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涙点プラグによるドライアイ治療:シリコンプラグとキープティア(コラーゲンプラグ)の違いと選び方

髙田 尚忠

「目薬を1日に何回さしても、すぐに乾いてしまう」
「仕事中、目が痛くて開けていられない」

もしあなたがこのような重度のドライアイ症状にお悩みなら、点眼薬で「水分を足す」だけでは不十分かもしれません。排水溝に栓をするように、大切な涙を目の中に留める治療法「涙点プラグ」をご存知でしょうか。

今回は、点眼治療で改善しない場合の次のステップとして、当院で行っている涙点プラグ治療について詳しく解説します。特に、近年主流となっている液状コラーゲンプラグ(キープティア)と、従来のシリコンプラグの違いについて、メリット・デメリットを交えてお話しします。

医師 高田 尚忠
医師 高田 尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
Profile
高田眼科院長。岡山大学医学部卒業後、複数の医療機関で経験を積み、現在は高田眼科のほか、名古屋・銀座・亀戸の関連クリニックでも眼瞼下垂手術を中心に年間2,000件以上の手術に携わっています。専門は眼瞼下垂、眼形成、まぶたの機能改善治療。見た目だけでなく、視機能の改善と日常生活の快適さの回復を重視し、原因の見極めから治療方針の説明まで丁寧に行っています。このブログでは、様々な眼科疾患はもちろん、特に、眼瞼下垂の症状、治療法、術後経過、修正手術などについて、眼科医、眼形成外科医の立場から分かりやすく解説しています。

はじめに:「点眼だけでは足りない」とき

ドライアイ治療の基本は、足りない水分やムチンを点眼薬で補うことです。しかし、ドライアイには「涙の蒸発が早すぎるタイプ」や「涙の作られる量自体が極端に少ないタイプ(涙液減少型)」があります。

特に、涙の絶対量が少ない場合、いくら外から目薬を足しても、まばたきのポンプ作用によってすぐに鼻の奥へと流れていってしまいます。これは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているようなものです。

このような場合、いくら高価な目薬を使っても効果は限定的です。「足す」のではなく、「流さない」工夫が必要になります。

涙点プラグとは?その仕組みを理解する

私たちの目には、涙の出口である「涙点(るいてん)」が、目頭の上下に一つずつあります。通常、作られた涙の約90%はこの涙点から鼻涙管を通って鼻の奥へと排出されます。

💡 シンクの栓をイメージしてください

先ほどの穴の空いたバケツの例えと似てますが、洗面台で水を溜めるとき、排水溝に栓(プラグ)をしますよね? 涙点プラグもまったく同じ原理です。涙の出口に栓をすることで、少ない涙を目の中に長時間留め、目の表面を常に潤った状態に保つ治療法です。

涙点にプラグを挿入することで、涙の排出をブロックします。

自分の涙には、人工涙液には含まれていないタンパク質やビタミン、成長因子などの重要な栄養分が含まれています。プラグで自分の涙を溜めることは、角膜(黒目)の傷を治す上でも非常に理にかなった治療法なのです。

2種類のプラグ:シリコンとコラーゲン

当院では、患者様の症状やライフスタイルに合わせて、主に2種類のプラグを使い分けています。

  1. シリコン製プラグ(固形):半永久的な効果を狙う、従来のタイプ。
  2. コラーゲン製プラグ(液体・キープティア):体温で固まる、負担の少ない新しいタイプ。

かつてはシリコンプラグが主流でしたが、異物感や脱落といったデメリットがありました。近年は、より自然で安全性の高いコラーゲンプラグ(キープティア)から治療を始めるケースが増えています。

比較表(効果、持続期間、メリット・デメリット)

