花粉症で目がかゆい・充血する原因は?季節性アレルギー性結膜炎の症状と治療法を眼科医が解説

春や秋になると、目のかゆみ、充血、涙目、目やにが気になる方は少なくありません。
とくに、くしゃみや鼻水も一緒に出る場合は、花粉による季節性アレルギー性結膜炎の可能性があります。
季節性アレルギー性結膜炎は、いわゆる「花粉症の目の症状」で、眼科では非常によくみる病気です。
季節性アレルギー性結膜炎は命に関わる病気ではありませんが、かゆみで目をこすってしまう、仕事や勉強に集中できない、コンタクトレンズがつらいなど、日常生活の質を大きく下げます。
実際に、アレルギー性結膜炎は集中力や作業効率の低下、疲労感、いら立ちなどにもつながることが報告されています。
この記事では、季節性アレルギー性結膜炎の症状、原因、治療法、目薬の選び方、セルフケア、受診の目安まで、患者さん向けにわかりやすく解説します。

- 季節性アレルギー性結膜炎とは
- 春の花粉
- 初夏の花粉
- 秋の花粉
- 花粉症で目に起こる主な症状
- 季節性アレルギー性結膜炎の主な症状
- なぜ目がかゆくなるのか
- 花粉症の目の症状と、はやり目・細菌性結膜炎との違い
- 花粉症(季節性アレルギー)と感染性結膜炎の対照表
- 季節性アレルギー性結膜炎の診断
- 目の表面(角膜・眼瞼結膜・眼球結膜)の状態チェックとアレルギー検査で判断します
- 治療の基本は「抗アレルギー点眼薬」
- ゾレア注射という新しい花粉症治療
- 生物学的製剤「ゾレア注射」という選択肢もあります
- 花粉症の目薬は、症状が出る前から始めると有利です
- 人工涙液は「地味だけど効く」セルフケアです
- コンタクトレンズは、症状が強い時期はいったん休むのが基本です
- 日常生活でできる予防・悪化予防
- こんなときは早めに眼科を受診してください
- 花粉症治療における市販薬の効果
- FAQ
- まとめ
- 参考文献
季節性アレルギー性結膜炎とは
季節性アレルギー性結膜炎とは、花粉などの季節性アレルゲンが目の表面に付着し、結膜にアレルギー反応が起こる病気です。
いわゆる「花粉症で目がかゆい」「花粉症で目が赤い」という状態の多くがこれにあたります。春はスギやヒノキ、初夏はイネ科、秋はブタクサやヨモギなどが原因になります。
春の花粉



春はスギ・ヒノキが代表的です。地域によってはシラカンバなどの樹木花粉も関係します。 花粉の飛散が始まると、目のかゆみや充血が出やすくなります。
- 代表:スギ・ヒノキ・シラカンバ
- 症状:目のかゆみ、充血、涙目
- 特徴:花粉症シーズンの代表格
初夏の花粉



初夏はイネ科花粉が中心で、カモガヤが代表例です。 春が終わったのに目のかゆみが続く場合は、イネ科花粉が関係していることがあります。
- 代表:カモガヤなどのイネ科
- 症状:かゆみ、異物感、軽い充血
- 特徴:春の花粉後にも症状が続く
秋の花粉



秋はブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどの雑草花粉が原因になります。 秋の目のかゆみは見落とされやすいですが、季節性アレルギー性結膜炎のことがあります。
- 代表:ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ
- 症状:かゆみ、充血、目やに
- 特徴:秋にも花粉症は起こる
アレルギー性結膜炎には、季節性のほかに、ダニやハウスダストが関係する通年性、重症型である春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎などもあります。
つまり、「目がかゆい=全部同じ」ではありません。とくに症状が強い場合は、単純な花粉症ではないこともあるため注意が必要です。
花粉症で目に起こる主な症状

