で悩まされていて、何とかしたいという気持ちが強いのであれば、眼瞼下垂症手術を前向きに検討されてもよいと思います。
まとめ:眼瞼下垂と全身症状の関係
✅ 眼瞼下垂は、視界だけでなく全身の筋肉負担にも影響を与える可能性があります。
✅ 前頭筋・頸部筋の代償運動が肩こり・頭痛の一因になるケースは臨床上よく見られます。
✅ 診察・検査による鑑別診断を行い、必要に応じて治療(手術・生活習慣の見直し)を検討しましょう。
まずはお気軽に専門医にご相談ください。放置せずに正しい評価を受けることで、症状改善への最短ルートが開けます
目に関する悩みで困ったら、まずは専門医に相談してみてください。
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