白内障手術|ひとみ眼科

あまり知られていない白内障の実態。その症状や検査、治療方法

Dr.髙田
ABOUT ME
高田 尚忠
高田 尚忠(たかだ なおただ)
高田眼科 院長 |ひとみ眼科 / フラミンゴ美容クリニック 眼瞼手術担当医師
所属学会:日本眼科学会、日本形成外科学会、日本眼形成再建外科学会
岡山大学医学部卒業後、横浜形成外科の二木 裕先生に師事。 郡山医療生活協同組合 桑野協立病院などの様々な医療機関を勤務し、 現在は高田眼科の院長を務める。 眼科医と形成外科医の知識と、これまでの豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとに、2022年においては年間2,000件超える眼瞼下垂症手術を手がけております。 2022年3月より、名古屋市内の伏見駅近くのフラミンゴ眼瞼・美容クリニックを開院。

白内障とは

白内障とは、目の中でレンズの役割を果たしている瞳の中の水晶体という組織が濁ってしまう病気のことを言います。白内障は、早い方では40歳ごろから発症することがあります。基本的には年齢を重ねることに伴って発症することが一般的で、70歳を超える頃には、ほとんどの方が中等度以上の白内障を発症しています。

白内障は、一度発症すると薬で治すことができず、その薬においても白内障が発生する前に予防を行うか、発症した初期に抑制を行うことは可能ですが、手術以外に根本的な治療方法はありません。

白内障の症状

白内障には色々な症状があります。白内障は水晶体の濁りのために眼の中に光が十分に入らなくなるため、視界が薄暗く見えるような症状が発生することがあります。また、その反対に水晶体の内部で光が乱反射を起こすことで眩しく見えるといった症状も見られます。この現象は強い光を夜に見たときや夜道で街灯の明かりを見たときなどに発生することがあります。この他にも、霧がかかるようにモヤが見えるというような現象もあります。

このように、白内障といってもその症状は様々であり、一概に1つだけの症状があるというわけではありません。もし、視力が急激に落ちた方などがいらっしゃれば、白内障を疑った方が良いかもしれません。白内障が発見されるケースとして、実際に眼科の視力検査で視力が落ちたことから白内障が発見されることもあります。

白内障の検査

白内障であるかを診断するためには、複数の検査が必要になります。どの検査も特に準備も必要なく、痛みを感じることもありません。安心して受けることのできる検査となっています。コンタクトレンズを使用されている方は、検査の際に外す必要がある場合がありますので注意が必要になります。具体的な白内障の検査には以下のようなものがあります。

視力検査

裸眼での視力、眼鏡やコンタクトレンズを使用した状態での視力検査を行います。白内障は水晶体の濁りが原因で起きる病気ですので、もし、眼鏡やコンタクトレンズを使用している状態でも視力が低いままであれば、白内障を疑う必要があります。

コントラスト検査

コントラスト検査は両眼での検査になります。日常生活に近い状態であるコントラスト感度とグレア感度を検査します。検査距離を4段階から選んで検査を行うことができるため、近い距離から遠い距離までのコントラスト感度を調べることができます。

細隙灯顕微鏡検査

細隙灯顕微鏡検査は、眼球を細い光で照らして顕微鏡で拡大し、異常を診断する検査です。白内障の原因となる水晶体の濁りの有無を直接確認することができます。

眼底検査

眼底検査では、網膜の状態を調べることで白内障以外の病気がないかを確認します。まず検査用点眼薬(散瞳薬)を使用して、十分に瞳孔を開いてから、網膜の状態を調べます。

白内障の手術前に行う検査

上記の検査を行い、白内障であると発覚した場合には手術を受けることになる場合もあります。白内障の手術前にも様々な検査を受ける必要があるので、以下にどのような検査が必要になるのかを記載していきます(下記検査全てが必ず必要となるわけではありません)。

角膜形状解析

角膜の厚みや凹凸、乱視の状態などを調べることができる検査です。白内障の手術では、人工眼内レンズを入れることになりますが、その人工レンズの形を選定するのにこちらの検査が必要になります。

CASIA

角膜内部の情報を解析する検査です。特に、角膜後面部分の乱視を解析することが可能です。

眼軸長検査

眼軸長(角膜から網膜までの長さ)を測定します。眠軸長は白内障手術を実施するために必要となります。レーザーを使用して行うことが可能な検査になるため、短時間かつ負担の少ない測定を行うことができます。
重度の白内障では、レーザーでの眼軸長測定が出来ないことがあります。その場合は超音波装置を使って眼軸長を測定します。