季節性アレルギー性結膜炎で最も特徴的なのは、強い目のかゆみです。
これに加えて、充血、涙目、白っぽい目やに、目のゴロゴロ感、まぶたの腫れがよくみられます。
症状は片目だけではなく、両眼に出ることが多いのも特徴です。
重症になると、光がまぶしい、目を開けにくい、見えにくいと感じることもあります。
アレルギー性結膜炎そのものでも羞明は起こりえますが、強い痛みや視力低下がある場合は、角膜障害や感染性結膜炎など別の病気も考える必要があります。
SYMPTOMS
季節性アレルギー性結膜炎の主な症状
季節性アレルギー性結膜炎では、目のかゆみを中心に、充血やまぶたの腫れ、 涙や目やにの増加などの症状がみられます。花粉の飛散時期にこうした症状が続く場合は、 花粉によるアレルギー反応が関係している可能性があります。
目のかゆみ
季節性アレルギー性結膜炎で患者さんが最も訴える症状は、目のかゆみです。
花粉が飛ぶ春や秋に、目をこすりたくなるような強いかゆみを感じる人が多くいます。
かゆみは、アレルゲンによって目の表面が刺激されて引き起こされます。
目の充血
目の充血も、季節性アレルギー性結膜炎の典型的な症状の一つです。
目の白い部分が赤くなり、ときには血管が浮き出るほどに見える場合もあります。
目の充血は、アレルギー反応によって血管が拡張して多くの血液が目の表面に流れ込むために起こります。
まぶたの腫れ
季節性アレルギー性結膜炎によるまぶたの腫れは、眼瞼結膜(まぶたの内側にある結膜)が炎症するのが原因です。
まぶたが腫れているときは熱を持っている場合も多く、二重の人が一重になるようなケースもみられます。
涙や目やにの増加
季節性アレルギー性結膜炎では、涙や糸を引くような白っぽい目やにの増加が認められます。
涙や目やには、目を保護したり花粉を洗い流そうとしたりする身体の反応です。
朝起きた際に目やにがとくに多く、目が開きにくく感じるケースもあります。
光をまぶしく感じる
羞明(しゅうめい)や光線過敏とも言いますが、光をまぶしく感じる現象もみられます。
この現象が起こるのは、結膜が炎症を起こして通常よりも光に敏感になるためです。
季節性アレルギー性結膜炎を発症しているときは、ふだんは苦痛を感じないくらいの光量でも まぶしい、目が痛いなど不快に感じるときがあります。
その他の症状
アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性結膜炎の患者さんは、アレルギー性鼻炎の持病がある人が多い傾向があります。
鼻水や鼻づまり、くしゃみが主な症状で、鼻水は無色でサラサラした水のようなものがほとんどです。
花粉皮膚炎
顔や首などの花粉が触れる場所に、かゆみや湿疹が出るケースもあります。
花粉による肌トラブルは、花粉皮膚炎と呼ばれます。
また、季節性アレルギー性結膜炎の患者さんでは、アレルギー性鼻炎を合併することが多いのも特徴です。
目だけでなく、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが一緒にある場合は、花粉症全体として対策したほうが症状をコントロールしやすくなります。
なぜ目がかゆくなるのか

