「マーカス・ガン現象」は、1883年にイギリスの眼科医であったR.マーカス・ガンが診察した15歳の少女の症例として発表されたため、その名が付けられています。当時、調査チームも組織され、徹底的に調べたことで、上記の原因もおよそ明らかになりました。
しかしながら、症状はもちろん、さまざまな観点で例外も多くみられ、「先天性眼瞼下垂」をもつ新生児のさらに数%にみられるまれな症例でもあり、決定的な治療方法は見つかっていません。
ただ、この現象は年齢と共に自己矯正されていきますので、重度の場合は、何かしらの手術という選択肢もありますが、確立された手術があるわけではなく、一般的には医師と相談しながら推移を見守るケースがほとんどとなります。
つまり、マーカス・ガン現象は、神経の繋ぎ合わせが間違って、混線するかのようになっているためにおこることであり、根本的に治療するためには、この神経の繋ぎ合わせを正しく繋ぎ変えることになりますが、当然、現在の医学では到底不可能な話になると言えるからです。
したがって、症状のトリガーとなる「口を大きく開ける」ことをしないように気をつけることで、周囲に気づかれないようにすることが大事だと考えます。
しかしながら、片方の目が正しい方向を向いているのに、もう片方の目がズレて向いている「斜視」や、眼球を上に向ける「上直筋(じょうちょくきん)」の麻痺、左右の度数が違う「不同視(ふどうし)」や乱視でないのに物が二重に見える「複視」を伴うこともありますので、そうした疾患が合併していなのか?については、十分に注意を払うことが大切になります。
複視を伴うような斜視については、マーカスガン現象に対しての有効な手術がないにしても、斜視手術の適応により改善する場合があるからです。