テレビの影響で、広く知れ渡るようになった眼瞼下垂症について。
ガッテン!の眼瞼下垂症への考え方のアプローチ
コンタクトレンズを使用する人口が増えたことや、人口に占める高齢者の割合が増加したことなどから「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」や「老人性眼瞼下垂(ろうじんせいがんけんかすい)」の症状を発症する方が増えています。
こうした状況を反映して、テレビ番組で眼瞼下垂が取り上げられることが目立ってきました。
それぞれに、眼科医へ診察依頼が増える現象も引き起こした過去の代表的な放送事例から、その概要をまとめてみました。
「ガッテン!」NHK/2016年5月25日放送
立川志の輔師匠が司会を務める人気の生活情報番組で、「医学がお薦め!メークで体が若返る劇的ワザ」という副題で放送されました。
まぶたが下がるとアゴを上げる習慣がつくことで首や肩が常に緊張した状態となり、首や肩のこりにつながるメカニズムを紹介。
およその手術料金の紹介も行われました。
番組では、まぶたのたるみを簡単にチェックする方法も紹介されています。
それは、(1)目をつぶって両方の人差し指で眉毛を抑え、動かないようにする(2)そのまま、まぶたを開いて瞳孔にまぶたが掛かっているかどうかで判断する、というものです。
また、下がったまぶたを上げようとして眉毛を上げる働きをする前頭筋(ぜんとうきん)に力が入り、その緊張が後頭部にまで広がることで頭痛につながる、という説明もされています。
そして背中の筋肉は全てつながっているため、こうした緊張が腰に影響を及ぼす、という説明内容で腰痛になる理由も語られています。
この辺りの詳しい説明は、こちらの記事を参照ください。
この番組は、番組名が「ためしてガッテン」であった当時の2008年4月2日にも、「医学で解明!顔若返り」と題して眼瞼下垂を取り上げています。
ただ、このときは眼瞼下垂の手術イコール頭痛や腰痛、肩こりなどの改善につながる、というメカニズムに重点を置き過ぎたため、眼科医も含めた論争に発展してしまった経緯があります。
当院としても、眼瞼下垂症手術の効能としては、単純に、まぶたが開くようになることで、視界が広がることはお話をしても、眼瞼下垂症手術により、頭痛や腰痛、肩こりが必ずしも治るわけではないということを説明させていただいております。
眼瞼下垂症手術は、あくまで、視野狭窄を改善させることが目的となります。
視野狭窄によって起こる可能性のある付随的な症状(眼精疲労、瞼の重み、肩こり、頭痛など)は実際に手術をしてみないと改善するかどうか?わかりませんので、ご留意ください。
そういった付随的な症状については、他にも原因がある可能性もありますので、眼瞼下垂症を直せば、全て収まるというものではないからです。