花粉が目の表面に付着すると、体がそれを異物として認識し、IgEという抗体を介したアレルギー反応が起こります。その結果、ヒスタミンなどの炎症物質が放出され、かゆみ、充血、涙、腫れが起こります。つまり、目のかゆみは「こするから起こる」のではなく、まずアレルギー反応が先にあります。
そして厄介なのが、目をこするとさらに炎症が悪化しやすいことです。かゆいからこする、こするから悪化する、悪化するからもっとかゆい、という悪循環に入りやすいため、治療では「かゆみを早めに抑える」ことがとても大切です。
花粉症の目の症状と、はやり目・細菌性結膜炎との違い
目のかゆみ、花粉症?それとも感染する結膜炎?
花粉症(季節性アレルギー)と感染性結膜炎の対照表
患者さんがよく心配される2つを、ポイントごとに見比べやすく整理しました。
季節性アレルギー性結膜炎
「強いかゆみ」が中心になりやすい
- 中心症状
- 強いかゆみが中心
- 出やすい目
- 両目に出やすい
- 目やに
- 感染性ほど多くないことが多い
- 痛み
- 強い痛みは典型的ではない
- 経過の特徴
- 花粉の時期に合わせて起こりやすい
- 周囲への影響
- うつる病気ではない
感染性結膜炎
「目やに・痛み・片目から」がヒントになることがある
- 中心症状
- 目やにが多いことがある
- 出やすい目
- 片目から始まることがある
- 目やに
- 多くみられることがある
- 痛み
- 痛みが強いことがある
- 経過の特徴
- 花粉症とは異なる経過をとることがある
- 周囲への影響
- 家族や職場でうつった人がいることがある
見分けるポイント: かゆみが強く、両目に出やすいなら花粉症(季節性アレルギー)を疑います。 一方で、目やにが多い、痛みが強い、片目から始まる、周囲に同様の症状の人がいる場合は、 感染性結膜炎の可能性も考えます。
患者さんがよく心配されるのが、「これは花粉症なのか、感染する結膜炎なのか」という点です。
季節性アレルギー性結膜炎は、強いかゆみが中心で、両目に出やすいのが典型です。一方、感染性結膜炎では、目やにが多い、痛みが強い、片目から始まる、家族や職場でうつった人がいるといった特徴がみられることがあります。
ただし、見た目だけで完全に見分けるのは難しいこともあります。
とくに、強い充血、黄色い目やに、痛み、視力低下、片目だけの強い症状がある場合は、自己判断せずに眼科で確認するのが安全です。
季節性アレルギー性結膜炎の診断
季節性アレルギー性結膜炎の診断
目の表面(角膜・眼瞼結膜・眼球結膜)の状態チェックとアレルギー検査で判断します
季節性アレルギー性結膜炎を判断するためには、目の診察に加えて、 必要に応じてアレルギー検査を行います。
診察
主にスリットランプ(細隙灯顕微鏡)を使って、眼球表面(角膜・眼球結膜)や眼瞼結膜を詳しく確認します。

スリットランプとは
目に細い光の束を当てて、特殊な顕微鏡で目の状態を直接観察する検査機器です。
- 観察できる部位
- 結膜や角膜など、目の前部を詳細に診ることができます。
特殊なレンズを使うことで、目の表面だけでなく、目の奥の網膜の隅々までも確認することができます。 - 確認する所見
- 結膜炎診断の場合には、角膜の状態、充血の程度、白目のむくみ、まぶた裏の濾胞や乳頭状変化の有無を確認します。
- 診断の役割
- アレルギーによる変化が起きているかを、実際の目の状態から判断します。
アレルギー検査
季節性アレルギー性結膜炎をより確実に診断するために行う検査です。
一般的には、血清抗原特異的IgE抗体検査 と 涙液中総IgE迅速検査キット を用います。
血清抗原特異的IgE抗体検査

- 目的
- どの花粉に反応しているかを詳しく調べる検査です。
- わかること
- どの物質に対して、どれだけ特異的IgE抗体が作られているかを確認します。
- 特徴
- 抗体量が多いほど、アレルギー反応が強く現れる傾向があります。
- 結果まで
- 通常、結果が出るまで数日かかります。
涙液中総IgE迅速検査キット
- 目的
- アレルギーによる結膜炎かどうかを短時間で確認する検査です。
- 方法
- 涙液採取用の和紙を下まぶたに挿入し、直接涙を採取して調べます。
- メリット
- 10分程度で結果がわかるのが大きな利点です。
- 注意点
- 反応している花粉の種類までは判別できません。
診断では、症状の出る時期、鼻炎の合併、既往歴などを確認したうえで、細隙灯顕微鏡で結膜の状態を観察します。
アレルギー性結膜炎では、結膜充血、結膜浮腫、乳頭形成などがみられます。
必要に応じて、涙液中総IgE検査や、原因アレルゲンを調べる血液検査が行われることもあります。
ガイドラインでは、Ⅰ型アレルギー素因があり、自覚症状・他覚所見があり、さらに結膜でのアレルギー反応を確認できれば診断の確実性が高まるとされています。
治療の基本は「抗アレルギー点眼薬」
季節性アレルギー性結膜炎の治療の中心は、抗アレルギー点眼薬です。
現在のガイドライン※やレビュー※では、抗ヒスタミン作用とメディエーター遊離抑制作用をあわせ持つ「デュアルアクション」の点眼薬が第一選択として位置づけられています。
※「ガイドライン」:医師が治療を考えるときの基準であり、専門家がまとめた治療の基本レシピみたいなものです。
※「レビュー」: 治療法について、多くの研究を整理してまとめたもの
患者さん目線で言えば、「まずは抗アレルギーの目薬をきちんと使う」が基本です。
過去のシステマティックレビューでも、抗ヒスタミン点眼薬やメディエーター遊離抑制薬は、いずれもプラセボより有効とされています。
一方で、「絶対にこの成分が最強」と言い切れるほどの差は十分ではなく、実際の診療では、効き方、使いやすさ、点眼回数、患者さんの好みも含めて選ぶのが現実的です。
症状が強いときはステロイド点眼を使うことがある
抗アレルギー点眼薬だけではつらい、あるいは炎症が強い場合には、短期間だけステロイド点眼薬を併用することがあります。
これはよく効く一方で、眼圧上昇などの副作用に注意が必要です。
そのため、ステロイド点眼は自己判断でだらだら使うものではなく、眼科で経過をみながら必要最小限で使うのが原則です。
ここは患者さんにかなり重要なポイントです。
「市販薬で効かないから、強い目薬を長く使えばよい」ではありません。
目の炎症が強いときほど、実は診断を一度きちんとつけたほうが近道です。

