基本の話

「眼瞼下垂」の程度

2020.3.28 記事内容を修正・更新しました。


まぶたが通常の位置より下がって、目が開けづらくなるような状態のことを「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。

 

眼瞼下垂になると、まぶたが下がってしまうため、視界が狭くなり、物が見えにくくなります。

 

また、まぶたが下がることによって、周囲からはいつも眠たそうな表情に見えてしまう傾向にあります。

眼瞼下垂かどうかの目安として、一般的には、”MRD(margin-reflex distance)”が使われます。

 

これは”上まぶたの縁から黒目の中央部の距離”を指します。この距離が3.5mm以下になった場合に、眼瞼下垂と診断されます。

 

ここで言う「黒目の中央部」を瞳孔(どうこう)といいます。

 

日本人の黒目は、実際は茶色がかった虹彩(こうさい)の中央に黒く丸い部分がありますが、これが瞳孔と呼ばれている部分です。

 

正常に目が開いている人の場合でも、黒目の上の方に上まぶたが少しかかっていて瞳は全体の80%ほど露出し、瞳孔は100%露出しています。この場合の”上まぶたの縁と黒目の中央部の距離”は3.5~4.0mm程度です。

軽度の眼瞼下垂では、上まぶたは瞳孔にかかり、この場合の距離は1.5mm前後、中程度では0.5㎜前後。重症になると上まぶたが瞳孔をふさいでしまうことになり、距離の数値はマイナスとなります。

光は、瞳孔を通って目のなかに入ってきます。瞳孔を調節する虹彩は、よくカメラの絞りに例えられますが、光が強いと、まぶしくならないために小さく縮み、夜間や暗い場所では大きく開いて目の中に入る光の量を多く取り入れるようにする役割があります。

 

人が物を見るメカニズムは、瞳孔から入ってきた光が網膜に当たるところから始まりますので、瞳孔を隠してしまう眼瞼下垂は、見た目はもちろん目にとって深刻な事態と言えます。

 

例えば、高齢者が寝たきりとなるのは、転倒からの骨折が契機になることが多いと言われておりますが、転倒の原因としては、体の筋力の低下は勿論ですが、視機能の衰えというのも無視できません。

 

高齢者の視機能の低下の要素として、白内障は最初に考えられる要素だと思います。

 

しかしながら、眼瞼下垂症が見過ごせませんと言われたら、如何でしょうか?

 

眼瞼下垂症により、上下方向の視野狭窄が発生しますが、これは、まっすぐ正面を見たときに、足元が見えないということになります。

 

つまり、足元が見えなければ、モノでつまずいたり、足を踏み外したりするなどで、転倒のリスクが高くなると言えます。

 

光刺激というのは、松果体を刺激し、松果体ホルモンであるメラトニンの産生を抑えます。

 

メラトニンは、体内時計を司るホルモンであり、催眠効果があります。

 

分泌されると眠くなります。人は目を閉じた状態でいると眠くなります。

 

目を開けようとしても、眼瞼下垂症であれば、目を半分閉じた状態であるのであれば、網膜への光刺激が少なくなり、結果として覚醒が落ちます。

 

高田眼科では、長距離のトラックドライバーの方が多く眼瞼下垂症の手術を受けられ、仕事が楽になったと言っていただいております。

 

眼瞼下垂症が治ることで、網膜への光刺激が十分確保できるようになったため、脳の覚醒が保たれるようになったと考えることができます。

 

しかしながら、眼瞼下垂症の病気の本態は、あくまで瞼が下がり瞳孔が隠れてしまうことです。

 

眼瞼下垂症手術は、瞳孔に掛かっているまぶたを開けやすくするだけの手術です。

 

個人的には、脳の覚醒などをこじつけて、手術を強引に進める風潮には、疑問を持っております。

 

眼瞼下垂症には、緊急性は全くなく、リスクがないわけでもないことから、安易に手術をうけることは、オーバートリートメント(過剰治療)と考えております。

 

高田眼科の手術適応の要件の一つは、手術を受けることで、患者さんの人生がハッピーになるか?どうか?です。

 

ドクターのエゴで行うべきモノではないと思いますので、手術を受けるにあたっては、熟慮の上で決定されると良いと考えます。

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