流涙症の原因や症状・対処法

いつも涙が出て困ってしまう。そんな方は「流涙症」かもしれません。流涙症とは、どんな病気なのでしょう。一言に流涙症といっても種類があり、治療法もことなります。症状や対処法についてご紹介します。
流涙症とは
流涙症の症状としては、涙が止まらない、目ヤニや瞼のただれで不快感を感じる事が一般的です。流涙症の種類別に原因や対処法を見ていきましょう。
鼻涙管閉塞症
涙は、通常まぶたの内側の上下にある涙点という小さな穴から、鼻の方へ流れ出ていきます。鼻涙管閉塞症は、その涙の流れ道(涙道)が詰まってしまうのが原因で起きます。
涙は上まぶたの外側にある涙腺から分泌され、目の表面を潤し、栄養を与えます。そのあと、目頭の上下にある小さな穴(涙点)から顔の内側に入り、涙小管という細い管を通って涙嚢(るいのう)という袋に溜まります。
そして、鼻涙管を通じて鼻腔へ流れます。泣いたときに、鼻から透明の液体が出てくるのは実は涙だったのです。この涙の流れ道(涙道)が細くなったり詰まったりすることがあり、流れなくなった涙が目に溜まり、涙目になるのです。その結果、涙が止まらなかったり、目ヤニが出たり、白目が充血したりします。
特に赤ちゃんは、鼻涙管が細いのでなりやすく、涙や目ヤニが出やすいのです。稀に生まれつき鼻涙管と鼻腔の間に膜が残っている場合、更に症状がひどくなってしまいます。このような場合1歳半くらいまでは鼻の付け根のマッサージなどで様子を見ることで90%程度自然に治癒します。
高齢者では、涙目の他に、まぶたが腫れたり傷んだり、目の周りがかゆくなったりすることがあります。
鼻涙管閉塞症の原因
生まれたときに閉塞している先天性のものと、後天性のものに別れます。後天性のものは、大きく分けて、鼻の病気(鼻炎、蓄膿症、ポリープなど)が原因のもの。もう一つは目の病気(結膜炎などの炎症)が原因のものです。
鼻涙管閉塞症の治療法
主にシリコンチューブを使った手術(涙管チューブ挿入術)が一般的です。局所麻酔を使用し、20分ほどで終了します。経過をみて(2か月以上)涙道が広がったところで、チューブを外します。近年では、涙道内視鏡といって0.9mmの極細の内視鏡が開発されました。これにより、閉塞部位の確認や、より確実に短時間での手術が可能となったのです。当院では、この内視鏡を用意しており、日帰り治療を行っています。
涙管チューブ挿入術は患者さんの負担も少なく有効性の高い手術ですが、塞がっている場所によっては、涙管チューブ挿入術が困難な場合があります。鼻涙管の奥の方の重症の閉塞や、膿が溜まっているもの、古いものに対しては成功率が下がってしまうのです。そういった場合は、骨を削らないといけない手術(涙嚢鼻腔吻合術 るいのうびくうふんごうじゅつ)が必要となる場合があります。涙嚢鼻腔吻合術は涙管チューブ挿入術に比べて患者さんの負担が大きいので、異変に気付いたら早めに眼科受診をしましょう。
結膜弛緩症
高齢者は白目表面の粘膜(結膜)がたるんでくることがあります。私たちの目は分泌された涙が涙の排水口である涙点に流れていくように出来ているのですが、結膜がたるんでしまうと、この涙の流れが悪くなったり、排水口を塞いだりすることがあります。
こうして、涙がきちんと流れなくなってしまいます。すると、目の異物感や違和感を感じたり、涙がたまるような違和感を感じることがあります。症状が軽ければ放っておいても問題はありません。症状が強い場合はたるんだ結膜を短縮する手術をすることによって、改善される事があります。手術は10分間程度と短時間で日帰りできます。
結膜弛緩症の原因
結膜弛緩症の原因は加齢とともに増える傾向があるため、老化が原因の1つと考えられています。
結核弛緩症の対処法
基本的には、放っておいても問題ありません。どうしても違和感を感じるほど、たるみがひどい場合は手術が可能です。医院にもよりますが手術時間は10分ほどです。
さかさまつ毛(睫毛乱生・眼瞼内反)
さかさまつ毛は本来目の外側に向かって生えるまつ毛が、内向きで生えてきている事です。さかまつ毛が角膜にあたって、角膜表面を傷つける事があります。それが原因で、目の表面のゴロゴロとした違和感を感じて流涙を生じることがあります。
さかさまつ毛の原因
先天性のもの(こどものさかさまつ毛)と加齢性のものに分類されます。いずれもまぶたの皮膚の過剰やたるみ、筋肉低下によるものが原因です。睫毛乱生は、まつ毛が色々な方向を向いてる病気で高齢者に多い病気です。
さかさまつ毛の治療法
原因が睫毛乱生の場合
・睫毛抜去
ピンセットで流涙の原因になっているまつ毛を抜く方法です。
1度抜いても、1か月程度でまた生えてきてしまいますので抜去を定期的に繰り返す必要があります。
・睫毛電気分解術
皮膚に麻酔を注射してから、専用の極細の針をまつ毛の毛根に差し入れて、電気を通電することで脱毛します。5-10分程度と短時間で治療は終わり、日帰り手術となります。当院でもこの装置を備えております。
流涙の原因となっているまつ毛が数本と少数の場合、この治療方法が適しています。
原因が眼瞼内反の場合
・Jones変法
緩んだ下まぶたの組織を縫い縮めて、ピンと張るようにします。まぶたを外側に向けます。手術は約20分程度で終わります。
・HOTZ変法
皮下組織と瞼板という組織を縫い合わせる事で、瞼を外側に向かわせます。手術は約20分程度で終わります。
・埋没法
まぶたに糸を通して縛り睫毛を外側に向かせます。手術は約5分程度で終わります。
このように、様々な方法がありますので医療機関で相談してみると良いでしょう。
子供のさかさまつ毛(眼瞼内反)
先天性のもので、まつ毛全体が角膜方向を向きます。多数の睫毛が角膜に当たっていることが多いです。
さかさまつ毛の原因
乳幼児は、ふっくらしていて、まぶたの皮膚がまつ毛を押し出してしまっていることが原因です。特に下まぶたに出やすいです。
子供のさかさまつ毛の対処
子供のさかさまつ毛は、まつ毛自体は成長するにつれて自然に改善することも多いです。さかまつ毛により、目の表面(角膜)の傷が強い場合、点眼薬を使用することもあります。ほとんどの場合、経過を見ること多いです。
中学生以降になっても自然に改善されないこともあります。さかまつ毛により、角膜の傷やゴロゴロする異物感が強い場合は手術を行うこともあります。
手術は基本的には局所麻酔となるために、怖がらずに手術を受けられる年齢になってからが適応となります。
目やにが続く、目にゴロゴロとした異物感がある などの症状がある場合、眼科受診をして診てもらうことをお勧めします。
まとめ
流涙症と一言でいっても、様々な原因・症状があります。目が不快だと日常生活にも支障が出ます。簡単な治療や手術をすれば治るものが多いですが、なかには大きな治療が必要となる場合もあります。気になる際は一度眼科の医師に相談する事お勧めします。
参考サイト