ゾレア注射という新しい花粉症治療
生物学的製剤「ゾレア注射」という選択肢もあります
花粉症による目のかゆみや涙目が強い方の中には、点眼薬や内服薬だけでは十分に症状を抑えきれない方がいます。 そのような重症例では、季節性アレルギー性鼻炎に対する生物学的製剤「ゾレア(オマリズマブ)」が検討されることがあります。
ゾレア注射とは?
ゾレアは、アレルギー反応に深く関わるIgE抗体に作用する生物学的製剤です。 花粉に対する過剰な免疫反応を抑えることで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりだけでなく、 目のかゆみや涙目などの眼症状の軽減も期待できます。
ただし、誰でもすぐに受けられる治療ではありません。 既存治療で効果不十分な重症・最重症の季節性アレルギー性鼻炎に対して、 条件を満たした場合に検討される治療です。
こんな方で検討されます
- 花粉症シーズンになると、鼻症状とあわせて目のかゆみ・涙目が非常につらい
- 抗ヒスタミン薬、点鼻薬、点眼薬などを使っても症状が強く残る
- 日常生活や仕事、勉強、睡眠に支障が出ている
- 毎年、重症化しやすく早い時期から対策が必要になる
治療前に確認が必要なポイント
- 12歳以上であること
- スギ花粉抗原に対する特異的IgE抗体が陽性であること
- 既存治療を行っても1週間以上、症状コントロールが不十分であること
- 血清総IgE値と体重が投与基準を満たすこと
期待できる効果
国内試験では、標準治療にゾレアを追加することで、鼻症状の改善に加え、 眼のかゆみや涙目を含む眼症状スコアの改善も確認されています。
とくに「鼻だけでなく目もひどい」「毎年ピーク時につらくて生活の質が大きく下がる」 という方では、有力な選択肢になることがあります。
ゾレア治療開始までの流れ
ゾレア治療は、診断したその日にすぐ始まるわけではありません。 現在の症状やこれまでの治療内容を確認したうえで、血液検査や適応条件を確認し、 治療が適していると判断された場合に開始します。

