診断の話

眼瞼下垂の症状「ミオパチー」

※2020.3.13 記事内容の修正・更新を行いました。


 ミオパチーとは、「Myo-(筋肉)」と「-pathy(病、苦痛)」からなる単語であり、一般的には筋肉の疾患の総称を指し、非常に多くの病気を含んでいます。

 

主に、筋肉(骨格筋)が萎縮することによる筋力の低下に関連するものが症状の主になります。

 

筋肉が萎縮する原因には大まかに2つあります。

 

1つは筋肉自体に問題がある場合であり、もう1つは筋肉を動かす神経に問題がある場合です。

 

前者を筋原性疾患(ミオパチー、Myopathies)といい、神経障害とは関係なく、筋肉そのものの障害のために筋肉がやせて萎縮し、筋力の低下を引き起こす疾患を指します。

 

後者は、筋肉を支配する神経に障害が生じる疾病、「神経原性疾患(ニューロパチー、Neuropathies)」と区別しております。

 

いずれも極度の筋力低下を伴う重篤な難病ですが、ミオパチーの中では筋ジストロフィー (Muscular Dystrophy)が代表的な疾患であり、ニューロパチーでは筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)が代表的な疾患としてされております。

 

そして、眼瞼下垂症の症状を合併するものとして、「遠位型ミオパチー」があります。

 

遠位型ミオパチーは、厚生労働省によって「指定難病」に指定されている非常に稀な疾患群です。

 

この「遠位型」とは、体幹(人間の体で頭部と手足を除いた胴体部分)から 遠くに位置する筋肉である遠位筋のことで、例えば指先や足首を動かすような筋力から能力の低下が生じるという意味になります。

 

遠位型ミオパチーは、遠位側の筋肉を主体に萎縮する特殊なミオパチーの9つの疾患の集合体で、日本では「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー」(常染色体劣性)、「三好型ミオパチー」(常染色体劣性)、「眼咽頭遠位型ミオパチー」(遺伝形式不明)の3疾患しか見いだされておりません。

 

その中でも、「眼咽頭遠位型ミオパチー」は、通常成人期~老年期にかけて発症し、眼瞼下垂、眼球運動障害、嚥下障害に加えて、特に前脛骨筋を侵すミオパチーを呈します。

 

先に述べたように、ミオパチーの代表的な疾病として、皆さんもよく目にすることがある「筋ジストロフィー」があります。

 

ジストロフィーとミオパチーは、ほぼ似通った疾患に別々の用語が使われていて紛らわしいのですが、筋ジストロフィー自体は「遺伝性があり進行性の筋力低下がみられるミオパチー」と定義されます。

 

実際に、「眼咽頭遠位型ミオパチー」の一部の患者は、実際には、臨床病理学的に類似する、進行性である眼咽頭型筋ジストロフィーに罹患しているといわれております。

 

「眼瞼下垂(がんけんかすい)」との関連で言えば、この遠位型ミオパチーのほかに、先天性筋強直性ジストロフィーも含まれます。

 

眼瞼下垂症ブログ:後天性眼瞼下垂]の治療「筋強直性ジストロフィー」を参考ください。

 

したがって前述の筋強直性ジストロフィーは進行性ですが、この眼咽頭遠位型ミオパチーも同じく進行性で筋肉そのものの障害となります。

いずれにしましてもミオパチーは、患者数が極めて少なく、「指定難病」にも指定されています。

 

結局、遺伝による筋肉の疾患とされているものの、ミオパチーに該当する疾患は多様なため、症状と遺伝との関連もさまざまで、なかには遺伝とのつながりを見い出せない疾患もみられます。

ミオパチーの多くは肩や腰をはじめ体幹部に近い筋肉(近位筋) から発症するため、遠位型はミオパチーのなかでもさらに希少な疾病ということができます。

 

何れの疾患も現時点では根本的治療法はありません。

 

結果として、合併する眼瞼下垂症についても、治療方法は確立していないといえます。

 

ただ、個人的臨床経験に基づけば、挙筋機能の低下に伴う眼瞼下垂症と考えることができるので、先天性眼瞼下垂症に準じた手術治療で治療をすることができます。

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