どちらのプラグが自分に合っているか、特徴を整理しました。

項目キープティア(コラーゲン)シリコンプラグ
形状液体(注入後にゲル化)固形(シリコンゴム製)
遮断率約70〜80%(自然な潤い)約90%以上(強力にブロック)
持続期間2〜3ヶ月
(徐々に溶けてなくなる)
半永久的
(脱落しなければ継続)
異物感ほぼ無し人によってチクチク感じる
メリット・違和感が少ない
・サイズ合わせが不要
・いつでも元に戻る安心感
・一度入れれば長く効く
・涙を溜める効果が最強
・経済的(長期的に見て)
デメリット・定期的な再注入が必要
・完全に涙を止めない場合がある
・脱落して紛失することがある
・稀に肉芽(できもの)ができる
・涙が溢れすぎることがある

キープティア(コラーゲンプラグ)の詳細

「目に異物を入れるのは怖い」「まずは試してみたい」という方に第一選択となるのが、このキープティアです。

💧 仕組み
キープティアは「アテロコラーゲン」という安全性の高いコラーゲン水溶液です。冷蔵庫に入っているときは液体ですが、体温(約37度)になるとゼリー状に固まる性質を持っています。
涙点から液体の状態で注入すると、涙の通り道(涙小管)の中でやわらかいゲル状になり、隙間なくフィットして栓をします。

💧 特徴
最大のメリットは「違和感のなさ」です。固形のプラグと違い、目頭がゴロゴロしたり、プラグが目に当たって痛いということがありません。
また、2〜3ヶ月かけて徐々に分解・排出されていくため、万が一「涙が溢れて困る」という場合でも、時間が経てば自然に元に戻ります。

シリコンプラグの詳細

「キープティアではすぐに溶けてしまって、通院が大変」「もっと強力に涙を溜めたい」という重症の方に適しています。

💧 仕組み
ダンベルのような形をした小さなシリコン製の栓を、涙点に直接押し込みます。サイズがいくつかあり、患者様の涙点の大きさに合ったものを選定します(スーパーイーグルなど)。

💧 特徴
物理的に完全にフタをするため、涙を溜める効果は非常に高いです。うまくフィットすれば数年以上脱落しないこともあり、通院の手間が省けます。
ただし、目をこすった拍子に抜けてしまったり、稀にプラグの刺激で肉芽種(ポリープのようなもの)ができたりすることがあります。

治療の流れ

涙点プラグの処置は、外来の診察室で行います。手術室に入る必要はなく、処置自体は数分で終了します。

STEP 1:点眼麻酔

痛みを抑えるため、麻酔の目薬をします。注射はしませんのでご安心ください。

STEP 2:プラグの挿入・注入

【シリコンの場合】
専用の器具(インサーター)を使って、涙点にプラグを挿入します。サイズを測るゲージを使用することもあります。

【キープティアの場合】
専用の針(先が丸いので刺さりません)を使って、涙点から冷やしたコラーゲン液を注入します。

STEP 3:固定(キープティアのみ)

注入後、コラーゲンが体温で固まるまで約10〜15分ほど、ホットアイマスクなどで目を温めながら安静にします。この時間は目を触らないようにしてください。

STEP 4:終了

そのままご帰宅いただけます。直後から洗顔や入浴も可能です。

適応と禁忌・合併症

適応(おすすめする方)

  • シェーグレン症候群の方
  • 点眼回数を減らしたい方
  • 重症のドライアイ(涙液減少型)の方
  • コンタクトレンズ装用時の乾燥がひどい方

禁忌(できない方)

  • 涙道感染症(涙嚢炎など)がある方
  • シリコンやコラーゲンに対するアレルギーがある方(非常に稀です)

注意すべき合併症

⚠️ 流涙(りゅうるい:涙あふれ)
プラグの効果が効きすぎて、逆に涙が溢れ出てしまうことがあります。シリコンの場合は抜去すれば治りますが、コラーゲンの場合は溶けるまで待つ必要があります(通常数週間で落ち着きます)。

⚠️ プラグの脱落(シリコン)
目を強くこすると抜けてしまうことがあります。気づかないうちに抜けていて「最近また目が乾く」と感じて来院されることが多いです。

⚠️ 肉芽形成・迷入(シリコン)
稀ですが、異物反応でポリープができたり、プラグが奥に入り込んで取れなくなったりすることがあります。このリスクを避けるためにも、最初はコラーゲンプラグから試すことを推奨しています。

FAQ(よくある質問)

Q1. 痛みはありますか?