- まずは、目のかゆみ・涙目・充血といった眼症状に加え、鼻症状やこれまでの治療内容を確認します。
- 次に、血液検査でスギ花粉に対する特異的IgE抗体や総IgE値を確認し、適応条件を満たすかを検討します。
- さらに、体重や年齢、既存治療での改善状況をふまえて、ゾレアが適した治療かどうかを総合的に判断します。
- 適応が確認できた場合に、花粉飛散シーズンの早い段階から計画的に治療を開始します。
※ゾレアは、既存治療で効果不十分な重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎に対して検討される治療です。
知っておきたい注意点
ゾレアは有効性が期待できる一方で、即効性だけを期待して使う治療ではありません。 症状がかなり強くなってからではなく、シーズン初期から計画的に検討することが大切です。
また、投与の可否は診察だけで決まるわけではなく、既存治療への反応や血液検査の結果、 症状の重症度をふまえて総合的に判断されます。
副作用・安全性について
- 注射部位の赤み・腫れ・かゆみなどが出ることがあります。
- まれですが、アナフィラキシーなど重いアレルギー反応に注意が必要です。
- 妊娠中・授乳中の方は、必ず主治医にご相談ください。
- 治療は、適応判断と安全管理ができる医療機関で受けることが重要です。
シリンジ製剤とペン製剤の違い
ゾレアにはシリンジ製剤とペン製剤があります。どちらも皮下注射製剤ですが、 重症スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)では、自己注射(在宅投与)は対象外であり、 基本的には医療機関で投与を受ける治療として理解しておくのが大切です。

シリンジ製剤の特徴
- 医療機関での投与のイメージにもっともなじみやすい剤形です。
- 重症スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の治療では、基本的に院内での投与として説明しやすいのが特徴です。
- 診察、適応確認、投与後の観察まで含めて、医療機関で一連の管理を行いやすい形です。
ペン製剤の特徴
- ペン型で扱いやすさに配慮された剤形です。
- ただし、重症スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)では、現時点の整理では自己注射(在宅投与)は対象外です。
- そのため、「ペン製剤がある=花粉症で自宅注射できる」という意味ではありません。
ペン製剤そのものは承認されていますが、ノバルティスの公式案内では、 季節性アレルギー性鼻炎は在宅自己注射の対象外とされています。 一方で、自己注射の導入手順は他適応で整備されています。
ブログでは、「剤形の違いはあるが、重症スギ花粉症では基本的に医療機関で投与される治療」 と説明すると、誤解が少なく、読者にも伝わりやすいです。
花粉症の目薬は、症状が出る前から始めると有利です

花粉症の目の症状では、初期療法がとても重要です。
これを「季節前投与」と言います。
花粉の本格飛散が始まる前、あるいは症状が軽いうちから抗アレルギー点眼薬を開始する方法で、シーズン中の症状を軽くし、つらい時期を短くする効果が期待できます。
とくに、スギ花粉症では、毎年つらくなる方なら、症状が強く出てから受診するより、飛散前に受診して準備するほうが理にかなっています。早めに治療を始めることで、ピーク時の炎症を抑えやすくなり、結果としてステロイド点眼の使用を減らせる可能性もあります。

花粉症は、症状が出てから慌てて治療するより、花粉が本格的に飛び始める前から薬を使うほうが理にかなっています。
初期療法では、花粉に触れた直後のヒスタミン作用を抑え、肥満細胞からの化学伝達物質の放出を抑制し、炎症の増幅や粘膜・神経の過敏化を防ぎます。
症状が始まると、わずかな刺激でも反応しやすくなるため、後手の治療ではつらさが長引きがちです。だからこそ、悪化のスイッチが入る前に先回りして抑えることが大切です。
人工涙液は「地味だけど効く」セルフケアです
花粉症の時期に役立つのが、防腐剤無添加の人工涙液です。人工涙液はアレルゲンそのものを洗い流す助けになり、目の表面への刺激を減らせます。
派手さはありませんが、「かゆい時だけ薬をさす」より、「原因を減らす」という意味でとても理にかなっています。
一方で、カップ式の洗眼器を頻繁に使う方法は、目の表面の涙液層を洗い流しすぎうことと、目の周囲の汚れまで一緒に入れてしまう可能性があり、眼科医としては、積極的にはすすめられません。
洗うなら、人工涙液の点眼で、やさしく流すくらいが現実的です。
コンタクトレンズは、症状が強い時期はいったん休むのが基本です
花粉症の季節にコンタクトレンズを使っていると、レンズに花粉や汚れが付着しやすく、かゆみや充血が悪化しやすくなります。
とくに、目やにや充血が強い時期は、無理にコンタクトを続けず、メガネに切り替えるのが基本です。
どうしても装用が必要な場合でも、症状が落ち着いてから、1日使い捨てタイプを検討するほうが安全です。
また、コンタクト装用中に使える目薬には制限があるため、自己判断ではなく眼科で確認したほうが失敗が少ないです。
日常生活でできる予防・悪化予防
花粉症によるアレルギー性結膜炎では、治療と同じくらい「花粉を目に入れない工夫」が大切です。
外出時は、ゴーグル型メガネや通常のメガネ、マスク、つばのある帽子が役立ちます。帰宅時には、衣服や髪についた花粉を落としてから室内に入り、洗顔や人工涙液で目の表面を整えるとよいでしょう。
室内では、こまめな掃除、寝具の清潔保持、花粉の多い日の換気や洗濯物の干し方に配慮することも重要です。
花粉だけでなくハウスダストも症状悪化に関わることがあるため、「外の花粉対策」と「室内環境の整備」はセットで考えたほうがうまくいきます。
こんなときは早めに眼科を受診してください
花粉症の時期であっても、次のような場合は自己判断せず、早めの受診をおすすめします。
- 市販の目薬で改善しない
- かゆみや充血が強い
- コンタクトレンズがつらい
- 毎年症状が重い
- 原因が花粉かどうかはっきりしない
こうしたケースでは、眼科で状態を確認して、適切な点眼に切り替えたほうが早く楽になります。
さらに、強い痛み、見えにくさ、強いまぶしさ、黄色い目やに、片目だけの強い症状がある場合は、単なる季節性アレルギー性結膜炎ではない可能性があります。感染性結膜炎や角膜障害など、別の病気を見逃さないためにも受診が必要です。
花粉症治療における市販薬の効果