角膜内皮細胞計測

角膜を構成している内皮細胞を計測する検査です。内皮細胞が少ない場合には手術方法の検討や、投薬の際に注意する必要があります。あらかじめ、内皮細胞の状態を確認しておくことで、事前に計画を調整することができます。

血液検査

B型肝炎やC肝炎ウィルスなどの感染症がないかどうかを調べたり、血液の固まりやすさ、血糖値などを調べます。

白内障の治療

白内障であると診断されたとしても、視力の低下など、物の見え方に大きな問題が発生していない場合には、点眼薬が処方され経過観察になります。この際に処方される点眼薬には、「ピレノキシン」や「グルタチオン」といった成分が含まれています。(点眼商品名 「カリーユニ」「カタリン」「タチオン」等)
ピレノキシンには、水晶体内部のタンパク質が変性するのを抑止する効果があり、白内障が初期の段階では進行を遅らせることができる効果があります。グルタチオンには、白内障の進行によって水晶体に含まれているアミノ酸が減少していくことを補う効果があり、こちらも白内障の進行を遅らせることに効果があります。

このように、初期の白内障の治療では点眼薬を用いて行われるものがありますが、点眼薬では基本的に白内障の進行を遅らせることはできますが、治療を行うことができません。白内障を根本的に治療するためには、現在の医療では手術を行うことが必要です。点眼薬での治療を継続していたとしても、日々の視力はゆっくりですが徐々に落ちていくこととなり、次第に生活も不便なものとなってしまいます。

そのようなことにならないためにも、適切な時期に手術を受け、根本的に白内障の治療を行う方が生活は快適になるでしょう。
自覚症状としては、視力低下がゆっくりのことが多く、患者さん本人は気にされていないことも多いのですが、手術後に「世界が変わった」「手術後凄くよく見えるようになり、手術前はいかに見えていなかったか気づいていなかった」「もっと早く手術を受ければよかった」と言われる患者さんが多くいます。

白内障の手術

まずは点眼薬の麻酔を繰り返し使って痛みがないようにします。そして、目の周りの皮膚や眼球表面を丁寧に消毒して感染症のリスクを減らします。

現在では「超音波乳化吸引術」という方法が主流となっており、この手術法は角膜を小さく(当院では2mm強)切開した上で、そこから超音波チップという器具を挿入し、濁っている核を砕いて吸い取るという方法で行われます。こちらの手術法を用いれば傷口も小さく済み、負担も少ないために現在では最も行われている手術方法になります。

上記、超音波乳化吸引術により、濁った水晶体核を除去した後、小さく折りたたまれた人工の眼内レンズを眼内に挿入・展開します。

白内障の手術を受けるにあたって

白内障の手術を受ける場合には、様々な検査を医療機関で行い、その後に医師から手術費用についての説明が行われます。この際には、医師や医療施設の方針に基づいて手術の計画などが提示されます。

このように、医師との相談を通じて手術や医療方針を定めていくわけですが、最も大切なのは患者様が白内障に対しての情報をある程度持っておくということです。

様々な説明を受けたとしても、白内障に対する知識が浅く、どのような治療を行うのかが分からなければ、手術において医師に対する不信感につながってしまうこともあります。

また、医療制度の面に関してもよく確認しなければなりません。手術を受ける時に全ての患者様が保険診療によって最適な手術や治療が等しく受けられるのであれば問題ありませんが、白内障においては、状況によって異なるのです。例えば、保険診療が適した方もいれば、全額自己負担となる自由診療の治療が良いという方もいます。
(現在主流の単焦点レンズを使用する場合、全額保険診療でカバーされますが、多焦点レンズでは自費診療となります。また、多焦点レンズは単焦点レンズより優れていると一概に言える訳ではなく、患者さんによって適合などが異なります。)
また、日帰り手術が主流ですが、白内障の状態によっては入院が必要となることもあります。

手術を受けた後に、もっと自分に合った医療制度があったことが分かると後悔することになりかねませんので、あらかじめご自分でも白内障の医療制度や保険について調べておいた方が良いかもしれません。その上で、分からないことがあったときに相談するようにすれば、よりスムーズに手術を受けることができます。

まとめ

白内障の知識や治療方法など、様々なことをあらかじめ把握しておけば、実際に診断された際にも動揺せずに済みます。特に保険などの制度において、白内障は少し特殊な部分がありますので、調べておくとより不安も解消されることと思います。白内障は早期発見が大切ですので、できるだけ定期検診を行うようにすると良いでしょう。

愛知県愛西市のひとみ眼科
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