点眼麻酔をしますので、処置中の痛みはほとんどありません。少し押されるような感覚がある程度です。

Q2. 費用はどれくらいですか?

健康保険が適用されます。3割負担の方で、片目あたり約3,000円〜4,000円程度(両目でその倍)が目安です。その他に診察料などがかかります。

Q3. コンタクトレンズは使えますか?

はい、使えます。むしろ、涙が増えることでコンタクトレンズの装用感が良くなることが多いです。

Q4. キープティアはどれくらいもちますか?

個人差がありますが、平均して2〜3ヶ月程度です。効果が切れて乾燥を感じ始めたら、再度注入を行います。冬場の乾燥する時期だけ入れる、という使い方も可能です。

Q5. 目薬はやめてもいいのですか?

症状が軽くなれば減らすことができますが、炎症を抑える目薬などは継続が必要な場合があります。医師の指示に従ってください。

Q6. 自分で取れますか?

いいえ、絶対に自分で触らないでください。シリコンプラグを外したい場合は、眼科で専用の器具を使って抜去します。

Q7. 上下の涙点、両方に入れるのですか?

通常は、まず「下涙点(下の穴)」だけにプラグを入れます。それでも乾燥が改善しない重症例の場合のみ、上下両方を塞ぐことを検討します。

Q8. プラグを入れた後に目薬をさしても大丈夫ですか?

はい、問題ありません。ただし、プラグを入れた直後(特にキープティアの処置後15分間)は目を触らないようにしてください。

Q9. シリコンプラグが外れたらどうすればいいですか?

痛みなどがなければ緊急性はありませんが、ドライアイの症状が再発しますので、都合の良い時に受診してください。再度挿入するか、コラーゲンに変更するか相談しましょう。

Q10. アレルギー体質なのですが大丈夫ですか?

キープティアに使用される「アテロコラーゲン」はアレルギーの原因となる部分を除去した医療用コラーゲンですので、アレルギー反応は極めて稀です。心配な方は事前にご相談ください。

おわりに

涙点プラグは、かつては「最後の手段」と考えられていましたが、キープティアのような安全なコラーゲン製剤の登場により、もっと手軽で身近な治療の選択肢になりました。

「たかがドライアイ」と我慢せず、もし点眼薬だけで生活の質(QOL)が下がっていると感じるなら、ぜひ一度プラグ治療を検討してみてください。
あなたの涙は、どんな高級な目薬よりも優れた「天然の治療薬」です。その大切な涙を、プラグの力で有効活用しましょう。

このブログの執筆者
髙田 尚忠
髙田 尚忠
高田眼科 院長|フラミンゴ美容クリニック/銀座Jクリニック/あさ美皮フ科 眼瞼手術担当
岡山大学医学部卒業後、郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、現在は高田眼科の院長を務めつつ、関連クリニックの名古屋ののフラミンゴ眼瞼・美容クリニック、銀座のJ clinic、亀戸のあさ美皮フ科においても、眼瞼下垂手術を中心に多くの年間2000件以上の手術を行っています。「見え方(視機能)」と「日常の快適さ」を回復することを第一に、診察では原因(加齢・コンタクト・体質・既往手術など)を丁寧に整理し、必要な治療を分かりやすく説明すること心がけています。 このブログでは、眼瞼下垂の症状、治療選択、術後経過で不安になりやすいポイントなどを、専門医の立場からできるだけ具体的に発信しています。
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