軽い症状であれば、市販の抗アレルギー点眼薬で一時的に楽になることはあります。ただし、市販薬で十分な場合もあれば、処方薬のほうが明らかに有利な場合もある、というのが実際です。症状が毎年強い方、長引く方、診断に迷う方は、最初から眼科で相談したほうが結果的に遠回りしません。
とくに、症状が重いのに市販薬だけで粘ると、炎症が長引いて、目をこする癖がつき、生活の質も落ちます。季節性アレルギー性結膜炎は珍しい病気ではありませんが、「軽い病気だから雑に扱ってよい」わけではない、というのが大事なところです。
FAQ
花粉症による目のかゆみや充血は、よくある症状だからこそ「この程度なら様子を見てよいのか」「市販薬で十分なのか」で迷いやすいものです。
実際には、花粉症の結膜炎にみえても、感染性結膜炎や角膜トラブルなど、別の病気が隠れていることもあります。
ここでは、診察でよく受ける質問をもとに、治療やセルフケア、受診の目安をわかりやすくまとめました。
Q1. 花粉症で目がかゆくなるのは、なぜですか?
花粉が目の表面に付着すると、IgEを介したアレルギー反応が起こり、ヒスタミンなどの炎症物質が放出されます。 その結果、かゆみ、充血、涙目、まぶたの腫れが起こります。つまり、目をこするからかゆくなるのではなく、 まずアレルギー反応が先に起きています。
Q2. 花粉症の目の症状には、どんなものがありますか?
代表的なのは強い目のかゆみです。これに加えて、充血、涙目、白っぽい目やに、ゴロゴロ感、 まぶたの腫れ、光をまぶしく感じる症状がみられることがあります。片目よりも両目に出やすいのが特徴です。
Q3. 「はやり目」や細菌性結膜炎との違いはありますか?
花粉症の結膜炎は、強いかゆみが中心で、両目に出やすく、他人にうつりません。 一方、感染性結膜炎では、目やにが多い、痛みが強い、片目から始まる、周囲にうつった人がいる、 といった特徴がみられることがあります。見た目だけで判断しにくい場合は眼科で確認するのが安全です。
Q4. 花粉症の目の症状は、市販の目薬だけで治せますか?
軽い症状なら、市販の抗アレルギー点眼薬で一時的に楽になることはあります。 ただし、毎年つらい方、長引く方、症状が強い方は、処方薬のほうが有利なことが少なくありません。 自己判断で長く我慢するより、早めに眼科で診断を受けたほうが結果的に近道です。
Q5. どんな目薬が使われますか?
治療の基本は抗アレルギー点眼薬です。抗ヒスタミン作用と、炎症物質の放出を抑える作用をあわせ持つ 点眼薬がよく使われます。症状が強い場合には、短期間だけステロイド点眼を併用することもありますが、 眼圧上昇などに注意が必要なため、自己判断で続けるのはおすすめできません。
Q6. 花粉症の目薬は、症状が出る前から始めたほうがよいですか?
はい。花粉が本格的に飛び始める前、あるいは症状がごく軽いうちから始める「初期療法」は有効です。 早めに治療を始めることで、シーズン中の炎症を抑えやすくなり、ピーク時のつらさを軽くしやすくなります。
Q7. 人工涙液は本当に効果がありますか?
あります。人工涙液は、目の表面についた花粉を物理的に洗い流す助けになり、刺激を減らせます。 派手さはありませんが、とても理にかなったセルフケアです。防腐剤無添加タイプが使いやすく、 カップ式の洗眼器を頻繁に使うより、点眼でやさしく流す方法がすすめられます。
Q8. コンタクトレンズは続けても大丈夫ですか?
