眼瞼下垂こぼれ話(当院が「両眼同時手術」を基本方針にしている理由)

いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、眼瞼下垂症手術においてよく質問される、
「両眼を同時に手術した方がいいのか」
「片眼ずつ分けて手術した方がいいのか」
という点について、当院の考え方をお話ししたいと思います。
以前の当院の方針:あえて「片眼ずつ」行っていた理由
実は当院では、開院当初、両眼に眼瞼下垂がある場合でも、あえて片眼ずつ日を分けて手術を行う方針を取っていました。
当時は、そこにも明確な理由と合理性がありました。
術後の腫れ・内出血への配慮
眼瞼下垂の手術後は、どうしても腫れや内出血が起こります。
両眼同時に行うと、見た目の変化が一気に出てしまい、
・外出しづらい
・人に会いにくい
・心理的負担が大きい
といった問題が生じやすくなります。
片眼ずつであれば、眼帯などである程度カバーできるため、
生活への影響を抑えられるという利点がありました。
局所麻酔と左右差の問題
眼瞼下垂の手術は局所麻酔で行います。
局所麻酔の効果はおよそ1時間前後です。
両眼を同時に行うと手術時間が長くなり、
・麻酔が切れやすくなる
・追加麻酔が必要になる
・その影響で左右差が出やすくなる
といった懸念がありました。
保険給付の問題
保険診療の眼瞼下垂手術では、民間保険の手術給付金が支給されるケースがあります。
片眼ずつ日を分けることで、給付が2回分になる場合もあり、
患者さんの経済的負担を軽減できる可能性がありました。
しかし現在、当院の基本方針は「両眼同時手術」です
このように、以前は「片眼ずつ」にも合理性がありました。
しかし現在、当院の基本方針は両眼同時手術です。
なぜ考えが変わったのか。
それは、私自身が眼瞼下垂手術を専門に行い続ける中で、
知識・技術・理解がアップデートされ続けてきた結果です。
方針が変わった最大の理由:ヘリングの法則
眼瞼下垂手術を考える上で、非常に重要なのが ヘリングの法則(Heringの法則)です。
ヘリングの法則とは?
ヘリングの法則とは、
「左右の目を動かす筋肉は、脳から同時に同じ強さの指令を受けている」
という生理学的な原則です。
簡単に言うと、
脳は左右の目を別々に制御しているのではなく、セットで制御している
ということです。
眼瞼下垂とヘリングの法則の関係
眼瞼下垂の患者さんは、無意識のうちに「目を開けよう」と強く力を入れています。
このとき、脳は左右両方の眼瞼挙筋に同時に強い指令を出しています。
ここで、片眼だけを手術するとどうなるか。
・手術した側 → 少ない力でも開くようになる
・手術していない側 → 脳の指令が弱まり、下がって見える
という現象が起こります。
これが、
「片眼を手術したら、反対側が下がったように見える」
という現象の正体です。
なぜ両眼同時手術が有利なのか
両眼同時に手術を行うことで、
・脳からの指令のバランスを同時に調整できる
・左右の開きをその場で確認しながら微調整できる
・ヘリング効果による誤差を最小限にできる
という大きなメリットがあります。
現在では、この生理学的特性を踏まえると、
両眼同時の方が合理的で、安全性も高いと判断しています。
両眼同時手術の方が、総合的な負担が少ない
片眼ずつの手術では、
・通院回数が増える
・手術が2回になる
・ダウンタイムが2回発生する
という負担がありました。
現在では、腫れや内出血のコントロール、麻酔管理、手術時間の短縮などが進歩し、
両眼同時の方が、トータルの身体的・心理的負担は少ない
と考えています。
方針が変わることは「進化」です
「以前と違うことを言っている」
そう感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし私は、
医療において、考え方が変わらないことの方がリスクだと考えています。
当院では、
・経験の蓄積
・技術の進歩
・医学的理解の深化
これらを踏まえ、「今の最適解」を更新し続けています。
まとめ
かつては、片眼ずつの手術にも合理性がありました。
しかし現在では、
・ヘリングの法則への理解
・左右差調整の精度向上
・術後管理の進歩
これらを踏まえ、
両眼同時手術の方が、安全性・仕上がり・負担の面で優れている
と判断しています。
当院は、固定観念ではなく、
医学的合理性に基づいて進化し続けるクリニックでありたいと考えています。
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