症状が強い時期は、いったんメガネに切り替えるのが基本です。レンズに花粉や汚れが付着すると、 かゆみや充血が悪化しやすくなります。どうしても装用が必要な場合は、症状が落ち着いてから、 ワンデータイプを検討したほうが安全です。
Q9. 眼科ではどのように診断しますか?
主にスリットランプで、角膜や結膜、まぶたの裏側の状態を詳しく確認します。 必要に応じて、涙液中のIgEをみる迅速検査や、血液で特異的IgE抗体を調べる検査を行い、 どの花粉が関係しているかを確認することもあります。
Q10. 目の症状が強いとき、ゾレア注射は使えますか?
ゾレアは、IgEに作用する生物学的製剤で、既存治療で十分に抑えられない重症・最重症の 季節性アレルギー性鼻炎に対して検討される治療です。鼻症状が主な適応ですが、 その結果として目のかゆみや涙目の改善も期待できます。誰でもすぐに対象になるわけではなく、 年齢、検査結果、重症度などの条件確認が必要です。
Q11. 日常生活でできる予防法はありますか?
外出時はメガネやマスク、帽子を活用し、帰宅時には衣服や髪についた花粉を落としてから室内に入りましょう。 洗顔や人工涙液で目の表面を整えるのも有効です。室内ではこまめな掃除、寝具の清潔保持、 花粉の多い日の換気や洗濯物の外干しに注意することが役立ちます。
Q12. どんなときは、早めに眼科を受診したほうがよいですか?
強い痛み、見えにくさ、強いまぶしさ、黄色い目やに、片目だけの強い症状がある場合は、 単なる花粉症ではない可能性があります。また、市販薬で改善しない、毎年重い、コンタクトがつらい、 仕事や勉強に支障が出る場合も、早めの受診がおすすめです。
監修:高田眼科 高田尚忠
まとめ
季節性アレルギー性結膜炎は、花粉症によって起こる代表的な目の病気で、目のかゆみ、充血、涙、目やに、まぶたの腫れなどがみられます。治療の基本は抗アレルギー点眼薬で、症状が出る前からの初期療法が有効です。症状が強い場合は、眼科で診断を受けたうえで、必要に応じてステロイド点眼などを組み合わせます。
花粉症の目の症状は、「毎年のことだから」と我慢されがちですが、早めに対策するとかなり違います。目をこすらない、花粉を避ける、人工涙液を活用する、つらくなる前に点眼を始める。この4つを押さえるだけでも、シーズンの過ごしやすさは変わります。
参考文献
- 日本眼科学会|アレルギー性結膜炎
- 公益社団法人 日本眼科医会|アレルギー性結膜炎の治療と対策
- アレルギーポータル|アレルギー性結膜炎
- KOMPAS(慶應義塾大学病院)|アレルギー性結膜炎
- 東京都保健医療局|アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症
- Japanese guidelines for allergic conjunctival diseases 2020
- A contemporary look at allergic conjunctivitis
- Topical treatments for seasonal allergic conjunctivitis: systematic review and meta-analysis
- Allergic Conjunctivitis Management: Update on Ophthalmic Solutions




